灰かぶり姫は1人だけ   作:error405

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ルールと偶像と契約者

巧翔「それで一体これはどういうとこなんだ?」

 

自己紹介のあとすぐに俺の家へと向かった。傷ついている女の子を連れて歩いてる状況に少しビクビクしていたが、家が近いことをも幸いし誰にも見られずに家に帰る事が出来た。

 

まゆ「とりあえず今置かれている状況についてはまゆが説明しますねぇ」

 

美夜と美穂を少し見てまゆが立ち上がる。

 

まゆ「今、巧翔さんはとある戦いに巻き込まれています」

 

巧翔「んまぁ、それはそこはかとなく理解している」

 

まゆ「名前とかないのですが仮に総選挙としましょう」

 

少し貯めたあとまゆは続ける

 

まゆ「この総選挙には戦う力を持った私たち偶像(アイドル)と私たちの協力者の契約者(プロデューサー)がいます」

 

巧翔「俺や桜さんみたいなやつか」

 

まゆ「そうですね、そして総選挙は偶像が最後のひとりになるまで終わりません」

 

ほうほう

 

まゆ「そして最後のひとりになった偶像とその契約者は1つ願い事が叶えられます」

 

んん?なんか聞いたことあるようなルールだな?

 

美夜「どう聞いても聖杯戦争よね」

 

今まで黙って聞いていた桜さんが口を挟む。というか言いたかったのに言わなかったことを言いやがった。

 

まゆ「そうですねぇ、わかりやすく言うとそうなります」

 

お前はなんでわかるんだよ

 

まゆ「ただ聖杯戦争と違ってこっち(偶像)がそっち(契約者)を選びます」

 

巧翔「俺はまゆに選ばれたってわけか」

 

まゆ「はい、ずっと巧翔さんのことを探してました」

 

巧翔「ずっと?」

 

まゆ「気にしなくて大丈夫ですよ?言葉の綾ですから」

 

ととそんなことより

 

巧翔「もうちょい総選挙のについて詳しい事教えてくれよ」

 

美穂「あ、まゆちゃん伝えなきゃいけないこともたくさんあるし、メモ書きにして明日見てもらったらどうかな?」

 

まゆ「そうですねぇ、巧翔さんも美夜さんもお疲れでしょうし、その方がいいかもしれません」

 

巧翔「了解した、桜さんと美穂はそっちの部屋を使ってくれ、客室だから自由に使ってくれて問題ない」

 

美夜「美夜でいいわ、こっちも巧翔って呼ぶから」

 

巧翔「OK、美夜」

 

美夜「それで巧翔、この家結構広いけどあんたしかいないの?」

 

巧翔「ん?あぁ、そうだぞ」

 

美穂「ご両親は遠くに住んでるんですか?」

 

巧翔「そうだな、遠くに住んでるよ」

 

美夜「一人暮らしの息子にこんないい部屋与えるなんてどんな家なのよ」

 

巧翔「元々ここに住んでたんだけど親が遠くに行くことになっちゃってさ、俺だけそのまま残ったんだよ」

 

言い終えたのと同時に静かに俺の話を聞いていたまゆが喋り出す。

 

まゆ「……そういえば巧翔さんご飯まだでしたよね、まゆが作りますのでお風呂はいってきてください」

 

巧翔「でも、飯なら買ってきたぞ?」

 

まゆ「そのグチャグチャのハンバーグ弁当ですか?」

 

言われて机の上に置いた弁当を見る。

どう見ても残飯だった。

 

巧翔「………頼んだ」

 

まゆ「はぁい」

 

風呂に入って考える。襲われていた美夜と美穂。襲ってきた李衣菜と男。現れたまゆ。全てを信じるには証拠が足りない気もするが信じるしかないのだろう。体に感じる疲労がこれは現実だと物語っている。

 

巧翔「願いが叶う、ね」

 

勝ち残って得られる報酬。いきなりそんなことを言われてもなぁ。

全身をくまなく洗い、風呂から上がる。いい匂いがする。

 

まゆが何か作ってくれると言っていたが、うちには米しかないはずだ。一体何を作ったのだろう。

 

まゆ「あ、巧翔さんご飯出来てますよぉ」

 

今まで一人で使っていたテーブルを囲んでいる四人。そしてそのテーブルの真ん中に置かれていたのは、

 

巧翔「なにこれ?米?」

 

まゆ「お米しかなかったので、具なしのチャーハンです」

 

美夜「あんたねぇ、流石に一人暮らしとはいえ米しかないってどうなの?」

 

匿ってもらって(こっちが勝手にだが)さらに飯まで頂こうとしてるのにその言い草はない、断じてありえない。

 

美穂「ま、まぁ美夜さん匿ってもらってご飯もいただけるんですから」

 

美穂タンまじ天使。なんかまゆの方から何かを感じる。

 

巧翔「すまん、最近色々あったんだ親に会いに行ったりしててさ。明日休みだから買出しに行こうと思ってたんだ」

 

美夜「まあ、明日からは関係ないんだし、どうでもいいけど」

 

流石にイラってきた、一切表には出さないけど。

 

まゆ「美夜さん、そろそろまゆが怒りますからね?」

 

見なくてもわかる威圧感、正面から受けてる美夜は一瞬にして顔が青くなる。

 

美夜「すいませんでした!」

 

結論、まゆを怒らせてはいけない。

この後は具なしのチャーハンを食べて寝た。具なしチャーハンはマジで美味しかった。

 

 

朝、全てが夢であることを願いながら目を開けると何故か別の部屋に分けたまゆがいた。ベットの横で正座して座っていて正直怖かった。

 

ここからはメモ書きに書いてあった総選挙にかんする情報だ。

・総選挙に出る偶像、契約者はちひろさんが決める。

・しかしどの偶像がどの契約者に当てられるかは偶像自身が選ぶ

・何人のアイドルが出るかちひろさん次第

・総選挙に出るアイドルには二種類いる

・一つは契約を結んでいるアイドル

・もう一つは契約者を持たないはぐれのアイドル

・はぐれ偶像はちひろさんによって決められた契約者候補の中にアイドル自身に合う人がいないとなった場合の特別措置

・はぐれは自身で実際に人を見て契約者を決められる

・その際の絶対条件としてモバマスをプレイしていること

・偶像は特別な力を持っていて、特技と歌と呼ばれる

・特技とは偶像が戦うための力でまゆのリボンを自在に扱っていた力がそれにあたる

・歌は強力な必殺技のようなもので一日二何度も何度も使うことは難しい

・はぐれの偶像はこの二つの力を弱められる

・偶像はアイドルとしての力がなくなってしまった時に消滅する、それが敗北である

・原則として契約者1人につき偶像は1人である

・最後の1人になるまで消滅しなかった契約者と偶像は唯一の例外を除いて願いが叶えられる

 

こんなところか

俺はこれからどうするべきなのだろう、やはりまゆも願い事があるのだろうか、そして唯一の願いとはなんなのだろうか。

 

巧翔「やっぱり人を生き返らせるとか?」

 

まゆ「それは普通に無理ですね」

 

ん?

 

まゆ「流石に願いを叶える側にも限界があります」

 

流石に万能じゃないってことか、別に期待していた訳じゃないが少しがっかりした。

 

巧翔「それじゃ、叶えられない唯一の願いってなんなんだ?」

 

まゆ「私たちアイドルをこの世界にとどめておくことです」

 

なるほど、こうやって現実世界にいるわけだから無理ではないのか。でも叶えられない。何でなんだろう

というかルール聞いてたらちひろさんの掌の上だよな完全に。

 

巧翔「最後の質問だまゆ、俺はこれからどうすればいい」

 

まゆ「まゆの願い事は一つ巧翔さんの隣にいること、でもそれは叶えられない。だから巧翔さん、勝たずに負けないでください」

 

なかなか難しいお願いだ、でも、

 

巧翔「それがまゆの願いなら叶えなきゃな、二回目になるけどよろしくなまゆ」

 

まゆ「こちらこそお願いしますねぇ、巧翔さん」

 




まゆの願いを叶えるために勝たずに負けない約束をした巧翔
しかし美夜から聞いた総選挙の歪な現状に約束を守れるのか不安を抱く
Fin 第2章『ルールと偶像と契約者』
Next 第3章『現状とチートと協力』

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