( 'ω')ふぁっ   作:くうちゃん

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 キーンコーンカーンコーン。

 授業の終わりを告げるチャイムを聞き、俺は机に伏した。

 

 今朝の事が原因なのだろう、なんだかとても疲れていたのだ。

 

「おい空夜、今日俺の家で実験な!」

 

「いいねぇ祐也君、早く見せてぇ〜」

 

「わかったわかった。少し待ってくれ」

 

 俺は顔をあげると、教科書をカバンに入れ帰る支度をした。

 

「よし、じゃあ行こっか」

 

 3人で教室を出て、祐也の家へと向かう。

 祐也の家は、学校から歩いて20分ほどの所にある。

 

「なあ、炎ってさぁ、どんな感じだった?」

 

「ライターの火があるだろ?あんな感じかなぁ。

 ただ、すごく安定してたな。」

 

「それってさぁ、熱くなかったのぉ?」

 

「ああ、なんだか暖かい感じで熱いとは思わなかった。」

 

「ふ〜ん、不思議だねぇ〜」

 

 そんな他愛もない話をしていると、祐也の家に着いた。

 

「ただいま!」

 

「おじゃましまぁ〜す」

 

「こんにちは、美里さん」

 

「あらあら、やっぱり3人とも仲がいいのねぇ。

 ……ところで彩香ちゃん。ウチのと空夜くん、どっちにするか決めた?」

 

 迎えてくれたのは、祐也のお母さんの美里(みさと)さんだ。

 

「え〜、違いますよぉお母さん。

 どっちも違いますってぇ〜」

 

 色々とすごい会話だが、いつものことなので、俺も祐也も気にしない。

 

「んじゃ、俺達は部屋行くから。」

 

 部屋へと向かう祐也について行き、部屋に入る。

 

 祐也の部屋は残念なことに、特出している部分はなく。

 ベットに机、マンガがたくさん入った本棚が有るだけだ。

 

「よし、さっそくだが空夜、見せてくれ!」

 

「まあまあ、そう焦るなよ。」

 

 ゆっくりと深呼吸をしながら、今朝の事を思い出していく。

 手に浮かぶ炎。炎から伝わってくる暖かさ。

 頭の中でイメージが固まる。

 そして、呟く

「燃えろ」

 

『っ!』

 

 2人が驚く声が聞こえた俺は、手に感じる暖かいものを感じながら、目を開ける。

 

「どうだ?本物の炎だろ?」

 

「あ、あぁ。すげぇ、すげぇよ!!」

 

「わぁ、キレイ……」

 

驚く2人を見ると、優越感を感じた俺はドヤ顔をしながら。

 

「これが、3年間かかさずやり続けた男の成果だ…」

 

すると、それを見た2人は

 

「せっかく綺麗な炎なのに…」

 

「でもでもぉ、凄いし…ね?」

 

空夜は気づいていないが、2人はとても微妙で残念な顔をしている。

 

「よし、これで信じてくれるよな?」

 

「当たり前だろ! 最初っから信じてたぜ」

 

「そーだよぉ、こんなに綺麗だとは思わなかったけどぉ」

 

「よかった…正直言うとな、非現実的過ぎて疑ってるかと思ってたんだ。んまぁ、そんな事は置いといてだな。

もうそろそろ、炎が消えると思うんだ」

 

「え? そんな事も分かるのぉ?」

 

「ああ、なんとなく。だけどな」

 

すると、空夜の手の上で燃えていた炎が消えた。

 

「あっ ほんとに消えたぁ」

 

ふらっと 空夜が倒れそうになる。

 

「空夜君!」

 

彩香は、いつもの間延びした喋り方ではなく。

叫ぶようにしながら、空夜の肩を掴み体を支えた。

 

「おい、空夜大丈夫か!」

 

祐也も空夜の近くに行き、声をかける。

 

「お、おいお前ら。落ち着けって!

言ったろ? 疲労感を感じるって」

 

そう言うと空夜は、座り直す。

 

「そ、そうだけどぉ」

 

「それでも、急に倒れそうになったら焦るだろ」

 

「まあ…その、すまない」

 

部屋の中が静けさに包まれた。

空夜は、その空気を破るように言う。

 

「見てもらったところで、お前らはどう思う?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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