あべこべポケモン(仮) 作:ユーキ
な月あ日
俺は普通のトレーナー、ユーキ・トレニウス。同行しようとするポケモン達を振り払って、朝方の街を散歩していた。
散歩するのに夢中になり、背後から近づいてくるロケット団に気付けなかった。俺はその下っ端に殴られ、目が覚めたら…。
どこかに囚われていた!
俺が連れ去られたとポケモン達にばれたら“また”厄災が広がり、アローラに危害が及ぶ。
無い頭をフル回転させ脱出する事にした俺は、汗でベタつくのを感じ、汗を流すために部屋を探り、備え付けのバスルームへの扉を潜った。
たった一人で退路を探す見た目は美男子、頭脳は普通、その名は、転生者ユーキ
現実逃避はそろそろ止めよう。今現在ロケット団のアジトと思われる場所にいる。手元にあるのはメモ代わりとしても使っているこの日記帳とペン、それから財布だけ。ポケットに突っ込んでいた物しかない状況。
積みでござる、次回のユーキ先生の作品にご期待ください!何故持ち物が押収されていないのかは分からない。モンボがないから何も出来ないと高を括っているのだろうか。マサラ人とはいえただの人、ポケモンがいなくてはこの頑丈な壁や扉をどうにも出来ない。巡回を襲う?常に三人組だ、返り討ちに遭うのが関の山だろう。俺はまだ死にたくないのでおとなしくしておくのら。
【メモ】
巡回は2時間に一度のペース。三人組。モンボ携帯。
食事は朝昼晩の三食。量は普通、質も普通、本当に普通な食事。
部屋は真っ白で壁にはデカイRRの文字。部屋の中にあるのは観葉植物君、クソデカてれびくん、真っ白なソファー、エアコン、監視カメラ×6。
出入り口の扉の反対側の扉の向こうはユニットバス。監視カメラ×4。
な月い日
朝、食事と一緒に真っ白なシャツとハーフパンツと下着を受け取った。流石に何日も同じ服では不潔であるかららしい。風呂場で手洗いするかと考えていたのでありがたい。いや、拐われている時点でありがたくはないのだが。
食事を持ってくる奴らも、監視に来る奴らも揃いも揃って不躾な視線を向けて来る。厭らしか!厭らしかよ!!
今日は食事して寝て食事してうんこして食事して風呂入って寝るだけであった。
色仕掛けでもやってみるか?
な月う日
色仕掛け作戦を行った。前屈みからの胸チラや胸元パタパタなどでジャブを仕掛けたが、ほとんどが反応していた。だが真面目なのか、上の命令なのか、手を出して来るような奴はいなかった。あと一押しでどうにかなりそうではあるが。
レインボーロケット団イベントがどの程度進んでいるのかは分からない。早くあの子がやってきてロケット団を粉微塵にしてくれないだろうか。
な月え日
2日前の自分を殴りたい。何が色仕掛けだくそったれ。何かしらの目的があるから拐われた、だから何もされないだろうと油断していた。
マジで襲われるし、抵抗したら殴る蹴るだクソクソクソ。
三人組はすぐにやってきた他の下っ端達に連れて行かれた。床に飛び散った昼飯だった物はすぐにやってきた清掃係が片付けていった。怪我は医療班と名乗る奴が処置をしてくれた。
ポケモン達がいない今軽率な行動を取るべきではないと学んだ。その対価がこんな怪我とか笑えない。
な月お日
ロケット団の下っ端達の服に違和感を覚えていたのだが、その正体が分かった。服の色だ。
アニメでムサシとコジロウの白いユニフォームばかり見ていてそれに慣れてしまっていたせいだ。黒い事に対して変だと感じてしまっていた。実際はこちらの色が正式な物なのだ。
な月か日
昨日からそうだが。下っ端達がどこか余所余所しいというか、腫れ物扱いというか。
3日前のあの出来事が関係している可能性は高いのでは?あれ以降だからね、彼女らの反応は。
近付こうとすると離れるし、この間までそこそこ話せていた子が全く話さなくなるし。
な月き日
今日も特に何もなく一日が過ぎた。クソデカてれびくんが映すのはアローラのテレビ番組ではなく、ただの映画だ、しかも24時間。耐久映画鑑賞会を行なっているのだ。一つの映画が終われば次の映画、その次も映画、以下エンドレス。
だが流されている映画はジャンルがバラバラであり、シリーズ物は連続で流れる事はない。不規則であるためにランダムに流しているのかと思ったが、一週間分の番組表でいつ何が流れるのか決められていた。
もしかして監視している奴らは、自分達が見たい映画を一週間単位で組み立てているのかもしれない。自分の監視時間に合わせて映画が観れるようにしているのかも。もしかしたら俺には外の情報を流さず、しかし同じ物を流し続けて飽きさせないために、自分が見る映画と同じ物を流しているのかも。
そこまでしないか。
な月く日
そういえば昼間に小さな揺れがした。どったんばったん大騒ぎ!しているフレンズがいるのだろうか?すごーい君は頑丈そうな建物を揺らせるフレンズなんだね!
きっとあの子が助けに来てくるたんやろなぁ…ってちょっと待って!ここ色んなボスが伝説のポケモン持ってるやん!ほんま自分つっかえ。アホくさ、辞めたらこのトレーナー?
伝説のポケモンのバトルが始まったらこの建物が破壊されるのでは?そうしたらポケモンのいない自分は死んでしまうのでは?そう考えると上記のエセ関西弁が頭の中で浮かんだ。
でも俺を人質にしたり、何かの実験に使うにしても生きてなくては意味がない。だから大丈夫だよね?ね?
な月け日
あの三人組を見ない。他の場所に行ったのか、はたまた消されたのか…んなわけないか。
今日も今日とて揺れた。停電した際に脱出出来るか試そうと扉をガチャガチャしていると通りがかった下っ端に「大人しくしてろ!」と扉を蹴られてビビった。
な月こ日
また襲われた。いや今回は俺は何もしていない。また揺れて下っ端達が右往左往してるんだろなぁ、と勝手に妄想していると扉がバァン!と迫真の音を響かせて開いた。食事の時間でも巡回の時間でもないのにだ。
入ってきた下っ端達の血走った目を見た時点でヤバいと思い風呂場へ逃げ込もうとしたが、ウツボットの蔓で捕らえられた。
「もうお終いだ!」「ヤバいトレーナーが来て暴れている」「捕まる前に楽しんでやる」だとさ。前回同様抵抗したら案の定ボコられた。タヒね。
ギリギリの所で下っ端を引き連れた幹部だという女に助け出された。
あのぉ、「奴らは処分する」ってどういう事ですかねぇ?降格処分って事ですよね?ね?
な月さ日
痛みで眠れなかった。治りかけた所で更に怪我が被さってきてマジで痛い。前回は浅眠だったが、今回はガチで眠れなかった。
こんな事なら抵抗しなきゃ、いや無理やりは怖いし。
昼間にうつらうつらとしていつの間にか眠っていた。
夢で両親が出て来た、能天気な二人が夢の中でも能天気に手を振っていた。何故か昔の貴族が着てる古臭くも上質な服を着ていた。久し振りに会いたいな。
な月し日
もう揺れが定例と化している。
巡回に来た下っ端の女の子が「捕まる前に一発ヤらせてくれいやヤらせてくださいお願いします」と頼みこんで来た。
何でも俺のファンらしい。このままレインボーロケット団が世界を征服しようが、壊滅して捕まろうがその先どうなるかは分からない。だから今のうちにヤりたいのだとか。
悪の組織にまでファンがいるとか、ユーキ困っちゃう☆一発ヤらせてほしいとか、ストレートすぎるゾ〜☆
まぁヤらせなかったんですけどね。
まだ若いんだからやり直せる、まともで強いトレーナーになったらまた外で会いましょうと告げた。彼女は涙を堪えて帰って行った。
な月す日
助かった。あの子達が助けに来てくれた。よく分からない機械に繋がれてビリビリさせられたりしたが、生きて帰って来られた。
部屋へ研究者風のロケット団員がやってきて、朝早くから連れ出された。実験がどうとか話をしているのを聞いて3度目の抵抗、無言の腹パンを食らった。貴方、研究者風なのに随分とアグレッシブなのね。
で、上でも書いたけどよく分からん機械に繋がれてビリビリですよビリビリ。アヒィィイイイィィ!逝グゥ!逝ッチャウゥゥ!って感じで死に掛けたわ。しかもあの子達が見てる前でだよ?サカキさんの性癖の歪みを感じました。
あれって何の機械な訳?俺から何かしらのエネルギーを吸ってたの?それとも俺にエネルギーを注入してたの?
ゼクロムに…!で有名な某ポケ漫画みたいにポケモンと融合したり新たなポケモンに作り替えられそうになってたの?
何にしてもヤバそうなので、病院に行くべぇ!
な月せ日
病院に行ったが打撲とかの怪我に処置をしただけに終わった。あの機械はサカキと一緒に消えたので手掛かりもなく、ロケット団の研究者達はヒトカゲの尻尾切りよろしく爆発が起こり皆死んでいた、そのせいで何をされたのかは判らず終い。
病院からそのまま財団に戻ってそこでも隅々まで調べたが、結局何も判らなかった。
まぁこっちには伝説のポケモンがいるから何かあれば何とかなるでしょ。てか何が起きたか聞けば判るんじゃない?明日聞こう。
な月そ日
ポケモン達に無茶苦茶怒られた。今回は何の考えもなく、一人で出歩いた俺が全面的に悪いので謝罪をした。
でもね、悪の組織に攫われるとか誰が想像出来る?いや出来ない。と考えているとサーナイトさん達の視線が怖くなった。エスパー対策してるのに考えを読まれている。
あ、そうだ。レインボーロケット団のアローラでの活動なのだが、あの子達のバトルしている様子が電波ジャックして普通に放送されていたらしい。
つまり、機械に繋がれ電気ビリビリされながら「電気しゅごいのぉ!!んほぉぉおおおぉ!逝っちゃうぅぅうぅ!!」とかいう誰得な姿も流されたらしい。
黒歴史不可避、てか黒歴史確定ゾ。これ精神的に死ぬゾ、死ゾ。
な月た日
色々な事があって書き忘れていた。俺の手持ち達は攫われた日から待ち続けていたそうだ。伝説達が「まだお前達が動く時ではない」と抑えていたのだとか。
彼らの力があれば事態を簡単に解決する事が出来た筈だ。しかし色んな考えがあり動かなかったと言われた。
は?トレーナーがピンチなのに何呑気してんだ?と煽るとぶっ飛ばされた。いっつもそうだ!何かあればぶっ飛ばしやがる!
1.自分達という存在が知れ渡ると面倒な事になる。
2.常に見ているので何が起きても対応出来た。
3.危害が及んでも時を戻したり生き返らせる。
という事らしい。それなら念話やらで俺に教えてくれてもと言えば「向こうにも伝説がいるから察知される可能性があった」からしなかったのだとか。
な月ち日
俺に繋がれていたよく分からない機械について尋ねたのだが、驚いた。何とか落ち着いたので日記に書いておく。
あの機械は俺の中にある力を吸い取る物だったらしい。
王族の子孫だとか、特殊な一族の生まれでもない一般トレーナーである俺にそんな力がある訳ないだろ!と反論したが「お前は選ばれし者、力を受け継ぎし者」とだけ言われた。伝説達はそれ以上は語らずにボールに戻ってしまった。
は?何だが。いきなりの事で頭の中で考えがぐるぐるして頭痛がするぜ
色々と疑問がある。
1.選ばれし者、受け継ぎし者とは?
2.どのような力が宿っているのか。
3.何故それを教えてくれなかったのか。
これらをまずは知りたいのだが、教えてくれそうにない。何故?どうして?
神様なんてロクでもないのだから、一々行動に対してとやかく言うのは時間の無駄なのだろう。そう思うのだが、指摘せずにはいられない。
時が来れば分かるのか?これから先何か起こるのか?またサカキor謎の人物が襲ってくるのか?
RRイベントが終わった今、これから先どうなるのかは分からない。それが、未知が何よりも怖い。
そもそも神と呼ばれる伝説のポケモン達なら主人公が拐われる前にどうにかする事が出来た筈。なのに何故何もせずに拐わせたのか。何故主人公が戦っている時に何もしなかったのか。何故何も教えないのか。
伝説達は「オリ主が拐われる事」に対しては何も思ってはいない。それから先を見通しているから。
伝説幻達「お前に良い物を与えよう」
\ギラギラに輝く服/
ユーキ「なぁにこれぇ」
ルギアラティ「下地は私達の体毛を編んだ物」
パルディア「ボタンや装飾は我らの力を宿す宝玉達」
三鳥ホウオウ「首元の羽根は私達の羽根だ」
他の伝説幻「他の部分には我らの力を宿す物があるぞ」
ユーキ「クソ恥ずかしい」