あべこべポケモン(仮) 作:ユーキ
◯月◯日
今更だけどお兄さんについて書こうと思う。隣の家の子供、それがお兄さん。家が隣同士という事で親同士の仲がとっても良い。お兄さんと私の関係だが、私が赤ちゃんの頃から今までずっと一緒に育ってきたと言っても過言ではない、そのぐらいの関係だ。
その出会いなんだけど、私は覚えていない。いつの間にか仲良くなっていたとしか言いようがない。
◯月×日
今日はポケモンスクールの卒業式があった。
物心付いた頃に通い始めた学校でもあったので式の途中で泣いてしまった。お母さんとお父さんも泣いていた。一緒に来ていたお兄さんはやれやれって顔をしていた、でも優しい顔だった。
◯月△日
やばい、やばいとしかかけないくらいやばいどのくらいやばいかというとやばいくらいやばい
ひっこすらしい
◯月◻︎日
他の子達は博士やお父さんお母さんからポケモンを貰って旅に出ているらしい。「貴方も博士からポケモンを貰いに行くんだから早く部屋から出て来なさい」ってお父さんに言われた。引っ越す事とかお兄さんから離れてしまう事とか考えててそれどころじゃないから。ほっといてよ!って叫んじゃった。
◯月☆日
三日ぶりにお兄さんについて書こうと思う。
お兄さんは5歳歳上。10歳の時にトレーナーとして旅に出た。その時私は物凄い泣いた、思い返す度に恥ずかしくて顔が赤くなるくらいには。
それからはどこにいるだとか、どこのジムに挑戦するだとか連絡が来るのを待つ日々。そして半年経った頃にお兄さんは帰って来た。20を超えるジムバッジを持って。
お兄さんの家ではお祭り騒ぎ、私たちもパーティに参加して祝いに祝ったっけ。
扉が叩かれた、今度はお母さんかなそれともお父さ
◯月★日
体が軽い、こんな幸せな気持ちで朝を迎えるなんて。もう何も恐くない。
昨日の事を思い出すと頰が緩む、お母さんに「気持ち悪い顔してる」とその度に言われるが気にならない程私は浮かれている自覚がある。
日記を書いている途中にお兄さんがやってきて「悲しまないで」とか!「君が悲しむと俺も悲しくなる」とか!!「君には笑顔が似合うんだから」とか!!!もうね、ヤバかった。
◯月♪日
お兄さんが持ってるポケモンなんだけど流石にこれは可笑しいだろって点が結構ある。
初めて手持ちのポケモンを見せてもらった時、ポケモンの威圧感と言えばいいのか、存在感?が物凄かった、素人の自分でもかなり強いのが分かるレベル。半年でこれ程までに仕上げられるの?
聞いたら10体くらい育て終わっているって。
トレーナーやブリーダーがどれほどの時間と労力を掛けて一体一体育てているのかと。
眠い、寝る。
◯月↑日
お兄さんが持ってるポケモンの中にはこの地方にはいない他の地方のポケモンまでいた。それを聞くとしどろもどろになりながらも誤魔化された。幼馴染の私に隠し事?胸がチクチクと痛んだ。
あ、そうだ。何だか普通とは違う体色のポケモンもいたっけ、「めったに生まれないがごく稀に色が異なるポケモンがいる、それが色違いポケモン」
でも何匹も持ってるよね?色違い。何でそんなにいるのかなぁ?気になる。
◯月→日
この日記もつけ始めてから約一年。毎日よくもまぁ続けてきたなと思い始めから読み返したが、3割はお兄さんの事ばかり書いてあってそんな自分に苦笑い。ここ数日なんてお兄さんの事ばっかり。
◯月↓日
またお兄さんの事を書く。
お兄さんはこの地方の全てのジムに挑戦し、全てのジムバッジを手にしている。流石お兄さん。でもポケモンリーグには挑戦していない。本人に聞いたら「周りが勝手に期待して持ち上げて来るから鬱陶しかった。だから辞めた」って教えてくれた。
それからのお兄さんは時折町の外に出て行ってた数日後に戻って来て、数日滞在するとまた外に出て。その繰り返し。
周りからは風来坊?とか言われてたけど小さな大会とかに出てお金を家に入れてたみたい。
もう引っ越しも明日。もう寝ちゃおう。
○月←日
今私は飛行機の中でこの日記を書いている。
引っ越すと知った近所の人たちがいっぱい来て見送りしてくれた。お兄さんも来てくれたのが一番嬉しくて大泣きした。女の子なんだから泣かないぞと思ってたけど、お兄さんが見てる前で泣いてる所なんて見せたくないって思ってたけど無理だった。お兄さんが前みたいに慰めてくれたけど、周りに見られてたんだよねぇ。めちゃくちゃ恥ずかしい。
色々あったから疲れた、もう寝ようかな。お兄さんとの約束とか貰った物とかは明日書く。多分、恐らく、きっと。
『とある女トレーナーの日記』より抜粋。
続けられるかこれもうわかんねぇな。勘違い要素とかあべこべ要素とか出すつもりだけど、上手く表現出来るかなぁ。