ハリー・ポッターと古王の帰還   作:ハリムラ

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更新が遅れて申し訳有りません!
一先ずアイデアが湧いてきたので更新していきたいと思います!
これからも宜しくお願いします!


国崩しホグワーツへ

 カタンコトン、一定のリズムを刻みながら進む汽車はやはりどうにも眠気を誘う

 正面には新学期の教科を勉強するハーマイオニーの姿、やはり勤勉だな。

 

「ねぇアリシア、何度も聞いて悪いんだけどそれ…本当にネズミ?」

 

 ハーマイオニーが指差す先には、アリシアの為に飲み物や食べ物などを上手に尻尾で絡めとり渡すネズミと言うよりも大型犬に近い生命体

 その体毛は明らかに毛ではなく羽毛だ、それに翼が四枚ある…ネズミ要素どこに行ったの?

 

「あ…当たり前だ!よく見ろ四本足だろう、それに歯は尖っているし、尻尾もあるだろ!」

 

「いや…アリシア、それは無理が…」

 

 視線をアリシアの方へ向ける、いや…こっちを見つめられても

 黒い自称〈ネズミ〉が悲しそうな目で私を見る

 

「……。」

 

「いや…だから無理が…」

 

「……。」

 

「だから無理が…」

 

「無理が…」

 

「……。」

 

「ハーマイオニー、ギルバートはネズミだよな?」

 

「…ウン、ギルバートハネズミダヨ」

 

 そうか…どうやら私はネズミの事を勘違いしていたみたいだ、あれがネズミ。

 いや、あれこそがネズミだったんだ!

 

 ハーマイオニーを洗脳しつつ、私とギルバートはホグワーツへ辿り着いた。

 

「よっしゃよっしゃ、よく帰ってきた子ども達!さぁ馬車に乗れ」

 

 大きな体に大きな手を叩きながら私たちを先導するのは、半巨人のハグリット。その目には帰ってきた子ども達を慈しむ優しい光が灯っていた、しかしその優しい表情は一瞬で砕け散った。

 

 ハグリットは、私を見付けると凄まじい勢いで駆けてきた。

 思わず何か攻撃系統の呪文で攻撃しようか悩んでしまう、しかし私とハーマイオニー、そしてギルバートの前に来ると歩調をゆっくりとした。

 

「おぉ!アリシア、そいつが新種の魔法生物の≪飛びネズミ≫か?」

 

 ハグリットは手をワナワナと震わせながらこっちに近付いてくる、その目は子供のように輝いていた。

 

「えぇ、自宅のあるベン・ネビス山でたまたま見付けた〈火を吐き、空を飛ぶ〉ごく普通のネズミですよ、まぁ新種だったらしいのですが」

 

 私が愛想笑いをしていると、ハグリットは真剣な顔付きでゆっくりと静かにこちらに歩み寄って来る。

 どうやら無類の動物好きハグリットは、ギルバートへのタッチを狙っている様だ

 

 当人のギルバートは私の横で翼の毛繕いをしている、長いこと電車に揺られていたので少し乱れている

 

 ハスキー犬の様な鋭い目付きで一心不乱に整える、もっとゆっくりやった方が良いのでは?と思わなくもない。

 

 一歩、また一歩とゆっくり、静かに近付いてくる。ギルバートの事だから気が付いているのだろう、フワフワの耳は確りとハグリットの方を向いている

 

「アリシア、ワシが触っても良いか?その…」

 

「ギルバートです、えぇ大丈夫ですよ…でも敵意の無いことを伝えてからにしてください」

 

「よっしゃ、んじゃさわらせて貰うぞ!」

 

 ハグリットは、腰に指してあった傘を床に置き反対の鉈も地面に置いた。

 ゆっくり近付き、手を伸ばすその時!

 

 ギルバートは四枚の翼を広げ威嚇する、あまりの迫力に少し下がるハグリット。

 暫く両者微動だにしない、先に動いたのはギルバートだった、一枚の翼でハグリットの上着を指す…上着を脱げと?

 

「おぉ、そうだな!上着に何か隠してるかもしれんからな!ギルバートは賢いなぁ」

 

 ハグリットは喜んで服を脱いだ、続いて翼は靴を指した、これまたハグリットは確かにと脱ぎ始める。

 こう言ったことが何度か続き、とうとうハグリットが来ている服は下着とポロシャツのみとなった。

 

「こ、こ、こ、これでええか…へ、へ、ヘックション!!」

 

 冬真っ盛りのこの時期に外でこの薄着、そこまでして触りたいのか…分かる気がする。

 ギルバートも納得したのか自らハグリットの元に歩み寄った、そしてその大きな拳に頭を押し付けた。

 

「おぉ…おおおぉぉぉぉ!!!!!うおぉぉぉん…」

 

 余りの感動に涙を流す、同時にギルバートに触ると言う難問をやりきったと言う達成感もあったのだろう、拳を強く握り頭上にかざしていた。

 何だか大会で優勝した選手みたいだな…

 

 私とハーマイオニー、ギルバートは最後の馬車に乗り込んだ、後方ではまだ薄着で片手を天にかざす大男がいた…服を着なさい。

 

 馬車に揺られる事20分、荘厳なるホグワーツ城が見えてきた。

 所で何でハグリットがギルバートの事を知っていたのか、それはギルバートと再会してすぐの事だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ギルバートの背に乗り取り敢えず自宅へ向かっていた、と言うのも。

 ギルバートが暮らしていた森はイギリスの外れ、まさにイギリス最後の秘境と言うべき場所にあり自宅間での距離が少し遠かったのだ。

 

 久し振りにギルバートの乗り心地を楽しめたのは行幸ではあったが…

 家の近くの森に降りると私はギルバートに変質呪文を掛けた、体長10メートルを越える巨大なドラゴンがいきなり家に来たら母も父も驚いてしまうからな。

 

 しかし問題があった、変質呪文を掛けギルバートを小さくして行ったが約1メートル程になったとたんにそれ以上小さくならなくなったのだ。

 私が全力で掛けたが無理だった、暫く何故か考え私は結論に至った

 

 それは魔力保有率の多さだった、通常ドラゴンはその体格にあった膨大な量の魔力を持っている。それを無理矢理体を小さくしたせいで、体内の魔力と私が掛けた魔法が反発し合い体の小型化を妨げたの。

 

 これ以上小さくすると、ギルバートに何らかの影響が出てくると思い私は小型化を断念した。

 ギルバートも、このままではアリシアとホグワーツに行けないと分かり耳を垂れ下げている。

 

 どうにかホグワーツに連れ込めないか…?

 ホグワーツに持ち込めるのはネズミとカエル、フクロウと猫だ。

 フクロウはどうだ?いや待て、フクロウだと棲みかはフクロウ小屋になってしまう、そんな寒いところに私のギルバートを置き去りに出来るか!

 なら猫か?うん、悪くない…悪くないが羽毛の猫?猫を馬鹿にするな!

 カエルは、、、あり得ないな

 ネズミか…まぁ

 

「ネズミ…ネズミだギルバート!!!」

 

「いえ、私はドラゴンですが?」

 

 アリシアはニコニコしながらある行動を取り始めた、先ずは家に帰る事にした

 ギルバートも後に続いてパタパタと後に続く、家に着くと父が帰っていた

 

「おぉ!我が愛しき愛娘よ!」

 

 手を広げながら私にハグをする、私も応じ父と広間へ向かう

 

「そうだ、母上から聞きました、闇払い局局長就任おめでとうございます父上」

 

 そう、父は私がホグワーツに行って直ぐにイギリス魔法界闇払い局の局長に就任したのだ。

 父は私から見ても確かに優秀な魔法使いだ、だが何よりも優れているのはその人望と言えるだろう。自分の力を知りながら尚も傲らず自身の魔法に磨きをかけてきた、そんな周りから慕われる父だからこそ今回の就任なのだろう。

 

「おぉ、ありがとうアリシア…だが何故か最近人狼関係の事件が無くなったんだ、不思議だな」

 

「そ、それは父上の真面目さが招いた奇跡でしょう、流石は父上だ!」

 

 父はそうか?と首をかしげたが、直ぐにそうだな!と豪快に笑っていた。

 それから私は父に森で面白い〈ネズミ〉を見付けた旨を伝え父に見せた、勿論それはギルバートである。

 

「ほぉ…これは立派なドラゴ…」

 

「ネズミです」

 

 父が禁句を言う前に口止めする

 

「いやアリシア、これはどう見てもドラ」

 

「ネズミです父上」

 

「…アリシア」

 

「ネズミですよね…父上?」

 

 私が微笑みながら父に訪ねる、父は少し困惑していた様だったが暫くすると折れた。

 

「おぉ!なんとも立派なネズミなんだ!これをネズミと言わずしてなんと言う!」

 

「ですよね!では新種の〈ネズミ〉として魔法省に登録お願い致します、出来ればホグワーツに間に合う様に!」

 

 父の顔がひきつる

 

「あ、アリシア、父にも予定が…」

 

「出来ますよね父上?あぁ父上が了承してくだされば、私もまた勉学に一層熱心に取り組みまた学年一位の成績を取るのも難しくないのになぁ。

 そうすれば私の尊敬する父と同じ職場に入ることも可能なのになぁ、あぁ残念だ…」

 

「…また学年一位を取れるのかい?」

 

 父は私の言葉に揺らぎ始めた

 

「えぇ、造作もないこと」

 

「私の事を尊敬しているのかい?」

 

「それはもう、父上程に尊敬できる人は居ますまい」

 

「私と働きたいのか?」

 

「当たり前です!父上と働けたらどんなに幸せか…」

 

 最早アリシアの声は父にしてみれば天使の声に聞こえただろう、愛しの愛娘が私の事を尊敬し私と共に働きたいと言っているのだ。新種のドラゴンをネズミと間違えるなんてよく有ることじゃないか!

 

「アリシア…父に任せなさい!!!」

 

 そう言うと、父は母のランボールギーニを借り魔法省へと爆走していった。

 新種の申請受理証が届いたの直ぐ次の日だった、そこには≪新種魔法生物・飛びネズミ≫と書かれていた、父は一体何をしたのかそれは誰にも分からない。

 

 

 

 こうして私は、無事何の問題もなく正規の方法でギルバートをホグワーツに連れ込めたのだった。

 しかしどうにもならない人が一人いる…あぁやっぱりな

 

 馬車から降りると、ニコニコした顔のダンブルドア校長が私を出迎えてくれた。その優しげな顔には「またやってくれたな!!!」と言う内心が隠れているのを見抜くのは、そう難しくはなかった。

 

「お帰りアリシア嬢、早速で悪いんじゃが校長室に来てくれるかの?」

 

 変わらず笑顔を崩さないダンブルドア校長、まぁ私が連れてきた魔法生物だ、警戒しない方がおかしいか…

 

「もしも、嫌だと言ったら?」

 

 途端に顔つきが強張る、同時にダンブルドア校長が手を懐に入れる。

 少し沈黙が流れる、が直ぐに私は笑顔で

 

「冗談ですよ、直ぐに向かいましょう」

 

 そう言うとダンブルドアはまた優しい表情に戻り、私の前を歩いく、しかし少し違和感を覚えた。

 

「所で何故マクゴナガル先生が?」

 

 私が少し棘の有る口調でダンブルドアに問う、マクゴナガル先生はこちらを向き返ると

 

「私が居て何か不都合でも?」

 

 私の視線を弾き返す様に、マクゴナガルはこちらを見返しできたて。そうこうしている内に校長室に辿り着いた、私達は階段を登り校長室に置かれた椅子に座った。

 

「それで、お話とは何でしょうか?」

 

 丁寧に笑顔を交じらせながらダンブルドア校長に訊ねる。ここにマクゴナガル先生が居ると言うことは、まさかダンブルドア校長が約束を破ったのか?

 

「アリシア嬢、マクゴナガル先生は全て知っておる。故に何時も通りに話してくれて構わんよ」

 

「…そうですか」

 

 フンッ、まさかダンブルドア校長があの約束を破るとはな…まぁ良い、私にとって何の問題もない。

 

「では何時も通りの口調で言わせて貰うぞダンブルドア校長」

 

 マクゴナガル先生はアリシア、口調の変化に驚いた様だったが直ぐに何時も通りの冷静沈着な顔つきに戻る。

 

「して、何故約束を破った?」

 

 ダンブルドアは少しも迷うことなく口を開いた

 

「勿論お主への防御策じゃよ、今の段階ではもしもワシがお主に何かされたとしたら防ぐ者が居なくなってしまうからの」

 

「ほぅ、隠さずに有りのままを話すか…何故だ?」

 

「ホグワーツを治めるものとして恥ずかしい限りじゃが、お主に隠し事をしても正直隠し通せる気がせんのじゃよ。それにもしも、後々バレワシ達の敵に回られたらこれ程恐ろしい者はない。なら正々堂々といってしまった方が良いと思っての」

 

 ダンブルドアは軽く笑みを乗せながら流暢に話した、まぁ大体予想通りだった。しかし約束を破ったのだからそれ相応のペナルティを課させて貰う。

 

「まぁ話したことを隠さずに言ったのは正解だったな、しかし約束を破った事には変わり無い」

 

「そうじゃの、何かしらのペナルティはあまんじて受けよう」

 

 私は笑顔でペナルティを課していった

 

 一つ、ギルバートの飼育の許可

 一つ、ギルバートへのご飯の用意

 一つ、部屋の改造許可

 

 以上の三つの条件を提示した、ダンブルドアは少し悩んではいたが生徒に見つからない様にご飯の用意をさせてくれるなら良いと許可を貰った。これにより私の部屋はまさに無法地帯と成ったのだ!

 

 私はダンブルドアとマクゴナガル先生を残し部屋を後にした、ギルバートの飼育許可を得たのだからこれ以上の詮索は無意味だからだ。

 

 

「アルバス…彼女が本当にフランディール・ルシアーナなのですね」

 

「その通りじゃミネルバ、しかし…殺されんでよかったのぉ~」

 

 椅子にもたれ掛かり魔王との会談の疲れを癒すように校長室の天井を扇いだ、全く…彼女との会談は命が幾らあっても足りなりないわい。

 

 そんなことも露知らず、アリシアの足取りは軽く部屋へと戻っていった。




今回はコメディー要素をちりばめて見ました、前回が少しシリアスだったので和んで頂けたら幸いでした。

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