ハリー・ポッターと古王の帰還   作:ハリムラ

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本当に久しぶりの投稿です。
誤字脱字がありましたら申し訳ありません。

まぁ何はともより…お待たせしました再開します。


休暇

 薄暗い岩肌むき出しの巨大洞窟、ゆらゆらと揺れる蝋燭の灯りが辺りを怪しく照らし出す。辺りを見回せば所々隕石でも落ちて来たかのようなクレーターが広がり、洞窟の中心には真紅の鬼が地に伏せていた。

 

「デューク!お前まさか鈍っているのではないか?」

 

 銀髪と漆黒のローブを翻しその鬼に罵声を浴びせるのは〈魔王〉アリシア・ボスフェルト、久方ぶりの特魔省の自由組手でデュークから試合を挑まれたアリシアが完膚なきまでに返り討ちにしたのだ。

 

「グガァー!また負けましたか!」

 

「お主は死合いになると熱くなりすぎる癖がある、相変わらず変わらんなデュークよ」

 

 騒ぎ続けるデューク、それに冷静に先ほどの死合いでの改善点を上げているギルバート。

 デュークもギルバートから指摘された所を真剣に聞いていた。

 

「…あのデューク師匠をこうもアッサリと倒されるとは」

 

 そう呟くのはデュークの弟子となったデンホルム七世だった、その手に持つ弓は青蒼の大強弓〈パラディン〉ではなく、見るからに重そうな黒樫の弓を持っている。

 

「イタタタ…おぉデンホルムよ、今の死合いをどう感じた?」

 

 ギルバートの指導を終えたデュークが帰って来て床に座っていたデンホルムの横にドスンと音を立て座った、デンホルムはデュークへ飲み物を手渡し口を開いた。

 

「正直な所何も分かりませんでした、師匠の大太刀がアリシア様を斬ったと思った次の瞬間吹き飛んでいるのは師匠でした」

 

「ムフフフフ…そうか分からなかったか、あれはアリシア様がルシアーナ様だった頃からの極防魔法〈国守の盾〉自身の魔力を魔法陣に変換し、その魔法陣に様々な特効を付与するまさに絶対防御じゃ」

 

 デュークはニヤニヤしながら嬉しそうに説明している、しかし師匠の一撃をも楽に防ぐ魔法障壁だ、どんな奴ならあれを破壊出来るって言うんだ…。

 

「いや〜昔のルシアーナ様の敵は苦労はするがあの障壁を破壊してくる化け物ばかりだったからなぁー、結局最後はルシアーナ様とギルバート殿のお二人が決着をつけられておったわい」

 

 デュークは千年前の魔法大戦の事を思い出し一人頷いていた。

 

「じゃあ師匠なんか手も足も出ないんじゃ…」

 

「あん?なんじゃと?」

 

 デンホルムが聞こえないようにコッソリ言った独り言に目ざとく反応したデューク

 

「ハァーいいかデンホルムよ、戦いとは障壁で決着が着くものではない。相手の虚を突き崩すも兵法、そして戦術じゃ、確かにあの時代はこのワシも素の力では敵わん敵が山のようにいた。

 しかしそんな強者にも勝つ術はある、まぁこれからゆっくりと学んで行くんじゃな」

 

 そう言うとデュークはアリシアとギルバートに頭を下げ練武場を後にした

 

「…強者に勝つ…術か」

 

「次!デンホルム対ギルバート」

 

 アリシア様からの死の宣告にデンホルムはふらりと立ち上がった、目の前には子龍化したギルバート殿がいた、そうか私にはそれで十分だと言う事ですか…。

 

 デンホルムはゆっくりと練武場の中央へ歩く、まるで今から処刑される死刑囚の様に…

 

「始め!」

 

「ギャァァァァァァァァ………」

 

 …ギルバートは容赦しなかった。

 

 

 〜訓練後〜

 

「ギルバート、デンホルムはどう見えた?」

 

 訓練での汗を流すためシャワールームに来ていたアリシア、扉の前ではギルバートがタオルを尻尾に乗せ座っている。

 

「そうですなぁ、魔力の循環と消費は格段に効率化が進んでいると感じました」

 

「フフフッ、デュークが直々に教えているんだ当たり前だろう」

 

「しかしあのデュークが弟子を取るとは驚きましたなぁ」

 

「デュークと初代デンホルムは良きライバルだったからな、その子孫が貧弱なのは奴自身が許さんのだろう」

 

 アリシアにちょいちょいと尻尾を引っ張られギルバートはタオルを渡す、アリシアはそのタオルでお湯に濡れた体を拭きながら続けた

 

「だがアレクシアはどこへ行ったんだ?」

 

「それが、イギリスの最大コロニーを吸収しに行った後から連絡が途絶えたとの事でした」

 

 ふむ、この時代にアレクシア程のものをどうにかできる猛者なんて居たのか?

 

「して、救助はどうなっている?」

 

「連絡が途絶えて直ぐデュークが捜索隊を連れ向かったそうですが、コロニーは見つかったものの既に焼け焦げもぬけの殻だったそうです」

 

 ふむ…アレクシアはどこへ消えた?野良の人狼達がアレクシアを捕えて何かメリットはあるか?

 

「分かった、明日にでもその地に赴いて情報収集でもするか」

 

「そうですな、デュークの奴が変な気を使ってアリシア様に報告を遅らせたのが何より悪い」

 

「まぁアイツの事だ、私に教え子の学校を堪能させたいとか考えての事だろう」

 

「しかしですなぁ〜」

 

「くどいぞギルバート、それとも何か?私にはアレクシア一匹所か何百もの同胞も見つけられないと言っているのか?」

 

 ニヤリと笑うアリシアにギルバートは最早何も言わなかった、この方が見付けると言って見つからなかった物は無かったな。

 グリフィンドールの消しゴムとかスリザリンの拾ってきた蛇とかハッフルパフの指輪とかレイブンクローの本とか…ん?本当に大丈夫だろうか?

 

 シャワールームから出たアリシアはそのままバスローブを巻いて母の作った料理に舌鼓を打ち、父の仕事での愚痴を聞き夜が更けて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 〜アレクシアサイド〜

 時間は巻き戻りアレクシア失踪日

「アレクシア様!前方の山脈にはぐれ人狼を発見しました!!!」

 

 一人の黒装束を着た兵がアレクシアへ報告に来た、アレクシアは目の前に広げられた山脈の見取り図に印を書き込んでいた。

 

「コロニーはどれ程の規模ですか?」

 

「ハッ!第1斥候隊10名が追跡中であります、現段階で70~90規模と見られております」

 

 70~90名ですか…今まで20~35名規模だったですけど多いですね、さすがはイギリス最大のコロニーですねぇ。

 

「我が軍の総数は?」

 

「ハッ!人狼部隊が300名、ケンタウロス族が200名、巨鬼族が100名、総数600名になります」

 

 成る程、約6倍ですか…まぁ負ける事は無さそうですね。

 

「斥候部隊に伝令、私たちに戦闘の意思は無いことと我々にはあなた方を救う手立てが有ることを伝えてください」

 

 直ぐ様伝令に伝えるため人狼が天幕から出ていった、私はまた地図に向かいにらめっこを始めた

 

「…何だか嫌な予感がしますね」

 

 そんな思いを抱いていた時、それはやって来た。

 

 ドッゴオォォォォォ!!!

 

 突然アレクシアのいた天幕が激しく揺れた、急いで外に出たアレクシアが見たものは燃え盛るはぐれ人狼達のコロニーだった。

 

「何事ですか!」

 

「ただ今はぐれ人狼のコロニーが何者かに襲撃を受けました!敵の数は未定!恐ろしく統率の取れた動きで未だ敵の把握をしきれておりません!」

 

 アレクシアが吠える、するとすぐ側に控えていた副官《ギンザ》が答えた

 

「今すぐ救助に向かいます!全兵に変身を許可する、これより特魔省《アレクシア》の名の下に命令を変更!第一目標をはぐれ人狼救出、第二目標索敵並びに敵対の意思を確認後排除する!」

 

「「「ハッ!!!」」」

 

「散れ!」

 

 アレクシアの号令のもと全兵士がファイブオンセットで動き出す。

 

「ギンザ、あなたを前線の指揮を任せます、動きがあり次第自分の判断で動きなさい」

 

「いえ、私にはアレクシア様の護衛という任務が…」

 

「行きなさいギンザ、あなたは守るより攻める方が好きなのは知っています」

 

 柔らかなアレクシアの笑顔にギンザは鼓動が早くなるのを感じていた

 

「ならば直ぐに鎮圧して戻って参ります、アレクシア様は後方にてご覧ください」

 

 ギンザはアレクシアの前で片膝をつき、右手を自身の胸へと軽く添え最敬礼を送るった。

 アレクシアが頷くと漆黒の影が燃え盛るコロニーへ消えて行った。

 

「それにしてもこのタイミングで襲撃とは、全く…嫌な予感というものは当たりますね」

 

 燃え盛るコロニーを見ながらアレクシアはため息を吐き…

 同時に赤槍がアレクシアの心臓を貫いた。


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