ハリー・ポッターと古王の帰還   作:ハリムラ

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攻略と決着

「ホグワーツの学年末試験は怖いって聞いてたけど、意外と面白かったわね」

 

 ハーマイオニーは何時もの調子でそんな事を呟いている、その言葉にロンが反発する

 

「まぁまぁ、だがロンもそれなりに勉強したんだ、大丈夫だろう?」

 

 私はロンをフォローする、まぁねと言った表情のロンその時ハリーは頭を抑え始めた。

 

「どうしたハリー?」

 

 ロンがたずねるとハリーは何かを思い出したと言った表情になる

 

「そうだ!話が上手すぎるよ!」

 

 そういう言うとハリーはハグリッドの小屋へ駆け出した、私とギルバート、ハーマイオニー、ロンも続いて駆け出す、小屋の前ではハグリッドがオカリナを吹いていた。

 

 ハリーがドラゴンの卵を手に入れた方法を問い詰めるとハグリッドは最も最悪な答えを出してきた

 

「フラッフィーの対処法を教えたって言うことか…」

 

「急いでダンブルドア先生に教えなきゃ!」

 

 マグゴナガル先生の執務室へ向かいダンブルドア先生に伝えたいことがあると告げる、しかし帰ってきた返答はダンブルドア校長はロンドンへ向かったと言うものだった

 

「そんな…どうするのハリー?」

 

 ハーマイオニーの問いにハリーは

 

「僕たちでスネイプから賢者の石を守るんだ」

 

 その瞳には決意と勇気が溢れていた、私たちは今夜あの部屋に忍び込む事を決意した、ロンは少し渋っていたが最後はなんとか折れた。

 

 

 

 

 

 

 

「アリ…、アリシ…、アリシア!」

 

「ん?う…ん?あぁハーマイオニーか…どうした?」

 

 人が気持ちよく寝てたと言うのに…ん?何か忘れてる様な?

 

「逆になんで気持ちよく寝てるのよ!ほら早く着替えて!」

 

 あぁ、そうだ賢者の石を守りに行くのか…後5分

 

「二度寝しないで!!!」

 

 ハーマイオニーに物理的に叩き起こされ私は恋しそうに私を見る布団に別れを告げて、人の気も知らず惰眠を貪るギルバートの首に特製の縄をかけ引きずり出した。

 

「お前だけ寝ることは許さんぞ…貴様も道連れだ」

 

 床に爪を立て必至に自分の寝床に戻ろうとするギルバートをズルズルと引きずって行く

 

「後生です!後5分、5分だけで良いので…本当に!本当に!!!あぁー!布団ヨォォ!!!」

 

 ギルバートの悲痛の叫びを他所に私の歩みは止まらない、誰も邪魔するな…私の眠りを妨げた罪は大きいぞ

 アリシアとギルバートの瞳には殺意と布団を取り上げたスナイプへの憎悪が宿っていた。

 

「コロス…5秒でコロス…スネイプウゥゥゥゥ…」

 

「国崩しと呼ばれた我の眠りを妨げるとは…塵一つ残さず消し去ってくれるわ…」

 

「…あんた達を見てると変な安心感があるわ」

 

 スネイプ先生…さようなら

 そんな事を心の中で念じながら談話室へと向かう、途中階段でハリー、ロンに会ったがアリシアとギルバートの機嫌がすこぶる悪い事に直ぐに気付き終始恐怖していた。

 

 そして等々最初の犠牲者が出てしまった、階段を降り切ると談話室の椅子に一人の少年が座っていた

 

「ね、ネビル…」

 

「き、君たちまた抜け出す気なんだね!」

 

 …ネビル早くそこを退くんだ!急げ!ハリーは心の中で叫んだ。

 

「そこを退いてネビル」

 

「い、行かせないぞ!またグリフィンドールの点が下がっちゃう」

 

 そんな事はどうでもいいのネビル!早く退けて!まだ間に合う、お願いだから!!あれが来る前に…ハーマイオニーも心の中で叫ぶ。

 

「頼むよネビル…命を大事にしてくれ」

 

「ぼ、僕戦うぞ!」

 

 もう…手遅れだ、ロンの諦めた同時にそれは現れた

 

「ホォ、ネビル・ロングボトム…このアリシア・ボスフェルトと戦うというのか…つまり…命はいらんのだな???」

 

 全身の細胞が危険信号を発する、この言葉に間違いはない…コロサレル!!!

 

「私の道を…阻むな!!!」

 

 引き絞られた人差し指が親指のトリガーを離れ打ち出される、最強の魔法使いによるデコピン…ネビルの意識は一瞬にして断ち切られた。

 

「さぁ…行こう…」

 

「「「ア、ハイ」」」

 

 三人は心に誓った、アリシアとギルバートの眠りを妨げちゃいけない

 

 フラッフィーの部屋の前に来るとアリシアは何の躊躇もなく扉を開けた、ハリーは思わずアリシアのローブを掴み引き寄せる、恐らくフラッフィーが襲いかかって来ると思ったのだろう。

 

 そんな事は起こるわけもなく、扉の先にいたのは項べを垂れる三頭犬フラッフィーの姿だった、アリシアの透き通る様な肌を抱きしめるハリー、次の瞬間にはネビルと同じようにデコピンをくらい壁にめり込んでいた、しかしその顔は満ち足りた表情をしている。

 

 フラッフィーはアリシアを見ると足元の扉を開けた

 

「フラッフィーよ、我々以外でこの扉に入ったものはいたか?」

 

 私がたずねるとフラッフィーは申し訳無さそうに

 

「申し訳ございません、肉体変換の副作用でたった今目が覚めたので…」

 

 後ろの三人はフラッフィーが喋ると思ってなかったのか顎が外れるほど驚いている

 

「そうか、まぁ良い…貴様は引き続き体を休めていろ」

 

「ちょっ…アリシア!こいつにはここを見張ってて貰わなきゃダメだろ、後からスネイプが来るかも知れないし」

 

 復帰したハリーが叫ぶ、そしてハリーの言葉にフラッフィーは少しイラついているようだ

 

「良いんだ、フラッフィーは今体が満足に動かない、体力を回復してもらうのが優先だ」

 

「でも結局はこの扉を守る〈怪物〉なんだろ、なら…」

 

 そのハリーの言葉にフラッフィーとアリシアが反応した

 

「貴様…誰に命令している!我は誇り高きケルベロスの末裔にしてアリシア様の下僕、貴様のような軟弱者に命令される覚えはないわ!!!」

 

 フラッフィーの怒気を混じらせた咆哮にハリーは思わず腰を抜かせた

 

「ハリー、お前は何か勘違いをしているな?私はフラッフィーを怪物等とは一度も思った事はない…貴様が〈私のフラッフィー〉をどう思おうが勝手だが、私の前で侮辱する事は許さんぞ」

 

 そこにはいつも優しい笑みを浮かべるアリシアではなく、大切な物を傷付けられ怒るアリシアの姿があった

 

 ハリーはごめんと謝りフラッフィーにも頭を下げた、アリシアはまた何時ものような笑顔に戻り次から気を付けろと言ってハリーの頭を撫でた…あまり身長は変わらないのに

 

「早く入ろう、そして早く終わらせよう」

 

「…あなた、どんだけ布団に戻りたいのよ」

 

 ハーマイオニーはため息交じりにそう言って私の後に続いた、ハリーとロンも少し遅れたが降りてきた、いや、落ちてきた

 

「「「イヤァァァーーー!!!」」」

 

 三人がダイナミック滑り台で悪魔の罠へ落ちてきた、ハリーとロンは驚きのあまり男女みたいな声を出していた

 

「うわっなんだよこれ!」

 

「動かないで!これは悪魔の罠よ!動くと早く死んでしまうわ」

 

 流石はハーマイオニー、悪魔の罠の対象法も知っていたか…悪魔の罠は動くものを締め上げる性質を持つ、逆に動かない者には何の興味も示さないから逃げられるという訳だ。

 

 私とギルバートに続いてハーマイオニーが降りてきた、ハリーもハーマイオニーの説得に従い抵抗を止め直ぐに下へ降りてきた…ロンは無駄な抵抗を続けているようだな。

 

 呆れたハーマイオニーが太陽の光で蔓を蹴散らした、取り敢えずロンは蹴って置いた

 

「さぁ先に進みましょう」

 

 ハーマイオニーは先を急ごうとする、しかし私は考えた…これはチャンスだ

 

「ハーマイオニー、私とギルバートはここで待っているよ」

 

「…え?」

 

「いやなに、後からスネイプが来たら逃げるに逃げられないだろ?ここで私がスネイプを食い止めればその分ゆっくり賢者の石を探せるだろ?」

 

 …違う、そんな理由じゃない、そろそろ限界だ…

 

「で、でももしも先にスネイプがいたらどうするんだ?」

 

「そんな事に怯えて賢者の石を守りきれるのか?ハリーお前の決意はそんなものだったのか?」

 

 めんどくさい…

 

「いや!僕は賢者の石を守り切ってみせる、そうしなければいけないんだ」

 

「そうか、なら行けここから先には私が誰も通さん」

 

「うん!アリシアも気をつけてね!」

 

「フッ、誰に言っている…早く行け」

 

「じゃあ…必ずまた!」

 

 三人の足音が遠ざかって行く…さぁ寝よう!!!

 空間呪文を発動、しまっていたスペアの布団を出し床に清掃呪文をかけ入り口には最上級の結界呪文を掛けた、これでギルバートとかデューク以外は入れない。

 

「約束は果たしたぞ…ハリー!!!」

 

 そしてアリシアとギルバートは意識を手放した

 

 

 

 

 

 

 

 

 タッタッタッタ…薄暗い石畳の道を駆け抜ける三人の影、ハリーは気が気ではなかった、僕達新入生の中でもズバ抜けて優秀なアリシアが後ろを守ってくれるとは言えスネイプが来たら突破されるのも時間の問題だろう。

 そんな危険な場所を請け負ってくれたアリシアに、感謝と申し訳なさでいっぱいだった

 

「早く見つけてアリシアを安心させなきゃ…こっちは三人だ、スネイプ先生がいても逃げるだけなら何とかなる」

 

 アリシアの方にスネイプがいかないことを祈りながらハリーは最初の扉を開けた

 

「…鍵鳥だ!」

 

 

 

 

 

 

 ハリー達が第二の試練に差し掛かった頃、アリシアは…夢の中だった、ギルバートは代わりに結界が破壊されるとは思えないが交代で見張っていた。

 

 ちなみに前に一度来た時ここの部屋には数匹のネズミを放って置いた、そのネズミと視覚を共有しハーマイオニー達の動向を監視していた、勿論危険になったら助けに行くが極力自分の力で解決して欲しいものだ。

 

「おぉ、あのハリーとか言う小僧もなかなかやりおるのぉ…おっ!取った」

 

 静かに盛り上がるギルバート、その目には鍵を取り次の試練へ進む様が見えた

 

「主よ、第二の試練が終わりましたぞ!」

 

「なんだと…もう終わりか」

 

 ギルバートと見張りを交換しネズミと視覚を共有する、ほぉたしかに突破したようだな、次はチェスか…確かロンが中々の腕前だったような?

 

 そこからは多少白熱した、ロンがナイトとして魔法使いのチェスを操り一進一退の攻防を繰り広げる

 

「ん?この盤面…少しマズイかも知れんな」

 

 あまりチェスは得意ではないがこれはわたしにも分かる、ロンめナイトをとらせてハリーでチェックメイトするつもりか?

 予想は的中、ロンの乗るナイトはクイーンに粉々に破壊された、死んではいないと思うがロンも地面に投げ出される、ハリーのチェックメイトの言葉で活動停止する石像

 

「はぁー…行くか」

 

 ギルバートも渋々起きてきた、ハリーとハーマイオニーはそのまま次の部屋へ向かうようだ

 私とギルバートがその部屋に着いたのはハリーとハーマイオニーの去った数分後だった。

 

「おいロン、大丈夫か?」

 

 思いの外怪我は大きかった、両腕は間違いなく折れているな…、足は…うん軽い打ち身、後は全身に打撲か

 

「う…ん?あぁアリシアか…痛てて」

 

「動くな、守癒魔法≪極癒光≫」

 

 アリシアの腕の中にいるロンを淡い優しい光が包む、全身にあった擦り傷や骨折はまるで逆再生のように戻って行く

 

「ふぅ、どうだ痛くないか?」

 

 ロンは軽く腕を振ったりして確かめる

 

「うん、大丈夫みたい!ありがとうアリシア!!!」

 

「フフッ、どういたしまして…後済まないんだがそろそろ退けて貰えるかな?」

 

 ロンはハッとした自分の現状に気が付いたようだ、ホグワーツの誰もが憧れるアリシア・ボスフェルトに膝枕され介抱された、これがもしホグワーツの男子生徒に見られたら揃って血の涙を流すだろう。

 

「ご、ゴメン!!!」

 

 アリシアの膝から飛び起きると全力で土下座してくる

 

「いやいや気にするな、さて私は先に進む…ロンはダンブルドア校長にこの事を伝えるようフクロウ便を飛ばしてもらってくれ」

 

「いや!僕も一緒に…」

 

「どうやらこの先に今回の騒動の黒幕がいるようだ…これから先は危険になるだろう」

 

「だったら尚更僕も」

 

 食い下がるロンに微笑み優しく告げた

 

「だからこそロンに頼んでるんだ、このままではみんなやられるかも知れない、しかしロンがダンブルドア校長を呼んでくれれば助かる確率が大きく向上するだろう、私はハリーとハーマイオニーと共に敵の足止めをする、その間にダンブルドア校長ならこれるだろう」

 

「じゃあ僕が代わりに足止めをするよ!」

 

「すまないがロンの魔法ではこの先には着いてこれないだろう…だから、頼むロン」

 

 アリシアの頼みにロンはどうするべきか悩んでいた、そして結論を出す

 

「分かった、無茶はしないでねアリシア」

 

「フン、誰に言っている」

 

 かも軽くふざけたように言うとロンは、はにかみながらも、上へと戻っていった、悪魔の罠は燃やしハシゴをかけて置いたので多分楽に帰れるだろう。

 

「さぁ行くか」

 

 私とギルバートは次の部屋へ入った、同時にハーマイオニーも部屋を出るためこっちに向かってきた。

 

「どうしたハーマイオニー?」

 

「あぁ、アリシア来たのね!私はこれからダンブルドア校長にフクロウ便を送りに行くところよ!」

 

「それならロンに頼んだぞ、ハリーはどうした?」

 

「最後の部屋に向かったわ」

 

「そうか、私はハリーをサポートに行く、ハーマイオニーは上に戻ってロンのサポートをしてくれ怪我は治したいがまだ全快では無いだろう」

 

「分かったわ…アリシアも気をつけてね」

 

「あぁ」

 

 ハーマイオニーのいた部屋を通り抜けハリーがいる部屋へ向かう、入る前に視覚を共有しておこう

 部屋の中を確認するため中にいるネズミと視覚を共有する

 

「おっとマズイな!」

 

 そこには首を絞められているハリーの姿があった、絞めている人物は…クィレル先生だ

 

「そこまでにして貰おうクィレル先生!重力変換!」

 

 さっきまでハリーの首を絞めていたクィレルは突然天井へ〈落ちた〉クィレルの手は焼けただれパラパラと崩れ落ち始めている

 

「おぉ、ハリーがやったのか?」

 

ん?あの魔法痕は…

 

「あ、アリシア…逃げろ」

 

 ハリーは何とかクィレルからアリシアを逃がすために立つ、天井に立ち上がるクィレルはまだ砂化が進んでいない肩から腕を切り落とした

 

「…反転」

 

 またクィレルが床に落ちて来た

 

「ガハッ!!!またか!」

 

「ハリー、その魔法は強力だが消耗が激しい、もう立つのも限界だろう?私に任せて寝ておけ」

 

 私が指を鳴らすとハリーは地に伏した

 

「さて、クィレル先生…いや、ヴォルデモートと呼んだ方が良いか?」

 

 軽く嘲るとヴォルデモートも動いた

 

「貴様、何者だ…先ほどの浮遊魔法、魔法省の闇払いか!」

 

 いや、浮遊魔法じゃないんだが…

 

「お初にお目にかかる、我が名はアリシア・ボスフェルトべつに闇払いとかでは無い…が、お前はここで死ね」

 

「主よ、どちらが悪者か分かりません」

 

 ギルバートのツッコミを軽く受け流しヴォルデモートへ目を向ける

 

「アリシア・ボスフェルトだと?聞いたことのない名だ…それに私を殺すと言うのか…片腹痛いわ!」

 

 突如クィレルの杖から緑の閃光が煌めくいた、ほぉ、死の呪文〈アバダ・ケダブラ〉か…最初から殺しに来るという心意気は悪くないな

 

「極防魔法〈国守の盾〉」

 

 アリシアの前に巨大な黄金の魔法陣障壁が現れる、緑の閃光と黄金の障壁がぶつかる、激しい炸裂音と共に魔煙が辺りを包み込んだ

 

「フハハハハ!ちょっと高度な魔法が使えるからと言って、たった一人でこの私に闘いを挑むとは!若さとは怖いものよ!」

 

「本当に面白いな…」

 

 一瞬にして室内の煙が吹き飛ぶ、同時にアリシアの前に広が黄金の魔法陣障壁、その輝きは衰えず傷一つ付いていない

 

「で?次は何だ?」

 

「い、一撃防いだ程度で調子に乗るなよ!インペリオ」

 

 フン今度は服従の呪文か

 

「断る!」

 

 また黄金の魔法陣に阻まれる

 

「な、何故だ!インカーセラス!レダクト!ボンバーダ・マキシマ!」

 

 今度は魔法の乱れ撃ちか、激しい閃光が隙間なく黄金の魔法陣を叩く…尚も健在な黄金の盾

 

「な、何だ…何なんだ貴様は!!!」

 

「だからアリシア・ボスフェルト、魔法使いだ」

 

「何故私の魔法が効かんのだ!」

 

 あまりにも不可思議な現象、当たればどんな生き物でも死ぬ筈の死の呪文、如何なるものでも破壊する完全粉砕呪文ボンバーダ・マキシマそれをことごとく阻む鉄壁にして不落の魔法陣

 

「じゃあ逆に聞こう、お前は城や要塞を崩すのに対人の武器を使うか?普通攻城兵器を使うだろ?城壁に鉄砲撃ったくらいで揺らぐわけがない」

 

 ヴォルデモートの顔に明らかな疑問の表情が張り付いている

 

「分からん…一体お前は…これではまるで…」

 

「さぁそろそろ終わりにするか?」

 

 アリシアは懐から真紅と漆黒に染まった杖《エンペラー》を取り出す、持ち手の鬼の彫刻から二色の螺旋が杖の先端まで刻まれている、杖をヴォルデモートへ向け魔力を高める。

 

「無駄だぞ、この依り代を壊した所で私は何度でも蘇る!」

 

「そうか、ならせめて苦痛に悶え蘇るが良い、第二戦術魔法〈極氷の世界〉」

 

 エンペラーから放たれた蒼白色の閃光は一直線にヴォルデモートへ迫った、ほぼ同時にヴォルデモートの杖からも緑の閃光が放たれる、二人の丁度中間で閃光は衝突した

 

「ウガァァァァ!!!小娘がぁぁぁぁぁーーー!!!」

 

「ほら出力を上げて行くぞ?」

 

 アリシアの閃光は徐々に激しさを増していく、ヴォルデモートも負けじと踏ん張るが遂に壁へ押し込められた

 

「パチン」

 

 無情にもアリシアの指が鳴らされる、同時に後ろの石壁がヴォルデモートの足をまるで人の手のように掴んだ

 

「なっ…!」

 

 ヴォルデモートの集中が途切れた

 

「さぁ終わりだ」

 

 眼前を覆い尽くす蒼白の閃光、ヴォルデモートは為すすべなくその身に受けた

 

「な、何だこの魔法は!体が…寒い」

 

 極氷の世界、受けた相手の体内の水分を瞬間的に凍らせる広範囲殲滅魔法だ、ただし今回はゆっくりとか凍るように調整をしたが…

 

「寒い…寒い寒い寒いぃぃ!!!」

 

 ヴォルデモートの体はゆっくりと凍っていた、両足が凍り胴体が凍るそして等々頭部が凍り始めていた

 

「おのれぇぇぇ、殺してやる!お前の一族全て根絶やしにしてやる!アリシア・ボスフェルトォォォォ!!!」

 

「そうか、ギルバート」

 

「御意」

 

 特にやることが無かったので私の後ろでハリーを守っていたギルバート、収縮呪文を解除して元の大きさへ戻る。

 

「我が獄炎にて消え去れ」

 

「な…ドラゴ…あぁぁぁぁ!熱いぃぃ…化け…物」

 

 ギルバートの炎を受け一瞬で消し炭になった、熱いと感じる暇は無かったと思うんだがな?

 

「さぁ、帰るかギルバート」

 

 ギルバートの背にハリーを背負わせ、入ってきた扉に手をかける

 

 〈バンッ!〉

 

 おぉ、勝手に開いた!

 まぁそんな訳もなく白いひげをたくわえた老人、アルバス・ダンブルドアがいた

 

「おぉアリシア嬢、君が出てきたという事は…」

 

「えぇ、奴は塵一つ残さず消し去りましたけど?」

 

「そ、そうか…」

 

 少し苦笑いを浮かべるダンブルドアの視線はギルバートの背にいたハリーへ移った

 

「ハリーは?」

 

「あぁ、私も驚いた、まさか今の時代に愛の守護魔法を使う者がいたとはな」

 

「愛の守護魔法じゃと?そうか…リリーだな」

 

 リリー、ハリーの母親か…殺されたと言っていたが、つまり死因は…

 

「強い母親ですね」

 

「そうじゃのぉ、リリーはそう言う生徒じゃった」

 

「あぁそうそう、これ賢者の石です」

 

 私はポケットから無造作に賢者の石を取り出すとダンブルドアに投げ渡す

 

「おっと…君は要らんかったのか?」

 

「そんな粗悪品を使う位なら自分で作りますよ…」

 

 そう言って私とギルバートはハリーをダンブルドアに任せ上階へと去った

 

 

 

 

「そ、そうか…粗悪品か…」

 

 誰もいなくなった部屋の中でダンブルドアのため息だけが響き渡った。


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