宇宙世紀と言う激動の中で。   作:吹雪型

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誤字報告ありがとうございます。

因みに、RGM-79ジムの先行量産型はいつ頃生産開始してるか分かります?10月頃とかオデッサ作戦とか色々あるみたいですが。


V作戦、ビンソン計画

地球降下阻止作戦が失敗したのは誰の目に見ても理解出来た。無論ルナツー第2艦隊指揮官、ヴェルノ・ノリマー准将も戦況を理解して撤退命令を下す。

 

「全艦艇に通達だ。直ちにルナツーへ向かい撤退する」

 

「了解です。此方旗艦アルケーノより全艦艇に通達する。直ちにルナツーに撤退せよ。繰り返す、直ちにルナツーに撤退せよ」

 

ヴェルノ・ノリマー准将は艦橋から見る光景を見て口元を歪める。

 

「この戦力はジオンより圧倒的だと言うのに。モビルスーツ…アレは欠陥兵器では無かったのか?」

 

ジオン公国がモビルスーツの開発をしている事は以前より連邦軍は把握していた。しかし、その実用性は皆無であると結論付けていた。だが蓋を開ければ如何か?圧倒的戦力差があるにも関わらず地球連邦軍は敗戦続き。そして、今は母なる大地である地球に土足で入り込もうとするジオン。

 

「この借りは必ず返す。一部の艦隊に足止めを命じ「下方より多数のモビルスーツ接近!」何だと!対空砲、弾幕を張れ!」

 

旗艦アルケーノに続き他の艦艇も弾幕を張る。だが、気付くのが遅過ぎた。

 

「ナウマン攻撃を受けています!」

「サラタカ被弾!ダメです!沈みます!」

「弾幕を密にするんだ!」

「戦闘機隊交戦中。ですが、次々と撃破されて行きます!」

 

通信から入って来る情報は全て味方が被害を受けているのばかりだった。

 

「何をしている!撤退だ!兎に角ルナツーに撤退をっ!?」

 

それがヴェルノ・ノリマー准将の最後の言葉だった。何故なら真紅のザクがザクバズーカを艦橋に向けて撃ち込んでいたのだから。

 

……

 

旗艦アルケーノが撃沈した。それにより次の指揮はマゼラン級トリスタンになる。

 

『命令に変更は無くルナツー撤退を優先とする。戦闘機隊は敵モビルスーツの足止めを行え』

 

トリスタンから全艦艇に通達が出される。

 

『俺達は捨て駒扱いかよ』

 

『畜生!ジオンめ!』

 

『編隊を崩すな。孤立したらやられるぞ』

 

通信が多数入り乱れてる中、俺のセイバーフィッシュも燃料と弾薬を何とか補給する。しかし補給中は肝を冷やした。補給中に整備兵が数人爆発に巻き込まれてしまったからだ。飛ばされてしまった整備兵達は最早探す事は出来そうに無い。

 

「此方ガルム12、発進する!」

 

戦艦パラマウンからの返信を待つ事無く再出撃する。今回の作戦で臨時編成で構成された部隊に入ったのだが、もう全滅してしまったらしい。

 

「一人で勝てる戦いなら苦労はしないんだよなぁ」

 

最早遊撃ぐらいしか出来無い。セイバーフィッシュはほぼ唯一ザクに対抗出来る機動兵器だ。だが、圧倒的に戦力差があり過ぎる。

 

「取り敢えず艦隊の間に居るザク!お前らはどっかに行け!」

 

ミサイルとバルカンを撃つ。あっさり避けられるが構わない。狙われてると意識させるだけで充分だ。そして、あのザクが目の前に現れた。そう、紅い…真紅のザク。あの動き…そして、派手な真紅のカラーリングされたザク。

 

「畜生!エースパイロットとでも言うのか!」

 

その通りだと言わんばかりに味方のセイバーフィッシュを蹴り飛ばす。そのまま流れる様にマシンガンを撃ち更に撃破。

 

「これ以上やらせるか!ミサイル全弾発射!」

 

出し惜しみして勝てる相手じゃ無い。なら、最初から全弾プレゼントだ!しかし真紅のザクは避けてシールドでガードして、あっさり対処されてしまう。逆にマシンガンの反撃が来る。

 

「クソ!火力が足り無い。いや、運動性に違いが有り過ぎるんだ」

 

ザクとセイバーフィッシュ。最早比べるまでも無く違い過ぎるんだ。

 

(付け焼き刃程度のセイバーフィッシュなんて…相手にならないのか)

 

自分の乗るセイバーフィッシュは優秀な戦闘機なのは分かる。だが、モビルスーツ相手には勝て無い。

それでも…戦うしか無いんだ。戦うしか生き残れ無い!

 

「やるだけやってやる!このおおおお!!!」

 

俺は機体を加速させ敵に攻撃を再開する。先ずは真紅のザクにバルカンを撃ち込むのだった。

 

……

 

地球連邦宇宙軍、ルナツー第2艦隊は甚大な被害を受けてルナツーに帰港した。

ヴェルノ・ノリマー准将の戦死を始め、ルナツー第2艦隊は1/3を失った。戦闘機隊のセイバーフィッシュ、トリアエーズも半数以上を失った。これによりルナツー第2艦隊は再建する為に時間を要する事になった。

 

「死ぬかと思った」

 

俺は何とか生き残る事が出来た。所属していた部隊は俺を残して全滅した。だが、幸いな事にマゼラン級パラマウンとサラミス級3隻は被害を受けつつも帰港出来ていた。

 

『コートニー伍長、無事に生き残れたな』

 

「バリス艦長。其方も無事で良かったです」

 

『うむ。君の活躍には感謝している。兎に角、今はゆっくり休むと良い』

 

バリス艦長はそう言って通信を切る。それと同時に身体の力が一気に抜ける。

 

「はあ……本当、何でこんな戦争やってるんだろう?」

 

ふと今迄の人生を振り返る。地球で生まれて直ぐに孤児院に行く。そして、孤児院が潰れてサイド2やサイド6に転々とたらい回しにされる。コロニーでは地球人と差別されながら生活していた訳だ。

特に親しい人は居なかった。元々天涯孤独の身だ。だからだろか、他の人達より一歩引いた所から見てるのは。皮肉な事に今迄の人生がこんな形で役に立つとはな。

 

「本当、早く戦争終わら無いかな」

 

そう呟きながら俺は意識を手放したのだった。

 

……

 

地球降下阻止作戦の失敗の後、ジオン公国軍は更に地球に降下していった。勿論、ルナツーの宇宙軍も抵抗するが戦力が足り無い…足りなさ過ぎたのだ。

この2〜3月の間に地球侵攻を成功したジオン公国軍はバイコヌール宇宙基地、オデッサを制圧。更に北米、中米、東アジア、ヨーロッパの各都市に侵攻。戦場は地球全土に広がる。

宇宙世紀0079.3月後半には大陸の1/2がジオン公国軍により制圧。ジオン軍の地球侵攻の勢いは凄まじく、モビルスーツを持た無い地球連邦軍は為すすべが無かった。

宇宙世紀0079.4月1日。遂に大陸の2/3がジオン公国軍の物となった。だが、この時期からジオン軍の勢いは停滞し始める。そして地球連邦軍の反撃も開始されるのだった。

 

【V作戦】

 

この作戦は地球連邦軍がジオン軍と同じ土俵に立つ為の必勝の作戦であった。モビルスーツの開発を主とする【RX計画】と建艦計画である【ビンソン計画】も同時進行させた。

 

この日より地球連邦の反撃が始まるのだった。

 


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