宇宙世紀と言う激動の中で。   作:吹雪型

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iPhone…冷水に落とした。






……(´;ω;`)ブワッ


ジオンの亡霊が動き出す2

彼等が合流を果たしていた時、その光景を見ている機体が居た。ジオン公国残党軍所属の偵察型モビルスーツ 【MS-06E-3ザクフリッパー】である。そして、ザクフリッパーは本隊にその情報を即座に伝える。

 

『ワレ、マゼラン改級ヲ旗艦トスル艦隊ヲ発見セリ』

 

その情報の元、1人のジオン公国残党軍将校は攻撃を決定したのだった。そして、この決断から始まる戦いにより様々な両軍の様々な人達の思いが入り乱れる事になる。

 

……

 

「少佐、ベルガー少佐!本当にこの戦力だけで攻撃をするのですか?」

 

部下からの言葉に振り返る男。ジオン公国残党軍所属ベルガー・ディートリッヒ少佐。かつて最終決戦であるア・バオア・クー攻防戦にてシュウ・コートニーと激戦を行った人物だ。

 

「ローマン軍曹か。無論そのつもりだ。星の屑作戦の成功率を少しでも上げる事。それが我々の役割だ」

 

「しかし、あの艦隊戦力は侮れません。現に我々の戦力は偵察機1機ムサイ3隻にザク、ドムが数機。後はベルガー少佐の高機動型ザクだけです」

 

「ふん。充分だな」

 

ローマン軍曹の戦力分析を聞いて一言言う。その言葉を聞いて部下は目を丸くする。

 

「私の機体はカスタムされた高性能機だ。故に私が先陣を切り戦闘を行えば問題無い」

 

「今迄は少数のパトロール艦隊に補給部隊です。ですが今回は相手の規模が違い過ぎます」

 

「腑抜けた連邦軍等、私の相手にならんよ。各モビルスーツ隊は出撃準備。艦隊は敵艦隊に対し攻撃を行う。また、敵艦隊の2割破壊で撤退だ。敵の目を此方に引き付ければ良い」

 

最後にローマン軍曹を納得させる様に肩を叩く。

 

「はあ、分かりました。但し、今回も絶対にシールドは装備して下さいね」

 

「分かった分かった。では頼んだぞ」

 

ベルガー少佐はローマン軍曹の言葉を一応聞いて格納庫に向かうのだった。

 

……

 

「【黒衣の狩人】ですか?」

 

「はい。この宙域には元ジオン公国軍のエースパイロットが居るらしいんです。これまでにパトロール艦隊や補給部隊が多数破壊されたとの事です」

 

俺はルイス少尉から現宙域の危険を伝えられていた。そして相手の機体を伝えられる。

 

「そして以前の搭乗機はMS-06SザクⅡでしたが、現在は此方の機体になります」

 

端末から画像を見せて貰う。其処にはMS-06R高機動型ザクⅡと表示されていた機体が写っていた。

 

「このカラーリングは…。本当にこの機体は黒衣の狩人何ですか?」

 

と言うか、この機体は間違い無く奴だと確信出来た。

 

「実は其処が曖昧何です。生き残った者達が言うには黒衣の狩人と証言してます。しかし、記録を調べれば黒衣の狩人は一年戦争時に戦死されてると言われてます。ですので、恐らくこの機体は…」

 

ルイス少尉は言葉を詰まらせる。しかし俺は画像を見続ける。あの時、ア・バオア・クー攻防戦を思い出す。俺の目の前で親友であるアーク・ローダーを手に掛けた機体。

 

「そうですか。ルイス少尉、情報有難う」

 

俺はそのまま格納庫に向かう。

 

「あ、シュウ中尉…」

 

ルイス少尉の言葉に振り向く事は無い。何故なら今の表情を見せたく無いから。きっと酷く醜い表情をしているだろうから。

 

……

 

格納庫でジム・カスタムFbの調整を整備兵達と一緒に行う。

 

「こんな時、モンド軍曹が居てくれたらな」

 

「仕方無いだろ?軍を抜けちゃったんだから文句は言うなよ」

 

シュウ中尉の危険な調整指示に整備兵達はモンド軍曹の話をしていた。彼は一年戦争終結後、地球連邦軍から退役。その後は地球連邦軍の傘下の下請け企業に入社したらしい。元々整備に関しての腕前は一級品の人だから、引く手は数多に有った。

 

「後は、もう少しリミッター解除時間を伸ばしてくれれば大丈夫だな」

 

「いやいや中尉、駄目ですからね。そんな調整したら機体と中尉が壊れますからね?」

 

「大丈夫だって。俺は身体だけは人一倍頑丈だからさ」

 

整備兵が何とか無茶な調整を止めようとするが、聴く耳を持たない。それどころか根拠無く大丈夫だと言いながら押し通そうとする。

 

「仕方無いか。おい、レイナ大尉を呼んで来てくれ。それで全て解決だ」

 

「了解です。直ぐに呼んで来ます」

 

そして暫くすると格納庫内で一人の哀れな男の悲鳴が響き渡る。

 

「アンタはまた無茶な事をして!お仕置きです!手加減はしません!」

 

「痛い痛い!頭が割れちゃうから!割れちゃうから!?」

 

伊達に軍人をやってないレイナ大尉のヘッドロックを受ける結果になったシュウ中尉だった。

 

……

 

「それで?何でまたあんな無茶な事を?」

 

「それは…まあ、理由はしっかり有りますよ」

 

レイナ大尉に理由を伝える事にする。するとレイナ大尉は目を瞑り上を向く。

 

「昔ね、誰かさんにこう言われたわ。【誰かを失う悲しみを知っているなら自分がしようとしている事も充分理解してる筈だ】て。その言葉には幾つか考えさせられたわ」

 

「それは…」

 

一年戦争中、俺がレイナ大尉に向けて言った言葉。だが親友を失ったあの時、その言葉の意味を無くしてしまった気がしたのだ。

 

「自分自身が言った言葉よ。なら、その言葉の責任は取りなさい。それに私に対して言ったんだから尚更ね」

 

「はい…すみません」

 

「シュウ中尉がやろうとする事を止める事はしないわ。けど、それで仲間達を無下にしちゃダメよ?整備兵達も貴方が心配だから無理だと言ってるんだから」

 

そう言って俺の頭をポンポンと叩く。もう子供では無いのだがな。

 

「分かりました。後で格納庫に行って謝って来ます」

 

「うん、宜しい。それじゃあ、この話はお終いお終い」

 

俺は再び考える事にした。確かに奴はアークを殺した仇だ。だが、其処に固着して仲間を無下にするのは間違ってる。しかし考えながら格納庫に向かう途中、ふと思ってしまう。

 

(俺達は…何時まで戦争をやれば良いんだろうか?)

 

それとも未だに誰もが囚われてるのかも知れない。そう、【一年戦争と言う魔物】に。

柄にも無い事を思いながら格納庫に向かう。しかし、その間にもジオン公国残党軍が遂に牙を剥く。

 

……

 

宇宙世紀0083.11月1日11:00。

 

地球連邦艦隊が暗礁宙域を避ける様に航行している。しかし、その暗礁宙域に獲物を狙う狩人が居た。

 

『此方スカウト1、連邦軍艦隊を確認。間も無く予定ポイントを通過する』

 

ザクフリッパーは暗礁宙域の奥からシュウ中尉達の乗る艦隊を遠距離から確認する。そして、ザクフリッパーの手には135㎜対艦ライフルを装備。その銃口を連邦軍艦隊に向けていた。

 

『了解した。そのまま予定通り攻撃を開始せよ。それと同時に我々も出る。貴官の戦果を期待する』

 

『了解しました。期待されたら応えるのがジオン軍人の務めです。必ず一撃で仕留めます』

 

ザクフリッパーのスコープは1隻のサラミス改に狙いを付ける。そして遂に予定ポイントを通過する。

 

『星の屑成就の為に、この一撃を捧げる』

 

そして暗礁宙域と地球連邦軍艦隊との間に射線が通った瞬間、トリガーのスイッチを押す。135㎜の弾丸は真っ直ぐに飛んで行く。そして、狙い通りサラミス改の機関部に命中するのだった。

 

……

 

それは突然だった。ロイヤルの後方に居るコンペイトウ所属第45艦隊の1隻のサラミス改が爆散したのだ。

 

「ヒューリ爆沈!続いてターナス被弾!」

 

「索敵!何をやっている!何処からの攻撃だ!」

 

アーヴィント艦長は檄を飛ばしながら敵の攻撃位置を確認させる。

 

「恐らく9時方向の暗礁宙域かと。ターナスが右に流れてますので」

 

ルイス少尉はターナスが右に傾きながら流れて行くのを確認しながら敵の存在場所を予測する

 

「ミノフスキー粒子散布後、左舷砲撃用意」

 

第217パトロール艦隊の動きは速かった。直ぐさまミノフスキー粒子を散布しながら照準を合わせて行く。しかし、敵はそんな単純な連中では無い。

 

「4時の方向に1機のモビルスーツ反応有り…続いて後方に多数です」

 

「やってくれるね。モビルスーツ隊の出撃準備はどうなってる?」

 

「現在準備中との事です」

 

「なら準備を急がせろ。後方の敵モビルスーツ隊にミサイルを。暗礁宙域には砲撃をさせろ。各艦、準備出来次第攻撃開始!」バッ

 

ロイヤルの艦橋内で敵の位置を確認してる中、格納庫内のモビルスーツもまた出撃準備を進めていた。

 

『モビルスーツ隊発進1分前。整備班は直ちに退避せよ』

 

艦内アナウンスから出撃を促さられる。それに従う様に準備を整えて行く。

 

「コートニー中尉、機体のリミッターは3分が限界ですからね?それ以上は機体だけで無く中尉自身が危ないですから」

 

「了解したよ。なるべくリミッター解除はやらない様にするよ」

 

整備兵の言葉に返事をしながらコクピットを閉じる。そしてシステムを立ち上げる途中、レイナ大尉から通信が入る。

 

『シュウ中尉、ウィル少尉。其方の準備はどう?』

 

「此方は間も無く準備完了します」

 

『此方も同じです』

 

しかし、その間にも敵は迫って来てる。だからこそ焦らず素早く出撃準備を進める。

 

『しかし残党軍は何を思って我々に攻撃をしたのでしょうか?確かに宣戦布告は有りました。だからと言って戦力差は圧倒的でしょうに』

 

「分からん。だが、連中が何かを企んでるのは間違い無いだろう。今の俺達には情報が少な過ぎる」

 

そして遂に出撃準備が完了する。

 

『ハッチ解放。ガルム1、カタパルトとの接続を確認。御武運を』

 

『了解よ。ガルム1、レイナ・ラングリッジ大尉、ジム・カスタム行くわよ!』

 

続いてジム・カスタムFbをカタパルトに機体を移動させる。

 

『ガルム2、カタパルトとの接続を確認。どうかご無事で』

 

ルイス少尉からの通信に対して親指を立てる。目の前の宇宙を見れば戦闘が始まり多数の光が瞬いている。

 

『進路クリア、発進どうぞ』

 

「ガルム2、シュウ・コートニー中尉、ジム・カスタムFb出るぞ!」

 

身体に掛かるGを受けながら宇宙に飛び出す。これ以上の被害を出す訳には行かない。そして、今度こそ戦争を必ず終わらせる為に。

 

……

 

「さて、スカウト1の陽動も順調だな。各機に告ぐ。私が先陣を切り旗艦を潰す。お前達は雑魚をやれ」

 

『了解です。少佐御武運を』

 

『敵が哀れだな。少佐に目を付けられた時点で奴等の敗北が決まってる様な物だしな』

 

『少佐だけに任せるな。我々は誇りあるジオン軍人だ。それを見せ付けなければ成らん』

 

黒い高機動型ザクが更に加速する。それに気付いてサラミス改級、マゼラン改級からの砲撃が展開される。しかし、それを華麗に無駄無く避けて行く。

 

「私とこの機体は最早一心同体。例え貴様等がどれ程の高性能な機体や戦艦を使おうとも、私が負ける要素は一つも無い!!!」

 

圧倒的な気迫と共に地球連邦艦隊に向け突入するのだった。

 

そして、再び戦場で出会う2人。戦場でしか出会う事が出来無い不幸を嘆くべきなのか、それとも仇同士に出会えた事に喜ぶべきなのか。

 

それは彼等にしか分からない。




しかし新しいiPhon買ったぜ( ^ω^ )

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