宇宙世紀0079.11月8日AM10:00。遂に俺達モビルスーツ部隊にも出撃命令が降る。
『モビルスーツ隊は戦車部隊の援護せよ!貴様等は無闇に前線に出るな!戦車部隊の援護を最優先に行え!』
陸戦型ジム9機、ジム2機、量産型ガンタンク1機は前進する。俺のジムの武装は90㎜マシンガンとビームスプレーガン。レイナ少尉は90㎜ガトリングガンだけだが、予備弾倉を持っている。他の陸戦型ジムは100㎜マシンガン持ちが殆どだ。
だが、1機だけ浪漫溢れる武器を持っていた。棘の付いた鉄球を鎖で繋がってる武器だ。見たまんまの接近戦仕様だろう。
【ガンダムハンマー】
直ぐに武器に関して調べたら出てきた。何と素晴らしい響きだろう。あの武器…欲しい!
「あの、レイナ少尉」
『ダメよ。あんな武器接近戦以外使えないじゃ無い』
「まだ何も言って無いんですけど…」
『ずっと見てたからバレるわよ。本当、シュウ曹長は分かりやすいんだから』
『全くだね。君はもう少しポーカーフェイスを学び給え』
『シュウ曹長、頑張って下さい』
無駄話をしつつ前進する。そして、遂にオデッサ攻防戦で交戦を開始する。
「旧ザク3機、ザク5機確認!トーチカも多数確認!」
『行くぞ!野郎共!ジオンに引導を渡してやれ!』
『今迄の借りを返してやる。覚悟しろ!ジオンめ!』
61式戦車が先制攻撃をする。そしてモビルスーツ隊もそれに続く。だが、敵は俺達モビルスーツ隊に攻撃を集中させる。
『敵モビルスーツ確認!』
『トーチカは最優先で敵モビルスーツを狙え!モビルスーツ隊は戦車部隊を叩け!』
『ダブデ陸戦艇は現在敵航空部隊に足止めされてます。また陣地変更を行うと』
『今ダブデの火力が必要だろうが!喚び戻せ!?』
敵トーチカから多数の砲弾が飛んで来る。シールドで防ぎながらも回避行動を取る。此方も90㎜マシンガンで反撃を行い牽制する。
『ガルム3、あの周辺のトーチカを狙って頂戴。そうすれば進撃路が作れるわ』
『了解したよ。それ!受け取れ!』
アーヴィント少尉の量産型ガンタンクは後方から砲撃をする。更にビックトレーからの砲撃や他の部隊もトーチカを次々に破壊して行く。
『敵の進撃が止められん!戦線を後退させる!』
『爆薬セット完了しました!』
『急げ!敵が突っ込んで来るぞ!』
敵が勢い良く逃げて行く。それを見た地球連邦軍の兵士達は進撃して行く。
『敵は総崩れたぞ!突撃!突撃!モビルスーツ隊は戦車部隊に続け!』
61式戦車が次々に突撃して行く。更に航空隊も後退して行くジオン軍に対し攻撃を仕掛ける。しかし敵の置き土産が戦車部隊を直撃する。トーチカが次々と爆発して行く。爆発の勢いは凄まじく、トーチカの内部にも影響が出る。そしてジオン軍の防衛戦が物理的に崩れた。そして爆発と土砂崩れが戦車部隊に直撃。甚大な被害が出る。
『一部部隊は救出作業に掛かれ。残りは前進せよ!敵を徹底的に追い詰めろ!』
犠牲を無視してまで前進する事を選んだ機甲師団第4軍。仲間の屍を踏み越えて前進して行く。しかし、物事は上手く行かない。
『此方ダブデ陸戦艇、目標を射程に捉えた。此れより味方の後退を支援する。砲撃始めええーーー!?』
何処からともなくダブデ陸戦艇の艦砲射撃が来る。そして敵のトーチカ群付近に次々に着弾。爆発と爆風により戦車部隊は更に被害が出る。
『ダブデ陸戦艇を早く見つけろ!何故見失うんだ!』
『敵航空戦力の一部が未だに健在です』
『ならサッサと叩き落とせ!』
しかしダブデ陸戦艇の艦砲射撃により連邦軍の進撃が一時中断する事になった。またダブデ陸戦艇の陣地変換の移動速度は速く、中々位置を特定出来ずにいたのだった。
……
PM16:00
戦車部隊とモビルスーツ部隊は戦闘を一時中断して戦線を離脱する。モビルスーツ部隊の損害は0。しかし戦車部隊や航空隊は、かなりの被害が出ている様だ。
「戦車部隊の再編を急がせろ。明日も総攻撃を仕掛ける」
「敵の航空戦力は、かなり少なく成ってます。次の戦いでは制空権は我々に有ります」
「なら攻撃機でダブデ陸戦艇を落とせば良い。そうすれば勝てる」
士官が数人話し合ってるのが聞こえた。アレだけの被害が出ても攻撃を続行する。確かに戦車部隊や通常兵力の被害は大きかった。だが、まだまだ戦力は残っている。それに他のオデッサ攻撃部隊も多数の戦果を上げていた。その報告を受けて誰もが勝利の雄叫びを上げて喜びを露わにする。
「その戦果の為にどれだけの犠牲が出たのやら」
戦果とは犠牲の上に成り立つ物だと考えてる。だが、そんな事を気にしている奴は居ない。居たら正気でいられる訳がない。因みに俺は考えない様にしてる。何故なら、それが原因で仲間を見殺しにしてしまうかもしれない。
「それにしても連邦軍も遂に此処まで来たんだな」
開戦から11ヶ月以上が経過した。初戦は大敗を帰した地球連邦軍だったが、今では此処まで来た。そんな事を考えてると頭を誰かに上から抑えられる。
「全く、また黄昏てるし。アンタはそんな姿似合わないわよ」
「似合わないとは失礼な。俺だって思う事が有りますから」
レイナ少尉の腕が俺の頭の上に乗る。と言うか体重をかけて来る。
「ふっふっふ〜、軽かろう?」
「いえ、重いです」
「重くないし!羽毛布団の様に軽いから!」
何故羽毛布団なんだ。布団要らんだろ。然も余計に体重掛けて来るし。
「あのさ、そろそろ仲直りしようかな?と思ってるんだけど」
あの時の敵補給部隊攻撃の事だろう。
「そうですね。自分も気不味いままなのは嫌ですからね」
「じゃあこの前の事はこれで終わりね!んー、スッキリした〜」
「スッキリした〜なら体重掛けないで下さい」
と言うか終わるの早いな。まあ、レイナ少尉らしいと言えばらしいけど。
「でも、胸が当たってて嬉しいでしょう?」
悪戯っ子の様な表情をするレイナ少尉。まあ…否定はせんよ。役得だと思ってたし。
「ほんっと、シュウ曹長は分かりやすいんだから」
それから暫くレイナ少尉と戯れる事になったのだった。
……
「あの野郎…我等がアイドルのレイナ少尉といちゃつきやがって!!!」
「次の戦闘で誤射しても大丈夫かな?」
「俺もいちゃつきて〜。と言うか彼女欲しい…」
レイナ少尉とシュウ曹長のイチャつきを見ていた周りのモビルスーツパイロット達は、それはそれは大層羨ましそうだったそうな。
「レイナは…僕の許嫁なのに!なのに!」
アーヴィント少尉も悔しがる。
「………」
ルイス伍長は…無表情なのが怖いです。
「若いってのは良いもんだな。まあ、俺と妻の方が断然上だがな」
「お?自分の妻も中々ですよ。唯、怒らせるとヤバイんですけどね…」
モンド伍長と妻子持ちの陸戦型ジムの部隊長は温かい視線を向けるのだった。
……
実は主人公達をオデッサに配置させる事を結構迷った。だけどイグルー2とか陸戦型ジム結構出てたしな〜。
でもRGM-79ジムは出ていない…。本当に迷ったわ。
この辺りは適当に辻褄合わせするしか無い!←