文章能力皆無なので、ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いします。
間違っている点などございましたら、その都度教えていただけると幸いです。
それでは、1話、どうぞ
1話 厄災の始まり
2031年
地球が、突如現れたウイルス寄生生物『ガストレア』に蹂躙されてから10年。世界は崩壊し、人類は食物連鎖の頂点からガストレアによって引きずり下ろされてしまった。
2021年に発生が確認されてからガストレアは爆発的に増えていき、人類はガストレアに為す術もなく敗北してしまう。生き残った人類は、ガストレアの嫌う『バラニウム』という金属で作られた『モノリス』の中に逃げ込み、虚偽の安寧に浸っていた……。だが、それも長くは続かないだろう。
かつて日本と呼ばれていた国も『札幌エリア』『仙台エリア』『大阪エリア』『博多エリア』『東京エリア』の5つのエリアに分断されてしまった……。
それでも人間は抗うことを諦めなかった。バラニウム製の武器や弾薬、ガストレアに対抗するために民間警備会社、通称『民警』を組織し、モノリス内に極希に入ってきたガストレアを屠り、エリア内の安全を確保していた。
時は変わり、俺は目の前にいるヤクザも震え上がりそうなほどの強面の男との会話でもう既に気分は最悪だった。
「はぁ?お前が要請を受けて駆けつけた民警だ?まだガキじゃねぇか」
「そうだが……。何か問題でもあんのかよ」
「別にそんな事はどうでもいいけどよ。ほれ、本当に民警だって言うんならライセンス出せ」
「んだよ、疑ってんのかよ……まぁ、もう慣れたけどな。ほれ、正真正銘『民警ライセンス』だ」
「『天童民間警備会社 里見蓮太郎』ねぇ……聞いたこともないな」
「そりゃ売れてないからな」
「それにしても……ハハハハハハ!!!お前凄い不幸顔だな!!」
「チッ、返せ。んで、そろそろ仕事の話しねぇか?」
彼……警部『多田島 茂徳』は俺に合うなり嫌味を言い、ライセンスを出せと言われてライセンスを出したら笑い飛ばされ……俺はもうそろそろでキレるところまできていた。
「このマンションの住人が、上の階から血が滴ってきてるって通報してきてな。それが化物絡みかもしれねぇんだ」
多田島警部はさっきまで笑っていたと思ったら、俺の言葉を聞いて真剣な表情で話し始めた。それを聞いて俺も真剣な表情になる。
「なるほどな。それで俺を呼んだってことか」
「そういうわけだ。ところでお前、相棒はどうした?民警は二人一組で行動するんだろ?」
警部の言っている相棒とは、おそらく『イニシエーター』の事だろう。多田島警部の言った通り、通常、民警とは『プロモーター』と『イニシエーターの』二人一組のペアで動く。
『イニシエーター』とは、生まれつき『ガストレアウイルス』を体内に宿している『呪われた子供たち』の中で戦闘訓練されたものを指す。
そして『呪われた子供たち』とは、母体が『ガストレアウイルス』に感染し、それが胎児の段階で、だんだん体に蓄積され『ガストレアウイルス』を体内に保有しながら生まれてくるものを指す。『ガストレアウイルス』を保有しているため目が赤いのが特徴である。ただし、力の制御が出来ている者の目は能力解放時のみ赤いが、出来ていない者は常時目が赤い。そして、体内に『ガストレアウイルス』を宿している影響で、呪われた子供たちには『モデル』というものが存在する。例えば、『モデル・ドッグ』なら犬の因子を宿し、『モデル・キャット』なら猫の因子を宿すなど、体内に宿している『ガストレアウイルス』の元になっている動物で、それぞれ『モデル』が異なる。
だが、その質問は今されては俺に都合の悪いことだった。
(口が裂けても、自転車から落っことしてここにはいない、なんて言えるわけがねぇ……)
そう、蓮太郎は相棒を、ここに来る途中で自転車の後ろから落としていたらしいのだ。(いたらしいというのは着いてから気づいたからである)とりあえず、適当に濁さなければ……
「ま、まぁ、この程度アイツの手を借りるまでもないと思ってな」
「まぁ、ならいいんだが」
(ふぅ……。危ねぇ……バレたら洒落にならないからな……)
「ん?どうした?」
「い、いいや?何でもない」
「?」
「そ、そんなことより早く現場に行こうぜ」
「あ、あぁ、そうだな。ついてきてくれ」
場所は変わり、通報があったドアの前
「状況はどうなってる!」
「すみません。先ほど窓から突入した警官隊2人が戻ってきていません」
「なんで民警の到着を待たなかった!」
「そんなこと言ったって、俺たちにもプライドくらいあるんですよ!民警に、土足で現場を荒らされて、黙っていられるわけないじゃないですか!警部にだって分かるでしょう!」
「どけ!アホ共!俺が突入する!」
俺は、愛銃である『スプリングフィールドXD拳銃』通称『XD拳銃』をドロウして構える。ドアノブを撃ち、ドアに体当たりをかまして転がるように入って最初に目にしたものは……"血溜まり"。濃密な血臭が漂い、次に目にしたものは、血の池と表現するのに相応しいほどの血溜まりに沈む警官隊2人とそこに佇む"怪人"。怪人の出で立ちは黒いシルクハットに赤い燕尾服、一番奇怪なのは白の笑った顔をした仮面をつけている事だろう。
俺がこの状況に絶句していると、怪人が話しかけてきた。
「やぁ、随分と到着が遅かったじゃないか、民警くん?」
「お前も……民警……なのか……?」
「ふむ、その答えはNOだね。正しくは、"元”民警だ」
「元?」
「そうだ。ガストレアよりも、人間を殺した回数の方が圧倒的に多いからね。現に、ここで倒れている2人を殺したのは……私だ。ヒヒッ!!」
「てめぇ……!」
その時には、もう既に俺は怪人の間合いに入っていた。
「天童式戦闘術二の型十六番『隠禅・黒天風』!!!」
「おっと、ザンネン」
「まだまだぁ!!『隠禅・玄明窩』!!!」
"ゴギッ"という音とともに怪人の首がクルっと180度曲がった。だが……次の瞬間信じられないことがおきた。
「いやはや、参った参った。油断していたとはいえ一発もらうとはね。ふむ、君、名前は?」
「里見……里見蓮太郎……」
「里見……里見くんね……。私は『蛭子影胤』。端的に言うと、世界を滅ぼす者だ。では、この後合流しなければいけない相手がいるんでね。これでお暇させてもらうとしよう。また会おう、里見くん」
「どうした民警!感染者は!」
「多田島警部!感染者はまだこの辺りをさまよっているはずだ。バリケードを張って一般市民を入れさせないようにしてくれ!」
「クソッ、感染源に加えて感染者まで外ほっつき歩いてんのかよ……。分かった。急いでバリケードを張らせる」
「俺はこのまま感染者と感染源を探しに行く。警部はどうする?」
「勿論俺もついて行くぞ。本当にお前が1人で戦えるかこの目にしっかりと焼き付けておかなきゃいけないからな」
場所は変わり、外
「蓮太郎の白状者ぉぉぉぉぉ!!!!!」
『藍原延珠』は怒っていた。なぜ怒っているのか。それは、相棒に自転車から振り落とされた挙句、そのままその場に放置されてしまったからである。
「よもや、ふぃあんせである妾を、自転車の荷台から落とし、そのまま1人で行ってしまうとは!蓮太郎にはお仕置きが必要なようだな」
延珠が、蓮太郎にどんなお仕置きをしようか考えながら歩いていると、突然、角を曲がってきた人にぶつかりそうになってしまった。急いで謝ろうと顔を上げた時、男、特に男の腹部を見て延珠は反射的に後ろに飛び退き、いつ戦闘が始まってもいいように臨戦態勢で男を警戒する。
「ま、待ってくれお嬢ちゃん。俺は決して怪しい者じゃない。少し道を教えて欲しいだけなんだ」
「まさかとは思うが、お主、自分が今どんな状態か分かっておらんのか?」
「?お嬢ちゃん、何を言っているんだい?」
「やはり分かっておらんようだな。お主、自分の体をゆっくりと見てみるといい」
少女にそう言われ、男はゆっくりと自分の体を見下ろした。そこにあったのは、腹部に大穴があいた自分の体だった。
「あぁ……あああ……。そうだ……俺は……。会社をリストラされて、妻と子供に逃げられて……再就職が決まったから……妻と子供に戻ってきて欲しい、って電話をかけようとして……ふと上を見あげたら、ガストレアがいて、そのままガストレアに襲われて……その後……俺は……」
「やはりそうか……。お主、最後に、言い残したいことや伝言とかはあるか?もしあるのならば、妾が責任をもって伝えておこう」
「頼んでもいいのかい?お嬢ちゃん」
「うむ!勿論だ!それに、蓮太郎から必ず聞けと言われているのでな」
「お嬢ちゃん、君はもしかしてイニシエーターなのかい?」
「うむ、そうだが。何故そう思ったのだ?」
「いや、これを見て冷静でいられるのは、イニシエーターだけかなって思ったからね」
「お主、意外と鋭いな。それと、妾はお嬢ちゃんではない。『モデル・ラビット』のイニシエーター、藍原延珠だ!」
「ごめんごめん。それじゃ、延珠ちゃんでいいかな?」
「うむ!いいぞ!」
「ってことは、蓮太郎君は延珠ちゃんのプロモーターってことでいいのかい?」
「そうだぞ!蓮太郎は、本当は凄く強いのだぞ!イニシエーターである妾でも敵わんくらいだ。それに、呪われた子供たちである妾に対等に接してくれるのだ」
「延珠ちゃんは、本当にいいプロモーターとペアを組めたんだね」
「うむ!妾は幸せ者だ。それで?伝言はどうするのだ?」
「それじゃあ、妻と子供に、『ごめん』って謝っておいて欲しいんだ。頼めるかい?」
「任された!」
「延珠ちゃん、頼んだよ」
男は、その言葉を言った直後、"形象崩壊"を引き起こしガストレア化した。
『形象崩壊』とは、『体内侵食率』が50%を超えた場合、人間の姿を保てなくなり、ガストレア化することを指す。
そして、延珠がガストレアと戦闘に入ろうとしたその時。いつも聞き慣れている声が、後方から聞こえてきた。
「ステージⅠガストレア『モデル・スパイダー』を確認!これより交戦に入る!」
「蓮太郎ぉぉぉぉ!!」
「延珠!?無事か!」
延珠と蓮太郎は互いに名前を呼び会いながら走り、近づいていく。これだけ見たら、アニメの主人公とヒロインのようだが……。と、ここで多田島警部は何かを悟った。あ、これあかんやつや……。と。
多田島警部の嫌な予感はあたり、延珠は、走った勢いをそのままに蓮太郎の股間を蹴り上げた。そのまま蓮太郎はその場にうずくまり悶絶している。
「ぐ、ぐおおぉぉぉ……!延珠!お前、いきなり何しやがる!」
「元はといえば、蓮太郎が悪いのだぞ!」
「は?俺何かしたか?」
「自転車の荷台から振り落とし、そのまま放置して1人で行ったであろう!」
「……。すみません……」
「なぁ、お前ら、夫婦喧嘩はそれくらいにしてだな」
「夫婦じゃねぇ!」
「いや、夫婦にしか見えねぇぞ?」
「ぶっ飛ばすぞ!?」
「茶番はこれくらいにして、感染者を早く楽にしてやってくれ」
「そ、そうだな!延珠行けるか?」
「うむ!いつでも行けるぞ!」
「それじゃあ、行くぞ!」
蓮太郎は腰にさしたXD拳銃を素早くドロウし、ガストレアに向かって何度も発砲する。が、ガストレアは全ての銃弾を躱し、蓮太郎に肉薄する。蓮太郎は、すぐに回避行動に移ろうとするが、もう既に遅い。蜘蛛糸を吹き付けられ、動きを封じられてしまった。
「なっ!?……まずい!?……」
「蓮太郎!?」
蓮太郎の目の前には、もう既にガストレアが大口を開いて蓮太郎に喰らいつこうとしていた。と、その時。大きな音とともにガストレアが道の反対側まで吹き飛ばされた。
「なっ……!?真冬!?」
「大丈夫?蓮太郎?」
ガストレアを吹き飛ばした本人……それは、『神薙 真冬』だった。真冬は『多重因子』で、鷲、鷹、鳶、隼の因子全てを持っているイニシエーターである。そして……プロモーターは……。
「油断したか?蓮太郎?」
「悪い蓮人!助かった!」
次に蓮太郎に声をかけてきたのは、真冬のプロモーターである『神薙 蓮人』。蓮人はそのままガストレアに向き直り、ガストレアを一閃した。
「神薙流一の型四番『横一文字・斬』!!!」
「なっ……!」
ガストレアは蓮人の一撃を受けて絶命し、多田島警部はその光景を見て絶句した。
「ステージⅠとはいえ、一撃だと!?」
「驚いているとこ悪いが、早く報酬をくれないか。仕事はこれで完了なはずだ」
「あ、ああ……。報酬を渡す前にライセンスを確認させてくれ」
「OK。ほらよ。民警ライセンス」
「『天童民間警備会社 神薙蓮人』か……。これが今回の報酬だ」
「たしかに報酬受け取りました……っと。さてと……蓮太郎、もやしのタイムセールはまだ始まってないよな?」
「ああ、まだだ。でも、走んないと間に合わないぞ?」
「よし、行くぞ真冬。これからが俺たちの本当の戦いだ!」
「そうと決まれば、早く行こ!延珠!蓮太郎!」
「うむ!」
「じゃ、またな警部。他に仕事あったら、また俺たちに回してくれよな!」
「お、おう」
それを言ってすぐに、4人は走り去ってしまった。
「何だったんだ?あいつら」
警部は困惑しながら、しばらくその場から動けなかった。
いかがでしたか?
至らない点が多々あると思いますが、これから努力していくのでこれからも読んでくださると嬉しいです。