異世界転生!?どこの世界だよ・・・   作:クッペ

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あんまり進まないです


四話

 

 まずい、キャベツ如きにこんなに苦戦するとは思わなかった・・・

 

 まずキャベツが意外と攻撃力が高い。守備は高いからダメージ自体は少ないのだが、いかんせん体当たりしてきた時の衝撃は思ってたよりもすさまじいものがある。そんなに小さい普通のキャベツのどこからそんな力が湧くんだよ、と思う程度には。

 

 そして意外とすばしっこい。先ほどてきとうにつけたスキル『俊足』のおかげで動きにはついていける。だがラグネルが重く攻撃をしても躱される。先ほどから何度か攻撃しているのだが収穫できたキャベツは恐らく五玉程度。稼ぎは少ない。

 

 剣がもう少し軽ければもっと簡単に収穫できるのだろう。このクエスト終わった後、報酬で普通の軽い剣も買っておこうと思う。さてどうしたものかと思い周りを見渡してみると、アクアがキャベツに負傷させられた冒険者の回復をしたり、めぐみんが爆裂魔法の準備に取り掛かっていたり、金髪美人とカズマが何か話し込んでいる。

 

 金髪美人が剣を抜いてキャベツに向かって特攻していったが、上段切り、横薙ぎ、上段からの切り返しなどをしてキャベツに挑んでいるが、かすりもしない・・・あれ?あのひと攻撃全く当たらないのん?カズマの方へ向かって話を聞いてみることにする。

 

「なぁカズマ、あの金髪の人って、もしかして攻撃が全く当たらなかったりするのか?」

 

「あぁ・・・自分で言っていたがこれほどとは・・・」

 

「マジか・・・あの人もパーティー入り志願してるんだろ?どうするんだよ?」

 

「断りたいけど、あの二人に知られたからにはおそらく不可能だろう。もう諦めたよ・・・」

 

「まぁ俺は構わないんだが。ところでカズマよ、お前このクエストでその剣使おうと思っているか?」

 

「ん?これか?恐らく使わないが、どうしてだ?」

 

「いやなに、この剣が重すぎてキャベツに攻撃が当たり辛くてね・・・その剣ならこれよりも振りやすいだろうからこのクエストの間だけ貸してもらいたいんだが、いいか?」

 

「そういうことなら別に構わねえよ。ほれ。そのかわり、あとで何か奢れよ」

 

「わかったよ・・・サンキュー」

 

 そう言ってカズマから剣を受け取り、キャベツに向かって再び歩き出す。

 

(ああいいねこれ、この敵をバッタあったとなぎ倒せる感じ!いいねえ!)

 

 カズマの剣を受け取ってからの俺の収穫スピードは格段に上がった。もともとキャベツの動きにはついていけてた、あとは剣が重くて当たらないことが問題だったが、それはカズマの剣がラグネルよりも軽いため問題なく当たるようになった。さらにキャベツのHPが低いことと俺の力が高いことが幸いし、キャベツに一撃入れるだけで収穫できるのだ。

 

 なんだろう・・・この特典を使いこなせていない感じ・・・なんか悲しくなってくる・・・

 

* * * * * * * * * *

 

 緊急クエストのキャベツ収穫が終わり、ギルドで夕食を食べている。メニューは今日収穫したばかりのキャベツを使ったフルコースだった。

 

「おかしい、なんでキャベツの塩炒めがこんなにうまいんだ・・・」

 

 なんかカズマが隣で文句を言いながらも口に運んでるところを見るとおいしいんだろうな。俺も食べるとしよう。

 

「あなた流石クルセイダーね!あのキャベツたちもあなたの固さには攻めあぐねていたもの!」

 

「いや、私はただ固いだけが取り柄みたいなものだから。それよりもアクアとめぐみんの二人もすごかったではないか!アクアはけが人を治療して回ったり、士気を高めたりと。めぐみんの爆裂魔法、あれは・・・凄まじかったぞ・・・」

 

 なぁんで頬を染めながらハァハァしてそんなこと言ってるんですかね?

 

「それにマサムネと言ったか?お前も金色の剣から普通の剣に変えてからは活躍していたな!あれは一体どういうことだ?」

 

「あれは俺の剣が重すぎるんだよ。重すぎてキャベツの動きに剣がついていけなかったんだよ。だから剣を軽くしてキャベツの動きに合わせていただけさ。」

 

 その後も今日のクエストの成果を互いが互いに褒めあったり、ただの雑談をしながら時は過ぎていく。

 

「では改めて、私はダクネス。クルセイダーを生業としている。恥ずかしながら攻撃は全く当たらないのだが、皆の盾としてこき使ってくれ。何なら敵の真っただ中に放置してくれても構わない!」

 

 ダクネスが自己紹介をした後にみんながこっちを見てきた。つまり俺も自己紹介しろと・・・

 

「ええっと、マサムネ。そうやって呼んでくれ。兵種はヴァンガード・・・俺もよく分からん兵種だが、まぁよろしく頼む。この剣のおかげで中距離から近距離までなら俺が相手を出来る。だからその範囲なら俺が何とかして敵を捌こう」

 

 そう言って俺のパーティー入りが正式に決定した。

 

* * * * * * * * * *

 

 この間の緊急クエストの報酬が50万エリスだった。なんか偶にレタスも混ざっていたらしいが俺の場合キャベツもそれなりにあったようだ。さらにカズマに剣を借りてからの収穫がかなり多かったようで、それなりの賃金を得ることができた。

 

 この報酬を使って俺は剣を新しく購入することにした。ラグネルだけだと素早い敵に対応できない場合があるとキャベツに教えられたためだ。・・・キャベツに教えられたって言っててなんか悲しくなってきた・・・

 

 俺は現在鍛冶屋に来ている。新しい剣を作ってもらうか、そこで売ってる剣を購入するためである。

 

 店を物色しているとどこかで見たことがあるような剣が目に入った。

 

「なぁ店員さん、この剣て一体・・・?」

 

「あぁこの剣か。この剣は作ったわいいんだが使える奴が少なくてな。なんていうか重くて振り回しづらいらしい。銘は『アロンダイト』っていうんだが」

 

 アロンダイトォ!?暁の女神のアイクの初期装備の剣じゃないか!別に特殊な能力とか特攻とかは何もないんだが、普通の剣に比べて威力は高めだったな。

 

「店員さん、この剣振ってみていいか?」

 

「別に構わねえが、兄ちゃん振れるのか?」

 

「恐らく大丈夫だ。普段はこれより重い剣振ってるからな」

 

 そう言ってアロンダイトを手に取って何回か素振りをしてみる。この剣が何故かこの店で一番しっくりくる気がしていたのだが、予想以上にしっくり来ている。

 

 俺がアロンダイトを振っていることに店員が目を見開いている。この剣、ラグネルに比べれば軽すぎる気がするが、自由に振りまわす運にはこの剣が一番いいだろう。

 

「店員さん!この剣俺に売ってくれないか!?

 

「おぉ!いいぞ!代金は20万エリスだ!」

 

 そう言って俺は財布から20万エリスを出した。なぜこの世界にアロンダイトがあるのかは不明だが、かなりいい買い物ができた! 




次回ベルディアさん出せたらいいなとか思ってたり思ってなかったり

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