人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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百万石武蔵城・城下街

天草「いやはや、まさか私が御迷惑をかけた特異点に招くは心が広い・・・」

シュテン「ええよええよ、別に。さーばんとは召喚されたのは別人なんやろ?記録にあったものとは別や、別」

胤舜「うむ、宿業に堕ちた我が槍、如何なものか興味はあるが・・・まぁ、野党崩れに等しいだろうな」

巴「はい。しかし、狂い果てるも道理です・・・そう、ゲームデータをソフトごと叩き壊されたと同じくらいに・・・」

千代女「・・・心苦しいのは変わらぬが、気に病んでも仕方は無し。親方様に尽くし償うのみ」

段蔵「えぇ。私達が曇っていては、彼女が哀しみましょう」

小太郎「はい。僕らは変わらず、楽園に・・・マスターに仕えるのみ」

りゅーたん「(ダンス中)」

小次郎「ほう、これが噂の御留流・・・」

小太郎(そうなのですか・・・!?)

頼光「・・・」

ゴールデン「大丈夫か、頼光サン」

「えぇ。私はこうして彼女を想っております。
それで・・・今は、きっと。良いのです──」


カウントダウン4・英霊剣豪七番勝負

「えーと、雷位に至った経緯だっけ。・・・始まりはね、将門公に導かれて最初に下総に来た時の出来事かな」

 

武蔵ちゃんと、武蔵城の天守閣で空を二人見上げながらリッカはその時の情勢と、出来事を語る。るぅらぁと名乗る将門公に導かれ、下総に足を踏み入れた事。思えば・・・それは試練だったのかも、と受け入れていた。其処に待っていたのは、外道リンボにより英霊剣豪とされていた頼光・・・否、黒縄地獄としての母の骸が在ったのだから。

 

「極みに至ったのは、そういうのを目指していた訳じゃないの。ただ、母さんの魂とか、存在を辱しめてる宿業を切り捨てるにはそれしかなかっただけ。──親を殺す為の剣だもん。誇らしくは思えないよ」

 

「リッカさん・・・。そうだよね、道を極めるを山を登ると人は例えますが、リッカさんの場合は一跳びで頂上に至らなくちゃいけなかったわけかぁ・・・」

 

頼、と名乗ったあの人はリンボの宿業を受けながらも只の一人も殺めず、リッカと一時すら過ごした。本来ならば一切粛清にて、軍すらも壊滅させる業すら在ったというのに、だ。狂気と宿業すら上回る絆・・・座によりもたらされたリッカとの記憶が、母としての彼女を保ち続けたのだ。

 

『彼女ならば、きっと自分を仕留める。骸として、彼女の礎になれるならば』

 

その決意の下、将門公の力を借りてリンボを撃破したリッカは、母の骸と対峙し、看取る為に戦い、宿業を両断するために辿り着いたのだ。求めず、見ず、母の誇りと絆、尊厳を取り戻す位。

 

「──だから、『雷位』。・・・うん、これはリッカさんの為だけの位。誰にも真似は出来ないでしょう」

 

「え?そうなの?」

 

「そうですとも。だって、母親の銘が入ってるだなんて、ロマンチック過ぎて野暮は出来ないってもんです!」

 

武蔵ちゃんに言われ、はっと顔を上げる。・・・心にて思っていた、母殺しの剣。だが、それは間違っていた。

 

母の為、母の尊厳の為に駆け抜けた刃。現代の人間が辿り着くなど不可能な領域に導いてくれたその名前。──親子の絆は、断ち切れてはいなかった。いや、この位在る限り・・・決して無くなりはしないだろう。

 

「ありがとう、武蔵ちゃん。・・・頼さん」

 

あの日に至った極みと、母の名はずっと。こうして気付いた時、左腕と泥の中に安置している刀が、静かに震えた気がした。そう・・・宿業を両断しても、断ち切れない絆はその銘に在るのだから。

 

「~~はい!湿っぽい話終わり!じゃあ剣豪勝負振り返ろ振り返ろ!武蔵ちゃんもこうして生きて帰れたのが不思議な位の激戦だったんだから!」

 

「そうよね~!強豪剣豪との斬った張ったの大一番!助六さんが繋ぎ、リッカさんと背中合わせの下総道中!空に辿り着く為の旅は、そりゃあ色んな事が在ったってもんです!」

 

振り返れば、其処には極限の勝負と日ノ本の危機と、天元の笑み。若きながらも剣豪としての極みに達した剣豪は、共に同じ境地の戦友とあの日々を振り返る──。

 

 

始まりはうどん食べてたら仏様の導きでしたもんねー!我ながら雑でした!雑ゥ!

 

『でも、二回目だったのもあったし武蔵ちゃんもいたからあんまり心配はしてなかったかなー。おぬいちゃんや田助君とすぐに会えたし何よりあまこー!』

 

そう!それなんです!まさか天照大御神様が守護神として将門公の役割を引き継いでいたなんて!後で桜餅御供えしに行きましょう行きましょう!

 

『うんうん!そしてその道すがら、ほーぞーいんさんと会ったんだよね』

 

そうです。あの清廉極まる槍の閃き、冴え、鋭さ美しさ・・・武を目の当たりにして涙を浮かべそうになったのは初めてでした。・・・今思えば、彼もまた英霊剣豪へされるために招かれたんだろうけどそうはならず!龍を束ねるリッカさん、剣豪達に仁王立ち!侮ったなリンボ!こぉれが天下無双の藤丸龍華てなものです!

 

『人類悪パワーとノリが重なり最強に見える!でも英霊剣豪の皆、産み出した龍達皆倒してるんだよね・・・強かったよね・・・』

 

えぇ。あのときの私では、10回死んでも倒せる相手がいなかった百戦錬磨の強さを持った骸達。プルガトリオがいなかったから、リンボ、インフェルノ、パライソ、叫喚地獄、衆合地獄、エンピレオ・・・

 

『小次郎』

 

小次郎!いやぁ強かったですねぇ!でもでも、負ける気は不思議としなかったというか!将門公にお膝元の神田明神に村正おじいちゃんの明神切り!負けるのがおかしいってなもんです!

 

『北斎さんやあまこー、村正おじいちゃんにぬいに田助くん。きよ姫(好き!)な皆と過ごした京の日々を護るためにも、ね』

 

勝てば天下泰平御機嫌王から査定と報奨ガッポガッポ!!一人斬る度百万石!!いやぁ本当に剣の道入って良かった!カルデアに拾われて良かったですよはい!!(ええ、其処にいる人達の為に、私は無心で戦い剣を振るいました。其処にあるのは、極みへ至る宿願のみ──)

 

『逆ゥ!!オオムカデをあまこーが倒したり、村正おじいちゃんに打ってもらった龍哮村正に気絶させられたり、衆合に介抱されて・・・あの時貰った酒器と言葉、槍の極み。・・・お互い得るもの、いっぱいだったね!』

 

うへへ!うどん!剣術!花魁!!・・・あ、コホン。──そして明らかになる妖術師の目論見!江戸に現れしはおんりえど!英霊剣豪大一番が近付いて来る決着の時!・・・将門公、天照様の助力なくばどうにもならないほどに、日本の威信を懸けた戦いとなったのよね。空亡という機械の神、妖怪達を、神と英雄達総出で迎え討つ!クライマックス!クライマックスっていうのよね!

 

『完全に観客気分なのはなんでなの武蔵ちゃん・・・あ!!村正おじいちゃんの!!』

 

ツムカリ!ツムカリムラマサ!見たかったッ・・・是非生で見たかった・・・っ!何よもう!私がしぶおじ様とイチャイチャしている時に神剣振るうなんて!いけず!おじいちゃんのいけずぅ!!

 

『我が儘な孫娘みたいだぁ・・・りゅーたんおじいちゃんに小次郎と戦った武蔵ちゃんだって全然楽じゃなかったでしょーにっ!』

 

私はいいんですぅ!リッカさんが隣にいるなら勝つのは当たり前!当たり前なのです!美少女の声援に応えず何が天下無双かッ!

 

『・・・う、うん(照)』

 

あ、可愛い。うどん作りましょう。聖杯で。あーもう!!リッカさんが男だったらもう絶対嫁入りしたのになー!!まぁ同性だって結婚できるのが汎人類史だから別にいっかー!

 

『そんなところで汎人類史素晴らしいしちゃうの!?じゃあ夏にギルに頼んで聖杯で作ろうよ、聖杯うどん。絶対美味しいヤツ!』

 

楽しみですねぇ!水着選びに行きましょう行きましょう!鮎ゥ!!肉ゥ!!

 

『・・・たまに思うんだけどさ。武蔵ちゃん、汎人類史武蔵さんの五輪書アンチになってない?』

 

空はほら!色々変わるから空模様みたいに!大丈夫です!いいんですー!うへへ・・・しなやかに鍛え抜かれたリッカさんの身体拝み放題・・・うへへ・・・!

 

『それは私も同じなんだよねぇ。存分におっすごポイントを進呈させていただくよ武蔵ちゃん・・・!』

 

あははっ!・・・本当に、本当にありがとうございました。剣の道は孤独な旅路。敵を切り捨て屍の上に立つ。・・・そうとばかり考えていましたが。こうして今、私は素敵な縁に満ちています。ありがとう、リッカさん。私は、あなたが相棒で本当に良かったと今でも思っているの。貴女じゃなかったら、私は『生きた』まま此処にはいられなかった。

 

『武蔵ちゃん・・・』

 

私より強いサーヴァントは山といますが、私は私にしか出来ないことがある。もし、楽園から飛び出す事あらば。私は必ずあなたに付いていきましょう。あなたの刀として、人生を共に致しましょう。

 

『それ・・・プロポーズってやつ?』

 

ふふっ、さーどうでしょう!お互いまだまだうら若き身!所帯に縛られるには早いってものよ!も少し気楽に生きてみましょうよ!何処までもお供しますから! 

 

『うん!──それと武蔵ちゃん』

 

ん?

 

『私に告白なんかしたら・・・冗談だなんて言わせないよ?』

 

・・・・・・・・・(あ、ダメ、視線で堕ちますこれ。やっぱリッカさん、魅力的すぎぃ──)




村正「・・・なんだ手前ら、女同士でべたつきやがって、気色わりぃ」

武蔵「ハァァァンッ!!?(バスターコーング)気色悪くはないでしょお爺様!!訂正!見目麗しいと訂正願います!」

北斎「キタ!こいつぁ絵になるネタ広場だぁ!リッカ様よ、もっと色っぽく武蔵サン抱き寄せてやんな!腰に手ぇ回してアゴクイだアゴクイ!」

リッカ「こう?(耳ふー)」

武蔵「ひゃぁんっ!?ま、まさか雌声を漏らすとは!!武蔵・・・一生の不覚ッ!!」

村正「不覚だらけだろうが手前の人生はよ。そら、振り返りってんなら飯の一つも用意するもんだと神様が仰有りなすってるぜ?」

あまこー「ワフ!」

リッカ「あまこー!!持って来てくれたんだー!」

将門公『積もる話も在り、ならば共に語らん。釜の飯は囲い、上下は無きもの也』

武蔵「ありがとうございます!よーし!じゃあ早速──」

村正「まぁ待て。神様二柱がもたらしなさったもんは、即物だけじゃあねぇ」

北斎「腰を抜かしてひっくり返んなよぉ?──さぁ!御披露目でぃ!」

リッカ「え?モニター・・・?」

紅白着物の女剣士『龍神さま!武蔵さま!おひさしゅうございます!』

学舎衣装の男の子『おひさしゅう、ございます!』

リッカ「──!!」

『覚えておられますか?ぬいです!ぬい!今は筆と刀を振るう、書道絵画剣豪の見習いにてございまするよ!』

『姉が大変御世話になりました。田助にてございます。天照大御神様と将門公様の威光を伝える為に、神学を学んで修行中の──』


武蔵「──これは、とびきりの・・・!」

きよひー『おひさしゅうございます!!!好き!!』

リッカ「振り返りだーヾ(´∀`*)ノ!!」

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