人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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酒場前

ヘクトール「ふー・・・」

リッカ「あ!ヘクおじじゃん!なにしてるのー?」

ヘクトール「あ、こりゃマスターに王様と来たか。挨拶周り御苦労さん」

ギル「読めたぞ。貴様今見張りをしているな?一度顔を合わせれば血祭りが始まる輩がいよう」

ヘクトール「そゆこと。ヒッポリュテ殿の協力で、なんとかアガルタ組に行ってもらってはしているがね。念のためさ念のため」



ペンテシレイア「姉上!いつか必ずヘラクレスとアキレウスにリベンジを果たしましょう!」

ヒッポリュテ「う、うん。解っている、解っているからモーニングスターは止めようなペンテシレイア。怖がるから。破壊音が洒落にならないから、な?」



リッカ「それだけ~?敵に回ったのが後ろめたいとかじゃなくて~?」

ヘクトール「あら、お見通し?大分迷惑かけちゃったからさぁ。オジサン申し訳なさでさー。こんな風に・・・」

イッテ!ダレダアキカンナゲタヤツハァ!ゴミバコニステロォ!

「アキレウスに細やかな嫌がらせするくらいしかしてやれないのよ。ゴメンな。オジサン繊細だからさぁ」

リッカ(アキレウスに悪戯とかあなたしかできないよぉ・・・)

ギル「下らぬことを気にしおって。だがまぁ、貴様が静かに佇む方が好きだと言うなら止めはすまい。楽しめよ、偉大なる守護者」

ヘクトール「へいへい。そちらも、酒に弱いんでない?」

──ふへぇ

(エア!?)


カウントダウン11・オケアノス

「──問おう。そなたこそ、拙者の運命でござ」

 

「(射殺)汚物の放置、失礼いたしましたわマスター♪これはお詫びと、ほんの気持ちです♪」

 

「むふぉっ!!むふぉいっ!!!」

 

初手告白、射殺、チップという名の女海賊のハグ。海賊達のメイン溜まり場にして夜に賑わうアンメア酒場に脚を踏み入れたリッカ達を歓待したのは、アンのデンジャラスなハグである。超ド級のチップに、リッカは変わらぬ評価と叫びを高らかに上げた。いつもの事である。

 

「ごめんよリッちゃん。銀貨と僕らの部屋の鍵はポケットに入れておくからね」

 

「不始末は、身体でお支払致します♪」

 

「業務上の、射殺は・・・不始末では無いのでござったか・・・またリッカたんとの旅路で尊い事を教えられちまったぜ・・・デュフフ・・・」

 

「何ブツクサ言ってんだい。雑巾サマが仕事出来ないだろぉ?オラ、立ってアタシと王サマの酌でもしな!」

 

「いや、我は要らぬ。酌の相手は一人と決めているのでな」

 

──はひぃ・・・ふひぃ・・・よんは・・・えいごで・・・ふぉう・・・

 

(しっかり、エア!ボクはそんなボン、ボン、ボンなボディじゃないよ!柔らかいよ!)

 

早くもエア、酒場の酒気で撃沈。海賊達が毎日飲めや歌えの場所はエアの普段いる景色や雰囲気とは真逆である。フォウと見立てたおっきな樽にコアラのようにしがみつくエアを、フォウが懸命に介抱している。そして、今此処にいるのは海賊だけではないのだ。

 

「はー野蛮!粗野!不潔!なんで私、このメンバー帳簿に名前書かれてる訳!?もーっ!」

 

「いや、か?おれ、は、たのし、い」

 

「アステリオス?君には難しいかも知れないが、女性のいやはOKのサインさ。ほら、黒ひげ氏が読んでいる本だって──」

 

「それ以上を口にしたら、我が弓が貴様の眉間を貫くと予告しよう」

 

「あはははこわぁい!まぁとにかく、本当に嫌なら足なんて運ばない。君は安心して、女神の守護者でいてくれればいいのさ」

 

「うん!えうりゅあれ、おかわり?」

 

「ラム肉でお願い!やけ食いよ!どーせ体型変わらないし!」

 

「女神の守護者だって~!きゃー!ダーリンね!ダーリンの事よね!?リッカちゃん聞いた聞いた!?アルテミスの守護者オリオンだって~!!きゃー!ダーリンかっこいーっ!」

 

「ゴメンな、リッカちゃん。素面でいつもこんなんだからコイツ」

 

「大変だね、おりべぇ」

 

かつて、果てしないオケアノスを駆け抜けた頼もしい仲間達。アルテミス、オリオン、ダビデ、アタランテ、そしてエウリュアレにアステリオス。彼女らもまた、こうして同じメンバーとして集まっている。アン、メアリー、黒ひげ、ドレイク。そうそうたる海賊を含めた喧しいまでの大騒ぎ。そして、それに対抗した組織もまたある。海賊達を迎え撃った、天上を引き裂けし煌々の舟たる船長率いる──

 

「ぢぐじょう~!!なんで華々しい英雄譚からあんな下敷きみたいな結末なんだぁ~!!これもあれもメディアだ!メディアがうっかり八つ裂きなんかするからぁ~!!」

 

「また責任転嫁する。受け止め、省みる事が出来ないと前には進まんぞ。リッカやオルガマリーの爪の垢を煎じて飲め」

 

「うるさいヘラクレス!大体なぁ!お前バーサーカーでばっか呼ばれやがって!リッカに感謝しろよ!お前はアーチャーが冒険者としてのお前に合致してるんだからな!オレも毎回それで呼びたい!!」

 

「可哀想なイアソン様・・・いったいどんな悪辣な魔女に騙されてしまったのでしょう・・・」

 

「お前だよ!おーまーえ!!何が敵がいないから無敵ですね聖杯ブスーだ!英雄から海産物モドキにさせられた私なんて座に持ち帰られた身にもなってみろ!!」

 

「はぁ・・・。悪徳詐欺にひっかかるなんて。ケイローンの講義にも疑問符が浮かぶわね・・・」

 

「おいっ!そこは先生関係無いぞ、イアソンがふっつーにクズだっただけだ!」

 

「なんだとニンジン頭!やんのかぁ!!」

 

「あぁやってやんぞ!?戦車くくりつけて引きずり回してやっから踵撃ち抜いてみろやコラァ!!」

 

「あぁ楽勝だとも!!ヘラクレスはな!!さぁやれヘラクレス!!」

 

「リッカ。生ハムメロンは美味しいぞ」

 

「ありがとうヘラクレスー!うん!おいひーぃ!」

 

「シャアォラァ死ねウラァ!!」

 

「ヘラクレげぶぉぁああぁあぁ!!」

 

「酒に酔うほど心地いいのは解ります。ですがそのように騒いでばかりいると、ね?」

 

「があぁあぁあぁあぁあぁあ!!?関節極め超いてえぇえぇえぇ!!!」

 

海賊結成に始まり、女神の邂逅、アルゴノーツとの戦い、黒ひげとの魂の和解、ヘラクレスとアキレウスの一騎討ち、ギルガメッシュの圧倒、追いかけっこ、ヘラクレス(真)の誕生、魔神柱に対する王の財宝、王の軍勢のコラボレーション・・・酒の話題に決して尽きる事無き愉快な海の物語が浮かんでは、笑いを誘う話題となる。

 

「思えば、オルレアンからいた私が理性を取り戻したのもここからか。少し前は小さかったあの娘が、よくぞここまで。私は心から嬉しく思う」

 

「ヘラクレスにたくさん教わったもんね!戦い方とか冒険の仕方とか、狩りの仕方とか色々!そういうのは、ヘラクレスがバーサーカーじゃ教われなかった事だから。ホントに良かった!」

 

「そうだねぇ。オケアノスなんて言ってた海だけあって、それなりに大きな旅だったとは思ったが・・・全然だね、全然!アタシらの旅はじきに星空に行くんだろ?だったらこんなチンケな武勇伝じゃ、アタシらのマスター様は納得してくれないってもんさね!」

 

様々な困難があり、様々な苦難もあった。リッカの過去の一端もまた此処で垣間見られ、続く特異点にて披露される事となる彼女の半生も此処で語られた。沢山のものを託され、渡され、彼女は今日も生きている。

 

「アルテミスの弓、ヘラクレスのマント、くろひーの帽子・・・どれも大切な宝物だよ。今も、ずっとずっと大切にしてる」

 

「そりゃあ良かった。お前さんに渡した弓はアルテミスの祝福がみっっっっっっちり詰まってる。よっぽど祝福されたのが嬉しかったみたいだな。・・・ありがとよ、リッカちゃん。神サマは祈られるもんで、願われるもんじゃないからさ」

 

リッカの守護女神を主張して止まないアルテミスの加護は、変わらずリッカと共にある。狩りの女神と射撃の腕前を同じくする実力は、弓矢あってのもの。ヘラクレスの理性は、彼女の祈りあってのもの。海賊達の尽きぬ笑顔は、カルデアの奮闘あってのもの。

 

「商売、交易ってのは片方が満足してるだけじゃあいけない。お互いが得して、損してっていうのが肝心なのさ。アタシらはあんたに沢山あげたかもしれないけどね、その見返りはとーっくに貰ってるんだよ。リッカ」

 

「姉御・・・」

 

「それが何かって?そりゃあもちろん──あんたの人生そのものさ!全く!アルコール95%のキツい酒からよくもまぁこんな美酒になってくれたもんだよ!こっから先も宜しく頼むよ、アタシらの可愛いマスターちゃん!」

 

「ホァッ──う、ううん消えない!よーし、よーしみんなー!こ、このかわっ、可愛らしい!可愛らしい!!マスターをどうか、よろしくおねがいしまひゅっ!!かんぱーい!!」

 

「「「「「かんぱーい!!!!」」」」」

 

「リッカたん・・・とうとう自分を可愛いって言ってやれるようになったんですな・・・ヘヘッ、パイケットの守護龍サマが、立派になっちまってよぅ・・・」

 

「積もる話はあると思います。落ち着いたお酒、酔わぬ酒のチョイス。私が是非お教えしましょう」

 

「また講義を開け、参加してやる。──安酒の臭いには敵わんようだからな」

 

──むにゃむにゃ・・・ふぉうがいっぱいれふ・・・いち、に、さん、ふぉう・・・

 

(エア!それは空の一升瓶だよ!?)

 

リッカが音頭を取る時、エアはヘロヘロになってダウンする。そんな愉快な様子を、ギルとケイローンは静かに見つめ酒を飲むのであった──

 




メモリアルバトル

ドレイク
アン・メアリー
くろひー
エウリュアレ
ダビデ
アステリオス
オリオン
アルテミス

VS

イアソン
メディア
ヘラクレス
アキレウス
ケイローン
アタランテ

イアソン「はっはっはっはっは!!勝負にもならん布陣だな!ここまで勝敗がわかりきっていてはいっそ哀れと言うものだ!わっはっはっは!!」

ヘラクレス「じゃあ指揮は任せたぞイアソン」

アキレウス「てきとーにやるわー。好きにやらせてくれー」

イアソン「なんか士気低いなお前ら!?」

アルテミス「リッカちゃんリッカちゃん!もしリッカちゃんが良かったらなんだけどー、スペシャルパワーアップとかする!?アルテミス・アグノスとかシューティングスター・オルテギュアーとか使ってほしいなーって!」

リッカ「なんか字面からして強そう・・・!どんなの?」

アルテミス「えっとねー、アルテミスアグノスはー、後ろからリッカちゃんを私がぎゅってしてー、リッカちゃんのパワーがアップするの!全身爆散するかもだけど、リッカちゃんなら大丈夫!」

リッカ「何が!?」

「シューティングスター・オルテギュアーはね~!」

オリオン「ストップストップ!リッカちゃんの私物化はそこまでよ!あーリッカちゃん、その内意味は解るさ。オレが人型の時に、分かりやすく伝授するからさ」

リッカ「あるの!?人型!?」

アルテミス「ダーリンねー、グランドなのー!」

「グランド!?・・・ははっ、まっさかぁ~・・・──」

・・・そのあと、シミュレーションの大海横断レースにルーレットが指し示され、海賊の勘と経験により、戦闘分野でないアルゴノーツは敗退を喫した。

イアソン「ヘラクレスがいるのに・・・!負けた理由はなんだぁーっ!!」

ヘラクレス「本職に喧嘩を売るからこうなるのだ」

アキレウス「沈めちゃダメなんて辛いよなー」

酒場の後片付け、代金は全て敗北したイアソンの請け負いになりましたとさ。

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