ムニエル「しょ、所長!見てください!あの神のアビリティ!」
~
回避 無限
ガッツ 無限
無敵 無限
デバッグモード 全てのステータスをMAXにする
プレイヤー 物語のキャラクターからのダメージをゼロにする
真化融合 宝具ゲージを常にMAXにする
??? 全てのアビリティを無力化し体力を1にする
~
オルガマリー「フ◯ックマンチキン!!(力任せのキャラメイクでストーリーをごり押す事)」
ゴルドルフ「雑に盛ってきたなこの神とやら!?しし、しかしどうするのだねこれ!?力押しじゃ無理だよねこれ!?」
ムニエル「ふざけんな!マジで異次元から殴ってくるヤツがあるか!!神座シリーズでやれ!」
ロマン「皆、落ち着くんだ。この世界に完璧な存在なんていない。それは僕らがよくわかっている筈だ!思い出すんだ、僕らのギルを!」
~
御機嫌王「おのれ麻婆!!おのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれぇえぇーーーー!!!!」
~
御機嫌王「来い!!セイバァアァアァアァアァ!!!!」
~
「ガ─────!!!!!????」
~
「ギルはいつだって、勝ちたい戦いや突然の麻婆に負けてきた!それでも何度だって立ち上がったじゃないか!!」
「「「「「確かに!!!」」」」」
「諦めるな、絶対に付け入る隙はある!!」
「神様は楽園にいてくれる神達に信仰全部あげてるんだよ!」
ロマン「その通り!──あれ、シオン君?」
シオン「・・・よし!ネットサーフィン完了!見えました!あの神の矛盾!皆!ここは私に任せてください!」
オルガマリー「・・・策があるのね?」
「キラーパスになりますよ!」
「解ったわ!所長命令、実行なさい!もしもの際はオルガマリー・アニムスフィアの判断ミスとして全責任を取ります!!」
「うひゃあ、責任重大!そのためにも、リッカちゃんの振りきってる殺意メンタルグラフを鎮めなくちゃ!頑張れ、シオン!楽園での大仕事──!」
『最早戦いは無意味だ。私は降臨し、全てに幸せをもたらす。それは藤丸リッカ。お前にも例外なく等しく。私を滅ぼす事は、全てのFGOプレイヤーの幸せを滅ぼす事に繋がる。争いを止め、私を受け入れるのだ』
【・・・──】
名も無きマスターを倒した瞬間、その存在と願いを聖杯が受理。そして融合し現れた『万物を幸福にする』と宣う神たる存在。まやかしというには余りある実感と質量を持つ、聖晶石が詰まった袋を持つ、リッカを極限まで肥満化させたような姿の存在が直接脳内に語りかける。
『霊基、魔力量からして神を名乗るだけはある!聖杯にいくつかの神を取り込んでいたんだ、その存在は確かにやれそうな凄みを持っている!注意して欲しい、リッカ君!』
ロマンの言葉を受け、リッカは初めて口を開いた。その、自信満々の救済がどんなものかを訪ねる為だ。
【さっき言ってた、星5しか出さないようにするって言うのが救済や幸せなの?】
『そうだ。ユーザーは何のためにガチャを回すのか。それは最大レアを手に入れる為だ。自尊心を満たすためだ。最高の幸福を感じるためだ。その為にユーザーはガチャを回す。テーマパークや旅行、費用に匹敵する金額を。それらを自らの生活に宛てれば格段に水準が上がるものを、生活を切り詰めてでも。そして哀しみを懐く、絶望を懐く。望みが出なかった際に嘆くのだ。そんな負の連鎖を私が変える。必ず最高の結果をもたらす因果を皆に与えるのだ』
確率を、因果を弄り、そして調律し。最高レアのみを出すように、最も優れた結果のみを出すように。それこそが救い、それこそが幸福。だれも爆死しない、望まぬ結果に涙しない。それが自らが降臨した意義だという。
『お前達の王の無様な敗北も終わりを告げる。望めば望むほどアルトリアを引けるようになるだろう。これは、楽園が懐く唯一の不完全にして汚点、【ガチャの敗北】という澱みを取り払う救済でもある』
【───】
『望むがままに与えよう、勝利の美酒を。望むがままに捧げよう、射幸心を。争いは無くなり、マウント取りもなくなる。そこには完全に平等なソシャゲの姿が・・・』
神の言葉に、いよいよリッカの瞳孔が開ききった瞬間──
『いやぁ、ナイナイ!平等で完全なソーシャルゲームとか、そんなのは前提から破綻してますもん!』
【!】
『・・・何?』
新たなる財、楽園に選ばれた存在たるシオンが、神の論理に否を唱える。リッカの本能と思考に即座にブレーキが掛かった。彼女はもう、大切な人達の言葉や想いを置き去りにはしない。そのまま、シオンの言葉に成り行きを任せる。
『人間が作ったものに全知全能なものは何処にもありません。そこには不平不満や不平等があって当たり前。だってそれこそが尊重!不満や不平等だって、それもよしと出来るのが人類の適応力!人類の美徳なんですから!』
『何を言う。幸福、差別の無い世界。それこそ、人間が求める最大の理想ではないか』
『それ別に人間じゃなくてもいいんです。平等な、差別が無くなった世界なんてディストピアじゃないですか。全てが均一化されてるなら機械でいい。血と肉が通った人間ならではのエラー、揺らぎ。それが人間しか導き出せない答え。そう!人間は、機械や神が『エラー』と呼ぶものにさえ美徳を見出だせる発想の化身なんですから!具体例は、ちゃんと其処にいてくれます!リッカちゃんとバニヤンさんを始めとした、低レアを愛する全てのマスターの存在があなたという神の反証に他なりません!』
顔を見合わせるリッカとバニヤン。一見難しい理論だが、なんて事はない。低レアを愛する心。其処に生まれる愛や工夫。それこそが、人類とソーシャルゲームの魅力だとシオンは言う。
『低レアなんて言っちゃえばハズレ、エラーそのものです。神は当然切り捨てるでしょう。機械はそもそも、エラーなんて作らない。1+1は2と絶対に変わらない。平等な結果を求めるのでしょう』
『それの何が──』
『だがしかぁし!!人間は違います!低レア、ハズレと呼ぶ存在だって愛しちゃえます、好きになっちゃえます!何とか美徳や運用法を見つけ、使えば使うほど愛着を湧かせて、ハズレの低レアを何より素敵な大当たりに変えられる!1+1をイヤだといい、1+1を10にも1000にも変える!それが人間という生物の多様性、尊重!あなたが嘘っぱちと言った、人類の未来を行き止まりに絶対させない『可能性』という概念そのもの!どれだけ理想的でも、人一人の発想や思考に未来を任せたらデッドエンド確定なのはそれが理由です!神であろうと人であろうと、『一人では、一人分の可能性しか産み出せない』!どんなに素敵な発案だろうと、限界という蓋は一人格では取っ払えないのです!』
ね?とシオンはリッカにウインクを贈る。リッカの最悪の可能性にして限界であるアジ・ダハーカを、人類最悪のマスターに変えたもの。それこそが、姫が謳う尊重、王が愉しむ人類の歴史の多様性。『ラスボスが主人公とか面白くない?』なんていう呆れた発想の根源なのだから。
『そんな筈はない、そんな筈は。平等こそ、完璧な平等こそ・・・』
『そもそも皆が持ってるレアとか全然レアじゃないじゃないですか。それスタンダードって言うんですよ?人間の強欲さ舐めてます?皆が持ってるレア、スタンダードで満足するわけ無いじゃないですか。あなたがもたらす星5の平等なんて一瞬だけ。そのうち皆言うに決まってます。『限界突破させろ』『星6を実装しろ』ってね!人類の消費文明、ビースト産み出す貪欲ぶりは、神じゃ救えないくらいに膨れ上がっているんですよ!』
『・・・──平等は、ない、?私は、平等な、結果を』
『そもそもですね、マウント取るために皆課金すると仮定しましょう。少しでも優位になりたいから皆課金する。誰かの上に立ちたいからガチャを回す。それなのに誰も彼もを平等にしたらどうなりますか?そういう自尊心の肥大した人間は、別のお山を探しに行くんです。あなたがもたらした幸福は、FGOの世界の未来の剪定に他ならないんですよ!』
シオンの論破は続いていく。論理に、神というシステムにエラーを、思考の不備を無慈悲に叩きつけていく。それに比例して、神の霊基と魔力が加速度的に縮小していく。
『そもそも平等とか言ってますけど、低レアを出さなくする事で低レアを愛する人達は皆不幸ですよ?マタ・ハリを愛したマスター、レオニダス王を慕い、師事するマシュちゃん。コンラちゃんを愛するムニエルさん。そしてバニヤンちゃんを祝福したリッカちゃん。それらは皆不幸になるんですよ?』
『そんな、そんな、そんなはずはない。低レアは外れだ、そんなものを愛するものなどいる筈がない。ガチャの最高レアを引き当てる事こそが──』
『ほらね?あなたの思考は神になった事でとっくに袋小路!『低レアを愛する人達を幸せにできない』!あなたの神としての存在は、もう見るに堪えないロジックエラーだらけなんですよ!』
『あ、あ──ああああああああああああああああああああああああああああ』
シオンのだめ押しを受け、眼球を回転させ口から泡を吹きながらのたうち回る神。そう、最早神としてのシステムを維持できない。己の存在の欠落を突き付けられた事で、神は神としての格を奪われたのだ。
『よっしアイデンティティークライシス!神はどれだけ力を持とうともシステム、現象でしか無いんです!日本の八百万神達や本当に人を愛する心というバグを受け入れた神ならともかく、力だけしかない神は土台を崩せばこの通り!』
【えぐぅい・・・】
『今ですよリッカちゃん!このメタメタな空間の中心、無様な神擬きをやっちゃってください!!』
武力で仕留められた方が何倍もマシな、神としての存在の全否定。シオンの智恵とアトラスの叡智が見つけ出した出鱈目な『神殺し』に背中を押され、リッカが前へと躍り出る。
【──元々私は、貴女を絶対に赦すつもりはないよ。姫様の言葉を悪意を以て汚すヤツは、絶対に赦さないって決めてるから。姫様がいてくれたからあの御機嫌なギルがいてくれて、この旅路があるんだから】
『ああああ幸せ、幸せ、幸せ。ガチャを、ガチャを引いてレアを、レアを引いて、引いて、引いて、引いて・・・』
【私を幸せにしてくれるんだよね?──じゃあ、今から幸せにしてもらうね。私はね──】
のたうち回る神に向けて、両手の刀を振り上げる。振り上げた刀が一つとなり、見上げる程に巨大な神を遥か上回る、超絶なる大刀へと変化する。
【
振り下ろす刃、妖刀と守り刀を重ねた神をも引き裂く怒りと逆鱗の一閃。あらゆる神仏を叩き斬る、洗練の対極たるリッカの怒りの斬撃。その名は─
【
真っ二つに叩き込まれる巨大なる一閃。必殺の一撃を、正中線幹竹割りの要領で叩き込まれる。リッカの泥と魔力を、リッカの怒りの大きさの刃に形成する技量の極致たる神雷とは真逆の力任せの刃。それを受け、今度こそ神の終わりが訪れる──
名も無きマスター『そんな、そんな・・・!ここではガチャを回し放題だったのに!あの神がいれば、今度こそ爆死なんて概念が無くなったのに!あぁ、夢が、夢が覚める・・・!』
リッカ【・・・・・・】
『こ、の、独善の化け物!怪物!お前に何の権利があって、爆死に苦しむみんなの幸せを奪う権利が・・・!!』
尚、呪詛を吐き出す消滅寸前のマスターに、今度こそ、本当のとどめを刺す。
【・・・じゃあ、貴女を幸せにする本当の方法を教えてあげる。爆死も、お金も消えない最高の手段があるよ】
『え、本当!?私はどうすれば──!!』
すがり付く名も無きマスターに、静かに告げる。
【ソシャゲ止めなよ】
『ぐぎゃあぁあぁあぁあぁあぁあぁあああああああああああああああああ!!!!!!』
対話の龍としての全身全霊の言霊の直撃を受け、名も無きマスターは今度こそ完全に消滅する。
【・・・・・・──】
神へと至る為に使った、聖杯を残して。それをリッカが掴み取り・・・
【・・・はい、バニヤン】
バニヤン「リッカ・・・?」
そっと、バニヤンに返す。産み出された存在として・・・
【あげる。好きな世界を、好きな願いを叶えたらいいよ。バニヤンがやりたいことを、ね?】
「私が、やりたいことを・・・」
この狂った物語のピリオドを、リッカは彼女に委ねたのだ──
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