マシュ「むむむ・・・、・・・ま、まぁ・・・リッカ先輩は護衛のサーヴァントがいなくては活動できないマスターではありませんし」
シオン『?????』
「解りました、それでは安全確保のため、マシュ・キリエライトはボーダー守護に入ります!先輩に差し入れ所望の報をお願いいたします!」
イアソン「よぉし物分かりのいいヤツは大好きだ!オレのオチャメさでリッカも赦してくれるだろう!」
ロマン『余計な事をしちゃって自滅するのは君の起源なのかな?ほら、さっき・・・』
~ハンバーグパーティの傍ら、草原にて
イアソン「うぉおぉおバッファローが!バッファローが襲ってくるぅ!!?チクショウ、なんだ私もサーヴァントなんだからバッファローくらい行けると叩いたらマジギレしてきやがって!お待ちなんかうわぁあぁあ群れで襲ってくるぅうぅ!!」
ヘラクレス『ワァコワイ、イアソンユウシャガンバレ』
アキレウス『アキレウスシッテル、アンタミテーナノバカッテイウッテハハイッテタ』
アスクレピオス『すまない、付ける薬がない』
イアソン「助けろよお前らぁ!!ボーダー運転手がピンチなんだぞ!?血相変えろよぉ!?」
ヘラクレス『ふぅ・・・仕方無い。リッカに令呪を使ってもらいそちらに・・・』
「バカヤロウヘラクレス!リッカがオレとお前関係で令呪を使うグズの無能に見えるのか!オレとリッカを侮辱する気か!?」
『・・・──そうだな。冗談が過ぎた』
「解ったならいい!早く助けに来てそろそろ追い付かれそうなの早くぅ!!」
『よし!!』
「おうっ!!」
『ギルガメッシュにレイシフト許可貰ってくる』
「お前最強なんだから独断権くらいあるだろぉ!!?」
~そしてシカゴ到着の今。
ヘラクレス「必要な分だけお肉を貰ったからよしとしよう」
イアソン「もうバッファローになんか近付かない!マシュ!オレの盾になるんだぞいいな!」
マシュ「はい!お任せください!イアソンさんが死にそうで死なない、英雄メンタルボーダーを目指して守護します!」
「いかん!このなすびは天然リッカ産だった!」
シオン『え・・・特異点単独攻略?』
『下総と、セラフを少々』
シオン『───(ギャラクシオン顔)』
「「ついたー!シカゴだー!」」
シカゴ、そう。合衆国の中の国。極めてアバウトかつ広い都市という事ぐらいしか解らないシカゴに今、リッカ一行が降り立った。ひとっこ一人いない草原を一気に駆け抜け、目の前に広がるは知らない人がいっぱいにごったがえす合衆のうねり。田舎者がビルを見上げ都会スゲーというテンションにて、遠足めいたテンションのちびっこ達が声を上げる。
『長旅お疲れ様。このシカゴの何処かにバニヤンを呼んだ魔術師がいるという事なら、情報収集の御時間ね』
『よし、任せろ。ロマン、悪いが僕とアイリさん、それと・・・いいや、全員レイシフトさせてくれ』
『私を省こうとしなかった?気のせいよね?』
気のせいだ、との言葉と共にレイシフトが行われ、リッカの前にサブマスター達が現れる。地道な聞き込みには人手がいる。ということで皆の情報収集タイムということである。
「シカゴで、或いは都市や街、村では僕らも情報収集の為にレイシフトする。人手はあればあるだけいいからな。リッカ、君は現地のサーヴァントとの交流を優先してくれ」
「皆・・・!頼んでも大丈夫?」
「勿論よ。私達のリーダーとして、しっかりサーヴァントと縁を結んでちょうだいね?」
「待機だけでは鈍ります。こちらで何か見つけたら報告しますから、ごゆっくり」
「これ、当然みやげは持ち帰れるんでしょうね?働くんだから名産品くらい買ってもバチは当たらないでしょう!?」
それぞれのサブマスターが、リッカが行わなければならなかった些事や雑事を担当し行う。リッカへの負担を減らすのは勿論だが、そこに不平不満が漏れないのは彼女自身の積み重ねの成果だろう。自分から支えてあげたくなるみょうちきりんな隙があるのが、リッカの可愛げと認識されているわけで。
「君風に言えば、現地ヒロインとの好感度はしっかり稼いでおけ。好感度が足りなくてトゥルーを逃すのは無念だろ?」
「全くだね!ときにカドック、アナスタシアとの好感度はどのくらい?」
「さぁ、ね。向こうはラブかライクなのか・・・まぁ、多分ライクだと思うよ」
人の心は、解ろうとしなくちゃ解らないものだからな。そう言ってカドックは雑踏に消えていった。──真っ先に土産屋に足を運ぶ辺り、答えは愚問といった所である。
「リッカ、リッカ。ピザ、ピザたべよ」
ジャックが袖を引き、コーヒーショップを指差している。サーヴァントはお腹は空かないものだが、やっぱり生物の本能は簡単に消えないらしい。見るとバニヤンも興味深げにピザの広告を見つめている。
『カドックの御言葉に甘えなさい、リッカ。交流の相手はたくさんいる。選択肢を間違えたら即死もありうるサーヴァントとの多数の会話は、もうあなたにしか出来ないものよ』
「任せてよ!意志があるなら以下略!よーしジャック!ナーサリー!バニヤン!私に続けー!」
「「「おー!!」」」
自分にしか出来ない事をやるために、皆の期待を背負い、ピザに乗せて食べるためにリッカ達らは歩き出す。そう、サーヴァントを大事にする事は聖杯戦争勝利の絶対条件。まぁ魂の形が似すぎていても失敗するときは失敗するがそれはケースバイケース。
「いってぇ!てめぇこのアマどこ見て」
「すみません大丈夫ですか!?ぼーっとしていました、何処かお怪我は!?何か時計とか壊れていませんか!?骨は折れていませんか!?歩けますか!?」
「あ、え、ぁ・・・だ、大丈夫だ。悪いな、こっちもボーッとしてた、気を付ける・・・」
「はい、スリなどにはお気をつけて!お達者でー!」
「わぁ、すごーい!」
「しゃべっただけで悪い人を何処かにやってしまったわ!すごいトークね!」
「フッ、あの手の因縁付けは出鼻を挫いてしまえば萎むもの。これこそ龍の呼吸、壱の型。先制トーク・・・!」
そんな都会のいちゃもんもスルーし、リッカらは今度こそコーヒーショップに向かう──
~
「おいしーい!」
「はむはむ、チーズ、とろとろ。おいしいね!」
「うん・・・!素敵な味がするよー」
三人にピザと飲み物を頼み、リッカは静かに三人が食べているところを眺めている。自分はその光景で十分に満たされているので手はつけない。実際の所、どこぞのとうとみクソザコビースト程ではないがプレシャスパワーを力に出来るのだ。力にする前に本体にほぼ即死ダメージが入るだけで。
「一杯食べて~。おかわりもいいよ!」
「「わーい!」」
子供の笑顔こそ人類の宝。大きく育つんだよ・・・サーヴァント成長しないけど。そんなツッコミを頭に浮かべながら、リッカは彼女らを置いていった魔術師に告げる言葉を吟味し、黙考に耽る。予想が正しいなら、今回の相手はある意味自分の成れの果てとの戦いだ。サーヴァントを捨てるということは、逆説的に捨てられる程にサーヴァントと交流していたと言うこと。そして平行世界のカルデア。それらはつまり・・・
「マス、・・・リッカ、さん」
「ん?どったの、バニヤン?」
考え事をしていたら、脇からバニヤンが隣に座ってきたので思考を打ち切る。子は敏感だ。些細な感情の動体を容易に読み切る。きっと自分の感情を読み取ったのだろう。
「えっと・・・リッカさん、サーヴァント・・・好き?」
「うん、大好きだよ!」
ほんとう?そう訪ねるバニヤンに、リッカは即答を返した。魔術師の観点からしてサーヴァントは使い魔、奴隷に過ぎないのだが、リッカにとってのサーヴァントとは、尊敬と感謝の対象であることが揺らいだ事は微塵もない。
「サーヴァントとしての皆は一人残らず、私が生きている今を切り拓いてきた凄い人達。そんな人達と話したり一緒にいられるだけで凄い事なのに、力を貸して戦ってくれる。それ、凄く嬉しいんだ。『お前の生きる今と未来になら、力を貸してもいいかな』って思ってくれたって事だから」
「リッカさん・・・私も、リッカさんに何かをあげられてるのかな?」
「勿論!サーヴァントの皆、英霊の皆は私に生きる意味とか、戦う理由とか、もっと言えば人生全部をくれたから。バニヤンからも、たくさんのものを貰えてる。人類史の歩んだ積み重ねを、こうして一緒に共有出来てるだけで。もうバニヤンは、私にたくさんのものをくれたんだよ!」
命を預け、道を示し、より良い明日を目指して一緒に歩む。そんな奇跡が形になったサーヴァントへの感謝の気持ち。それが、自分がサーヴァントのみんなと触れ合う理由なんだとリッカは笑った。人それぞれ、マスターとしてのスタンスは違うけれど。リッカの場合、何よりも先に『尊敬』が来ているとバニヤンに告げる。今の歴史を作り上げた先人を、蔑ろに出来などしない。──家族だと言ってくれた人すら、現れてくれたのだから。
「だから、バニヤンも気にしないで。あなただって人類史の大切な一つ。誰か一人でも欠けたのなら私や皆はいないかもしれない積み重ねの一つなんだから!」
「・・・ジャックや、ナーサリーと、一緒でいいの?」
ジャックとナーサリーは顔を見合わせ、不思議そうに首をかしげた。理解できないお悩みを、共有したからだ。
「なにがダメなの?バニヤンはもう、大切なともだちなのに」
「えぇ。どんなに変な印刷で、どんなに不思議な絵でも。生まれたものは無かった事には出来ないわ。この世界にいらない物語なんてないの。誰かに知ってもらえたら、どんなに小さくても物語はそこにあるの!バニヤンだって、大切な物語よ!」
「二人とも・・・」
「そーゆうこと!──私が言われて、一番嬉しかった言葉を二つ言うね!」
バニヤンの生まれ、製造の目処は大抵ついている。それでも、だからこそ。リッカは心に刻んだ祝福の言葉を彼女に贈る。
「生まれてきてくれてありがとう、バニヤン!可愛い女の子なんだから、自信を持って!」
「・・・ありがとう・・・可愛い・・・。──うん!こちらこそ、ありがとう!」
「「私達も、生まれてよかった!」」
「皆、生まれてよかった!」
「「「「いえーい!!」」」」
何処か沈んでいたバニヤンの顔に、輝くような笑顔が宿る。
──彼女が受けた祝福は、彼女の言葉を通じてまた誰かを救う。力と身体はおぞましき呪いであろうとも、心とそれを乗せた言葉は輝きと祝辞に満ちている。
たくさんのサーヴァントから受け取った『それ』は、今を生きるリッカにバトンとして確かに受け継がれているのだ──
「「「「ご馳走様でした!」」」」
オルガマリー『リッカ、マシュがボーダーにピザを所望しているわ。買ってあげなさい』
リッカ「護衛サンキューなすび。マシュのこういう事に文句言わないでやってくれるとこ本当に好き~」
『本人の前で言ってあげなさいな』
リッカ「イキりなすびがすくすく育つからダメ~。お姉さん、かいけ・・・」
マタ・ハリ「ぐすっ・・・ありがとう、見知らぬあなた。あなたがそういう人で、良かったわ・・・あなたなら、星1であろうとも聖杯を捧げてくれる立派なマスターだと信じられるもの」
リッカ「え?あの、もしかしてあなたも・・・」
マタ・ハリ「ごめんなさい、私は戦わずして負けを認めた女。クラブに招くつもりだったけれど、もうあなたを敵と思えないの。だから、敗者としての情報をあなたに伝えるわ」
ナーサリー「あら、なんのお話かしら?」
ジャック「こぜに、ないの?かいたいする?」
「──私は、クラブ・ソサエティの女主人マタ・ハリ。・・・あなた達の捜す人物は、世界コロンビア博覧会にいる」
リッカ「──!」
それを告げた瞬間、マタ・ハリ・・・リッカらを貶めるために店員に扮していた女性は退去が始まる。役割を果たせなかったが故、マナプリ返還が始まったのだ。
マタ・ハリ「・・・私のマスターにとっては手酷い裏切りだけれど、それでも。陽の眼に映る本当の光を、欺く事は出来ないの。こんな私でも、英雄としてここにいるのだから」
リッカ「マタ・ハリさん・・・」
「愛を壊すことも、消すことも出来ない。消えるのは熱だけ、壊れるのは相手に懐いた想いだけ。・・・バニヤン、そして素敵なマスターさん。・・・人も英霊も、愛があれば生きていける。仮初めな現在でも、繋いだ心に愛は生まれるわ。それだけは、本当の・・・──」
オルガマリー『・・・反応、消失。恐らく彼女、リッカ達を罠にはめる役割を担っていたのね』
リッカ「・・・」
バニヤン「リッカ、さん・・・」
リッカ「──行こう。コロンビア博覧会へ。バニヤンや皆のいる意味は、ちゃんとあるんだって伝えに行こう」
一度失敗したサーヴァントに対する仕打ちを見、心の波立ちと頭の沸騰を覚えながら。核心の情報を得たリッカらは店を後にする──
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