人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

87 / 2547
「迷ったかメディア!我等が用意するは服のみ!二人がドキドキしながら着替えるのを見るのが我等保護者の使命!是(イエス)幼児、否(ノー)接触!魔女となりて、英雄の誇りすら手放したか――!!」

「私は魔女ですもの!知ったことじゃないわ!自らの手掛けた服を、自らが手取り足取り教えながら着せてあげる!それを無くしてなーにが着せ替え、何がメイクチェンジよ!笑わせないでちょうだい!」 

「貴様――!どうやら先に射ぬくは貴様だったようだな!!」
「ハッ、やる気?無慈悲な若奥様ドス捌きを見せてあげるわ!」


「容赦せん!二大神に奉る――!!」
「受けて立ってよ!万象、一切を原初に還さん――!!」


「あわわ」
「怖いのだわ、怖いのだわ・・・」


「「たすけて――!!」」

「――おうよ!ゴールデンを呼んだかい!」

「「ゴールデン!」」

「⬛⬛⬛⬛⬛⬛――!(いい加減にしないか)」

「「ヘラクレス――!!?」」


おお!圧制者よ!

『英雄王、英雄王。もうすぐガリアに到達だよ。起きる準備しなきゃ』

 

 

空中に浮遊せしヴィマーナ。鎮座し足を組み眠りについていた器の耳に、ロマンの通信が響く

 

 

 

――正統ローマと、サーヴァントを抱える連合ローマ、その両軍が激突せし最前線ガリア。そこに野営地を構える正統ローマ軍を、ネロ自らが鼓舞し応援する為、ネロ直属の軍と共に、マスター達が馳せ参じることになったのだ

 

敵の将軍はサーヴァント。いくらネロが万能の天才とはいえども、人智を越えた存在たるサーヴァントに唯人たる彼女一人では打開が叶う道理はなし

 

故に、サーヴァントを使役するマスター、守護を司りしマシュ。そしてゴージャスたる英雄王が参じる事となったのだ

 

 

「くぁ――全く。遠征に進軍とは面倒なものよな。マスターにマシュ、ついでにネロだけならばヴィマーナで直ぐに事足りるモノを」

 

『まぁ、それが軍だからねぇ』

 

ヴィマーナは最低速、オートモードで運用。真下にて行軍しているマスター達に合わせて飛行している。無論ステルスモードだ。抜かりはない

 

「我が面倒をみるのはカルデアの連中だけよ。軍を保つのは皇帝の仕事ゆえな。我が財にて運ぶ義理はない」

 

――自分はマスター達のそばにいるべきとは思ったのだが、死角からの進撃を見逃さぬよう、真上からの視点を用意したのだ

 

「我は大軍の進撃は好かぬ。征服王の真似事などする気にもならん」

 

『ま、物凄い数になるしねぇ。けど、できないとは言ってないんだろ?』

 

「当たり前だ。その気になれば大戦艦を用意し、財にて軍を完全武装するもおもいのままだ。――此度はマスターとマシュの育成が主眼ゆえせぬがな」

 

―――それと、本来の英雄王ならともかく、無銘の魂なる自分では選抜が間に合わないというのもあるのが、それを行わぬ理由だ

 

『君にいちいち驚いてたら身が保たないや。――さ、リッカ君の近くにいてあげてくれ』

 

「うむ」

 

起ち上がり、ヴィマーナから飛び降りる

 

 

――どんな戦いが待っているのだろうか

 

 

 

 

 

 

 

 

「皇帝、ネロ・クラウディウスである!謹聴を許すぞ!ガリアに参加せし兵達よ、余と余の民、そして余のローマの為の尽力、ご苦労であった!」

 

 

ガリアの野営地に降り立ち、ネロが鼓舞の言葉を張り上げる

 

「これより余が、そなたらの力となる!此方には一騎当千の将もいる!最早我等に負ける道理はない!今こそ!我等のローマを取り戻すのだ!!」

 

 

「「「「「皇帝陛下、万歳――!」」」」」

 

 

 

沸き立つ兵たち

 

――これが皇帝のカリスマ。分け隔てなく与えられる薔薇の輝きと言うわけか

 

 

「・・・あれ?もう演説終わり?」

 

きょとんとするリッカ

 

「まだまだビシィッとするかと思ったのに。ギルみたいに」

 

「ははは、我と比べては哀れに過ぎよう。あれはあれで懸命に考えたとすれば微笑ましいではないか、精々拝聴してやれ」

 

「え、英雄王は別格として・・・すごいカリスマです。これが全盛期のネロ陛下の人望・・・」

 

 

『うん。――でも不思議なものだ。これだけの人望をもった陛下が、晩年は・・・』

 

 

 

――そう、ネロ・クラウディウスの末路は、華やかさとは無縁なものだ

 

民からの信頼を失い、国を追われ――逃亡叶わぬと知り、自らに短剣を突き立て、自決したという

 

 

――これほど愛され、輝く彼女でも。幸福な末路は迎えられなかったというのか。――華やかなりし、薔薇の皇帝でさえも

 

――愛は、必ずしも永遠と言うわけでは無い、というものなのか

 

 

『辛気臭い話はやめよ!士気にかかわる!それよりサーヴァントの反応があるぞ、コンタクトしてみるがよい!』

 

思考を戻される。――そうだ。疑問は後回しにしよう。今は今の状況に集中しなくては

 

 

『そうだね、今は――』

 

 

「あなたたちがネロ公のいう客将?」

 

ロマンの言葉を遮る、包容力を感じる声

 

『また遮られた・・・』

 

「落ち込むな、いつものことだ――貴様は」

 

「あ、ごめんごめん。私はブーディカ。ネロ公に協力して戦ってるサー――あ、ネロはいないよね?」

 

――ブーディカ。聞いたことない名前だ。大きな胸、赤い頭髪、柔らかな雰囲気。

 

 

 

「ネロさんならあちらにて・・・」

 

 

「貴様、――クラスはアヴェンジャーか?」

 

器が口を開く

 

 

「~・・・」

 

「貴様が正統ローマにいるとはなんの皮肉だ?むしろ貴様ほどローマを滅ぼすに荷担するに相応しい英雄はおるまいよ」

 

――そう、なのか?

 

 

「・・・ううん。私はライダー。鋭いね、お兄さん」

 

 

「ハッ、貴様の名を知れば誰もが気付こう。ブリタニアの古き女王」

 

――自分は聞かない名前だが、器には心当たりがあるようだ

 

 

「今は、それどころじゃないからね。私は護るために戦ってる。――女子にそんなに無遠慮だと、相手に振り向いてもらえないよ?お兄さん」

 

「ハッ、女に選択権など与えぬ。振り向かせ、手に入れる。それが我の恋愛道よ」

――なるほど、眼中に入れてさえいるならば振り向かせられるのですね。相手が貴方を眼中に入れてさえいるならば

 

 

「でも、ギル!騎士王はッ!」

 

「言うな、つらい」

 

「二人とも・・・すみません、ブーディカさん」

 

 

「あはは、いいのいいの。――ネロがいないならいいや。私はサーヴァント。この時代に召喚されてね。で、こっちのでかいのが・・・」

 

「圧制者」

 

 

呟く男。――その身にみなぎる、歓喜

 

 

「え?」

 

「見つけたぞ、まみえたぞ、出逢えたぞ――その偉容、その眼差し、その威光――」

 

 

――歓喜に打ち震える、巨大なる男。無数の傷に、青白い肌

 

 

そして――朗らかな、笑顔

 

「ちょっと、スパルタクス!?」

「そなたこそ――圧制者の究極。圧制者の頂点!!」

 

 

全身に覚悟と信念をみなぎらせし異形の大男が

 

 

「――ネロめ。英霊を招くならばもそっと吟味を重ねるべきであろうが・・・」

 

剣が――自分に向けられ

 

 

「我が愛、我が生涯!!――今こそ貴方に捧げよう!!我が歓喜、我が躍動をここに――!!」

 

――迫る!

 

 

「汝を抱擁せん――黄金なりし!!圧制者ァアァアァアァア!!!」

 

「――フン」

 

――その男は

 

 

筋肉(マッスル)だった――!!!

 

 




「ギリシャ出身として謝罪します。申し訳ありません、オルガマリー」


「⬛⬛⬛⬛⬛⬛(節度を護れ、カルデアに迷惑をかけるな。私闘は赦さん)」

「「ごめんなさい・・・」」

「生け贄として、お好きなように」

「い、いえ・・・そこまでは・・・」


「どうだこのカチューシャ!ゴールデンにプリティだろ!」

「かわいい!」
「まるで、メルヘンな⚪ーさんなのだわ!」

どのキャラのイラストを見たい?

  • コンラ
  • 桃太郎(髀)
  • 温羅(異聞帯)
  • 坂上田村麻呂
  • オーディン
  • アマノザコ
  • ビリィ・ヘリント
  • ルゥ・アンセス
  • アイリーン・アドラー
  • 崇徳上皇(和御魂)
  • 平将門公
  • シモ・ヘイヘ
  • ロジェロ
  • パパポポ
  • リリス(汎人類史)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。