人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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舞台裏

ロマン「き、緊張するなぁ・・・大丈夫かなボク。劇とかには興味があったんだけど、人理焼却の備えとかでマジマジとは見られなかったんだよ。演じるとか大丈夫かなぁ・・・」

リッカ「大丈夫大丈夫!ロマンとシバにゃんとダビデで脚本監修したんでしょ!絶対いけるよ!」

ロマン「そ、それはそうなんだけどさ、よく考えたらソロモンの時ってボクが自分の意思でやった事って指輪返却しか無いって気付いたらもう台詞まるまる考える羽目になってね・・・解釈違いとかおきないかな・・・?」

ダビデ「本当に神様は酷い奴だ。ソロモンを代弁者として意思を剥奪するなんて。許されない行いじゃないかい?ねぇアビシャグ?」

オルガマリー「神に捧げたのは貴方では・・・?」

ダビデ「そうなんだけどね!」

ロマン「産まれくらいは選びたかったなぁ・・・(しみじみ)」

リッカ「あ、幕が上がるよ!がんばれー、カルデアの皆!」

「見せてやろう!ボク達が裏方ばかりが能じゃないってことをね!」




昼 劇演目──ソロモンとシバの三つの問いかけ 前編──

さて、今昼の演目はニ劇目。二つの物語を見たいと感じ、知りたいと感じてくださった皆様には感謝の言葉もございません。此度は清廉に、そして敬虔に生きるセイレムの皆様、そしてこの地域そのものに縁深い題目、聖書で語られる謎多き女王『シバの女王』、そして誉れも高き知恵の覇者『ソロモン王』との問い掛けの場面を主軸とした物語を語ると致しましょう。どうぞ、ごゆるりとお楽しみいただければ幸いにてございます。それでは、はじまり、はじまり──

 


 

二日目 ソロモン王とシバの女王

 


 

シバの女王(シバにゃん)「みなさーん♪もうかりまっかー♪シバでーす♪はろろーん♪」

 

彼女は南方の富める王国の女王。その国はアラビアの南か、アフリカの東か。その不明なる統治にて響くはその確かな見識。比類無き知恵者と名高きソロモンに心惹かれた女王は、砂漠を往き彼の王に会いに行こうと決意いたします。

 

砂漠とは、地平線まで続く砂の海。一滴の水すらない、死の大地。女王はその地を、王に逢う一心で乗り越えんと何百ものラクダと共に、闊歩し挑み、乗り越えんとするのです。

 

「ラクダはラクだ!・・・なーんて言いますけどぉ、砂漠越えは全然楽じゃありませーん。皆様には最適な旅行プランをお勧めいたしまぁす♪」

 

 

「女王さまおもしろーい!」

 

「美貌に似合わぬ軽さだ・・・いや、もしやこれが案外真実なのやも・・・」

 

 

ラクダの背には驚くべき莫大なる財宝が。黄金、宝石、貴重な乳香(提供・バビロンの宝物)。何千人もの兵と従者を連れ、ラクダの輿に揺られる女王一行。その様子から劇の幕開けとなるのです。

 

 

「ひわわぁ・・・どうしましょう・・・エルサレムにて、王不在!デデドン!なんてことになったら私、大損にて立ち直れないですぅ・・・」

 

従者(モーション、CG、アフレコ・ムニエル)「何を仰られますかクソァ!エルサレムはまだ彼方!港まであと二日はかかりますからね!まぁそんな事より見てくださいよこのあなた様の張り切りすぎな土産の数々!ラクダ二十にも乗りきらぬ百二十タラントの黄金!サファイアだの琥珀だの色々に乳香!これに応えにゃ男じゃないですって!クソァ!」

 

「そうだとぉ、いいんですけどぉ・・・」

 

 

「耳がひょこひょこしてる~!」

 

「尻尾もふりふりして素敵だわ!なんてお茶目な女王なのかしら!」

 

「従者から邪念を感じるのは気のせいか・・・?」

 

 

「まぁぶっちゃけこれは体面と見栄なので、積もうがどうでもいいといいますかぁ。・・・やっぱり、真の贈り物は、私のはぁとにぃ、といいますかぁ・・・神より祝福された生まれながらの王なのですよ?ムニエルくん?」

 

「男はですね、みんな美しい女の微笑みを最高の生き甲斐として生きてるんですよ女王陛下。先王の統治から確かにマシになったとはいえ、知恵の王ってピンと来ませんよ。クイズとか得意なんですかね?」

 

「百発百中ですよぅ!・・・あら、おやおや?」

 

そんな歓談を続けていると、前方に怪しい影が多数。財宝の噂を聞きつけやってきた盗賊の様。突然の忌むべき来訪者にもまた、決して挫ける女王ではございません

 

「ムニエル!出番ですよ!やっておしまいなさーい!」

 

「任せてくださいよ!こんな事もあろうかと、リア充を祝福するために鍛え上げた拳法を──ホアッチャァアァアァオ!!」

 

 

「すごーい!空中三回転捻りからの連続側転だなんて!」

 

「突進後方宙返りからのダガー一突き・・・強い従者だったのだな、あの冴えない従者は・・・」

 

 

頼もしい従者の助太刀で襲撃者を撃退した女王。じきに紅海の港へとたどり着きます。波止場でごった返すラクダの群れ。商人達の活気の喧騒。女王たちは何百隻の船を借り上げ、大船団にて紅海を北上致します

 

「さらば~♪砂漠よ~♪たびだーつシバは~♪」

 

「祝え!!御機嫌なるシバの女王を!!」

 

──やがて船団はアカバ湾の北端、ソロモン王の築いた湊町『エジオン・ゲベル』へと到着。イスラエル人は現れた見知らぬ国の女王の姿と、積み下ろされる莫大な財宝にさぞ驚いた事でしょう。

 

「はろはろ~♪あなたの私のシバにゃんでーす♪お見知りおきを~♪はいお見知りおきを~♪(舞台から下り子供達に飴を配る)」

 

「財宝にはおさわり禁止!女王には握手のみですからね!いいですね!」

 

これもまた『ソロモン王との出逢い』に負けず、数々の名画で描かれてきた壮麗な場面にてございます。再び陸路を辿る女王一行は、異国の牧草地を見ながら北を目指し。ついにエルサレムの白い城壁の輝きがかすかに見えようかと言う場所までやってきたのです

 

「ひわーーー!!あれがももしや、ソロモン様が作り上げたすげぇ白い壁!ムニエル!ムニエル見えますかムニエル!ついに来ちゃいました!来ちゃいましたよムニエル!落ちついて、落ちついてソロバンにてソロマン様に逢うためにソロバンを弾いて落ち着きますぅ!」

 

「いや全然落ち着いてないですよねアンタ!?」

 

感極まり喜びに耽る女王。しかしどうやら、何やら様子がおかしいようで・・・?

 

 

カドック(裏方)「おい、本当にアレが本物のシバの女王なんだよな?いや、文句を言うつもりはないが、あまりにも・・・」

 

ぐっちゃん(照明、演出)「シリアスを保たせられないの!?」

 

「あんたが言うのかそれを・・・」

 

オルガマリー「(レフ板)信じなさい・・・シバにゃん、ロマニ、そしてかの王が監修した本物の物語を・・・!」

 

 

「あーもう!控えめにいって頭に来ますよねこれは!」

 

「どうかしましたかぁ?ムニエル・・・ハゲてしまいますよぅ?」

 

「ハゲるかぁ!いいですか女王陛下!この谷間の村に足留めをくらってもう一週間!そろそろ出発しないと、兵士やラクダがホームシックですよホームシック!やだぁ、オラかえりでぇ、みたいになっちゃうんです!」

 

「ひわわ・・・エルサレムにパシらせた遣いはなんと?」

 

「送りまくりですよ、俺も向かって掛け合いました!そしたら門番の野郎『覚えがありません』『前向きに検討いたします』と門前払いをするのですよ!贈り物の目録見せてもダメと来た!控えめに言ってもう馬で蹴り飛ばしてやろうかと!」

 

「弱りましたねぇ~・・・じゃあ仕方ありません。私、ちょっと羊を見てきますね~。皆様は楽にしていてくださいと伝えてくださーい♪」

 

「ちょ、あんた!自分の身分わかってます!?」

 

奔放にて自由な女王は、ひょいひょいと軛を外し旅立ってしまいました。果たして女王は、かの知恵の覇者にお目通りは叶うのでしょうか?

 

物語は、更なる場面へ。ここにて彼女は、羊飼いと出逢うのです──




女王の侍女(演ダ・ヴィンチ)「おやおや、羊が寄ってくるよ女王陛下。よく肥えていて、毛づやもいい。まさにかの王が正しく地を繁栄させている証左と言えるだろうね?」

シバにゃん「いいですねぇ・・・ジンギスカン!鍋にするとググッと美味ですねぇ・・・羊は無駄な場所が無いんです~♪」

羊(鳴き声・カルデアスタッフの皆さん)「「「「「めぇ~、めぇ~」」」」」

そんな歓談を、束の間の休息を楽しむ女王の耳に届く、美麗なる琴の音。すると羊達が瞬く間に道をあけ、その音に目を閉じるではありませぬか

「やぁ、これはこれは高貴な御方。ご機嫌うるわしゅう?」

シバにゃん「・・・あなたは~?」

羊飼い(演・ダビデ)「見ての通り、しがない羊飼いさ。いたって無害で温厚。歌と踊り、大好きなお兄さんだよ♪」

そう、そこにいたのは羊飼い。彼こそ、閉ざされたエルサレムの門の鍵に他ならないのです──

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