ラヴィニア「い、いよいよね。楽しみにしていたわ」
アビゲイル「えぇ!リッカさんたちはどんな物語を教えてくれるのかしら!とっても楽しみ!待ちきれなくて眠れなかったくらいよ!」
ラヴィニア「き、きっと。活力に満ちた演目よ。絶対、いいものに、なるわ」
アビゲイル「・・・えぇ!」
~舞台裏
ギル『準備は良いな、貴様ら!今回の劇はただの演目に非ず。民草の心に潜む魔女を狩る戦いだと思え!!』
キャスト一同「「「「「「おー!!」」」」」」
『各自全力を尽くせ!さぁ──幕を開けよ!!』
控え室
リッカ「まさか私が役者までやるとか聞いてないよ!?ちょい役くらいならって思うじゃん!?えーとえーと台詞はえーと・・・!」
『・・・──馬鹿者!そう取り乱すでない!妾に手を当て、深呼吸せよ!』
「!?・・・、・・・?」
『ブックカバー付きの本』
「・・・あれ?これ、何処かで・・・」
マシュ「先輩!シェヘラザードさんが語り始めました!始まります!」
リッカ「えっ、あ、うん!」
(・・・不思議と、なんだか行けそうな気がする!)
~カルデア
ギル「よもや劇が特異点の鍵となるとは解らんものよ。小娘の心の行く先を決めるとあらば手は抜けまい。ま、ゴージャスである我が手を抜いた場面など存在せぬがな」
ロマン「あぁもう、ボクも見たいのに渡されたアーティファクトがヤバすぎて目が離せない!ジル!ジルを呼んでくれ!専門家の鑑識がいるぞこれは!幼女のプレゼントが物騒過ぎる!」
──わくわく、どきどき・・・
「邪神とやらも何処かで見ているかは知らぬが、レイシフトの制限が大幅に下げられ財の持ち込みも容易であったわ。──ならば見るがいい!3D、4DXCG総てに対応した珠玉の一座!『ゴージャス劇団』の圧倒的演目をな!ふふはははははは───!!」
ヘラクレス(君ならばやれると信じているぞ、リッカ・・・)
ヘラクレス。遥か地平の彼方まで伝説轟かす最強の英雄にして戦士。その名は『ヘラの栄光』を現し、並ぶものなき無双の英雄として語られ今なお色褪せぬ伝説を集めています。星座として、神としても祭り上げられし究極の戦士。その偉業の数々を全てあげつらえば、決して一晩では語り明かせぬものでしょう。
今昼の舞台では、彼の偉業の中でも最も有名で鮮烈なる物語、伝説の栄光たる「12の試練」の場面場面を皆様に語り、お芝居として広め、その血潮を沸き立たすヘラクレスの栄光を共に感じていただきたく思います。どうぞ皆様、心行くまでお楽しみいただければと思います。
~
「ヘラクレス・・・ギリシャの英雄・・・?初めて聞くなぁ」
「あれ?あの座長さん、リッカが役者もやるのか?」
「嘘!ヘラクレスって男性って聞いていたわ!?」
「まさか女性の座長がヘラクレスを演じるとはなんとも型破りな・・・」
(よし、掴みはいい感じ!頑張るぞー!演劇部助っ人としての力を見せる時!)
~
嫉妬の女神ヘラの策謀にて、自らの家族を惨殺してしまい発狂したヘラクレス。その罪を償う為にデルポイに赴き、太陽神アポロンの神託を伺いました。アポロンは罪を償う事を決意したヘラクレスに、こう告げます。
アポロン(演カルナ)「アルケイデスよ、お前の嘆きは伝わった。罪は消えねど、償わねば立ち行かぬと言うなら。お前の総てを懸けて試練に挑め」
ヘラクレス(演リッカ)「私に、何をしろと告げられる?」
「ミュケナイの王、エウリュステウスに助力し、十二の功業を打ち立てるがいい。十と言いたいが、おそらく難癖にて増えるだろう」
「承知した。我が身の総てを懸けて、冥府の妻と我が子に鎮魂と栄光を捧げよう」
そうして彼はエウリュステウス(演ゴルドルフ)に旨を告げ、遥かなる試練に赴きます。並の英雄では一つ果たせるかも解らぬ難題、その一つ一つを場面として追求していきましょう──
一つ。ネメアの獅子。ネメアの谷に棲む邪神エキドナが息子のオルトロスと交わり産んだ妖怪であらば、矢も剣も槍も通さぬ皮膚、そして筋肉を持っていました。その鋭い爪は鋼鉄より強く、唯一自分の皮膚を切り裂ける程の強さを持っておりました。
ネメアの獅子(演フォウ)「シシフォーウ!!」
「なんだこれは・・・たまげたなぁ・・・」
ヘラクレスは勇敢に立ち向かい、矢を射掛け、剣で切りつけましたがまるで通じません。棍棒で殴ってもびくともしないこの怪物にヘラクレスは──
「首を絞める!!君が死ぬか私が死ぬか、二つに一つだ!!」
「グギュフォウ・・・!ノウキンフォウ・・・!!」
なんと三日に渡り首を絞めることにより、この獅子を倒したのでした。ヘラクレスの武器とは、その肉体であったのです。ライオンは、天に登り獅子座となりました。
~
「筋肉すっげー!」
「なんと野蛮な伝説だ・・・!」
「え、これを11もやるのこれから?」
~
次はレルネ沼に住む蛇、ヒュドラ。極めて強力な毒を持ち、頭が9つもある大妖怪にヘラクレスが挑みます。
「ヘラクレスは賢い。首を斬れば生き物は死ぬのだ!」
勇敢なヘラクレスは怯まず剣で首を落としましたが、なんと切り落とした首から新しい首が二本生えてきたのです!
ヒュドラ(演 ゴルゴンシスターズ)「増えます。にゅるるんです」
「嘘やん・・・(ドン引き)」
そこでヘラクレスは甥のイオラオスに協力を仰ぎ、切り落とした首の切り傷を松明の火で焼いてしまう作戦に出ました。
イオラオス(演アレキサンダー)「ヘラクレス!今だ、不死身の首を!」
「ヘラクレスの怪力は、総てを斬り拓く!」
不死身の首を巨大な岩の下敷きにし、遂にこの魔物を倒したのです、が・・・
エウリュステウス(演ゴルドルフ)「バカモン!試練と贖罪と言うのに甥に助けを求めるとは何事か!甥が死んだらどうするつもりだったの!?」
「確かに・・・」
エウリュステウスに難癖を附けられ、ノーカンとされてしまったヘラクレス。せっかくなので毒を武器にしようと思い立ち採取した毒のみが戦利品となる、空しい勝利なのでした・・・
一つ。ケリュネイアの鹿。青銅の蹄と黄金の角を持つ巨大な鹿で、なんと矢よりも速く走れるという鹿。狩猟の女神アルテミスですら捕まえられないその鹿を、ヘラクレスに捕獲してもらうよう依頼しました。
アルテミス(演アルテミス)「お願いリッ・・・ヘラクレス!あの鹿を捕まえて!あ、殺しちゃダメだからね!私の戦車を牽かせるの~!」
「出題者は無理難題を仰る」
ヘラクレスはこの鹿を捕まえるため、丸々一年を擁しました。それほどに、鹿は速かったのです。
ケリュネイアの鹿(演フォウ)「シカ、フォーウ!」
「ヘラクレスの駿足!コーナーで差をつける!!」
「チョクセンオンリーフォーウ!」
「何ィ!?」
ヘラクレスはどうにかして生け捕りに成功し、無事にアルテミスに献上されました。
「ありがと~!ぎゅーってしてあげよっか?」
「試練残ってますので・・・」
エリュマントスの猪。山に住む猪。無事に生け捕りに成功しました。
「今さら猪など」
しかし悲劇は此処で起こります。道中ケンタウロスに食事に誘われご飯を食べていたら、間違えてヘラクレスがケンタウロス共有の酒を誤って飲んでしまいます
「美味」
ケンタウロス(演アキレウス)「何してんだテメー!!」
ケンタウロス(演イアソン)「それはよくない」
襲ってきたので返り討ちにしましたが、なんとその最中、仲裁に来たケイローンに誤って毒矢を当ててしまいます・・・!
「し、師匠・・・!!」
「いけません・・・暴力では、何も・・・」
ケイローンは不死身、ヒュドラの毒は不治。毒で死んでは生き返り、また毒で死ぬ地獄を味わい続け、見かねた神が不死を受け取り、介錯にて彼はようやく死ぬ事が出来たのです。
「星となって、あなたを見守っていますよ、ヘラクレス・・・」
「し、し、師匠───!!私は、私はなんと言うことを・・・!!」
ケイローンの死を深く哀しんだゼウスが、彼を射手座にし、彼は空の星となり弟子達を今も見守っているのです──
~
「ケイローン先生・・・」
「ヘラクレスのバカヤロー!」
「あぁ、神よ・・・いやほとんど神なのだが・・・」
一つ。アウゲイアスの家畜小屋。アウゲイアスは3000頭の牛を飼う王でありました。小屋と言えどそれは3000頭の牛を飼っているので、30年間も掃除されておりませんでした
沢山の牛(演 フォウ)「「「「「「ソウジシロフォーウ!!!!」」」」」」
アウゲイアス(演アステリオス)「そうじ、して、ほしい」
「任された。あ、掃除できたら牛の十分の一をいただきたい」
「いい、よ」
ヘラクレスは掃除にかかりました。その手段とは・・・
「どうだ綺麗になっただろう!!」
河の流れを力づくで変え、小屋の30年分の流れを一気に洗い流したのです。実に効率的で、神話的。皆様はどうぞ、真似をなさらないように
~
「「「「出来るかぁ!!」」」」
「ヘラクレスすっげー!!」
「リッカがヘラクレスに見えてきた・・・!」
「リッカかっこいいー!」
~
「バカモン!贖罪なのに見返りを求めたらそれはただの商売、営業だろう!無償でやりなさい無償で!申し訳無いけどノーカン!」
「ごもっともです・・・」
報償を求めた事を咎められ、これを功業に数えてくれなかったエウリュステウス。ヘラクレスは当たり前の事実を受け止め大変しょんぼりしてしまいました。
アウゲイアス「おうし、もって、いかない、か?」
アウゲイアスの妻(演エウリュアレ)「安請け合いしちゃダメよ!悪く思わないでね、試練なんだから!」
「試練終わったら貰いに来ます・・・」
後に難題を総て終わらせてから、彼は牛を受け取りにまた赴きましたが、それはまた別のお話であります──
シェヘラザード(プロンプター)「ふぅ・・・かの英雄の物語はこれで半分。これより先も容易な試練は一度たりともなく。ここで一息をつき、気持ちを落ち着けると致しましょう」
ヒロインXX「お手洗いは御早めに!」
子供「えー!なんだよ早く続き続きー!」
「ヘラクレスってすげー!」
「僕も身体を鍛えたらなれるかな、ヘラクレス!」
大人「なんと真に迫る演出だ・・・どうやってるんだ・・・?」
老人「こんなに子供がはしゃぐのは久し振りだよ・・・」
ナイア(評判は上々。その調子です、楽園の皆様。警備はお任せください──)
~
リッカ「なんで私がヘラクレスやってるんだろう!?ヘラクレス此処にいるのに!」
ヘラクレス「いや、私が個人的に君のヘラクレス演技を見たいと提案したら一斉可決されてな。私以上にヘラクレスだったぞ、後半も頑張るのだ、リッカ」
リッカ「ありが──とう?喜ぶ・・・喜ぶところ・・・?」
イアソン「中々のヘラクレス度合いだ誉めてやるマスター!後はお前が男だったら完璧だった!!」
「それヘラクレスそのものじゃん!!」
アキレウス「せんせぇ・・・」
ケイローン「劇、劇ですよアキレウス」
(ボク兼ね役多くない!?)
《エアの強い推薦だ。貴様ならば出来ると信じているのだぞ?》
(まだまだいけるぞぅ!!)
──フォウは最高の、けもの役者だよ!はい、手作りの金メダル!後半も、頑張ってね!
(ボクの演技に、存分に浸っておくれよ!エア!行くぞぉおぉ!!)
ゴルドルフ「レイシフト適性、あったのだね私・・・」
オルガマリー『隠しきれない人柄のよさ、お見事でした。エウリュステウス』
「それ役だからね!?」
マシュ(裏方)「後半に続きます!明日の更新をお楽しみに!」
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