人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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日間ランキングイン、だと・・・!?


こんな思い付きの物語に評価をくださったみなさん、本当にありがとうございます!あれ?これ自分の執筆してるやつだよな?とか目の当たりにしてたまげました

評価していただいた期待に報いることができるかは解りませんが、頑張らせていただきます!

本当にありがとうございました!


駆逐

戦闘、と言っても難しく思案する必要はそうない

 

要は二人の思考する空間があり、いかに相手の嫌がることをやり、いかに自分のやりたいことを押し付け、いかに敵を無力化するかが一つのサイクルだ

 

要するに……戦闘とは。より我の強い者が勝利と栄光を掴むのだ。簡単な話である

 

 

そして。我を通すという点で、この英雄王という存在に並び立つものはないと断言できた

 

無限の財がある

 

無限の可能性がある

 

何より、それを選びとる知恵がある

 

これを揃えている時点で。足下を掬われるとすれば油断、慢心以外にありえるはずもないのだ

 

 

そして、此処にあるギルガメッシュには、特異な事情でそれがほぼない

 

絶対的な強者でありながら、等身大の思考と感性

 

それの両立が叶う時点で、もはや並大抵の存在に遅れは取ろうはずもなかったのである

 

 

「貴様――あの人間達のサーヴァントか」

 

「そうなるな。この装いが浮浪者に見える筈もなかろう」

 

目の前に立つは、――得物からして、槍兵のサーヴァントであることが読み取れる

 

靄こそかかってはいるものの、背負った無数の武器、僧のような出で立ちのランサー

 

……日本の出身だろうか。真名は読み取れない

 

どうやら、影のサーヴァントの私情はどうでもいいということか。どうせ消える塵芥に、注視する必要はないと器は言っている

 

ただ、器に宿る魂に油断はない。こちらが負ければ二度はない。常に背水の陣なのだから

 

「一人で徘徊するとは阿呆の極み。貴様を貫き、首級を貴様の主に晒してくれよう」

 

「好きにするがいい。英雄の本分から逸脱した塵芥に出来るのならな」

 

……改めて気づいたのだが。どうも思ったことを口にすると、その言葉が尊大に変換され口をついて出てしまう

 

この器の矜持であるのだろう。常に傲岸不遜、常に他者を見下ろす王であれ、と

 

……別にこの英雄王の器を支配したいわけではない。望むのは、この器で魂を磨くこと

 

英雄の視点でものを見て、英雄の観点で事をなす

 

そして、懸命に生きる命を守護し、未来を護る

 

いつか、あの少女達が平和な未来へたどり着くために

 

 

そのときにきっと、自分は何かを為したと言えるのかもしれない。そう信じて

 

 

転生した自分に、出来ることを

 

「では、塵掃除といこう。何、すぐに終わるだろうよ」

 

 

黄金の波紋から、ビームを放つものとは別の剣を抜き取る

 

「吼えたな、黄金のサーヴァント。いざ――その生命貰い受ける!」

 

ランサーが構え、一直線にその身を槍として突進を果たす

 

確かにあった距離が零となり、そこに介在するは必殺の間合い

 

「ぬぅうん!!」

 

剛力と発破にて繰り出された一撃が、違わず自らの首に迫る

 

――が、その起こりを。立ち合いを。総て赤い眼は見通していた

 

 

僅かに首を動かし、一撃を避け、乱雑に剣を振るいランサーをつき放つ

 

 

「ぬっ――!」

 

驚愕の表情が見てとれる。当然だろう

 

渾身の一突きを、僅かな身動きでいなされたのだから

 

「どうした。この首、未だ繋がっているが?」

 

「面妖な身体捌きを使うモノよ……ならば連打にて打ち据えるまで」

 

「ハッ、貴様に次などもうありはせん」

 

 

――鮮血。そして、両断

 

 

「――――!!!?」

 

何故、と思考を巡らせる刹那すら遅い

 

 

ランサーの霊核は、すでに断ち落とされていたのだ

 

「あぁ、不可思議な顔持ちであるな?憐れゆえ説明してやろう。この剣はな、『一度振るえば、何か一つを斬った』という因果を確定させる代物よ。防ごうがかわそうが意味を成さぬ。『斬った』のだから『斬れた』という結果がついてくる」

 

 

「それで――拙僧の霊核を……」

 

 

「そういう事だ。肉達磨と汗を流すなどと暑苦しい真似は御免だからな。剣を選び、抜き取るのも一苦労よ」

 

「その労力に比べれば、微風がごとき一撃なんぞ……かわすのは容易かろう?」

 

「――無念……!」

 

霊核が完全に砕かれ、シャドウランサーは霧散した。呪詛も念仏も間に合わぬ刹那であったが故、あっけない最期ではあったが

 

「……ランサーで我に並ぶ者など、アレしかおるまいよ」

 

その言葉は、誰ともなく呟かれたモノであったが、一抹の寂寥を含むものでもあった

 

 

さて、目立つランサーは無事に下せた。次は――

 

「よし、御しやすいアレにするか」

 

――――

 

「⬛⬛⬛⬛⬛⬛――――!!!!」

 

 

「吼えるわ吼えるわ犬畜生が!バーサーカーはそうでなくてはならんな!」

 

 

暴風のような威圧と破壊を以てバーサーカーが荒れ狂う

 

次の獲物に定めたのはバーサーカー。理性を手放した狂戦士

 

筋骨隆々、長身豪腕の巌のごとき偉容。この器の背丈をも上回る体躯を持つはちきれん威圧の化身

 

うん。マスターを連れてこなくて良かったと思う。普通の感性持ちなら気絶しているだろう。その迫力に身がすくむ思いだ

 

幸いな事に、この器は欠片も物怖じしていないらしい。あきれた自信と自我だ。肉体がそうなら、自分も気圧されている場合ではない

 

「――――⬛⬛⬛⬛⬛⬛!!!」

 

振るわれる無双の一撃。強烈無比な破壊が地面を薄氷が如く木っ端微塵に吹き飛ばす

 

 

飛び退きが遅れていたら挽き肉であっただろう。サーヴァントの身体能力に助けられたな。

 

「さて、どう始末したものか」

 

 

そう口にしては見たが、案外と手段はすぐに思い付いた

 

バーサーカーは力とタフネスを売りにしているタイプだ。一目で解る。そこに理性というリミッターを解除しているのだからその暴威、推して知るべしだ

 

だが、逆に言えば理性を手放している以上、細やかな策謀に気を配らせる繊細さは消え失せているという事

 

なら、問題ない。頭脳となるマスターがいればいざ知らず、ただ暴れるだけの猛獣なぞ簡単に絡め取れる

 

黄金の波紋に手を伸ばし、黄金の杖を手に掴む

 

 

「うむ、これでよかろう」

 

 

効果を確かめ、あえてその身をバーサーカーの前にさらす

 

 

「そら、我はここだぞ筋肉達磨!その繊維の詰まった肉で我を砕けるならやってみるがいい!」

 

声を張り上げ挑発する。こちらに向き直るのと大地を砕き最接近を果たすのは同時だった

 

 

「⬛⬛⬛⬛⬛――!!!!!」

 

最上段に武器が振るわれ、刹那の先に死が横たわる

 

「――馬鹿め、死地に踏み込んだのは貴様の方だ!」

 

杖で大地を軽く打つ

 

それを合図に、バーサーカーを無数の手が捕らえ、天に捧げる供物が如く掲げられる

 

 

「⬛⬛⬛⬛!!?」

 

同時に辺りに『祭壇』が設けられ、迫り上がる

 

シャドウサーヴァントを贄に捧げるような体裁を成し、そして

 

「!!!???」

 

腕を、頭を、足を、身体を。無数の手が喰らうように蠢き、削り取っていく

 

「此は人身御供の原典、名もなき神々に捧げられし祭壇の宝具。捕らえた存在を贄と定め、その存在を貪り喰らう」

 

圧倒的だったその存在がみるみる喪われていく。喰われ、削られ、かじられ、貪られ。その痕跡を失っていく

 

「貴様はさぞ良い贄であろうな。一粒で二度ならぬ十二度美味しいなぞお得にも程があろう!」

 

 

「⬛⬛⬛⬛⬛、⬛⬛⬛⬛――」

 

 

やがて霊核を貪られ、完全に消失をはたすバーサーカー。僅かな残り香も、贄として意地汚く啜られた

 

「せめて次は頭となるマスターでも見繕うのだな。犬畜生が知恵ある者に勝つのは難しかろうよ」

 

ふぅ、と息を吐き、杖を蔵に回収する

 

 

さて、バーサーカーとランサーは無事無力化した。次こそが本命だ

 

 

アサシン――この存在を容認していては、おちおち歓談もできまい。少なくとも、一秒先にマスターの首が落ちているなどあっけない終わりは断じて赦すわけにはいかない

 

「さて、どうしたものか……」

 

「アサシンなら消えたぜ。俺が始末した」

 

 

背後から飛ぶ声に振り返る

 

 

「貴様は――」

 

 

「よう、いつかぶりだな。金ぴか野郎」

 

 

そこにいたのは、フードをかぶり、杖を構える蒼髪の男

 

「――なるほど、貴様がキャスターか。猟犬」

 

この器の、よく知る相手らしい

 




道具を説明しながら戦うその姿はまさにギルエモン

重ね重ね、これからもどうぞお願いいたします!

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