ライン!
響『師匠がリッカちゃんを相手にした私達の模擬戦をやりたいって!いい機会だよ!ガッシガシ鍛えようッ!』
リッカ「」
~
ソング シミュレーションルーム
風鳴司令「と言うわけで、今回強化合宿で相手をしてくれることになった藤丸リッカくんだ。響くんとクリスは顔馴染みだったな?自己紹介は必要か?」
クリス「鬼かよオッサン・・・リッカ、アタシのLINEで『アニメ見よー!』ってウキウキだったんだぞ・・・」
「はっはっは、心配するな。お詫びとしてリッカ君のライブラリに俺がセレクトしたカンフー映画を片っ端から送っておいたぞッ!」
リッカ「アリガトウゴザイマス」
ビッキー「やったねリッカちゃん!絶対強くなれるよッ!」
「ウンウレシイ」
クリス「ゴメンな、ホントゴメンな・・・アタシのプリン食っていいからさ」
翼「む、それはすまない。助かる」
クリス「あんたじゃねぇよッ!!」
切歌「只者じゃない風格デース!もしや・・・ラスボスデス!?」
調「アナザー響・・・」
マリア「聞いた話によれば、遠近中全てをこなすマスタークラスだそうよ。気が抜けないわ、皆!」
一同「「「「「マスタークラス・・・!」」」」」
クリス「ちげーよ!リッカの世界のマスターってのはサーヴァントを使役する役割でだな!」
風鳴司令「習うより慣れろだ!胸を借りるつもりでぶち当たってこい!!」
「「「「「「了解!!」」」」」」
クリス「聴けよぉ!!」
エルフナイン「アジ・ダハーカ・・・ゾロアスターの悪龍・・・あ、すみません!シミュレーション開始します!」
リッカ「────やったらぁー!!かかってこい美声美女どもぉー!!」
そんなこんなで
響「行くよリッカちゃん!!どぅおぉおおぉー!!!」
リッカ【せぇいっ!!】
「おぅおぉあぁあぁあぁあぁあーー!?」
マリア「あれはッ!ジャパニーズ!イッポンゼオイ!」
キリカ「ワザアリデース!」
翼「やるッ!ならばこの刃を受けてみよッ!」
リッカ【キャストオフッ!!】
翼「なんと!?──刃先が藤丸の身体を捉えられない・・・!?ならば上段からッ!」
【プットオン!!】
マリア「再び鎧で受け止めたッ!?」
クリス「何処のゲイツリバイブだッ!?」
翼「──ッ・・・白羽取りとは、お見事・・・ッ!」
マリア「切歌!調!クリス!こうなったら一斉攻撃よッ!」
クリス「苛めかよッ!?あーもう、アタシはリッカに付くからな!」
切歌「オンドゥルルラギルデスカー!?」
調「ミッチ」
クリス「はぁ!?」
リッカ【急に歌う皆の対策は知っている──ッッッッ⬛⬛⬛⬛⬛⬛ーーーー!!!】
エルフナイン「しゅ、周囲一帯の空気振動、掌握されました!リッカさん以外の音は音になりません!」
風鳴「ドラゴン・ハウリング・ジャミングだとッ!?」
クリス「カッコよくいってんじゃねぇって!本気にさせてどうすんだよ!?」
響「こうなったら私達も!」
翼「あぁ、もはや全霊あるのみ!」
マリア「行くわよ、皆!」
「「「イグナイトモジュール!抜剣ッ!!!」」」
クリス「すんなーーーー!!!」
数分後・・・
切歌「マスター・・・まさにマスターリッカなのデース・・・」
調「魔術師は、なんでも出来る・・・ガクリ」
マリア「私達は・・・井の中の蛙だったッ・・・鍛え直さなくちゃ・・・!」
翼「極みの剣・・・拝見、光栄でした・・・!」
風鳴司令「得るものが多い、素晴らしい交流だった・・・!ん?彼女はどうした?」
エルフナイン「食堂に・・・」
~
クリス「ほら、私の奢りだ!食堂旨いんだ!帰る前になんか食っていけ!今度はアタシ達が行くからな、なっ?」
リッカ「もぐもぐ・・・もぐもぐ・・・」
ビッキー「ゴチになりますッ!!」
クリス「オメーもゴチるんだよッ!?」
そんなこんなで、転移したのが数分前・・・
「ぷっはーっ!!この為に生きてますなぁー!ブラックコーヒーや大人の魅力は私には早い!やっぱりミルクの甘さが一番だよね!マスター!」
「いや、別に僕はマスターでもここの家主でも無いんだけどな・・・なんで誰もいないのに店が開いてるんだここ・・・」
カドックと、カドックからしてみれば突然入ってきてぐったりしていた同い年くらいの少女・・・少女でいいんだろうか。その姿があまりにも疲れきっていたので仕方無くカウンターに立ちミルクの一つを振る舞ったカドックが、そんな風味の所感を溢す。すべてが夢で終わったのか、という感傷を手にしたイースターエッグが打ち消す。どうやらあの証明も、奮闘も、夢では無いらしい。それにしても・・・
「閻魔亭ですれ違って以来だね!元気だった?えっと・・・えっと・・・」
「・・・カドックだ。カドック・ゼムルプス。まぁ、あそこにいたのは成り行きなんだが・・・いや、僕の話は別にどうでもいい」
見たところ、彼女もどうやら一般人では無さそうだ。想像を絶するほどの身体の傷跡、感じる尋常ではない魔力・・・とてもでは無いが普通と片付けるには異様に過ぎる。何処の封印指定の魔術師なのやら・・・
「カドック・・・、───私は藤丸リッカって言うの!好きな事はサブカルチャーとコミュニケーション全般!嫌いなものは・・・」
「・・・リッカ?──待て、今お前は『リッカ』って言ったのか・・・!?」
「え?そ、そだよ?どったの?えっと、漢字はなんか、龍に華って書けって皆が・・・」
アナスタシアが言っていた『リッカ以外の魔術師は最低』という発言。あの気難しい皇女がそれほどまで気を許し、同時に評価する相手。・・・呟いた名前と、目の前の少女の名前が合致する。まさか、目の前にいる女の子が・・・カルデアの──
「・・・・・・・・・いや、なんでもない。なんでもないんだ、驚かせてごめんよ、藤丸」
「え、あ、そう?良かった、なんか怒らせちゃったかなぁってビックリした!アニメとか嫌い?」
「見たことはあんまり無いな。・・・丁度いい。君に頼みがあるんだ」
キョトンとするリッカに、カドックはあえて、あえて追求をせずに問い掛ける。きっとここだけだ。互いが何の立場もなく話せる機会。何故か舞い込んできた機会は、きっとこれきりだから
「君の話を聞かせてくれ。多分だけど・・・君は最近波瀾万丈の旅をしてきたんじゃないか?」
「わ、当たってる!会話で先手取られたの初めてかもしれない!お話かぁ、いいよ!さーて、何処から話そっかな~!」
恐らく、きっと彼女こそが。『アナスタシアの本当のマスター』で『世界を救ったマスター』なんだ。そんな彼女が、どんな旅路を、世界を救う旅を行ってきたのか。少しでも理解したくて──
「まず私はね、普通の人間じゃないんだ。えっと・・・人類悪だっけ?あれを人工的に造り上げようってプランの生け贄に選ばれた成功例。それが私です!」
「・・・は・・・?」
其処から聞いた話は、そんな理解の遥かな先を行った。行きすぎていた。人類悪としての力を宿すマスター、世界全ての文化と娯楽を集めた楽園と化したカルデア、数多無数の、未だ現世に留まる英雄達。何れ飛び立つ、宇宙の果て。沢山の特異点、ぐだぐだなイベント・・・
「で、産みの親も、新しく私の親になってくれた人も私は手にかけたけど・・・沢山の出逢いと素敵な人が支えてくれたお陰で!私は立派な人類の未来を担うマスターとして頑張れている訳です!」
そんな驚愕の情報を、なんでもない事のように放つこの少女は嘘を何一つ言っていない。全て事実であり、彼女が歩んできた軌跡であることを、理解せざるを得なかった
「・・・・・・・・・」
アナスタシアが言っていた最悪のマスターの意味を理解した。彼女は一歩間違えればこの世界の全てを滅ぼす存在だったんだ。そして、彼女はこの世界を絶対に護り、救うだろう。その揺るぎない意志の前に何が立ちはだかろうとも。例え袋小路に陥った世界であろうと、この時代より繁栄に成功した世界であろうとも。【彼女は絶対に、彼女が護りたいと願った世界以外の未来を認めない】。そんな揺るぎない決意と決心が、彼女の言葉からしっかりと、ハッキリと伝わってきたのだ。
「・・・どうして」
・・・だが、気圧されてばかりもいられない。彼女の耳を疑うような事実に押し込まれたが、本題を忘れてはいない。どうしても、カルデアのマスターに訪ねたいことが、投げ掛けたい疑問があるんだ
「どうして、君は・・・そこまで、頑張れるんだ?」
自分のさっきの戦いの動機は、証明だった。自分の価値を証明する。自分だけの意味を掴む。かつてはカルデアのマスターみたいに出来るんだと。今は、あの皇女を失望させないようにと。
懸命に足掻いて、もがいて、死ぬ思いをして、ようやく小さな街をまるまる救えた。自分の価値を示す。そんな理由でようやく救えたものの何億倍もの重さを背負って、どうしてそんなに戦える?どうしてそんなに笑えるんだ?自分はアナスタシアや皆がいなかったら、潰れていたかもしれないのに。
知りたいんだ。カルデアのマスターが、君がどんな想いを懐いて世界を救ったのかを。何のためか?誰の為か?それは、どんな理屈なんだ?僕は知りたい。世界を救う為には、何が必要なのか──
「決まってるよ。私、この世界が大好きだから。この世界と、この世界に生きる皆の未来が大切だから頑張るの。正義とか理屈とか理念とか、ぶっちゃけどうでもいいの」
「・・・え・・・」
「『私が護りたいから護る』し、『私が救いたいから救う』。何度だって、何度だって。だってここは私の大切な人達が生きる世界で、皆が造る未来があるんだから。それを奪おうとするヤツを、理屈抜きでブッ飛ばす。結果的にそれが──」
結果的に、ブッ飛ばす相手が世界を脅かす相手だから。世界を救う事になるのかな、とリッカは笑った。小難しい理由はいらない。自分がそうしたいから、そうするべきだと信じているから。
「私の、世界の救い方なんだよ。きっと。私・・・この世界に生まれて良かったし、生きてて良かったって思ってる。だから・・・世界を救うのは、恩返しでもあるのかな!」
生まれて良かった。生きていて良かった。幸せだから、幸福だから。それを奪うヤツが許せない。皆の、友達の、仲間の未来を害するヤツを許さない。未来を奪うヤツを、皆が紡ぐ歴史を無価値と断ずるヤツが許せない
「──きっと、私を救う側に置いてくれる世界は・・・此処だけだから」
「・・・!」
その呟きには、人類悪の宿業を背負わされた少女の、真理の一端。楽園の皆が救ってくれた自分だからこそ、至った答え。──【
「だから、私は私を受け入れてくれる世界を絶対に護るし、救う。正義とかは、他の世界のどこかの誰かに任せてるんだ。私は救いたいっていうのと同じくらい・・・【滅ぼされるのを認めない】ってだけだから」
だからこそ、自分達が生きるために他の未来を摘み取る事になろうとも。迷わないし、折れないし、挫けない。自分達が生きるために、滅ぼすことを躊躇わない。それが、自分が背負っている
・・・割と機密事項なのだが、問われた以上は答えるのがリッカのルールだ。【それにきっと、この秘密は共用のものとなる】。リッカの金色の瞳は、カドックをそう捉えている。
「──それが、君の戦う理由、か・・・」
正直な話、想像を絶していた。背中を追いかけようとしていた相手は全容すら見えない程に巨大で、雄々しく、凄まじい程の覚悟を決めていた。以前ならば、また心にもない言葉を吐いてちっぽけなプライドを護っていたのだろうが・・・
「・・・藤丸、いや。リッカ」
ここにいる少年は──、皇女が認めた、最高の遊び相手なのだ。
カドック「好きな飲み物とか、あるか?」
リッカ「え?・・・ゼロカロコーラとか、オレンジとか・・・」
カドック「作ってやる。君が頑張って帰ってきたら、どこかのバーとかで、僕が必ず作ってやる」
リッカ「え、本当!?」
「あぁ、必ずだ。誰もが君を誉めるだろうし、称えるだろう。でも、だからこそ生まれる重圧だってあるだろうし。一般人の感性じゃ重すぎる責任だって向き合わなきゃいけなくなるかもしれない。そんな時・・・」
そんな時、みっともない愚痴や弱音を吐く場所になってやる。頑張って頑張って、頑張らなくちゃいけない旅路の給水所くらいにはなってやる。それくらいなら、僕は君にしてやれる。
僕だって、や君みたいに、なんて思い上がりも甚だしかった。今なら解る。『僕らは皆で背負うものを、この娘に総て押し付けたんだ』。張り合う事なんて馬鹿げてる。今なら解る。自分がやれることは・・・この重すぎる荷物を背負わせてしまった彼女が、潰れないように・・・
「僕が、普通で凡庸で一般人な僕が、その目線で君の苦労を聞いてやる。非日常でおかしくなりそうな感性を、僕が保たせてみせる」
きっと、支えてやることなんだと。かの時間を過ごしたカドックは、リッカとの向き合い方を定めたのだ。
「──ん!ありがとう!カドック君!」
そして、それを受けたリッカの笑みは。心から浮かべた、嬉しげなもので。そんな彼女が浮かべた笑顔の尊さは、即座に理解できるもので。
「・・・またな、リッカ。またすぐに会うと思う。その時は」
「うん!プレゼント用意しておくね!バイバイ!」
飲み終わり、元気に退出するリッカの姿こそが、人理を救った彼等の報酬なのだと理解して。
「・・・」
『オルガマリー、必ず僕はカルデアに行く。枠は・・・補欠マスターと、バーテンダー枠だ』
少年は、即座に成すべきことに駆け出したのだった──
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