~
『何でもいいさ!今のキミなら、なんだってできる!街に行って人と会って、誰かを好きになったり嫌いになったりして、愉快に人生を過ごすんだ!』
~
『僕は世界を変えられないし、人類を変革も出来ない!だけど、頑張る!キミの最後の命令通り、頑張るから!だから、のんびり待っててくれればいい!』
~
・・・──あぁ。君からは、本当に色んなものを貰えたな
だからこそ、だからこそだ。
・・・今の
取り戻したいんだ。君が、俺の知る君ではなくても
君は、俺の知っている君であるのだから──
『クエェエェ!!』
『素早い・・・!』
上空、夜闇の戦いにて邪竜とヒポグリフが戦い火花を散らしながら飛行し互いの領空を蹂躙する。互いに人ならざる巨体同士、互いの主を助けんと奮闘し咆哮をぶつけ合い凄絶な死闘を繰り広げているのだ
そんな中、ジークはヒポグリフの飛行の妙に舌を巻かざるを得なかった。縦横無尽と思えば一直線、一直線かと思えば一撃離脱。竜という巨大な相手の持ち味を完全に封殺した戦法を繰り返し、ジークに主導権を握らせない戦いを行ってくるのである。一撃当たれば決着すれど、その決着が近くて遠い。感嘆と驚きを浮かべながら、ジークは懸命に抵抗を繰り返す
(主の欠落を埋めるための奮起か・・・!しかしヒポグリフの主は確か別の存在だったような・・・)
アストルフォは宝具を借り受ける事の多い英雄であり、ヒポグリフも確かそうだった筈である。それでもこれ程までに健気で献身的なのは、一重に彼あるいは彼女が誇り高い性分だからであろう。ジークは少なくとも、そう感じそう思ったのだ。
『ぐっ・・・!う!』
攻撃を透過され、カウンターにて啄まれる。猛禽の嘴にて穿たれたダメージは決して小さくない。それが幻獣ならなおのこと。・・・そして更に、想定外の事態がジークを、そしてリッカを苛むのだ
【っ、く!あれ!?この人ホントにアストルフォ!?】
『・・・・・・』
弓矢をジークの背中にて放って迎撃していたリッカにアストルフォが肉薄し、馬上槍を閃かせ襲い来る。この動作と所作にリッカは目を剥く事となった
【こんなにっ、『上手かった』っけ・・・!アストルフォ、ォウ!?】
的確に間合いの外から攻め、的確に間合いを計り完全なるタイミングで離脱しヒポグリフに乗り込み距離を取る。主導権を握らせない実に巧みな一撃離脱に戦術眼。リッカの知っているアストルフォとは似ても似つかない合理的かつ理知的な振るまいに、リッカはある種の感動すら覚えていた。目の前にいる存在がアストルフォであると信じられないほどに
『認めるしかないぞ、リッカ!アストルフォは・・・!』
【うん!アストルフォは・・・!】
そう、間違いない。これは認めるしかない。かのアストルフォはジークの知っているアストルフォよりも、リッカの知っているアストルフォよりも・・・
『【理性や知性が無い方が強い・・・!!】』
普段の理性が蒸発したテキトー極まる戦い方は影も形もない。騎士としてサーヴァントとしておおよそ文句のつけようのない所作と勝利に近付く合理的な戦術。目の前にいるサーヴァント、アストルフォの再現体は再現体であるが故に本人より厄介なのである
かつてアストルフォは月へと赴いた事があるという。その月には失われたあらゆるものが存在しているといい、アストルフォはそこに旅立った。其処から帰ってきたアストルフォは別人のように理知的になっていたという。そう、彼の理性は蒸発し失われているのが普通なのだ。だが、失われた理性に邪魔されないアストルフォは極めて理知的で理性的な騎士なのだ。本来のアストルフォ、と言ってもいいだろう。今回は再現体のみで、蒸発するべき理性と、阻害される意志がない。ならば残るのは技術と洗練された殺人の技術のみ。そう。彼に限り、彼は本来のアストルフォより何倍も厄介なのである
『クエェエェ!!』
『ぐぅうぅうっ・・・!』
角笛を吹き鳴らしながらアストルフォとヒポグリフが迫る。それは恐慌を巻き起こせし宝具、魔の笛ブラック・ルナ。聞いただけで精神に尋常ではない恐慌を励起させる音色。ダメージは無いが動きが停止する音の暴力にてジークが停止した隙にヒポグリフがジークの胸を貫く
【ッ!この!】
衝撃と同時に背中に飛び乗ってきたアストルフォがリッカに迫る。槍と剣を抜き出すより早く、奥義を開帳する精神を乱しながら、黄金の馬上槍を一息に──
【はうおっ!?──っあぁあぁあぁあぁあーーーっっっっ!!!】
鉄の塊にてリッカの『スネ』を叩きつける。脚を消されたポルナレフ、叩き付けたアルミンが如くに絶叫し転げ回るリッカ。アストルフォの宝具『
【スネがぁあぁ!!弁慶の泣き所が大変な事にぃいぃい!!あぁあぁあ超痛いこれぇ!!】
転げ回りに転げ回るリッカ。ヘラクレスも数分悶絶する急所の部分はリッカでも痛い。意外や意外、彼女らに善戦するのがアストルフォという番狂わせ。理性と意思なきライダーに、二人は翻弄されていたのである
『リッカ!大丈夫──』
そう、ジークが声をかけようとした・・・瞬間であった。異変は、更にもう一つの存在に訪れていたのだ
『クエェエェ!?』
尋常ではない様子で驚いたように、ヒポグリフが跳ね回る。アストルフォが背中に飛び乗ろうとしたにも関わらず、驚異的な錯乱ぶりを見せたのだ
『!?何事だ・・・!?』
困惑するジーク。原因を考案し、やがて即座に答えに至る。それは滅多にあげない、リッカの悲鳴に端を発していたのだ
(リッカの声をドラゴンの咆哮として誤認したのか・・・!幻想種の頂点としての咆哮に・・・!)
リッカの鎧を通している間、度を越した絶叫は咆哮に変換される。喉に負担はかかるものの、全てを畏怖させ吹き飛ばす規模の咆哮を再現可能であるのだ。第六特異点にて、トリスタンに披露したものがそれである。それにヒポグリフが反応し、本能的な畏怖にて暴れ出したのだろう。ヒポグリフ自身に意志があるからこその逆転の糸口だ。ならば──
『リッカ!叫びだ!相手の態勢を崩すには叫びしかない!叫ぶぞ、いっしょにだ!』
【いたたたた・・・!?叫び!?シャウト!?】
『そうだ、ジャイアン並に叫ぶんだ!それならきっとなんとかなるはずなんだ!─行くぞ!!』
大きく息を吸い込むジーク。よく、意味は分からなくともジークを信じ息を吸うリッカ。そして一瞬の静寂の後──
『【───⬛⬛⬛⬛⬛⬛!!!!!】』
心胆を揺るがし万物を震わす咆哮が空中に響き渡る。心在らば折れ耳在らば潰れ咽在らば叫ばずにはいられない圧倒的覇者の絶叫。二体のドラゴンブレスシャウトが空間を伝播し、そして──
『クエェエェ!!クエェエェー!!』
畏怖と恐怖に駆られたヒポグリフが暴れ、戦意を喪失し跳ね回る。覇者の咆哮を間近で受けたヒポグリフは最早戦闘処では無い。生物の本能に従い離脱せんと無茶苦茶に暴れまわり、遂に『アストルフォを取り落としてしまった』のである。空中に投げ出されたアストルフォへ──
『今だリッカ!止めを!』
【わ、解った!超高高度からのぉ───!!!】
龍の翼を生やし、一直線にリッカはアストルフォに飛び立つ。抵抗せんとしたアストルフォの顔面に頭突きを食らわし、完全に隙を捩じ込んでから叩きつけし渾身のニードロップ──
【
高度数百メートルから叩き付けられる渾身のニードロップ。最早抵抗など無意味な程に決まった技の一撃の直撃を受け、アストルフォの胴体と首が寸断され決着と相成る。次いでヒポグリフも猛烈な勢いで付近へと墜落を果たした。ジークがちきゅうなげオマージュにて叩き投げた様子である
『大丈夫か、リッカ。無事に、なんとかなったな』
【うん!強かった、アストルフォ・・・!シャルルの仲間だもん、弱いはず無いよね・・・!】
いつもとは違う、この大戦ならではの強さ。アストルフォの一面を垣間見れた事を、ちょっぴり嬉しく思うリッカであった──
アキレウス「おぉ、上から落っこってきたのはやっぱアンタらか!派手にやったなぁオイ!」
ジャック「おかあさんかっこいい!すごーい!」
フラン「ウゥー!」
リッカ【あははは、ありがとう・・・地味に一番強い相手だったかも・・・】
ジーク「冷徹に徹すればアストルフォはこんなにも強い、か・・・参考になったいい戦いだったな・・・」
アキレウス「うわっ、アザになってるじゃねぇかヒザ!大丈夫かよ、おぶるから掴まれ!」
リッカ「あ、ありがとうアキレウス・・・あいたたたたた!思い出したら!思い出したら!!あいたたたたた!!」
アキレウス「しゃんとしろ!ヘラクレスの弟子なんだろ!」
ジャック「おかあさん、大丈夫・・・?さすさすしてあげよっか?」
「ありがとう、ありがとう・・・あいたた、でも出来れば、そっとしてあげて・・・!」
ギル「負傷するとは珍しいではないかマスター。防備を丹念に砕いていたら時間切れにて消え去ってしまってな。手空き故、朝焼けでも見に行くか?」
アキレウス「ナイスだタクシー!リッカを運んでやってくれ!そんでこいつ意外と重ェ!」
リッカ「お、重いとか言わないでぇ・・・」
ギル「ふむ、禍根を残すはその口の軽さか。身軽なのは健脚だけにしておけというのだ。まぁよいわ、乗れマスター!ヴィマーナ、飛翔するぞ!」
リッカ「脚が痛くて乗れないんだってばぁー!」
ジーク(・・・だけど、知っているし解っているよ。君の魅力や強さは、武力なんかじゃないということは、ちゃんと)
「・・・普段は弱くて、肝心な時には誰よりも強い。──君は、本当に型破りだな。アストルフォ──」
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