人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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在りし日の記憶──



先生「それでは自己紹介を・・・」

東風谷早苗「東風谷早苗と言います!早速ですが皆様は神様を信じますか?実はですね神様と信仰には・・・」

1時間後

「以上です!よろしくお願いします!」

生徒(なんだこの子・・・)

(やべえ)

(リッカに任せよう)

東風谷早苗「誰か質問はありますか!」

休憩時間

早苗「・・・また、誰も来てくれませんか・・・」

(本当に人の心から信仰は消えてしまったのでしょうか・・・お引っ越し、最後になりそうですね・・・)

早苗と名乗る少女は各地を転々としていたらしい。何やら目的があるようで・・・

「あの~」

可愛くはあるものの宗教勧誘のヤバさからかかわり合いを持たれず孤立していた彼女に・・・

早苗「ぐすん・・・、・・・?あなたは?」

リッカ「あなたのお話、もっと聞かせて?」

リッカは、率先して声をかけたのである。実のところ、彼女は神様より・・・

早苗「!!守矢入信希望ですか!」

「ううん、早苗ちゃんとお友達になりたい!」

「えっ・・・?私と、私個人とお友達に・・・!?」

可愛い君と仲良くなりたかったとし、感激した早苗とメアドを交換し、一学期の間リッカは早苗と仲良く学生らしく過ごした。早苗は転校と布教のせいで友達がいなかったらしい

リッカも珍妙で元気な早苗を気に入り、神社に遊びに行ったりしていたが、夏休みの終わりにまた早苗は転校しなくてはならないという

「私に、こんなに仲良くしてくれてありがとうございました、リッカさん。・・・私、信者や信仰者はたくさんいましたが・・・実のところ、対等な友達は一人もいなくて・・・」

リッカ「そうなの?でも気にしないで。離れてても、何処に行っても、私は早苗ちゃんの友達だよ!忘れないから!」

早苗「はいっ!私もリッカさんの事、絶対忘れません!お引っ越し先で、立派なアラジン神になって一人前の巫女になったら・・・必ず、また会いに来ますから!ですから、どうか・・・お元気で!」

リッカ「うん!またね、早苗ちゃん!」

・・・夏休みが終わったその後、早苗の家であった神社の場所には何もなく、学校に早苗の事を覚えていた人間は誰もいないという事が起きて。全ては夢だったのかなと首を捻ったリッカであったが・・・それは夢ではなくて

リッカ「!」

『大好きです!リッカさん! 早苗』

・・・カエルの被り物をした少女に、みさえヘアーの威厳ある女性と一緒に笑顔で笑う早苗の画像と、プリクラの写真が送られてきた事が、彼女との時間との証明となった。

そして、リッカは思い出すのだ。とある弾幕シューティングに、彼女と同姓同名のキャラクターが活躍する度に。彼女は元気にしているかな、と

・・・そんな、現実と幻想が交わった一夏の思い出を、彼女はファヴニールの呟きにて思い出したのである



シッダールタ「それにしても毒の一気飲みとは。如何にしてそのような苦行を?」

「まぁ正確には『毒キノコって美味しいみたい!』って私が言ったら旨味成分抽出してくれたから飲んだだけなんだけどね!美味しかった!セミ様ドン引きしてたけど!」

「いやはや無茶ばかり・・・」

リッカ「・・・シッダールタさん・・・誰かに、雰囲気が似てるような・・・」

シッダールタ「おや、本当にござるか?」

「あ、見た目は似てないよ!見た目は・・・うん。人間のせいで台無しにされちゃったから・・・」

「それはそれは。・・・本来のその方は、どんな姿だったのやら」

リッカ「うん。・・・きっと、心に見合う綺麗なビジュアルだったんだろうなぁ・・・」

ファヴニール『・・・あぁ、きっとそうだ』

そして、招かれた城塞にて──





ミレニアゴージャス城塞

「フッ、ようやく我がマスターの凱旋か。些かばかり熱烈な歓迎であったな、リッカ?」

 

ミレニア城塞──そう呼ばれるルーマニアの城塞の内部に案内されるままに導かれた玉座の間。其処にて第一声をかけしはなんと、先程空中にて戦闘を繰り広げていた筈の御機嫌王、ギルガメッシュであった。それを見て仰天したのは紛れもないリッカである。いくらなんでもフットワークが軽すぎる・・・!

 

『御安心ください、マスター。目の前におわすのは紛れもなく、ワタシ達が知る御機嫌王にてございます!』

 

肌身離さず持ち歩いているギルガメタブレットより、SDデフォルメされたギルガシャナがぴょんぴょんと跳ね健在をアピールする。どうやら間違いなく、戦闘帰りの王のようだと納得する他無かったのであり、それに疑問を挟むことすら無粋と割りきり膝をつくリッカに、飴を放りながら傍らにいるケイローンに顎で説明を促す。玉座に座する黄金のその姿は、うらぶれた城ですら絢爛に輝かせるほどの王威である。

 

「承知しました、御機嫌王ギルガメッシュ。──夜が明ければ彼等は撤退します。撤退というよりは消滅ですが・・・どうやら大半は、この御機嫌王が蹴散らし追い払った後なようで」

 

「試し撃ちにしてはそれなりに良く出来ていた的であったわ。いくら絢爛なりし英雄と言えど魂が入っておらねば木偶の域を出ぬゆえ、適当に流しただけではあるが・・・それなりに窮地であったな、マスター?」

 

「面目無い!助けてくれてありがとう!」

 

「よもや本当に、ヘラクレスが自分の生き写しなる弟子を取っていたとは・・・失礼、感激で涙が」

 

少しばかり涙ぐむケイローン。どうやら情報交換はある程度行われていたようだ。シッダールタが流れるような所作で甘い疲労回復の珈琲をリッカに振る舞う。その珈琲は、リッカの好みの味付けにピッタリであった。

 

「わ・・・美味しい!シッダールタさんスッゴく美味しい!」

 

「光栄ですな。いやぁはは、君の好みをあちらの王から聞き及んだので。・・・それではケイローン氏、御説明をお願い申す」

 

「──ええ。まず、この戦争は、通常の聖杯戦争・・・七クラスのサーヴァント、七人のマスターが殺し合うそれとは異なります。そちらの聖杯戦争は、こちらの王が経験豊富なようで」

 

「我が財を許可なく簒奪せんと蠢く賊どもを処断する為に何度か赴くのでな。まぁ、今の我には参加する理由など微塵も無い些事よ」

 

『宝物庫にたくさんありますからね、手頃な聖杯!整理整頓していたらいっぱい見付けたのです!』

 

「はい、本来聖杯とは手頃ではない。ここテストに出ますよ、シッダールタくん、リッカ殿」

 

はーい、と右手と左手をあげる二人に微笑み説明を続ける。この聖杯大戦は冬木の大聖杯の緊急システムを利用した七体と七体、14騎の争い。その規模から『聖杯大戦』であると呼称されるものだと大賢者は補足する

 

《シリーズ皆勤王たる我が参加しなかった数少ない作品でもある。所詮外典と言えばそれまでだが、まぁ是非もあるまい。ただ勝ち抜くだけならば我に寄生虫がごときマスターも凡百の英霊も不要なのだ、さぞかしバランスに頭を悩ますだろうよ》

 

(ほとんどマスターが内ゲバや初期退場で終わっちゃうのが残念なんだよねぇ。やっぱり多対多は難しいよ)

 

それぞれの所感をフォウとギルガメッシュが語るなか、にゅるんとエアが皆にティーカップを渡しシッダールタがさらりと淹れていく。そして・・・その大戦は終わったものだとケイローンは更に付け加える

 

「勝者となり大聖杯を所有したのはあのファヴニール、ということになるようです。我々は聖杯大戦の際に召喚されたサーヴァント、その再現体です」

 

「・・・再現体?」

 

「この世界にはトゥリファスとやらの街、あの空中の庭以外の土地は存在しない故、ここに人が有る筈もなく。言うなれば大聖杯による、聖杯大戦のシミュレーションフィールドと言うべきでありますなぁ」

 

シッダールタが言うには、本来ケイローンらは思考など無い、戦闘を繰り返すだけの疑似生命体。しかし無限に等しいシミュレーションが、知性と理性、サーヴァントとしての記録を彼等に埋め込んだと言うのだ。自分はそのついでのみそっかすのようでははは、と気ままに引きこもっていたのだと言う

 

「言うなれば『ケイローン』というサーヴァントの初期スタートといった感じでしょうか。この小さな世界でのみ、我々はサーヴァントに限りなく近い存在なのです。・・・ここまではよろしいですか?質問があればお答えしましょう」

 

「はい!敵の数が知りたいです!」

 

「ふはは、笑顔で聞くがいい。聖杯大戦とやらにて召喚された14の内、12が我等の敵である事を我が至宝が確認した。中々に良い塩梅の戦力比であろう?」

 

「普通にそれ詰み案件ではござらんでしょうかゴージャス殿・・・」

 

「何を言う。理性も知性も無いのだ、有象無象と何ら変わりはせぬ。朝日を待てば消えるとの触れ込みであったが、我等の月見酒を害したのでな。12騎纏めて蹴散らしてやったわ」

 

自分が終わらせては興醒め。たったそれだけの理由でたった一騎で12騎を相手取り、消滅寸前まで蹂躙してきたと鼻を鳴らす。御機嫌王にとっては、戦いなど同じ土俵に立つものすらほぼいないのだ。この絶望的な戦力差も、ハンディキャップにすら到達していないのである

 

「王ってやっぱり凄いのですなぁ・・・」

 

「誉めるな誉めるな、我等にとっては朝キャストオフ前よ。管理者たる邪竜に詳しき話は聞くがいい。我はしばし席を外す」

 

荘厳に玉座を立つ御機嫌王。何処へ?問われれば無論、この寂れた廃墟を我色に染め上げるのだ!と愉快に笑い応える。どうやら在中はするものの、戦闘や行動方針はこちらに一任してくれるらしい。

 

『皆様、また後でお逢いしましょう!いつも心にウルクの輝きを!』

 

変わらなすぎる王に、ほわほわした姫様。その様子に一安心するリッカ。・・・同時に、あの竜の事への疑問が頭を過る

 

「はいせんせー!あの竜は誰なのでしょうファヴニールって名乗ってましたけど!」

 

「正しく、彼はファヴニール。邪竜と呼ばれし存在です。彼は管理者であり、このシミュレーションを停止させるのが願いである協力者です。──一刻の猶予もありません。その願いを阻む力を、彼等は手に入れてしまった。我々の行った数千数万の殺し合いの、最終段階です」

 

「然り。ケイローン氏や此処にはおらぬアキレウス氏が自我を手にしたのは、かのファヴニール殿が苦肉の策にて自我を目覚めさせたが故。・・・しかし、彼は優しかった。兵器や装置であるものに、人の心を備える残酷さに迷っていたのですな。兵器や装置は人のようには生きられぬ。されどそこに魂宿れば四苦を甘受し苦悩する。諸行無常に過ぎましょう」

 

先立ちは、色々と辛いものですからなぁ・・・と目を細めるシッダールタ。逃げ場はない、そんな隙間はないという。そして次はファヴニール、マスター、御機嫌王・・・は規格外なのでどう対処するかは読めない。つまるところ・・・

 

「──辛いかも知れぬが、また戦いというわけです。気持ちの準備はよろしいですかな、リッカ殿」

 

「!──うん、勿論!私はファヴニールの願いを叶えてあげたい!だってその為に、私はここに招かれたんだから!」

 

一分の迷いもなく即断するリッカ。その輝く程の真っ直ぐさを目の当たりにしてか──

 

「・・・本当に、立派になられた。よくぞ、こうも朗らかに・・・」

 

何やら呟き、おもむろに炊飯ジャーにて御赤飯を炊き始めるシッダールタであった──




そして、シッダールタの導きによってリッカは中庭へ招かれた。其処には美しき庭園が再現されており、中心にファヴニールが静かに座している。

ファヴニール『無事で良かった、リッカ。君がいてくれて良かったと思う』

リッカ「そっちこそ!流石ドラゴン!パワフル~!」

シッダールタ「うむうむ、鈍ってはおらぬようで何より。そして苦渋の判断、実に英断でござった。無秩序に思考する生命体を産み出す事を躊躇う心が、ですぞ」

ファヴニール『・・・だが、躊躇が事態の悪化を産んだ。まさか思考能力がないままに宝具を発動するに至るとは。咄嗟にケイローン、アキレウスをサーヴァント化させるのが精一杯だった。・・・罪深い事に、変わりはないが。割とやむ』

「夢見ファヴニール・・・」

『しかし責任はとらねば。この姿ではすこれないだろう。──君達の力となるため、端末に意識を移す』

リッカ「ふぁ?端末?」

『あぁ。──ゆっくり待っていってね』

その言葉と同時に、輝きが竜より放たれ辺りを覆う。そっとリッカの目に手をかざすシッダールタ。──その数瞬後に・・・

?「・・・うぇるかむよーこそじゃぱりぱー、やめなさいそのでぃずにえいがー。・・・よし、成功だ。彼と過ごしてきたお陰で、この視線の高さも声の感覚も忘れずにすんだ」

リッカ「なんか中性的かわいい俺っ子キター!?」

シッダールタ「ふむふむ、素体は私と同じホムンクルスのようで。御名前はいかに?」

「あぁ。・・・ジークと、そう呼んでくれ。これからは君のパートナーとしてぶち飛ばしていくつもりだ、シクヨロ。──そちらの、シッダールタ君も」

「こちらこそ、でござる。同じホムンクルス同士仲良くするでござるよ。では早速・・・鼻塩塩ですかな?」

リッカ「あれは今から34万・・・」

ジーク「14000前だった気がする」

リッカ「なんで二人エルシャダイ知ってるの!?トゥリファスって秋葉原だったの!?」

シッダールタ「聖杯の知識ですな、知識。ねー」

ジーク「ねー」

リッカ「聖杯・・・ぐっと親近感湧いた・・・!!」

・・・その様子を見た教師や姫は、ふと感じたという。まるで、気心知れ合った親友の様であったと。

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