人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

754 / 2547
ギルガメッシュ「ほう?よもや世界の裏側に招かれるとはやるではないか。困難と試練が手招きを行う。つくづく我に相応しきマスターよ。微塵も気が休まらぬは困り者だがな」

──裏側?それはまさかユニコーンやペガサス、イエティなどがいる世界の裏側でしょうか!

フォウ(それそれ!しかしリッカちゃんが何故今頃?割と人間で幻想種に対抗できる無二の人材だけどさ)

《さてな。──丁度良い。かの裏側にて隠匿を決め込む偉霊、寂しく伴侶を待つ竜めに勧誘をかけにいこうではないか。エア、お前も裏側に興味があろう?》

──参るのですか!?はい、王が赴いてくださるのならば是非!やったよフォウ!遠足だよ遠足!楽しみだなぁ!おやつのバナナと、おやつじゃないバナナを持っていかなきゃ!

(例えが可愛すぎるよエア──バナナ推しだねエア──そうだ、裏側ではボクにお乗りよ!何処でも連れていくよ!)

《よくぞ言った!では我がまたがる栄誉をやろう、迅速に我等を運ぶのだぞ珍獣!》

(誰が!お前なんか!乗せるか!!)

──わくわく・・・!・・・しかし、王が仰有る勧誘とは、一体・・・?


ハロー・カルチャー・ドラゴン

『突然の事で、大層デデドンしたと思う・・・が、落ち着いて聞いてほしい。別に君は一度死んだわけでも転生トラックに轢かれた訳でもない。確かに存命し今を生きている。一生懸命説明するが、最終的にはドントシンク・フィールしてもらいたい』

 

空中にて、濃紺の夜空にてどういうわけか浮いているリッカに、超巨大な竜・・・要するにドラゴンとされる姿をとる何者かが語りかける。どうやら自分は、また何かしらの手段にて招かれたらしい。精神だけを器用に、である

 

「成る程ぉ・・・私もついに守護者デビューしたかなと思ったけどそんな事は無かった!そっか、夢かぁ!」

 

『そうだ。これは夢だ。ドリームであり現在の君の肉体は相変わらず楽園にてスヤァしている。心配しないでほしい。──本題に入ろう。君を呼んだのは他でもない。君の力が必要だからであり・・・』

 

すっ、と背筋を伸ばしたように見える竜が告げる。まぁ、ざっと言えばいつもの事のようであり勿体つけることのない・・・

 

『今この世界は大変マジでヤバい。君の力が必要であり一緒に困難にゴーしてほしいという誘いなのである』

 

「オッケーでっかいドラゴン!私に任せて、どんな困難も指先一つでダウン・・・は、言い過ぎだけど必ず解決に導いちゃうよ!」

 

・・・慣れすぎではないだろうか。だがそれでこそ君は君らしい。そう納得しながら頷く謎のブラックドラゴン。君なら、そう受けてくれると信じていたと言葉を紡ぐ

 

『ありがとう、ナウでヤングなイケイケのマスターよ。しかしただ戦って助けてほしいとはスゴイシツレイに値する。説明・・・説明を・・・』

 

「・・・?どったの?」

 

『・・・複雑すぎる・・・待ってくれ、長らく彼と以外話していなかったからどう論理構築すればいいのか・・・ウェイッ。整理、整理するから待ってくれ。──とりあえず背中に乗ってくれ』

 

「ホント!?やったぁ!ドラゴンライダーデビューだぁ!割と前から言われてた『リッカパッとした乗り物無い問題』に終止符が打たれる時が来たよー!」

 

『・・・話には聞いていたし、ずっと見ていたから解ってはいたが。本当に君は物怖じしない。よし、任せてくれ。ドラゴンフライトに導こう』

 

とりあえずドライブする?みたいなノリでドラゴンの頭部に乗るリッカ。こうして招かれた経緯を伺うために、そして説明責任を果たすために竜は飛び立つ。

 

──どこか懐かしい気配と想いを感じるドラゴンと共に、リッカはどことも知れぬ大空へと旅立つのであった。そして更にその数分後──

 


 

そんなこんなでフライト中・・・

 


 

『よし、色々纏まった。説明していいだろうか、マイシスター』

 

「オッケーいいよ!というかなにここ?海と空に覆われたファンタジーワールド?」

 

そこらもまとめて説明する。安心してルックしてくれとドラゴンは言う。初めてだと言うのに頭部に腕を組んで仁王立ちし向こうを見つめるリッカの覇者っぷりに改めて敬服しながら、ドラゴンはテレパシー的な感じで語り出す

 

『ここは、世界の裏側。いや、海の向こうと言った方が正しい。そして俺はファヴニール。君が槍の竜として呼び出す竜の一つなるブラックドラゴンだ』

 

「え!?ファヴニールってメジャーなドラゴンじゃん!ジークフリートさんがやっとこさ倒したっていう!何してるのこんなところで!?」

 

『そこもまた追々説明しよう。ザックリ纏めるとここは幻想の獣が生息しているちほーであり、ドラゴンもまたここのフレンズなんだ。リッカ』

 

ほー。のけものはいないんだね!とすとんと腑に落ちた様子のリッカに更に説明するファヴニールと名乗るドラゴン。人の世界は、人の物理法則にて成り立つ人間の世界であり、ここはそこから外れた世界である。人理という布が星の全体を覆うことで、リッカら人間の世界が成り立っていると言うのだ

 

『そして、その布が星を覆いきる前に幻想種と呼ばれる存在がこちらに待避してきたんだ。君達の活躍で人理が落ち着く前は、ふらっとそっちにも出てきちゃったらしい。本当に申し訳ない』

 

「話の途中だがワイバーンだ!だね!ロマンがそんなに乱用したっけなぁ?とか言ってた!」

 

『それそれ。──あぁ、ソロモン・・・いや、ロマニ・アーキマンはそちらでは元気なのだな。凄く嬉しい』

 

そんな幻想種達のげんそーちほーが、今危機に晒されているという。リッカを招集した理由であり解決せねばならないとされる騒動の原因は、他ならぬファヴニールが持ち込んだ大聖杯であるというのだ

 

「あぁ、姫様が言ってたギルの宝物庫にゴロゴロしてるやつ?マルニキの駆動動力の?」

 

『そうだ。手頃な聖杯より大きくて界聖杯より偉大で強烈ではない聖杯・・・なんか中ぐらいの聖杯だ。俺はそれをスティールし、裏側に運搬するしか無かった。表側にあると割とチョベリバな事態になってしまうからな。更に問題なのが宝具の余波で致命的な半壊をしてしまっていた事だ。今まで問題は無かったんだけど・・・』

 

「ふむふむ」

 

『なんか、なにもしてないのに、壊れた』

 

よし、とりあえず自首しよっか?犯人は皆そう言う!と頭をぺちぺちするリッカに、ファヴニールは首を振る。ちょっとリッカが落ちかけたけどそこはリッカなので気合いで踏ん張り事なきを得る。ヘラクレス式握力トレーニングをしていなければボッシュートだったと胸を撫で下ろしたのだった

 

『と、とにかくだ。問題なのはだな。その壊れた聖杯の内側で・・・聖杯戦争が執り行われているそうなんだ』

 

「ミニチュア聖杯大戦?知らない内に?」

 

『うん。記憶にございません、何者かが勝手にやった事ですと政治家答弁する他無いが・・・数値を観測した結果から言うに、戦いの数は一万を越えた』

 

一万・・・絶句するリッカに立て続けに告げられる委細。最初は二騎、567回から四騎、2313回からは七騎が揃ったという。そして──

 

『そこから大聖杯の支配率が変わり始めた。要するに何処ぞのシャバい輩がヒャッハーし聖杯を乗っ取ろうとしている。このままでは大聖杯は破滅という無限の彼方へさぁ行くぞしてしまう。そうなると困るんだ』

 

「・・・困る?」

 

『あぁ。これは本来預りもので、俺が使うわけにも、誰かに使わせる訳にもいかない。──一番困るのは、その志を共にし一緒にいてくれた俺の大事な友達が巻き込まれ、行方不明になってしまった事だ』

 

『ちょっと聖杯の様子見てくる』と言ったきり帰ってこなかったと彼は言う。彼は一人きりで待ち続けていた自分に、聖人のような慈悲深さで待ち人が来るまで話し相手にならせていただくと自分に寄り添ってくれた大切な友人であるというのだ

 

『世界は勿論大切だ。だが俺はそれ以上に・・・大切な友人を取り戻したい。伏して御願いする。どうか、俺の友達と世界を救ってはくれないだろうか』

 

・・・もし、その言葉をその友人が聞いたならば、愚問であると笑い飛ばすだろう。問うまでもないと微笑むだろう。だって彼女は、どんな姿であろうと。どんな者であろうと・・・

 

「──任せて!楽園のマスターで私を指名してくれたその期待に応えちゃうから!世界と、何より・・・貴方の友達を助けにいこう!」

 

・・・必ず、その手を差しのべてくれる。そんなパワフルでエネルギッシュな女の子であると。この竜は『友達』より、毎日3時間は聞かされていたのだから。




ファヴニール『──ありがとう。君は本当に、彼が心から誇る素敵で可愛い女の子だ』

リッカ「ほわぁぁあぁあぁ!!・・・──ぬぅうんっ!!」

ファヴニール『ど、どうした。大丈夫か?事実と所感を告げただけなのだが・・・』

リッカ「だだ、大丈夫・・・!部員の皆や楽園の皆に鍛え抜かれて耐性はついてる・・・!いつまでもクソザコドラゴンとして消える訳にはいかない・・・!」

『そ、そうか。俺は君は可愛いと本当に思っている。からかいや嘘でないことは、解ってほしい』

「ほわぁあぁあぁあぁ!!(虹色の翼風味に粒子噴出)」

『!?い、いかん。君を喪えば彼に申し訳が立たん。このまま聖杯にダイブするぞ、掴まっていてくれ・・・!』

「ギル、じゃんぬ、マシュ、皆・・・ファンタジーワールドで私は早くも死にそうです・・・」

そんなアクシデントを乗り越え、聖杯に乗り込むファヴニールとリッカ

・・・地味に西暦以来、人類史上初となるドラゴンライダーの称号を手にしたリッカである。そして更に──

『あ、そうだ。君は確かこの世総ての感情を魔力に変えて龍の鎧を形成すると把握している。これから危険地帯に飛び込むので纏ってほしい。その際のやり方をリクエストしたい。こう、手をガブッと噛んで』

「手を?まぁやり方はなんでも大丈夫だけど・・・巨人化みたいな感じ?」

『それだ。是非見たい。是非やってほしい。台詞付きで』

「なんか凄い君と気が合いそう!じゃあ行くよー!──このぉ!裏切りもんがぁあぁあぁ!!

『超COOLだ、リッカ!!』

【耳がぁあぁあぁ!!】

『あっ・・・すまない。つい興奮して・・・』

そんなこんなで。不思議なドラゴンと共に大聖杯に飛び込むリッカでしたとさ──

どのキャラのイラストを見たい?

  • コンラ
  • 桃太郎(髀)
  • 温羅(異聞帯)
  • 坂上田村麻呂
  • オーディン
  • アマノザコ
  • ビリィ・ヘリント
  • ルゥ・アンセス
  • アイリーン・アドラー
  • 崇徳上皇(和御魂)
  • 平将門公
  • シモ・ヘイヘ
  • ロジェロ
  • パパポポ
  • リリス(汎人類史)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。