人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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私用で感想返信が滞ってしまってすみません!これからまとめて行って行くのでよろしくお願いいたします!


次のイベントは何にしようかな・・・アポイベかセイレムかはたまたライネス事件簿か・・・

何にせよ、1000話までもう少し!これからもよろしくお願いいたします!!


青い鳥のマウス

「新しい仲間内が作家と言うことで、大した波乱も起きないとタカを括っていたが・・・流石は意思持つ嵐の英雄王。そんな手緩い歓迎など有り得なかったということか。我ながらアテにならん審美眼であり所感だな。晩年の俺も、限界を感じた瞬間にさっさと筆を折った方が晩節を汚さなくて済んだと言うものだったのにな。人間の寿命は長すぎる。若く綺麗でありたいと思う癖に、短い生命を嘆くという欠陥はどうして持ち合わされているのだろうな」

 

「それは人間を作りたまいし神仏が、自らを似姿に人を作ったからでしょう。完璧で無い神などいないように、また完璧な創造物など有り得ないが故に・・・私、神や仏にすがる仁徳は持ち合わせておりませんゆえに」

 

ホワイトデーの最中、渦中にいた主従・・・とはちょっと違う二人組。マスターとサーヴァントでありそうで、実際はカルデア契約のサーヴァントである作家キャスター、アンデルセン。そしてマスターのようでいて職員セラピストのキアラ。荒事はあまり好みませんとマスターはやんわり辞退している為、この二人に魔術や契約的な繋がりは何もない。額面的に見れば、単なる同じ職場の知り合い程度な接点しかない

 

「漂白はされても本尊に唾を吐く豪胆さは健在か。いいぞ、ますます以てオーバーラップさせていく姿勢は評価しよう。出てくる違和感が違和感であるという事を忘れないようにするにはちょうどいい!」

 

「平行世界の私・・・皆様が一様に口を閉ざすので深く聞き入りはしませんが。余程破天荒な生きざまをお選びなさったとお見受けいたします。興味が無いと言えば嘘になりますが・・・」

 

「止めておけ、折角漂白した洗濯物を着てドブを覗くような真似だぞそれは。お前の今の生きざまの徳は俺が保証してやる。接続や続きなど必要はない。人魚姫3並に有り得んものだからな!なんと言われようとマシュやイリヤの期待には応えん!」

 

──でも、彼と彼女は一緒にいる。

 

「ふふっ、ですがアンデルセン様?紫式部様は新たにアンデルセン様が執筆する最新のお話を、是非図書館に寄稿して欲しいとお話を伺っておりますが・・・」

 

「フン。その注文には応えてやるが時間が大いにかかると伝え返しておけ。何せ今俺は人類未踏の超絶大長編の執筆をしている。現在進行形で最新更新されるものだから終わりがまるで見えん。まさか俺が日刊連載に手を出す日が来るとはな・・・わからんものだ、本当にな」

 

「えぇ。新たな出逢い、新たな経験。それが起きるが故に一期一会と言うのです。・・・それにしてもアンデルセン様、書かないのではなく書けない、だったりするのでは無いのでしょうか?」

 

お見通しか、とアンデルセンは頭を振る。締め切りがない、自分のペースで書き上げるとは言えどやはり膨大な楽園の出来事。取捨選択・・・どれや何を物語に残すかを判断するのが難しいのである。先程の呪本の騒動は書き記す事と決めているが、どこまでが日常でどこまでが非日常なのかの判断に苦慮している状態であるのだ

 

「何しろネタの過剰供給だ。捨てネタやボツネタが唯一つ無いというのもそれはそれで手間でな。使えるネタなら書き溜め、それらが溜まりに溜まって結局普通に書く作業量よりも嵩張るなど日常茶飯事だ。全く濃いな、ここの日常は!聴けばマスターは秘密裏に別世界の最低最悪の性悪を討伐しに──」

 

「まぁ・・・最低最悪の性悪?そこまで断定される方はそれはそれで人の行き着く果てなのでしょう。詳しく!アンデルセン様そのお話を詳しく伺っても?」

 

「チッ、失言も興味を持つものも余りにお粗末だ!口にすれば可能性が出来るのが人の世だ、本当に嫌い、厭うものは思慮にすら入れないのが正常だ。・・・どうしたものか・・・」

 

興味を持ったキアラは妙に押しが強いことを知っている。御伝えください、受け止めますセラピりますと『アンデルセンへの敬愛』が全面に押し出されるが故に暴走スイッチが入ってしまうのである。聖女、救世主と囃し立てられていても、初な性質と好奇心旺盛な精神、そして清楚な癖に豊満に育った身体は全く変わっていないのである。

 

「・・・・・・そう言えば、お前が俺に寄越したチョコの御返しがまだだったな」

 

そう、しっかりキアラはアンデルセンにチョコを渡している。義理や礼節でそこまでするとはな、と皮肉混じりに受け取ったのだが・・・

 

『アンデルセン様に義理など。勿論本命も本命、大本命でございます。味わい、どうかご堪能いただければ!』

 

だなどと言って気合いの入りに入ったチョコレートだったのである。その自分の目的の為には一切妥協しない姿勢もまた、自分のよく知る相手であったと懐かしい気持ちになりつつ、何かを返さねばどうにもならんと決意させる程度には、である

 

「・・・・・・」

 

愛用の筆はギルガシャナに渡しており、二番煎じは不誠実である。また筆を用意するのも、別のものを用意しないのも礼節を欠くと言うものであろう。・・・だが、なんとも御返しを真面目に考えるというのは・・・

 

「・・・・・・まぁ、もらいっぱなしというのも寝覚めが悪い。余計なものに興味を持たせた詫びだ。持っていけ」

 

そうして、作業机に置いてあった自分がもう使わずに、しかしてとって置いたもの・・・

 

「・・・青い、鳥の・・・」

 

「マウスだ。タブレットがあるんで持て余していた。。メーテルリンクに肩入れはしないが、青い鳥、という題材は悪くない」

 

適当に包装し、サインを書き、キアラに手渡す。もう使わないものが、使われないものが誰かしらの手に渡り、意味を得る。それはまぁ・・・

 

「出先で必要にせまられて買ったものだが、とにかく使い勝手が悪く、腐らせていたものだ。そんなものでも何かの役には立つだろう。今時マウスを使うのは開発者くらいのものだからな!」

 

それはそれで、彼女のいう一期一会にはなるだろうと。アンデルセンは図らずも、彼女の考えを言葉なく後押ししたのである。

 

しかし──誤算だったのは──




キアラ「・・・・・・・・・・・・」

アンデルセン「ん?どうした?確かに使いはしなかったが、動作は確認しているぞ。露骨に嫌ならば別に無理などしなくとも・・・」

キアラ「・・・・・・あ」

「ん?」

「あ、りがとう、ございます・・・その、私、熱があるみたいなので・・・私、失礼いたします・・・」

アンデルセン「あ、あぁ」

「・・・これ、宝物に致しますね・・・」

「・・・行ったか。なんだあの反応は。気に入らないなら気に入らないと・・・」


廊下の外からの声『お医者様!!お医者様ー!!私は、私も!至宝をいただけましたよー!!』

アンデルセン「!?待て、何を言っている!そんな湯だったような反応など──!?」

キアラの、想像を絶するアンデルセンへのファンガールぶりでしたとさ──

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