オリオン「ねぇねぇ、オレにチョコレートとか、ない?」
「チョコレート、無かったりしない?」
「チョコレート、欲しいなぁ!」
「ちょうだいちょうだいちょうだいちょうだいちょうだいちょうだいちょうだいちょうだいちょうだいちょうだいちょうだい!!」
ゴルドルフ「なんだねあれは・・・」
ぐっちゃん「御返しをしたいからチョコレートが欲しいんですって」
ゴルドルフ「なんと・・・なんという事だ!」
「いえ、好きでやってるんだから別に」
「動物にチョコなど毒でしかないだろう!速やかに止めさせるべきではないかね!?待ちたまえ!制止のゴッフパンチ!!」
オリオン「いってぇえ!?なにしやがんだ!おっさんに用はねぇんだよ!」
「いいや私にはある!さぁ来なさい!チョコなどより旨いジャーキーを与えよう!」
ぐっちゃん(気にするところ、そこなのね・・・)
「おー、いたいた。そこのー、そこの可愛いマスターちゃーん」
「ほわぁあぁあぁあぁ!!」
道行くすがら、突然可愛いと声をかけられ膝をつき粒子を出し始めるスパークリング系マスター、もしかしなくてもリッカである。可愛いと言われて消滅しかけるという事は、多少なりとも自分の中に可愛いがある事を自覚出来ているというわけで。よい兆候なのである。誰でも簡単に討伐できるビーストであるのである。おだて特効。
「くっ・・・!この歯の浮くようなナンパが出来るのはおりべぇ!おりべぇだね!間違いない!」
「せいかーい。いやアルテミスが言ってたから試しにやってみたらマジで耐性ないのね、そりゃアイツも心配するわ」
リッカわいいって言ったらどうなるのかなー?とか言ってるんだぜと軽口を叩きつつリッカの頭に乗るおりべぇ。胸ではない。そんな事をしたらリッカ愛派閥の過激派に介錯(強制)されてしまうのだ。ちなみにその中に女神もいる。アルテミスって言うんですけどね
「すまんすまん。からかった。いやはやリッカちゃん、オレにもチョコありがとな。すっげぇ美味かったぜ。毎年ギブミーしたいくらいだったぜ」
「またまたー。アルテミからの独占本命がある癖に贅沢なんだからもー」
「お前さんには解るまい・・・毎年バレンタインになると、チョコとおもしきなんかよくわかんないものを食わされる恐怖を・・・!」
カカオを潰して、臼で潰して叩き潰してゴマをまぶして砂糖ぶっかけてはい完成ダーリン本命チョコレート!などというメシマズとかそんな領分を超越したチョコレートを振る舞う女神がいるらしいのである、オリオンが言うには。アルテミスって言うんですけどね。
「え、あ、うん・・・でもほら、女神が作ってるチョコレートだし!ご利益とか祝福とかたくさん・・・」
「あぁそうだ女神が作ったんだ!
そして一番良く分かんないのは、それをチョコとして口の中に捩じ込んでくる女神だ!と涙ながらにオリオンは訴える。その衝撃で腹がちょっと裂けたらしい。女神は愛となれば凄まじい。特にギリシャは人間関係と性欲において他の追随を許さない。純潔の誓いを立て、誰かとまぐわった相手を動物にしたり射殺したりするは日常茶飯事である。アルテミスって言うんですけどね。
「アルテミスのチョコの後に食べたリッカちゃんのパワフルチョコが身体にスーッと効いたぜ・・・助かったからさ、お礼を持ってきたぜ」
「えー、いいのに気を遣わなくて!いつも御世話になってるから、お礼をしたいのはこっちで・・・」
「まーまー、まーまー!ほらほら、何も言わず受け取ってくんな。オリオン印のうまい、棒菓子だぜ?」
「それってうまいぼ」「そこまでよ」
「はい」
そんないつになく押しの強いオリオンが渡してきた曰く『お礼』。それはチョコレートや脂っこいものを食べたりする際の口直し、そして同時にサクッと食べやすい駄菓子風味なお菓子、すなわち『おりおん棒』である。ちなみに、彼が手製の然り気無くレアな一品である。別に逸品ではないので悪しからず。カルデア食堂で50QPでお買い求めが叶います。小腹の空いた際に是非。
「おぉ・・・おりべぇ・・・どこから見ても棍棒・・・」
「だろぉ?好きに味わっていいぜ、何せ駄菓子だからね!サクりと食べてサヨナラバイバイ!んー、女性付き合いもそんな風にサクサクしたかったです、はい。・・・ん?」
「はい」
「おりおん棒を開封して・・・」
「ほい」
「一本をこちらに渡して・・・」
「チェストにごわす。なぁ、おりおんでしょあなた!」
勝負だー!とぶんぶん振り回し始めるリッカ。やっぱり棒状のものを見ると振り回したくなるのが常である。傘を持ったらチャンバラしたくなるように。これはもう人の本能なのやも知れない。血潮と本能は闘争を求める、ような気がする。そんなフィーリングのまま、愉快な熊のぬいぐるみモドキとじゃれあうリッカ
「・・・フッ。アルテミスと遊んでくれるだけじゃ飽きたらずオレとまでかい?だがしかし!これでもオレ名うての狩人だからね!ヘラクレスやアキレウス程じゃなくても、棍棒の使い方には自信ある方だから!」
「よーし!かかってこいやー!私の屍を越えて行けー!」
「ならいくぞー!てりゃー!」
突如始まったポコスカウォーズ。激闘を潜り抜けたマスターには軽い運動程度でも、いい汗を流すことに変わりはない。しばらく微妙かつ絶妙に可愛くないぬいぐるみとチャンバラを続けるリッカ
「くらえ!雷照撃射ー!」
「ぎゃあぁあぁあぁおりおん棒から雷が出てくるぅうぅう!?」
「止めだー!闇爆殺襲ー!」
「おりおん棒から!闇の!闇の波動がぁあぁー!?」
そんな微笑ましいチャンバラを廊下で楽しげにしていると・・・当然ながら、そんな騒ぎを見ている人がいるわけで
「あー!リッカがオリオンと遊んでるー!私もー!私もいれてー!」
「うわっ」
「あ!アルテミス!やほー!」
素でなんか声が漏れたオリオン、快活に挨拶を返すリッカ。おっ凄いレベルはオーバーフローしている部類ではあるが、性格がエキセントリック過ぎて本が少ないとは黒ひげの談であるが・・・
「リッカ!リッカ!愛してるわぁ~!いつも私は、リッカを祝福しているの~!月の光がある限り、弓矢の腕はナンバーワンだったり魔力無限だったり~!たくさんたくさん祝福しているの~!」
「ありがたや、ありがたや・・・アルテミスありがたや~」
そう、リッカの弓矢の腕前は夜間は正確無比にして百発百中。夜の嵐の海に漂う小舟が灯す灯りすら目をつぶってど真ん中に当てる程の腕は、アルテミスの祝福のものである。こう見えてアルテミスはケイローンの狩猟の師匠。弓矢においては並ぶものなき狩猟神であるのだ
「いつも頑張って大変!お疲れさま!そんなリッカに、私!御褒美を持ってきたの~!」
「え、御褒美?これ以上の?」
「あぁ、なんでもいいから受け取っておきなマスター。前々から言ってるが、ただでなんの見返りもなく祝福くれる神様なんて本当はあり得ないんだからね?絶対悲劇とヘラの復讐がセットだからね?」
ギリシャでは大抵神が絡むとロクな事にならない。アルテミスが無償でリッカを祝福しているの!と言った日にケイローン、ヘラクレス、アキレウスは仰天した程だ。そんな事がありうるのかと
「む!オリオンひどーい!私だって友達は大切にします~!人でなしみたいに言わないで~!」
「はいはい、で、なにを渡すつもりなの?あんまり重いのは無しな?リッカちゃんに迷惑だから」
「うん!わかってる!リッカ、ちょっと待ってね?今から女子サーヴァントにチョコ欲しいってねだってたオリオンを物理的にチョコにするつもりだから~!」
「・・・・・・え?」
「は?・・・は?ほわい?」
アルテミスの言葉にキョトンとするリッカ。聞き返す前に、むんずと掴まれるオリオン。・・・あまりに自然な狂気にてリッカすら理解が遅れていたのだが・・・
彼女は今一度も、オリオンをダーリンと呼んでいない。
「オリオン?ダメよ?百歩譲ってリッカから受け取るのは親友チョコだから許してあげるけど、アタランテにまでねだったりするなんて、ね?」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!だってお前のチョコなんて絶対不味いじゃ」
「そーれ♪リッカの為に、おいしくなーれ!」
「らめぇえぇえぇチョコになっちゃうぅうぅう!!」
目の前で素材にされ、チョコにされ、ラッピングされ、装飾されたオリオンだったもの・・・
「はい、リッカ!これからもずっとよろしくね!ギリシャに行ったら、私の神殿に遊びに来てね!一緒に森林浴しちゃうから~!」
「あっ・・・はい・・・」
満面の笑み、そしてチョコにされた夫を笑顔で渡してくる信仰している神の姿に、リッカは今までのどんな事よりも、冷たい戦慄が駆け巡るのであった・・・───
『チョコレートの彫像は何かを訴えるような佇まいだ・・・』
アルテミス「ねーぇ、そこのアナタ!(σ≧▽≦)σ」
「──オリオンに、チョコレートあげたりしてない?」
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