人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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イリヤ「わーい!夏休みだ~!」

ルビー『喜んでばかりはいられませんよー?その先は宿題と言う名の地獄です!』

「わーい!あそぶぞー!(現実逃避)」

クロ「はしゃいじゃってまぁ・・・大抵このシーズンは、何処だってごった返すんだから思うようには遊べないわよ?」

ミユ「人ごみだらけ・・・でも、貸し切りにすればいい」

イリヤ「マネーイズパワーは他の人の迷惑だからね!?んー、そっかぁ・・・渋滞とかやだなぁ・・・」

『あ!では楽園へ行ってみては!?調べてみましたが、誇張抜きで『人間があったらいいな』という施設は全てありましたよー?』

「ホント!?またリッカさんたちに会えるの!?」

ギルくん「行きたいですか?楽園に」

「いきたーい!・・・ほぇ?」

ギルくん「では、行きましょうか♪」

「え、えぇえぇえー!!?」


ハイエース・ワープ

「さて、招かれし新参の顔見せは果たした。ならば次は我等の戦いを始めるとしようではないか!」

 

提出された報告書に目を通し終わり、膝を叩き立ち上がる英雄王。細かい話題は後で擦り合わせるとして、此度集中すべきはこの戦いであり、こちらも決して疎かに出来ないものである。主賓が呆けていては何もなりはしない。ならばこそ、気合いを入れて王が激を入れねば話にならないのである

 

「粗方セイバーは出し尽くした筈だ。だが我には秘策がある!何、何度目の勝算だと?たわけ!我が勝つといったら勝つ!それが今では無いだけなのだ!」

 

──王が屈しない限り敗北ではない!決して折れないその姿、輝いております!そろそろ目が眩しいので収まっていただければ!

 

輝きを放ちに放ちすぎて最早着地点が見えなくなっているのでは?と思わなくもないが最早これは恒例行事にして伝統芸能。心から勝利を祈ると同時に、またマリーに夜枷の申請をしておくエアなのであった。勝利も敗北も同時に尊重するエアは、ケアも決して忘れないのである

 

(最近はアサシンでセイバー顔が増えたみたいだけど・・・その子はセイバー顔で弄るにはヘビーかつそうなった経緯がホラー過ぎるんだよなぁ・・・)

 

──えっ。アサシンでセイバーだなんて!ヒロインXさんが大変な事に・・・!?

 

《問題はあるまい。ヤツはアルトリアだ。どのようなクラスでもな。では早速──・・・む?》

 

いつものように手慣れた召喚を果たそうとした瞬間・・・楽園に通信を入れる者がある。その召喚を見越したような通信の主は、思わず王が真顔になるような人物であった

 

『こんにちは。大人の僕は相変わらず召喚に夢中な様ですね。宝物を集めるのは本能の様なものなので、生暖かく見守ってあげてください』

 

穏やかにして柔らかな物腰。魔法少女の座たる『秘密の場所』を管理する少年王・・・そして、楽園へと訪れぬことを罰として甘んじている、幼少なりし英雄王・・・

 

──ギルくん!王、ギルくんですよ!良かったぁ、元気そうで!おーい、ギルくーん!

 

《うむ、エアめの高揚も大目に見よう。アレもまた我であるのだからな。しかし何用だ?我を愉悦の肴にしてよいのは爆死の痛みを知りし者のみ。嘲笑と挑発ならば仕置きあるのみだが・・・》

 

『戦力と縁を集めるための召喚でしたね?なら僕にも心当たりがあります。色々御迷惑をお掛けしたので、どうか受け取ってほしいなと思いまして』

 

「おや、補填を考えてくれるだなんて。流石は礼節を弁えた少年王だ。ギルくん、どうするのかな?」

 

「貰えるものは貰っておくべきだと思いまーす♪ほら!王様のギフトなんて絶対いいものです!いいものでなくてはなりません!」

 

「ごめんねシバ・・・生前はどんなものを貰ってもありがとうしか言えなかったんだ・・・」

 

「ひわっ!?ろ、ロマニ様を責めている訳ではありませーん!?」

 

なんだか妙なところでダメージを受けている者がいるにはいるが、それはそれ。王としては貰うものを無下に足蹴にしては品格や風格、沽券に関わる。異なる世界でファラオの名を冠しながら民たちに賜したのが青ビー玉一個という事実に静かにキレていたファラオ達のように、然るべき時に然るべき対応が出来ない王は、それだけで格というものを落としてしまうのである

 

「・・・フン。イシュタルの迫害以外に我が拒むものなどあるものか。よい、受領してやろう。態々召喚の義を阻んだのだ。それなりのものであろうな」

 

『それなりもそれなり。まぁ人により価値は変わるので保証は出来ませんが。それなりに気に入っては貰えるかと思います。ギルガシャナ姫を哀しませるような真似はしませんよ?』

 

「やはりそれが本音か貴様!食えぬヤツめ、ロクな大人になれぬと思え!」

 

(オマエ!大人の姿オマエだよオマエ!)

 

──ギルくん・・・態々王や楽園の皆の為にプレゼントだなんて・・・!王、皆でウルク料理を食べましょう!もっと親交を深めましょう!

 

《えぇい、お前は本当に我大好きであるな!祝福の鬼ならぬ祝福の姫か!》

 

そんな騒動を楽しげに眺めながら、合意と受け取ったギルくんが静かに指を鳴らす。勿論、自分が赴くなどといった恥知らずな真似はしない。そこはキチンと弁え、エアと交わした約束に殉じる生真面目なギルくんなのだ

 

『それでは。彼女らをお受け取りください。楽園の皆さんに会いたいとひっきりなしでしたので丁度良かったです。大切にしてあげてくださいね?』

 

その言葉と同時に、召喚サークルが回転し出す。其処に現れし者、そして招かれしもの。それは・・・

 

「きゃあぁ!?」

 

「あいたっ!?」

 

「あうっ・・・」

 

「き、君たちは・・・!?」

 

そう、かつての特異点にて結ばれし縁。魔法少女の縁にして、今を生きる少女達・・・

 

『召喚サークルを向こうと繋げておきましたので、彼女らは自在に行き来できると思います。流石に長期行方不明というのはまずいので、よくある異世界召喚形式ということで』

 

「あいたたた・・・ギルくん!確かに楽園に行きたいなぁとは言ったけどなんで言質を取ったら問答無用なのぉ!?準備とか色々あるでしょー!?」

 

『準備する程手間のかかる身体とは思えませんが?』

 

「うぐふっ!!」

 

『おーっとイリヤさん大ダメージ!これから、これからに期待しましょう!』

 

「もー、またなんて強引な・・・あなた、好きな子にこんな事したら嫌われるわよ?」

 

『この程度で嫌うような器量の小さい女性を好きになんてなりません。そちらこそ、貧相な身体で懸命なセックスアピールはみっともないだけですよ?』

 

「・・・ふーん?」

 

「・・・ギルガメッシュ。あなたは、今度は一体何を・・・」

 

『やだなぁ。僕、君にそんなに警戒されるような事をした覚えは無いんですけどね?』

 

『ミユ様を痛め付けておいて、どの口が・・・!』

 

仲良く団欒、和気藹々・・・とはとても呼べないその惨状に閉口する王。どうやら彼は、イリヤら三人を半ば強制的にこちらに招いたのだろう。強引ではあれど、恐らくイリヤ辺りが呟いた『楽園にまた行ってみたいなぁ』という言葉を言質として

 

『ほらほら、楽園に来たら挨拶するべき人がいるでしょう?夏休みの宿泊先なんですから、礼は尽くさないと』

 

「ほぇ?ぁ・・・!ぎ、ギルガメッシュ様!その、突然すみません!楽園で、また皆に会いたいなと口にしたら言質を取られちゃって・・・!」

 

「・・・苦労しているのだな。本来の時流から外れても、我に玩弄される定めであったか・・・」

 

そんな、何処かの世界であったような無かったような少女との縁が彼女にまた降りかかっている事実を前にそっと目頭を抑える御機嫌王。・・・まぁ、それはそれとして・・・

 

『大丈夫です。僕は姫と一緒にいる僕を信じていますから。きっと三人を大切に扱ってくれると。だからこそ・・・』

 

「す巻きにして運送だなんて凄いことするなぁ・・・これが噂のウルク運送・・・!」

 

「大丈夫三人とも!また会えたね!」

 

「あ──リッカさんだぁ!」

 

──でも見てください!然り気無く下にクッションや重力軽減魔術を・・・!ギルくんはしっかり皆さんの事を考えてくれてくださっているんですよ!

 

(手段は強引だけど、楽園には得しかないね確かに。・・・どうする?ギル)

 

《──姫の名を冠し、その傍にある我を信じると来たか。口の達者なことよ》

 

それならば、受けてやらないことはない。何故ならば、信と期待、そして無茶ぶりに応えてこそ──

 

「──よい!貴様らの身柄、我が預かる!夏休みと言ったな、課題の材料に事欠かぬ日々を過ごさせてやろう!覚悟して楽しむがいい!!」

 

「ほ、ほいっ!?」

 

「遊び疲れて死ぬ、とかあるのかしら・・・」

 

「・・・楽しみです」

 

王であるのだから。そう言うわけで、なんだかんだで魔法少女三人組が仲間入りしたのであった・・・




NG召喚 リィン・シュバルツァー(閃の軌跡シリーズ)

リィン「──まさか英雄扱いされる日が来るとは。セイバーって事でいいのか?リィン・シュバルツァーだ。色々波乱に満ちてたものだが、こんな俺で良かったら・・・」

リッカ「お疲れ様です!!なんかもう、本当にお疲れ様です!!」

「あ、あぁ。ありがとうな。楽園か・・・皮肉なものだな・・・」

~楽園をぼんやりと眺めていたら、カルナさんと成り行きでゴミ拾いすることになった

カルナ「そうか。お前もまた生を波乱にて生きた者のようだな」

リィン「通りがかった女の子から聞いたが、貴方程じゃないと思うぞ。カルナ・・・施しの英雄とまで謳われし大英雄さん。(なんでゴミ拾いやってるんだろう)」

カルナ「人はオレの生を不幸と言うが、オレはあまり実感がない。友に恵まれ、父に愛され、懸命に生きた。其処には確かに幸福があったのだから」

リィン「強いなぁ。俺はあのときあぁしていればと、後悔してばっかりだよ」

カルナ「それでいい。もっと上手くやれた、もっと上手くできた。それを前に向くための力に出来るかは、お前次第だ」

「・・・カルナさん・・・」

「楽園は滞在の他に、完全無欠の結末の為に背中を押す役割も果たす。──行くがいい。必ず誰かが、誰でもないお前を待っている」

リィン「──あぁ!だけど、その前に・・・」

カルナ「伝えたい事が、あるのだな。一言、足りないと言われないように気を付けるがいい」

「何から何まで、ありがとう!貴方の事、忘れない!マハーバーラタの輝ける太陽の子!」

カルナ「──」



リィン「呼んでくれてなんだが、俺の物語はまだ終わってなくてな。行かなくちゃ、帰らなくちゃならないんだ」

リッカ「そう言うと思いました!妹さんに、よろしくね!」

リィン「あぁ!・・・それで、世界を救うために頑張るリッカに、ちょっとしたアドバイスだ」

「?」

「・・・君が護ろう、助けようとしているものに、君もまた護られ、助けられている。人が人に影響を与え、支え合う・・・そんな当たり前の事を、どうか忘れないでほしい」

「リィンさん・・・」

「俺には長い間それが足りなくてな。悶々としたもんだが・・・間違いなく、これが今の俺の心の光だ。剣の一つも教えられなくて情けないが、せめて、それを君に託していきたい」

「──」

「そいつが、きっと。これからの旅路で絶対に未来を照らしてくれる。──じゃあ、またな。世界を救う、異なる世界なれど誇り高き『龍』の剣聖よ!」

「──はい!リィンさん!真の結末に至るまで、どうか負けないで!」

『リィン、自らの軌跡に駆け抜け退去』

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