人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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フェルディア「おぉお、おぉおおぉおおぉおおぉおおぉお!!!メイヴちゃん!リッカちゃんさいこぉおぉお!!うぉおぉおぉ──!!!」

クー・フーリン「うるせぇ!!いや同じだけどよ!やったぜオイ!見たかよオレの認めた女はよ!最高じゃねぇか!」

スカサハ「ふん、悪辣な小娘め。わしの当て付けに果てたか。見事としか言えん意地よ。──ヤツもまた、アルスターの女王か」

メイヴ「分かりきっていたことよ!リッカが負けるわけ無いじゃない!私が認めた女よ、私が認めた女子よ!私以外に負けるわけ無いでしょ!当たり前よね!」

コンラ「むむむむむ・・・」

ロイグ「・・・どちらも見事であった故、素直に喜ぶべきかメイヴを貶すべきか悩んでいるといった様子だな、コンラ」

コンラ「はっ!?」

フェルグス「よいよい、思うがままでよいのだコンラ。ケルトは皆そうなのだから!笑え笑え!はっはっはぁ!」

「・・・はい!──女王メイヴ!」

「あら、なぁに?」

「・・・認めます!あなたはリッカさんの、ライバルに相応しい女だと!コンラは認めます!」

「あ~ら、ありがと?じゃあ私のこと、メイヴちゃんって呼ぶのよ?認めてくれたんでしょ?ね?」

「・・・・・・うぅ、うぅ~!!」

クー・フーリン「いじめんないじめんな、ガキは根に持つぞ~」

タニキ「唸ってんな。マカロンでも食っとけ」

「(ぽふ)もひゃもひゃ・・・」

メイヴ「そこにハチミツホットケーキとかどうかしら?リッカの勝利を祝いましょうか、コンラ!」

「(こくこく)」

フェルディア「いやはやいやはや・・・もしや、メイヴちゃんに必要だったのは愛ではなく・・・」

ロイグ「友情、或いはライバルだったのかもしれんな。──どうだ。少しは見直したか?クー・フーリン」

クー・フーリン「あー、リッカと会ったって限定なら・・・まぁ、いい女だわな、おう」

タニキ「うぜぇのは変わらねぇよ」

メイヴ「クーちゃん今の詳しく!!両方よ!!」

「「めんどくせぇわ」」

ロイグ「それな」

フェルディア「ははははははは!今日もケルトは元気だな!よし!リッカちゃんのタイツを作るか!」

ロイグ「あるだろう、カルデア戦闘服というケルトみなアレが」

コンラ「よかったでふ。リッカさんのおやくにたてて、よかったれふ(もふもふ)」

~???

『・・・祝福が身を焼くなど、リッカ殿には大変申し訳ない事をした。孫馬鹿爺は嫌いになっても、どうかコンラは嫌いにならないでほしい──』


ともだち

「くーちゃん!?ああっなんてこと!?鎖でぎちぎちな禁縛プレイだなんて!使い魔の取るプレイにしては過激すぎるんじゃないかしら!?」

 

【風穴空いてるテメェ程じゃねぇよ。・・・負けたようだな。テメェも、オレも】

 

「──うん。あれだけ気合いを込めたのに、あれだけ頑張ろうと決めて頑張ったのに。負けちゃったわ、クーちゃん」

 

勝敗は決し、二人の魔法少女はそれぞれの仲間、愛すべき者の下へと戻る。完敗を喫したメイヴ陣営、完全勝利を掴んだリッカ陣営。それぞれの感慨を、皆で分かち合う

 

『よくぞ戻った。敗北など微塵も想定していなかったとはいえ無茶をしたな。しばし待て、治療してやろう。──ギルガメッシュ・ケア!!

 

「はうっ!!?」

 

「お疲れ様、と言いたいけれどこっちもこっちで激闘だったのよ、リッカ・・・」

 

「使い魔ってあんなに強いものだったのね・・・夢に出てきそうな猛りっぷりだったわ・・・」

 

『まさかこちらの総力と互角だなんて想定すら出来ませんでしたねー。ギルガメくんのサポートが無かったら押しきられていたやもです~』

 

「使い魔こわい、使い魔こわい、使い魔こわい・・・」

 

「よしよし、怖かったわね・・・私も回復に専念しなかったらどうなっていたか・・・」

 

敗北したメイヴは清々しく晴れやかにクーちゃんに駆け寄り、勝利したリッカらは疲労困憊した仲間達の下へ。これで、最強の魔法少女との戦いは終わった。残る相手は原初の魔法少女、そして・・・魔法紳士を擁した黒幕の打倒。それらを果たし、イリヤの友たるミユを取り戻す事に、ようやく本題と王手をかけるのだ

 

「行くのね、リッカ。ファースト・レディの下に」

 

最早砕け散っている心身を揺るぎない矜持と気合いで繋ぎ止め、終生のライバルに声をかけるメイヴ。敗者にかける言葉を勝者が持たないが、敗者は勝者に託す言葉が存在するのだ。総てを出しつくし、絞り出し、ぶつけ合い、高め合い、分かりあった魔法少女同士の間にしか生まれない想いを、これからも走り続けるであろうライバルへと捧げるのだ

 

「うん。取り戻すよ、魔法少女達の安らぎと安寧を。必ず、取り返すよ」

 

「──そう。なら、私が言うことは一つ、いえ二つ、三つ?まぁそれなりにあるわ。よーく聞きなさいよね」

 

手を差し伸べ、肩で息をするリッカを起き上がらせ・・・感覚の無い手先に力を込め

 

「──・・・メイヴちゃん・・・」

 

熱く抱擁を交わす。もう身体は限界で、視界すらおぼつかない。内臓のほとんどが消え失せ亡霊の呼び声が耳に届くのを女王の矜持にて叩き伏せ、最後の力を振り絞り、リッカに最後の言葉を紡ぐ

 

「──勝つのよ、絶対。負けたら許さないわ。魔法少女との戦いだけじゃない。これからの人生、全てに置いて勝ち続けなさい。何よりも、誰よりも、魅力的な自分でいなさい」

 

「──」

 

「私に、女王に勝ったのだもの。当然でしょう?・・・自分が一番可愛く、自分が一番大切で、自分が誰よりも上で、自分が何よりも魅力的。そんな当たり前のワガママ、貫いて生きてみせなさい。それさえできれば、怖いものなんて無いんだから」

 

メイヴの矜持、メイヴの意地、メイヴの誇り。それは魔法少女コナハト☆メイヴが終わり、打ち切られても目の前のライバルに託される。後番組に託され、シリーズものが続くように。形を変えて、意志が受け継がれていくように。それは──メイヴにとって、屈辱的でありながらも・・・

 

「──ここから先は、お願いね。あなたは、私が認めた最強の魔法少女なんだから。あ、勘違いしないで!最高の魔法少女はいつだって私!このコナハト☆メイヴなんだから!」

 

「──うん!忘れない、ずっとずっと覚えてる!私、メイヴのファンだから!」

 

悪役として、思うままに振る舞う悪女であったメイヴ。そんな自分の最後は無様で、滑稽で、どうしようもないものだと思っていたのだが・・・──

 

「──そ。なら、・・・・・・今まで、頑張ってきた甲斐はあったのね」

 

たった一人でも、己の総てを託せるライバルに恵まれ、次を任せられる相手がいるというのは、言葉にすら出来ない幸運だと、柄にもなく思ってしまったのだ。──だから、最後にメイヴが微笑んだのは、きっとそう言うことなのだろう

 

「はい、じゃあお話終わり!さっさと友達も世界も救ってみせなさい!ファイト、ファイトよ!」

 

言葉は終わり、みっともない末期の時間は終わり。打ちきりの時間がやって来て、魔法少女達が未来に進む時間がやって来た。メイヴは変わらぬ足取りで、自分の玉座に優雅に、いつもの調子で座り込む

 

「・・・あなたは行かないのね、メイヴ」

 

「は?当たり前じゃない。私のやりたいことは全部やったわ。世界の命運とか、ファースト・レディとか全部どうでもいいのよ。あなたみたいに生き恥を晒したりしない。末期を汚す女なんてこの世で最も醜い存在なんだから。──ほら、さっさと行きなさい。亡霊として、あんた達の戦いを見定めてあげるんだから。下手こいたら呪うわよ!呪う!チーズ蹴り飛ばしてやるんだから!」

 

言葉を紡ぐ変わらぬメイヴの不屈ぶりに、リッカ、そしてイリヤは深く敬意を示し一礼し、それきり振り返らず、未来へと、明日へと駆け抜けていく。楽園の魔法少女たちもそれに続き、此処に本当に、決着が訪れる

 

『──ではな、狂犬。貴様も主と運命を共にするのだろう?』

 

【おう、負けた以上はそれが礼儀だろうが。オレもコイツもここが終わりだ。テメェも、テメェらもさっさと次の戦いに行きやがれ】

 

──ありがとうございます、誇り高き魔法少女とそのパートナー。最後まで絶望に屈す事の無かったその在り方に、心からの敬服を

 

ファースト・レディにも。外来の脅威にも、魔法紳士にも靡かず、屈さず、自分を貫き通した魔法少女、メイヴ。そして彼女は、彼女としてここで潰える事を選ぶ。自分を貫く、自分を信じるというその一点で。彼女は最期まで、誰にも負けなかったのだ

 

『──ではな。思うままに、願うままに果てるがいい』

 

王として、使い魔として告げた言葉は簡潔。それでいて、手向けはそれでよしとし。魔法少女達の下へと駆け抜けていくギルガメくん

 

「・・・出ていったわね。まったく、本当にとろいんだから。こうしてお尻を叩いてあげないと進めないなんて、手間のかかる魔法少女の後輩だと思わない、クーちゃん?」

 

【テメェの面倒くささ程じゃねぇよ。・・・オラ、無理してねぇでさっさとくたばりやがれ】

 

「えぇ、・・・言われなくたってそうするんだから・・・」

 

リッカらを、最後まで巻き込まないように。自分の城から出たことを確認し、そして確信してから・・・己の城の崩落の阻害を停止する

 

崩れ行く城、崩壊する女王の牙城。たった二人しかいない玉座の間にて、最後の時間が訪れる──




メイヴ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

【ここまでか。──最初から最後まで、テメェらしくない振る舞いだったな、笑っちまうぜ】

「・・・・・・・・・・・・」

【・・・おい、なんとか言いやがれ。まさかそんなに聞き分けのいい女じゃねぇだろ、テメェ】

「・・・・・・・・・った」

【あ?】

「・・・たのしかったわ・・・だいすきなひとと、いっしょで・・・せかいでいちばん、にくたらしいあいてと・・・ころしあって・・・なんの、くいもない・・・さいこうの・・・すてきなじかんを・・・」

【・・・】

「・・・ねぇ、クーちゃん。このきもち、なんていうの?おなじおんなに・・・こんなにも、こころがうごかされるの・・・」

【──ったく、やっぱり知らなかったか。いいか、もうオレには関係のねぇもんだが、そいつはな】

「・・・」

【──友情、っつーんだよ。テメェの生前には無かったもんだ。精々噛み締めて、ありがたがってくたばりやがれ】

「・・・そっか、これが。・・・そっか・・・」

【──チッ。オレも、・・・ダメだ。あの野郎に、結局一撃もいられなかった、か・・・】

「・・・・・・あいするおとこといっしょに、にくたらしい、・・・ともだちとけんかする・・・・・・」

・・・──何よ、それ。生きていた頃には全然無かったもので、何て、何て・・・──

「・・・・・・・・・・・・」

【・・・メイヴ?おい、メイヴ】

「・・・・・・・・・・・・」

【・・・最後まで笑顔で、か。ケッ・・・だから面倒くせぇんだ。ここまでやらなきゃ、笑いもできねぇのかテメェはよ──】

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