紅閻魔「元気でちか?鈴鹿御前!」
「うわぁっちょセンセ!?マジごめんなさい、全然進歩してないからその恥ずかしいし・・・!」
「ふふっ、相変わらずでちね。どんな風なのでちか?」
「あ、それはまぁ・・・そのぉ・・・雑と言うかぁ、大雑把というかぁ・・・」
「そのままでいいのでちよ。世の中には、どうやっても細やかな料理に向かない者がいるのでち。本を読んだだけで、悟りを開けないのと一緒でち。大雑把でも、味と栄養が揃っていればいいのでち!」
「・・・センセ・・・」
「あとは──旦那様を見つけるだけでちね!」
「・・・ん、まぁそっちは・・・あー、センセ?頼み、いい?」
「?なんでちか?」
「・・・料理、上達してほしい
【また来たのね、黒鎧!何度来ようと私は絶対に諦めませんし、私は絶対に引き下がりません!美少女、美少年による楽園、酒池肉林の遊郭を作り上げるまで、私は何度でも仕切り直すのです!ぜーったい消えてあげませんからね!!】
温泉に巣食う、とある武者の怨念、闇と煩悩に堕ち果てた怨霊。一向に温泉解放の目処が立たぬ原因であるしぶとすぎる、生き汚すぎる怨霊を今度こそ討伐せんと、物寂しくうらぶれた温泉場所にて相対する漆黒のマスター、リッカ。傍に在りしは最近知り合い、そして先輩後輩の関係となりし芥ヒナコが付いている。この布陣こそ、この傍迷惑な羅刹を倒す最適解であると信じたが故の形態であるからだ
(・・・本当に大丈夫かしら。蘭を疑う訳じゃないけど、本当にいけるの、これ・・・?)
秘策というにはあまりに即物的で、あまりに型破りな作戦。しかしどんなに強いサーヴァントを用意しても無駄なのならば最早これしか方法はない。まさか世界を救ったマスターとこんな形で一緒に戦うことになるとは・・・最愛のあの御方ですら予想できるかは定かではない共闘に、ヒナコはどの様な顔をすべきか困惑を露にしながらも、これも閻魔ちゃんのため・・・と己を強引に納得させた。長生きしていればこういう事もあるのだと、ありがちな理屈を自分に言い聞かせたのである。隣の禍々しすぎる後輩に関しては、後でじっくり問い質そうとは思っているが、今は置いておく
【さぁ来なさい!出来れば裸になって来なさい!めくるめく艶々した肌を私の前に晒しなさい!なんならこの二刀、脱衣の手伝いつかまつる!さながら私は脱衣侍!今のこの身、悪鬼羅刹すらも凌駕致しましょう!そう!これこそ煩悩転じて真如に至る道筋なり!!】
カッコいい事を言っておきながら中身は美少女脱がせたいな余りにもあんまりなその怨霊を野放しにしておく気はない。なんだか下総での戦いが台無しになっていく気がする。早急に対処せんと──今、リッカが動く。新しく巡りあった、先輩マスターと共に・・・温泉を取り戻す為の共同戦線が、幕を開ける
【──その宿業!此処で断つ!行くよヒナコ先輩!せーの!】
「わ、解ったわ。・・・いざ、過去の縁を此処に・・・!」
輝く令呪、召喚の為の魔力が高まる。作戦は存分に練り合わせた。後はこれを信じて、成し遂げ怨霊を断つのみである。高まりし気運に身構える怨霊。羅刹が相対せし者、それは天下無双の英雄や豪傑、ましてや剣豪などではなく──
【『アレキサンダー』!やっちゃって!!】
召喚に応え、温泉に現れしは──その怨念の渇望を満たすに相応しき者達。カルデアに在りし、絶世の美少年が双璧を成す──
「やぁ、君が日本の怨霊かい?こんにちは。僕はアレキサンダー。仲良くしてくれると嬉しいな。お姉さん!」
紅顔の美少年、アレキサンダー。神々の寵愛を受ける前の覇王の卵。見るもの総てを魅了する、紛れもなき羅刹が追い求めし財宝──アレキサンダー。後の征服王の幼き姿である
「ね?お姉さん。お、ね、が、い♥」
【おぉ──おぉおぉおおぉ!!まさに!まさに美少年!!】
美少年の中の美少年に御願いされ、微笑みを向けられ激震が走り悶え狂う怨霊。効いている。このあざとさは弱点に確実に効いている──!
【畳み掛ける!このまま押しきるよ!来て!──『コロンブス』!】
この期を逃す手はない。一気に畳み掛け、この煩悩まみれの霊魂を断つ。この機会を逃す手はないと、見繕いに見繕ったとっておきの美少年を召喚する。世界を横断し、経済と常識に風穴を開けた偉大なる冒険者──
「こんにちは!御姉さん、冒険は好き?僕は大好きさ!良かったらお互いの話を聞かせっこしない?きっと楽しいと思うな!」
クリストファー・コロンブス。・・・征服者としての姿ではない、純真無垢なる子の霊基。未来を、希望を夢見る半袖短パンと言う御姉さん特効の美少年もまた、怨霊にて可愛さあざとさの攻撃と言う名のポージングを見舞う。その効果の出来栄えは──
【委細承知!!はい喜んでー!!♥】
「うっわぁ・・・」
のたうち回り、鼻血を滴らせるほどに昂り、最早ドン引きするほどにはしゃぎ回る怨霊の醜態に嘘偽りないヒナコのドン引きした溜め息が響き渡る。人理修復ってこんな意味不明なものばっかり解決したのかしら・・・とリッカらの頑張りに素直に尊敬を向けざるを得ないような感覚に襲われるも、最早自分も傍観者ではないことを思い出し、慌てて追撃と御膳立てに移る
「えーと、その・・・蘭、御願いね・・・」
「わ、分かりました。かつての縁、此処にて再び報いましょう!」
気を取り直して召喚させたるは、ヒナコのサーヴァント・・・クラス、セイバーなりし蘭陵王。中国南北朝時代、北斉に遣えし武将であり、その絶世の美貌と勇壮さにて伝説となりしサーヴァント。かつての縁と蘭は語るが、ヒナコとの出逢いは今、此処で語るには余りにもシリアスさが足りないので割愛する
「令呪を以て命じるわ。宝具を解放しなさい!」
「承知。──それを貴女が望むのであれば!」
阿吽の呼吸にて前に蘭が躍り出、リッカの目をヒナコが覆い隠す。開帳されしは仮面の者たる彼の魔貌。素顔を現すだけで辺りに影響を及ぼし、士気を高め敵を圧倒するその美貌を、それを隠せし仮面を手に取り──
「憩いの場を開けよ、温泉開きである!──この仮面を脱ぎ、蘭陵王の証明とする!」
放たれし、輝かんばかりの魔貌。見るものが一度目の当たりにすれば生涯に至るまで忘れ得ぬであろう絶世にして天上の魔貌。ただその場にあるだけで、誰よりも目を惹き狂わせる貌を、怨霊相手に開帳し見せつける
「『蘭陵王入場曲(いさましきはかめんのもの、おんようけんびのりょうおうなり)』──!いざ!退け!怨霊よ!!」
【おぉっ──おぉおぉお──!!ぁぁあぁあぁ堪らない!天国は此処にありました──!!♥♥♥♥】
怨霊の霊基が急速に削れ霧散していく。二人の美少年、一人の美貌に見初められ、強制的な成仏退去が執り行われる。悶えよじり、過呼吸を起こしながら全身にて歓喜と喜びを謳う一切台無の宿業を持つ怨霊が、此処に消え去らんとしている
「・・・こ、これで良かったのでしょうか」
「良いのよ。・・・ご免なさいね、蘭。本当ごめん」
マスターたるヒナコに頭を下げられ、恐縮に御辞儀の仕合が行われる蘭陵王陣営。これで、なんとか解決したと安堵したその矢先──
【うへ、へへ・・・!もう辛抱たまりません・・・!!据え膳食わぬは武士の恥、此処に私は修羅となります!!】
最高潮に血迷ったむさ・・・怨霊が頭巾に手をかけ、三人の美貌を味わい貪り尽くさんと高らかにルパンダイブを敢行・・・『不安定な跳躍』なる愚策を選択する。──いつもならば行わぬであろう、最悪の悪手をだ
【美少年!!私と一緒にいっぱいいっぱいうどん食べて過ごしましょう!!大丈夫私があーんさせて──】
・・・怨霊が刹那に体験せしは美少年らの酒池肉林ではなく、絶望的な窮地。次いで己の死期である。不安定な空中に飛び出した怨霊、それに相対せしは大地を踏みしめ、どっしりと構え、全身に紫の雷を散らしみなぎらせ、居合いの構えを取り迎撃を果たさんとする邪龍が、咆哮が如くに詠いあげる
【──宮本武蔵、敗れたり。空に飛んだらどう足掻いても身動きは取れないッ!】
【!?しまっ──!!】
腐っても剣豪、無防備で斬られはせぬと慌てて迎撃に移りはするが、事の起こりと準備、体捌きの総てが遅い。達するしか無かった極みを得たリッカが一太刀の元仕留めるには、余りある隙である──!
【四天王抜刀術──【頼】・・・!怨霊!
断つべし!!】
童子切から放たれる、鞘の内部に満ちた雷にて刃を打ち出す電磁抜刀。脳の電気信号伝達の限界すら上回る瞬速の居合い斬りにて、怨霊の宿業と怨念を、一刀の下切り捨てる
【くわぁあぁあぁあぁ!!ふ、不覚──!まさか美少年に心を惑わされた隙を衝かれるなんて・・・!!】
身動ぎひとつ許されぬ瞬間の切り捨てにて両断を果たされる怨霊。もはや、勝敗は語るまでもなく・・・また、見るまでもない
【滝行からやり直しなさい!!あなたにあげる美少年とうどんはねぇ!!】
納刀と同時に、鎧を解除するリッカ。その風貌を一目目の当たりにした消滅間際の怨霊が、ただ一言を残す
【・・・美少女──ッ】
ただ、その一言を残し四散する怨霊。静寂が戻りし温泉に、最早入浴を阻むものは無く、整備を行えば問題なく温泉に入れるだろう。此処に、閻魔亭に巣食った怨霊は調伏されたのだ。──美少年達の手によって
「──美少女って・・・ヒナコ先輩美少女って感じじゃないよね」
「はぁ?あんたね、今のは・・・──あぁ、ううん。何でもないわ。その意味は、自分が解る日まで勉強なさい」
「ふふっ、そうだねマスター。さぁ、温泉を掃除しよっか!」
「よーし!温泉卵を作って閻魔亭の名物にしよう!絶対売れるよ!僕はそう信じてる!」
ヒナコは静かに頷き、出口へと歩いていく。アレキサンダーとコロンブスもまた思い思いに行動を取り出すなか、リッカだけが不思議そうに首をかしげる
「・・・まいっか!よーし!皆を呼んでこよーっと!温泉!温泉!」
此処に、悪に堕ちし仁王は打ち果たされた。漸く、閻魔亭はその総ての機能を取り戻したのである──
ゴージャス温泉(108効能湯源追加)
ギルガメッシュ「フッ、最早結果など見るまでもない。我がマスターが出陣したのだ、当然よな。──よし、これで足掛かりは粗方片付いたと言うところか。後は、抜本的な問題に取り掛かる局面よな」
──はい。これほど霊験あらたかな宿が何故寂れているのか。何故赤字なのか・・・それの調査ですね
《だがまぁ、話と理屈は単純だ。一から十まで浅はかな猿知恵、子供の戯れに過ぎぬ。大人気なく踏み潰すのに異論はないが──まずは慰安が先であろうな》
──はい!それでは、招くと致しましょう!
~
女湯
リッカ「ひゃっほー!一番風呂だ~!!」
ヒナコ「・・・功労者だから一番風呂。マメね、本当」
「裸の付き合いだね、先輩!お、美乳・・・」
「あんたは・・・なんというか、歴戦ね・・・体つき」
「鍛えてますから!いやぁ、さっきはありがとうございました!二人のお陰で助かったよ!これからもよろしくね先輩!」
「・・・先輩・・・先輩か。・・・そういえば、後輩のあんたのこと、なにも知らないわね」
「?」
「──ね、聞かせなさいよ。あんたの話。私が人間に興味を持つなんて、あなたで三人目よ?色々聞かせなさいよね。先輩として聞いてあげるから」
リッカ「!うん!えーっと、それじゃあねぇ・・・」
男湯
蛇床屋「はーい!ゴルドルフちゃん飲みましょ?じゃんじゃん飲みましょ!私がおごっちゃうわよン!」
ゴルドルフ「うぅん!何故私は蛇男になつかれているのかね!?」
混浴
ロマン「いいお湯だねぇ・・・」
シバ「本当ですねぇ~・・・♥この時間、価千金ですぅ~・・・♥」
~薪割り1000回+雑巾がけ十週+窓拭き全般
武蔵「とほほ・・・酒を飲んでも呑まれるなとはこういう事なのね・・・身から出た錆、うどんや城を没収されるよりマシと考えましょう・・・」
小次郎「いやはや、よき教訓となった。拙者も飲酒は程ほどにせぬとなぁ」
「あ!それ私のうどんー!!!」
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