人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ゴルドルフ「えぇい、雀が全く見分けがつかん!!名札を、名札をつけなさいよ!これでは間に合わん!初めてすぐに転けるわけにはいかんのだ!」

蛇長者「あら、随分とイイオトコがいるじゃなぁ~い?お困り?お困りかしら?」

「き、君は!?」

「アタシは気ままな長宿泊客、蛇長者ヨン。なんだか騒がしくなってて皆イキイキしてるじゃない?アタシも何かしてあげたいかな~と考えているところに・・・アナタを見つけたのよン」

ゴルドルフ「おぉ──!?渡りに船!良い場所に来てくれた!では早速相方シートに乗ってくれたまえ!各部隊が手に入れた材料を車で回収しにいくのだ、案内を御願いする!」

蛇長者「えっ──いきなりシートに乗せてくれるのン・・・?蛇面のオネェキャラが初対面で話しかけたら怖くない?」

「当たり前だろう!見た目などなんの判断材料にもならん!そんな事をしていたら本当に私はただの無能から逃れられん!助け船を出してくれた君を私は信じよう!さぁ、行くぞ!ひとっ走り付き合いたまえ!」

「────」

「さぁ早く!モタモタしている時間などないぞ!早く案内を──」

「──ス」

ゴルドルフ「ん?・・・ス?」

蛇長者「素敵!!♥♥♥」

ゴルドルフ「はぃい!?」


温泉

アマテラス「(そー)」


宿業一切台無霊【美少年~・・・美少女~・・・!!持ってきなさい~・・・持ってきなさい~・・・・・・!!私に現実を忘れさせてー!】

アマテラス「・・・ワッフゥ・・・」

~部屋

将門公『・・・怨霊在る限り、温泉は掘れぬ・・・なんと業深き魂か・・・』

アマテラス「──ワフ、ワフゥ・・・」

『・・・安堵しているか、慈母』

アマテラス「ワフ!?(ギク)」

『風呂嫌いであったな』

「ワ、ワ、ワフ・・・(後ずさり)」

『──何としても温泉を取り戻さねば。いざ

「ワ──ワフン・・・!?ワゥーーン!!」

皆の奮闘を無為にしてはいけない、あとお風呂は最後でいいと、アマテラスは必死に将門公を説得するのだった・・・──


河の幸を手に入れよう!

「それでは、僕・・・あぁいや、余ら川の幸を集めるチームの活動を始めようか!それぞれ、日暮れまでに思い思いの戦果をあげよう!サーヴァントとはいえど此処は神秘を残す山、何が出てくるか分からない。油断だけはしないようにしよう!慢心は決して、容認されないぞ!」

 

河のせせらぎ、木々の囁きが響き渡る。底が見えるほど透き通った川辺にて集い、隊長としてメンバーに声をかけし、河の幸収集部隊の隊長、ラーマ。シータ、乙姫、パールヴァティー、カルナ、アルジュナの面子に、はきはきと声をかける

 

川の清らかな水にて泳ぐ魚たち。それらを初めとしたそこでしか取れない幸を手にするために集いしインドの精鋭+日本の特異点ということで推薦された乙姫の総員に、心構えと気を引き締める事を呼び掛ける。ラーマは王として相応しき存在である。つまり隊長として相応しき存在であると、ご機嫌王に猛烈な手を上げアピールを行い立候補したのだ。シータの目の前で、シータの目の前で

 

「夕暮れになったなら集合、帰還するぞ!皆の奮闘を信じ、期待している!ご機嫌王に見せてやろう、我等の結束を!それでは、解散!」

 

高らかなる号令と共に、一同が二人一組のチームを組んで行動を始める。全ては、閻魔亭の力となる食材や幸を手に入れる為の戦いであり、真面目すぎる程ではなくても、各員は気を引き締めているのだ

 

「よろしくお願いいたしますね、乙姫さん。インドにも大きい川があって、そこを民や人々は心の支えにしているんですよ」

 

「そうなのですか・・・!川が心の支えだなんて素敵ですね!川はいずれ、海へ繋がる道になる・・・それはつまり竜宮城へ繋がる道そのもの!インドはつまり、竜宮城だったのですね・・・!」

 

「え、そうなのですか?・・・いえ、もしかしたらそうかも・・・それでは今度、シヴァと一緒に遊びに行かせていただきますね?」

 

「ぇっっ──・・・!??い、い、いいいいですとも!精一杯おもてなしいたしますすとも!それでは幸を!幸を探しに行きましょう!幸を!」

 

神話における最高神夫婦の来訪を確約され冷や汗をかき尽くしながら、パールヴァティーとガールズトークを行う乙姫。川の上流に向かい、魚の集まる場所へ手掴みに向かうための行動を始めたのだ

 

「シータ、僕たちの力を見せてやろう!うん、今こそ僕たちが受けた恩を返すときだ!」

 

「はい、ラーマ。でもまずはお腹を満たしましょう?お腹が減っては戦えない、という言葉を聞きました。ラーマが戦えなくては、私達は負けてしまいますから」

 

「あぁ、そうだな!だが僕たちは負けないさ、何故なら呪いにすら負けなかったんだから!」

 

素早く戦う前のランチタイムに移るラーマとシータ。御弁当を手掛け、ラーマを初めとしたみんなに作ってきたシータの手際の良さを言外、態度にて自慢を行いながら、シータの愛妻弁当を口に運ぶラーマ。数口運ぶうちに感動に咽び泣くラーマを、シータは優しく背中を擦る

 

「あぁ、僕は幸せだ・・・この時間が、この一時さえあれば何もいらないんだ・・・ぐすっ、うぅっ・・・」

 

「えぇ、分かってる。分かってるわ、ラーマ。私も、同じ気持ちだから」

 

感嘆、感動、驚愕。様々な感情が示される中・・・それら和やかな雰囲気とは毛色の違う火花が散る一組がある。白き黄金の美男子、黒き炎弓の担い手のコンビ・・・

 

「見ろ、アルジュナ。泳いでいる魚が見えるほどに透き通っている。この国には、カッパのカワナガレ、という儀式があるそうだ。上流よりもし流れてきたのなら、厳かに見届けるとしよう」

 

麦わら帽子を被り、暢気で穏やかな感想を呟くカルナを、油断なく警戒に満ちた目にて睨み付けるは、そのカルナ終生のライバル──

 

(貴様には負けんぞ、カルナ・・・!この幸集めにて、尋常なる決着をつける!誰の介入も無き勝負の機会、だれにも邪魔はさせん・・・!)

 

何故か雀たちに渡された最新鋭釣具一式に身を包んだアルジュナが、黒き対抗心を燃やしカルナの隣にて準備を行う。彼はカルナが幸集めに参加すると聞き、即座に後追いにて立候補したのだ

 

(どちらが真に優れているのか、これで答えが出る!貴様に勝つためならば、全ての魚を釣り尽くす事も私は辞さないだろう・・・!)

 

のんびりと手作りの釣竿と、木材で組み込んだ簡易な椅子に座り、浮きを静かに垂らすカルナに倣い、最新鋭釣りセットを振るい、カルナの隣にて浮きを睨み付けるアルジュナ。彼にとってこれは遊びではない。かつての戦いにて後悔の勝利を掴みとり、そしてアメリカにて全力の敗北を受けたアルジュナ自身の、意地と呼ぶべき戦いであった

 

神の介入は無用。ただ敗れたリベンジの為に全力を尽くす。どのような事項も脇におき、目に移るはカルナのみ。静かにぼんやりと河の流れを見つめるカルナに、今度こそ負けぬとアルジュナも静かな激情を燃やす。──そして、その成果は即座に現れた

 

「──フッ、早くも貰ったようだな、カルナ・・・!」

 

ただの一匹も魚の影すらないカルナに対し、アルジュナの浮きの回りには大量の魚たちが殺到し釣られんと主張する。我先にと生命を捧げんとするその光景は、アルジュナただ一人に向けられている

 

(やはり私こそが史上最強のサーヴァント・・・こうして慣れぬ釣りすらもこなしてみせる!。これこそが私、これこそがアルジュナ!施しなど無くとも、私は私の力にてお前に勝つ・・・!)

 

「流石だな、アルジュナ。やはりお前は万民に愛され、そしてその愛に相応しき存在だ。──だが・・・」

 

微笑ましげに見守るカルナは、アルジュナの釣った魚をクーラーボックスに大切にしまいこむ。そしてそのまま、アルジュナにぽつりと一言を告げる

 

「時にはお前も、お前のみを愛すがいい。誰かの愛が重荷と感じることは決して悪ではない。プレッシャーという言葉もある。それは当たり前の事なのだから」

 

「ま、また知ったような事を・・・!」

 

貴様に何が解る、とアルジュナが口にする前にカルナは魚たちを丁寧に洗浄し、静かに手を合わせ保管を行い釣りへと戻る。浮き沈みするウキを眺めながら、感じたことを

 

「見ろ、アルジュナ。これはアユというらしい。鮭は卵を生むためにこのような川を上ると聞いた。鯉は龍となるために、滝を上り進化するという。──もしやリッカも滝を上ったのだろうか。見上げたものだ。ジナコは恐らく落ちることしか出来ないだろうからな」

 

「・・・~!貴様はマイペース過ぎるぞカルナ・・・!貴様はいつもそうだ・・・!何故そう泰然としていられるのか、私には解らん!」

 

こんな釣りにも、生死を争う戦いでも。カルナは微塵も揺らがず、迷わなかった。今回の件にも、なんの迷いなく行動している。その度に、自分の卑屈さや醜さを突きつけられているかのようで・・・けれど、カルナは静かに手を告げる

 

「お前にも出来る筈だ、アルジュナ。解らん、出来んと思ったのなら、知る努力をしてみることだ。何事にも先入観を捨てる事だ。──オレが、二人目に心に残したマスターから教えて貰ったことだ」

 

「っ・・・」

 

「と言うわけで、お前には期待させてもらう。見ての通り、オレはお前ほど上手くはない。オレも全力を尽くすが、オレがダメだった時は、お前がオレの分まで釣り、マスターを・・・皆を喜ばせてやってほしい」

 

なんの臆面も無く、なんの躊躇いもなく。カルナはアルジュナにそう言ってみせる。生前も、カルデアに来てからも。一度もこちらから歩み寄る姿勢など見せなかったと言うのに。こんな細やかな争いに敵意を見せる自分にすら頼り、仲間として接して来るのだ

 

「──いいだろう。だがこれだけは忘れるなよ。私がいるからと、釣りにて手を抜くのは許さん!」

 

「無論だ。我が父と我が肉体、そして御機嫌王に誓って、全身全霊を尽くそう」

 

ならば、と同時に椅子に座り魚を待つ。怒濤の勢いで釣り上げていくアルジュナの魚たちを、丁寧に丁寧にクーラーボックスへと収納していくカルナ

 

「どうしたカルナ!貴様の力はそんなものか!ただの一匹も釣り上げられず私に敗北を認めるというのか!」

 

「夕暮れにはまだ時間がある。勝負はそこまで決して見えはしない。口を動かすより手を動かせ。また目印が動いているぞ」

 

「分かっている!その余裕、私の釣りの腕前の前にいつまで保っていられるかな・・・!!」

 

段々動きが洗練されていき、手際よくアルジュナが釣り上げ、空中に放られた魚をカルナがクーラーボックスにキャッチするというコンビ芸が執り行われる事となる。釣り、キャッチ、整理、釣り、キャッチ、整理。その兄弟の抜群のコンビネーションにて、みるみるうちにクーラーボックスが大量に埋まっていく

 

「どうしたアルジュナ、輝く王冠のお前はこんなものではあるまい」

 

「解っている!貴様は黙ってみているがいい!感嘆せよ、大漁旗は既に我が手中に──!!」

 

クーラーボックスが二桁を越えた頃、休憩がてら様子を見に来たパールヴァティーと乙姫は、熟練の老夫婦か歴戦のお笑いコンビもかくやと言わんばかりの二人のコンビネーションに目を見開く

 

「なんなんですかあの二人!?釣糸を垂らしてからクーラーボックスに納めるのに三秒とかかっていませんよ!?釣りってあんなんでしたっけ!?」

 

「あははは・・・アルジュナもカルナも、真面目でやりすぎるところがありますから・・・でも、二人に任せておけばノルマは達成できそうですよ?」

 

「あぁ待って待って!待ってください!繁殖が出来るくらいの数は残しておいてくださーい!!」

 

釣って釣って釣り続ける二人に、命懸けで訴える乙姫。二人の活躍(?)にて、あっという間にノルマは達成され、楽園にて贈られる幸は存分に満たされたのであった

 

「はは、ははは!やったぞ!やったぞカルナ!これで大漁旗は我等のものだ!」

 

「あぁ、よくやったアルジュナ。オレもお前のサポーターとして、鼻が高いぞ」

 

某バスケット漫画の見開きの如く、力強いハイタッチを交わす二人を、一人は微笑ましく、一人は苦笑いにて見詰めたのであった──




夕暮れ

アルジュナ「・・・ラーマ、シータ。遅いですね。何かあったのでしょうか」

パールヴァティ「えぇっ、ラーヴァナでも現れたのでしょうか?特性的に、乙姫さんとラーマさんしか、今倒せる方は・・・」

「ヒュドラに続いてラーヴァナさんからもご使命が!?お、お、終わりのないディフェンスで大丈夫でしょうか!?」

カルナ「問題ない。──む、帰ってきたようだ」

ラーマ「おーい、皆ー!」

シータ「不思議なことが、起こりました・・・」

河の幸を含めた、様々な材料を集めていたラーマとシータが戻ってくる。──大量の食材を背負いながら

パールヴァティ「わぁ・・・!それは一体・・・!?」

ラーマ「なんだか、沢山積み上げられていたんだ『閻魔亭へ』と書かれていて、乱雑に・・・」

シータ「放置されていました。だから・・・持ってきたのです。でも、一体誰が・・・」

謎の者より与えられし、支援。部員ではなく、誰かわからぬモノに困惑していると・・・

猿「ウキ~」

乙姫「!?」

猿「ウキ」「ウキ~」「ウキ~」

謎の影、──小さな猿達が垂らされていただけのカルナの釣竿をいじっている

カルナ「む?」

アルジュナ「貴様ら、何を・・・!」

ラーマ「いや!彼等は──!」

そう、彼等はとある事を成し遂げた。──辛うじて、己の成すべき事を成し遂げる──

「彼等は・・・!」

乙姫「こ、これは──!?」

「「「ウキ~!!!」」」

カルナの0なる成果に待ったをかけたその結果は──

乙姫「た、鯛だ~~!!!?」



成果

海の幸 800

河の幸 クーラーボックス20箱

各種木材 1200

河の主 1

大量の資材を手に入れた!

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