人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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織田信長「・・・わしであって、わしではない・・・この聖杯戦争の条約・・・」

信勝「・・・姉上?どうかなさいましたか?」

「・・・いや。もしや気紛れに貴様を喚んだのは、割と起死回生やもと思ったまでよ」

「え、それはどういう・・・」


「──流石は信長公、そこらの英霊など者の数ではありませんな」

「・・・貴様、キャスターか」

「如何にも。名を、南光坊天海。徳川の守護を請け負い、この帝都を案じたものです」

「・・・竹千代の・・・、・・・!もしや貴様・・・!」

「えぇ、えぇ・・・お久し振りにございます。我が君・・・織田上総介信長公!」

「明智、光秀──!キャスターが貴様と言うことは、やはりこの帝都は・・・!」

明智光秀「流石は信長公!ですが遅きに失しましたな!既に貴方は私の手の内!あの本能寺の時のように!」

「チッ──信勝!退け!奴等に伝えよ!この茶番、終わらせて見せよとな!」

「あ、あ、姉上!?」

「早くせぬか!我等の戦にて、日ノ本の有り様に止めを刺すわけにはいかん!!」

「わ、わ、解りました!姉上!必ずまた──!」

明智光秀「・・・長う、長うございました!今こそ、今こそ!真の信長公がお戻りになられるのです!この帝都!私の戦線!第六天魔王降臨の為の『神降ろし』の陣がね!」

信長「わしを謀るとは・・・!光秀、貴様ぁあッ!!」

「・・・よし、信長公をお運びしろ。織田の出涸らしは捨て置いて構わん」

兵士「はっ!」

「聖杯、・・・公の霊基。そして英霊達の無数の魂!いよいよ、我が願いが成就するときが来たのだ!!ハハ、ハハハ!ハァーッハハハハ!!!」


帝都攻略部隊、ぐだぐだ大結集!!

「おーう!戻ってきたなリッカ先輩!マジンとやらも御苦労であった!うはは、見れば見るほど魔神セイバーにそっくりじゃのぅ!流石はfgoに出たいが為に設定改編されただけの事はあるな!」

 

「・・・アーチャー。いや、これは・・・カルデアのアーチャーか」

 

扉を開けた先に待っていたのは、織田信長であった。茶々と共にカルデアより持ち込んだスイーツ、じゃんぬの差し入れである大量の絶品製品を頬張りながら、探偵事務所の所長室の椅子にて愉快に笑い、朗らかな声音にてリッカ達を迎え入れ暢気な挨拶を送る。マジンさん、リッカ共に直感し思い至る。あぁ、ぐだぐだしてきたなぁと

 

「戻ったよー・・・あ、あれ?アーチャー・・・!?」

 

肩を貸され、ほうほうの体でやって来た龍馬もまた驚愕に目を見開く。たった先程、死線と死闘を繰り広げてきた魔王がのんびりとスイーツを頬張りクソダサTシャツを着ながら寛いでいる状況に、流石の維新の英雄もまた驚愕する

 

「うははは、その様子では存分にボロ負けして来たようじゃのう!だが是非もないネ!マイナー英霊が束になった所でワンパンワンショットキルゥ・・・じゃからの!いやー、わし最強じゃな!うははは!」

 

信長からしてみれば自分自身の活躍と快進撃の噛ませとなった三英霊の有り様は愉快なものである。リッカらとは対照的にボロボロな三人は、それぞれの感慨を浮かべ漏らす

 

「うぅ、くやしみ。あれほどカッコよく決めておきながら生き恥を晒している・・・お竜さん、このまま海に沈んでしまいたい・・・」

 

「ハッ、いい様じゃ。おう龍馬、この貸しは忘れるんじゃなかぞ。わしと丸の字がおらんかったらおまんはくたばってるんでいるんじゃからのぅ!」

 

「うん、解ってるさ・・・本当に助かったよ。ありがとう、二人とも」

 

「完全無欠の結末に、犠牲は容認できぬ。それだけの話でござるよ」

 

お竜さんは先程の対戦にて凄まじいまでの負傷を受けたものの、お竜さんは龍馬の宝具であり、彼が無事であるのなら消滅せずに形を取ることが出来るのだ。龍馬、ポメ蔵、そしておぼろ丸の生還にて、仲間達の全員が無事に帰還を果たし此処に役者が集うと、カルデアの第六天魔王はスイーツを食べながらその概要を本題へと導き示す

 

「カルデアスタッフの面子の定時と労働基準法を遵守した調査と解析により導かれた結果を持ってきてやったでな。早速説明してやろう!えー、何処から話したもんじゃがなぁ・・・」

 

「叔母上ー!茶々、もっともっとスイーツ食べたいんだけど!持ってきて持ってきてー!それと敦盛踊って!あの変なヤツ!」

 

「えぇい、後じゃ後!──よいか。この空間・・・将門公の膝元である帝都はの。サーヴァント共を集め、より純度の高い霊基を鋳造するための儀式、神降ろしを行うための空間と言うことらしい。──蟲毒のようなものじゃな」

 

「マジンさんリッカから教えてもらったぞ。家に留守番している子が家を守るために一人きりで・・・」

 

「それは孤独!ホームアローンな!リッカ先輩教える知識幅広すぎじゃろ!うはは、レスポンスよい会話は愉快じゃの!」

 

『はい先輩!蟲毒というものはですね、壺の中に沢山の毒虫や毒蛇を入れて殺し合いをさせ、生き残ったものを呪術に使う東洋の魔術の事です!どうですか!物知りでしょう!後輩は物知りでしょう!』

 

「マシュ、女子としてその知識はどうかと思うよ」

 

『先 輩 に 女 子 の 在 り 方 を 説 か れ ま し た・・・ ・・・ ! ?』

 

「スパンキングがお望みかなすびぃ!!」

 

つまりこの空間は、サーヴァントの殺し合いにて魂を蓄積させる事。それらを重ね、束ね、そしてより純度の高い霊基を得るのが目的であるのだと言う。霊脈や地理の鼓動、魔力の巡りから日本の英霊・・・将門公とアマテラスの調査により、この全貌が読めたのだ。そして──

 

『其処、なんだか観測によれば何度も何度も聖杯戦争を繰り返しているみたいなんだよね。いつからは不明だけど、歴史から都市ごと隔離し、聖杯戦争を繰り返し、集めたサーヴァント達を集積しているみたいだよ。・・・どうかと思うよ、これ。聖杯で手っ取り早く願いを叶えればいいのに、計画や準備、実行の手間暇。リスクマネジメントの面からして、ちょっと正気じゃないと思うなぁ』

 

ロマンが言った通り、これは狂気の行いだ。いつとも知れぬ完成を、いつとも知れぬ顕現を。鋳造を行う。それらは余りにも回りくどく、狂気や狂信に近いものを感じると言うのだ

 

「──じゃがま、キンカンのヤツならやるじゃろ。アレは入れ込んだものに陶酔するタイプじゃ。前々からそうじゃったからなぁ」

 

キンカン・・・織田信長の家臣にして反逆の武将、明智光秀であるとノッブは看破する。キャスターは明智光秀であると彼女は理解したのだ。これほど面倒な事をする歌舞伎ものは知る限り一人しかいないのだと

 

『同じキャスターとして言わせてもらうなら、この規模からしてみて神霊クラスの降臨を狙ったものだと睨んでいるよ。歴史の流れに繋がっていたならば、即座に抑止力に睨まれるくらいには、ね』

 

「・・・そうか。だから僕や、彼女が出張るわけになったわけだね」

 

「あん?龍馬おまん、また何か隠し事してるがか?為にならんぞ!嘘つきや隠し事は龍馬の始まりじゃぞ!」

 

「えー!それじゃあ戦国皆龍馬じゃない?恐るべき龍馬計画!受けるんだけど!」

 

「海援隊大量発足とは。日本の夜明けも近いだろう」

 

「おまんら何を言うとるんじゃ!龍馬になったらのぅ、どいつもこいつも何を言っとるか解らん事になるんじゃ!わしはごめんじゃぞ!」

 

つまり、この場は全てキャスターの掌の上であるということ。全容を見えたという場合は、倒すべき頭領、首魁を定めたということである

 

「──やる事は決まった、って事だ。考える事なんざ何もねぇ」

 

二階より降りてくる者、それはけして停止と退却を知らぬ誠の旗を掲げしもの。土方歳三が洋装とフル武装を纏いし現れる。そして・・・──

 

「カルデアへの凱旋まで後僅か!皆さんお待たせしました、ここからは、新撰組も参加しますよー!お任せください!」

 

新撰組最強剣士。沖田総司もようやく復帰を果たす。そしてようやく、此処に来てマジンさんと沖田さんが邂逅を果たしたのだ。向かい合う、それぞれの・・・

 

「口からトマトジュースを吐き続けている沖田。どうやら元気になったようだな、良かった」

 

「えぇお陰さまで。私もこれから・・・トマトジュース!?なんです!?」

 

「あまり無理はするな。マジンさんとリッカがいれば万事問題ないぞ、だからのんびりと頑張るんだ」

 

「そう言うわけには参りませんとも!マスターの、リッカさんのベストフレンド枠は譲りませんからね!一緒に炬燵でぬくぬくしているんですからね!」

 

「──そうだな。この戦いが終わった後も、お前たちはマスターと共に在るのだな、それは・・・良かった」

 

情報は出揃い、そして目標は定まった。後は、成し遂げるのみ。この帝都における聖杯戦争を終わらせ、そしてカルデアへと帰還する

 

「此処にいる者共ならば、戦力に不満は無かろう!身内人事の世迷い言に付き合わせた事は些か申し訳なくも無いこともないが!まぁそれは持ちつで行くとしようぞ!さぁ、天下と勝利、本能寺はすぐそこじゃあ!!」

 

「「「「おーっ!!」」」」

 

決意を新たにし、同時に奮い立たんとする一同。それぞれの会合が、決戦の機運を感じとり会話の節々にも現れる

 

「リッカ。往こう。この戦いの先には・・・カルデアの暖かい布団が待っているはずだ」

 

「うん!ばっちり一緒に頑張ろうね、マジンさん!紹介したいサーヴァント、友達とか一杯いるから!」

 

「・・・うん。私は最期まで、リッカと一緒だぞ」

 

絆を確かめる者・・・

 

「叔母上ー!楽園カルデアって何何?茶々も茶々行きたい行きたーい!」

 

「ふっ、茶々よ。カルデアに行くにはのぅ・・・厳正な審査と資格が必要なのじゃ!具体的には籤運がのぅ!」

 

ぐだぐだするもの・・・

 

 

「最期まで、力を貸してくれるかい?以蔵さん、おぼろ丸くん」

 

「・・・ふん。わしは、誰かの手で踊らされるんがいっとう好かんだけじゃ。おまんを許した訳じゃなかぞ!勘違いするじゃなか!」

 

「そぼろ、これは何て言うアレだ?」

 

「ツンデレであるらしい。ポメ蔵は素直では無いな」

 

「余計な事は言わんでいいんじゃ丸ゥ!!」

 

「・・・そして、龍馬。貴殿に話したいことがある。それを果たすまで、聞き届けるまで・・・死ぬな」

 

「・・・分かったよ。お互い、無事でね」

 

複雑な思いを去来せしめるもの

 

「さんざん寝たんだ。遅れは取り戻せよ、沖田」

 

「解っていますとも!・・・ですが、あのマジンさんは・・・」

 

「・・・あいつの事はとやかく言うな。あいつには、あいつの生き方がある。そいつを今更、俺やお前がどうこう言う義理も道理もありはしねぇよ」

 

「・・・はい。せめて、マジンさんとマスターが望む結末を手に入れられると・・・信じましょう」

 

・・・かつての自分の側面を、見守りし者

 

それぞれの思案と思慮の交錯。恐らく、最後となるであろうこの場の会合に・・・

 

「う、うぅ・・・すみませーん・・・!姉上が、姉上が・・・!」

 

「!──その声、御主信勝か!なんでこっちに来たんじゃ!華麗なる転身にもほどがあるじゃろ!わしからわしの陣営転換とか見る目あるのぅ!」

 

「あ、姉上が、姉上が・・・ってあれ!?なんでこっちにも姉上がいるんですか!?」

 

ボロボロとなりし信勝の来訪。その合流を以て、最終決戦の幕が開く───

 




信勝「あ、姉上!!大変です!キャスターに姉上が姉上が!姉上が姉上されてしまって姉上がですね!!」


信長「えぇい!何を言っとるのかさっぱり解らんわ!わしにわしの窮地を伝えるのかはっきりせい!委細!詳しく!申さぬか!!」

「は、はい!えっとですね!キャスターが姉上を!姉上を浚ってしまって!そして僕を逃がして!えぇとそれで僕に!キャスターの情報を伝えろと!」

ギルガメッシュ『──ほう。流石は戦乱の覇者よ。この特異点の有り様に気付いたと見える。・・・だが、些か遅きに失したか』

「ギル!?」

『マスター、そやつから基地を聞き出すがよい。部員どもより提出されし資料と照らし合わせ割り出した場所に本拠地があるのは明白よ。──あぁ、そしてこれを持っていけ』

『ギルガメタブレット』

「わ!これ、ギルの?」

『魔術支援統轄マスター制御礼装よ。そのタブレットは手製でな。契約したサーヴァント、使用可能な礼装、スキル、英霊リスト、召喚、仮契約など諸々の機能をワンタッチで行える優れものよ。お前がマスターとして戦うための助けにせよ』

「わぁ!!マジで!?使っていい!?」

『──ギルガメタブレット、起動を確認しました。リッカちゃん、よろしくお願いいたします!』

「システムボイス姫様だぁーー!!ホワァ」

『ふはははは!日替わりで全サーヴァントがシステム案内をこなす!いきなりエアを引き当てるとはやはり我に相応しきマスターよ!さぁ、行くがいい!この特異点を鮮やかに突破してみせよ!』

「了解!!行こうマジンさん、皆!最後の戦いに!!」

マジンさん「・・・うん。最後の。最後の戦いに、な。最後の・・・得難き最後の・・・結末にだ」

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