オルガマリー「ゴルドルフさんを招こうと思いましたが・・・ギルが想像以上に改築にかかりきりだったからこれ以上は一旦区切った方がいいわね。となると・・・」
ホームズ「オルガマリー、私に考えがある。王に任命され手掛けている自律装甲機の適正を高めるための一環として・・・」
ムジーク邸
『シャドウ・ボーダーZero』
『暫くお楽しみください』
ゴルドルフ「ファミリーゲームを送り付ける魔術師とか始めてみたよキミィ!?え、レーシングゲーム?本格的?ほほう挑戦的だねキミィ、どれどれ・・・?」
~
メイド「もう眠りになった方が・・・」
「まだだ!まだNEWレコードを全て塗り替えるまでは!不死鳥のムジークは終わらん!終わらんよ!!」
~
ホームズ「特訓と適正を高められる。実に効率的だろう?」
オルガマリー「・・・成る程、分かりました。似た者同士なのですね・・・」
「ははは、善か悪か、彼と私を分けるのはそれくらいだとも」
アイリーン『くれぐれも、ファンの前で言ってはダメよ?』
オルガマリー「ヤク中というだけで、今更な気はしますが・・・」
分け身と自我の定義が乱れる
サーヴァント──歴史に名を遺す功績を以て世界に召し上げられ、英雄の座にその存在を刻まれた魂をクラスへと押し込めたもの。英雄本人を召喚することはほぼ不可能に近いため、一側面という形にてその英雄を再現し召喚する術式、『英霊召喚』にて招かれし英雄達の事を指す。あるものは自らの願いのために、またあるものは招かれた恩に応えるために。またあるものは単に偶然の産物として召喚に応えるのだ。呼び出されてからのサーヴァントの物語は様々ではあるが、確実であることは一つ。『同じ結末、物語は有り得ない』という事である
クラスが違えば抽出される側面も違う。救国の英雄が悪辣なる快楽殺人鬼として召喚されることもあり、戦慄の祟り神が至高の守護者として招かれることもあり、それらが同じ空間にて両立する事態も有り得るのだ。サーヴァントはあくまで英雄本体の写し身という形で現世に招かれ、受肉などの特別な手段が無ければあくまで奇跡により招かれし奇跡の産物に過ぎず、現世の歴史を編纂し、または介入するような事にはなり得ないのだ
・・・それ故に、側面が多々在るもの、或いは多面性が強烈な者は同じ大本でも強烈に見た目や性格、人格が著しく変化しているケースが多い。そして、自分自身の側面を見せられるということは自らの人生にて為し遂げた罪、功績をも直視する場合があるということだ。──それが例えば『神』であるならば随著であり、陽気に笑う女神が復讐へと凝り固まる事例も考えられるし。はたまた理性を手放し、破滅と災いをひたすらにもたらす存在へと堕ち果てる事も、召喚形態にて十分に有り得る事態であり考慮されるべき可能性である
・・・──今回は、その召喚形態に深く思うところがある者に焦点を当て、日常を覗く事とする。その多様性は周囲にて知られるところであり、また本人らも中々に愉快かつ不明瞭なる状態であることも理解している中、なんだかんだで現状維持しか出来ぬやるせなさを持つ彼女達に、焦点を合わせて。そう、これはサーヴァントという存在が、システムが巡り会わせた珍妙な事態のほんの一ケースであり、また本人達にとっては微妙かつやるせない事態であるのだか──
みえるかお ひとつじゃないよ けものかな
「ワフ!ワッフ、ワン!」
「いつもありがとう。助かるよ。またよろしくお願いするね、アマテラスくん」
ロマンに声を上げ、てしてしと歩き出す紅白の特注制服に身を包みしサーヴァントが、背中に伝言板や依頼の用紙を背負いながら廊下を進んでいる。人型ではない、大型の狼の姿を取ったサーヴァントである。カルデアのスタッフや、コミュニケーションが取りづらい偏屈なサーヴァントの間を取り持ち、円滑な交流を手助けする形にて楽園に交流と活気をもたらす者がいる
『アマテラス』。かの日本の大神、天照大御神の一面を抽出されたサーヴァントの一騎であるが、彼女の場合は些か召喚が特殊であり、その特性から人型ではなく狼の姿で顕現を果たしたのだ。サーヴァント、分霊とは言え最高神の顕現。召喚難易度は尋常ではなかったが・・・其処は楽園カルデア、不可能は無いのである
「ワフ!」
彼女は天照の大元の神威・・・恵みや威光そのものが日本に伝わる信仰の形、『大神信仰』と結び付き形を為した者であり、言うなれば純度100%の太陽の恵みと神の御業の側面、司りしは慈愛と慈悲の側面である。日本には狼を神の遣い、あるいは神そのものとして信仰を捧げた風習があり、其処の信仰を楔、依る辺として再現された一面・・・『遍く照らす側面』がルーラーとして招かれた結果がこの狼であり、大神なのである。彼女は生前の行い、イメージにて在り方を歪められる『無辜の怪物』とは似て非なるスキル『可能性の光』をEXランクにて所持している。天照、あるいは太陽がもたらす暖かい印象や信仰のイメージを背負い、一身に受け、そしてそう在ることを決意し形となったもの、それがこのルーラー、アマテラスであるのだ
「チャオ!アマテラス!今日も元気に人助けですカー?偉いデース!今度是非一緒に、リッカちゃんとルチャりまショー!」
「ワフ、ワッフ・・・」
うら若き身なのですから程々に、とやんわり告げる柔らかな態度は太陽が懐くポカポカとしたイメージに違わず、優しく暖かく誰かを助けるその姿は照らしてくれる太陽の在り方のイメージにそぐわない。その姿とその優しくも軽やかな物腰から、彼女を頼る相手は楽園にて数多く、カルデア内でも高く重要な位置にて人を助けているのである
「ワン!」
そんな彼女もまた、自らの側面に関しては思うことがあったりする。もっぱら人助けしながらもそっと自分自身の進展をこっそり見守ったり助けたり、なんだかんだで気にかけていたりするのだ。──アマテラスは今、野菜を抱えている。向かうべき場所に待つ者に、手渡すものがあるのである。足取りは軽く、訪れしは暖簾がかかりし肉球の地・・・
「おぉ、訪れたなアナザー・タマモリリィ。出典や解釈は気にしない在り方にグッドみを感じるゾ、うむ。配達感謝である」
「ワフン」
其処に待っていたのは、カルデアの最古参にして台所を守護する天照。そして悪名高きタマモオルタ(仮名)の純真な部分の発露たるタマモキャット。彼女もまた天照の化身にして、タマモオルタの良心の証明なる存在だ。アマテラスともその性質から交遊関係は良好で、こうして顔を合わせ助け合っていたりするのである
「もうすぐ二月、二月といえばカカオマスの時期である。アタシも日頃の感謝として手掛けるつもりゆえ、カカオマスは欠かせないのだナ。眼に染みるのが難点ではあるが、そこは良妻パワーで何とかするのがタマモ流である」
「ワフ、ワフン。ワッフ」
素敵な心掛けです。頑張ってと自らの分け身を励ます。自分はチョコレートは見た目と論理的に食べてはいけないので、カルデアをにわかに賑わせているイベントに直接手助けは出来ないのだが、マスターへの想いを忘れないタマモキャット、そして誰かを想い合うその姿勢があれば充分であるとばかりに声を上げ、満足げにチョコを作らんとする彼女を見守る中──
「そう悲しい声をあげるな、アタシも哀しい。案ずるな、チョコだけしかあげていけないなどという決まりは無い。与えたいものを与えれば良いのだアマテラスリリィ」
「ワフ?」
「──骨や、桃などはいかがか?」
その発想は無かった・・・!とばかりに声を上げる。大事なのは気持ちと心であり、姿形は問題ではないと言う事に気付かされるアマテラス。けものはのけものにはならない・・・いい時代になったものですと満足げに頷き、早速二月用にマスター専用のプレゼントを用意しなくてはと反転宙返りダッシュにて向かおうとするアマテラスであったが・・・
「待つのだリリィ。その前に、削除か排除しなくてはならぬアマテラスがいることを分かっているか?」
「ワフ、ワッフ?──・・・ワフ・・・」
疑問を浮かべ、即座に思い至り嘆息を漏らす我等が慈母。いやまさかそんな、プレゼントに何かを行うような真似をする筈はない筈・・・
「リリィはまだオルタを知らない。では参るぞ。不埒ものと身内の恥の掃除の御時間である故な」
タマモキャットはすべてを察した様子で歩んでいく。アマテラスもまた、ゆっくり歩みを進めついていき向かう。アマテラスの中でもやや問題児な玉藻、本来の天照に最も近しい存在に──
~
「さぁやって参りましたバレンタイン!浮かれに浮かれ、キャッキャわいわいやっているお邪魔虫たちに差をつけるよい機会です!玉藻は出来る子やれる子だという事を御主人様に見せ付けてやりましょう!」
鼻唄混じりに、そして鼻息荒く手作りとは思えぬ程の精巧なチョコレートを制作し良妻の立場を確立させようと意気込む玉藻。本来ならば怨霊、荒御霊にて真価を発揮する側面なれど、人を愛し人に尽くさんとして顕現したタマモナインのオリジナル。その性格にはやや難があるが、一途であり真っ直ぐな彼女は悪い存在ではないとアマテラスは考えているのだが・・・
「良く見るのだ、これがタマモオルタなる由縁である」
タマモキャットが告げる様に、その製作過程にて・・・
「あーっと、手が滑っちゃいましたねー♪何やら呪術的なアレコレや美味しく感じて玉藻が魅力的に更に見えちゃうそれこれがインしちゃいましたねー!玉藻うっかり~!」
明らかにピンク色な薬をポトリと垂らし、隠し味としては白々しく玉藻がアレコレを企む。チョコレートの輝きが一瞬ピンク色と紫になる反応を見せる程の変化をもたらす。キャットとアマテラスは即座に把握する。これはアカンやつであると。確実に認識阻害が起こるいけないものであると
「御主人様には味わっていただきましょう、玉藻の溢れんばかりの素敵な気遣いと心遣いを、そしてちょっとのラブという心遣いを!こちら、副作用後効果は一切無くなっておりますゆえ安心安全!キャー☆タマモ優秀すぎて困っちゃーう!」
「うむ、確かに優秀であるナ。全部自白したサスペンスドラマめいた配役はいかがか?」
「えーどうせなら私仲良く御主人様のヒロインがいいですねー・・・って!?」
「ガウッ!!」
真面目にやれ。やれば出来るのにズルに逃げるんじゃありません。そんな怒りの牙と咆哮が響き渡り、不埒な玉藻にアマテラスが襲い掛かり噛みつきかかる。万が一にでも体調に不調が出たら大変なことになるのだ。異物混入は見過ごせない
「なんで此処にいやがるんですか貴女達!?プライバシー!プライバシーとか無いんですか!?訴えますよ!?」
「ガサ入れでしょっぴかれるのはお前だけなのだナオリジナル。諦めてお縄について悔い改めるがよいのだナ。教会は間借りするがよし」
「あぁ待って!せめて、せめて型を取らせてくださいまし!愛情は!愛情はたくさん籠っているのです!捨てるのは憚れるくらいなのですからぁ!」
「ワフ──」
将門公と処理します。安心なさい。そう告げバッサリと袋に詰め回収し、取り抑えられ暴れる玉藻に
「──ワフッ!」
「ぎゃんっ!?」
もっと真正面から行きなさい。そう告げる様に頭突きをかまして歩き去っていく。薬品ものはNGであり、贈り物は清純なものになさいと釘を刺す
「うぅ、ぐぅの音もでない正論・・・しょっちゅう魔が差してしまいました。最近ライバルが増えてきた焦りですかねぇ・・・」
「どのみちお前はそういうことする。オリジナルは我等の期待を裏切らないのだからナ。ニャハハ、大体お前のせいとも言う」
「コンチキショー!!待っていてくださいね御主人様!私、良妻を決して諦めませんからねーだ──!!」
連行されていく玉藻の断末魔を背中に受けながら、アマテラスは肩を落とす。キャットに、自分に、玉藻・・・まだまだタマモナインの全容は見えず、誰が来るのかは未知数のままだ。神様ゆえ、常識では図れずにやり過ぎてしまうのは重々承知してはいるのだが・・・
「ワフ・・・」
せめてこれから出会うタマモの人格は、皆と仲良く出来るような子でありますように。誰に届くか分からない儚い祈りを、アマテラスは南極の空へと告げるのであったとさ──
将門『──我にか、慈母』
アマテラス「ワフ、ワン・・・」
『薬の類いか。──良かろう、処理するに迷い無し』
「ワフ、ワゥン」
『良い。下総の恩、当然の返礼なり』
「ワッフ!」
~
『──甘味也』
「ワフゥ(桜餅食べてる)」
『慈母、気落す必要無し。必ずや、ますたぁは縁を紡ぐ。どのようなそなたであろうとも』
「ワッフ・・・」
『信じるが良し。そも──祟りや悪逆ならば我にも覚えあり。それが此処にある今、心配は杞憂なり』
「──ワン!」
『──その意気や良し。ばれんたいん・・・異国の催し、珍妙不可思議也』
~刑務所
タマモキャット「カツ丼喰うか?」
「気合い入ったセット作りすぎじゃありません!?」
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コンラ
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シモ・ヘイヘ
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ロジェロ
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リリス(汎人類史)