賢王「おおぉ・・・身体が羽毛のようではないか!澱みや穢れが昇華されたがごとき手際、流石だエアよ!これならば最早激務など怖るるに足らぬ!シドゥリ!業務を持て!徹底的に終わらせてくれよう!新生を果たした我に不可能はないわ!!」
シドゥリ「それは宜しいのですが、張り切りすぎて通いづめになる、等といった事象はお控えください」
「それはそれでエアに通い妻的な属性付与がされ美味しいではないか。フッ、スタンプカードや会員証などの製作も視野にいれておくか・・・!」
(王よ、健康ランドやスパなるものに通う御老公のような言動になっております・・・)
「尊き美女・・・えぇいギルガシャナ像でよい!エルキドゥ像と含め三倍意磨いておけ!いや、むしろ我が磨く!誰も我の至宝に触れるでないわ──!」
「言動が支離滅裂です、王よ!?」
ギルガメッシュ「コフィンがサーヴァント大挙により緊急メンテだと!ディライトな会社でもあるまいに鯖落ちならぬコフィン落ちとは!マスターの危機に仮にも楽園の設備を落とすとは規格外の過保護か貴様ら!いや努力の方向性は間違ってはおらぬがな!」
──賢王を迎えに行っている間にそんなことが・・・!一日、いえ半日はレイシフト不可避ですか・・・王よ、コフィンはワタシが修復宝具を選別し修復します。ですから折角ですのでメンテナンススタッフの皆様やマスターなど、中々休めない人員への臨時休暇とするのはどうでしょう?
《──そうさな。メンテナンススタッフを含めたが完全に休まる日は一年休暇なれどそうはない。一日程度、完全欠勤を発令しようと構わぬか。情状酌量の余地のある停止だ、プラチナ企業はは出来が違うという事よな》
フォウ(替えが効かない組織だからね。英断だよ二人とも!)
──と言うわけで、リッカちゃんも久々の完全休暇なのです!たっぷり休んで、また明日からも頑張ろうね!
ギルガメッシュ「身体が鈍らぬようにはしておけよ、マスター。代替要員はあくまで副将、要はお前なのだからな」
リッカ「はーい。じゃあ試しに色々やってみよっかな」
──
マシュ「おや、先輩。もう食べないのですか?」
リッカ「んー。なんか箸が進まなくてさー。あげる。御馳走様ー」
オルガマリー「・・・明日、吹雪が止むのかしら・・・?」
ケイローン塾
ケイローン「今日は座学を行いたいとは珍しいですね。何かありましたか?」
「何かあったと言うか、なにもしないべきと言うか・・・?」
(・・・なるほど、自身の在り方について悩む時期ですか)
~
リッカ「いづづ!」
メディア「また刺したの?不馴れなのに無茶しちゃって・・・見せなさい、ほら」
「ごめんなさい、御手数おかけします・・・」
~
リッカ「うむむ・・・」
(少食に座学。稽古に読書。いつもと違う風にやってみたけど、なーんかしっくり来ないなぁ。なんというか、無理してる感じがアリアリで・・・)
じゃんぬ「悩み事は、吐き出すとすっきりするものよリッカ。変に溜め込むと拗れるわ」
「だよねー。でもさー恥ずかしくない?『おしとやかな女性を目指して試しにやってみたら』なんてさ、笑っちゃうかも」
「・・・あのデートの時の本音を口にして、思うことがあったのかしら?」
「ん、まぁねー。変わるのが怖いってばかりじゃ、いられないでしょ?今日は試しに変わってみたんだけど・・・しっくり来ないなーって。うむむむ・・・」
じゃんぬ「のんびりでいいのよ。今日は貸し切るから、ゆっくりして、お部屋で休みなさいな」
「ありがと、じゃんぬ。女子はむずかしい」
?「──わかってないみたいね、リッカ。もう、手間がかかるんだから!」
「何やってんだテメェ」
「ちょっと!正体はまだ内緒よまだ内緒なの!」
「はーい、リッカ。調子はどうかしら?この私、女王メイヴが遊びに来てあげたわよ?」
ウルクデートより数日後、レイシフトコフィンのメンテナンスにより時代跳躍が不可能な時分の中、特訓により一汗かいたリッカの部屋に、意外と言えば意外、関係性を鑑みればそう不自然ではない来客が姿を見せる。バスタオルで汗を拭き、風呂に入ろうとしていたリッカだが、変わらず気さくに受け入れ歓待を示し席を用意する
「あ、メイヴじゃん。いらっしゃーい。今日はどうしたの?何か良さげなハチミツでも見つけた?」
彼女・・・女王メイヴはコノートにて勇名と悪名を轟かせし強き女。かのクー・フーリンを悪辣に計略に嵌め、破滅を導いたほどの執念を持つ女傑にしてありとあらゆる男性を虜にした女性でもある。その男性に対する優位性と絶対性は紛れもなく非才かつ非凡、自らの我欲と存在だけでアルスターを揺るがした程の絶対的美女にして、婬蕩なる女。フェルグス・マック・ロイ曰く「身体以外は最悪の女」クー・フーリン曰く「最高にろくでもねぇ」フェルディア曰く「メイヴちゃんサイコー!!」な、良くも悪くも男性の気を惹き付ける女性である。そんな彼女はリッカの女子力アドバイザーにして宿敵を名乗りながら(強引に)リッカに女性としての手解きと指導を申し出ており、リッカに対する女子としての立ち振舞いや活動などを授け、あるいは共に実践したりなどする仲なのである。そして二人は、クー・フーリンが認め、彼が一目置く女と言う点で、互いを認めあう存在でもあるのだ
「とびきりのお菓子ととびきりのジュースよ!私がこうして足を運んだ際の手際はそのまま上流階級に通じる振るまいになるわ!完璧にマスターしなさいリッカ、私からの抜き打ちレクチャー、感涙しながら受け取っていいわよ?」
「わーい、メイヴありがとー」
そんな軽口と気のおけない距離感を堪能しながら、リッカとメイヴはお菓子をつまみつつ楽園の出来事を話し合う。今日はクーちゃんがどうだった、特訓はどうだった、ご飯がどうだった・・・などのとりとめのない会話が繰り広げられ、賑やかかつ穏やかな一時が流れていく
「それなのにクーちゃんったらそっけないの!『てめぇに付き合う義理はねぇ、一人で適当に遊んでろ』なんてそっぽ向いちゃって!もう、そう言うのが燃えさせるって何時になったら分かるのかしら!」
「へー!私は『とりあえずなんかあったら言え、すっ飛んでいくからよ!』なんて言ってくれたけどなぁ」
「デレクーちゃん!デレクーちゃんね!羨ましくなんかないわ、クーちゃんは屈服させてこそなんだから!それはそうと、新しい服装のラインナップに対してなんだけど・・・」
共に、とりとめのない会話。普通の女性が、女子が行うようなコイバナめいた話や、気になる事、気になった事の意見、対談。その対話に興じる二人。基本的にメイヴが語り、リッカが聞き及び応答を返すといった様相にて繰り広げられる対話と会話にて、二人の時間は過ぎていく
メイヴとしては「リッカに一人くらいは女性らしい会話をレクチャーできる相手がいなくちゃね」と主導権を握っているように振る舞っているつもりではあるのだが、端からみればテンションが高まっている女子大生が女子高生にして聞き上手な妹にテンション高く話をしているような構図にしか見えない空間が広がっている。強がり、余裕を見せてはいるものの、彼女自身対等と認めた女性の存在は生前おらず、自らが認め、ライバルと認識したリッカの存在は唯一無二に他ならない。自分を真正面から打ち倒した勇士ならざる敵にしてマスター。そんな不思議かつ不倶戴天な関係は、メイヴの振るまいに新鮮さと楽しさ、愉快さを添えさせ笑顔を産み出させる。彼女の女王ではない顔を見せるほぼ唯一無二の相手として、リッカは確かに認められているのだ
「と言うわけ!ファーにコートは鉄板よ鉄板、攻め攻めなコーデで言うのよ、かしずきなさいな、ほら早く♪これで大抵の男はイチコロよ、イチコロ♪」
「なるほど、メイヴちゃん王国はこうやって地道に教育と洗脳を繰り返した果てに産み出されたのかぁ」
「人聞きの悪い事は言っちゃダメよリッカ?男は魅力的な女性に尽くすように出来ているの。女王蜂に、あらゆる蜂が尽くすようにね!これはイデア、本能にして真理なんだから!」
「メイヴは女王蜂、リッカ覚えた!ハチミツいいよねー!かけてもいいし、なめてもいいしレモンを浸してもいいし!」
「そうなの?水分補給に効くかしら?」
「効く効く!後で作ろうよ、ハチミツレモン漬け!」
そんな会話と同時に、お菓子が切れて無くなってしまう。一時間や其処らの会話は終わりを告げ、また新しいお菓子を買いにじゃんぬに連絡を告げようとするが・・・
「あ、それじゃあ・・・私に付き合って貰おうかしら?ね、リッカ?」
その言葉と共に、ニッコリと笑いながら同伴を申し出るメイヴ。和やかな雰囲気のなか切り出されたそれは、快活な悪辣さと奔放さをもってリッカに告げられる
「シミュレーションルームに行きましょうか!広い場所、アメリカに類する場所に設定して楽しむとしましょう?」
「おー?解った。準備してくるね!」
メイヴの宣誓と気紛れに、二つ返事にて用意を行う。彼女の誘いは基本断るものではなく、また愉快な催しであったりするのでリッカも楽しみにしている節がある。この女王は割と突拍子もない試みをしてくるため予想がつかないイベントに巻き込まれたりするためだ。少なくとも・・・
「じゃ、先に行っているわ!必ず来なさいよね、すっぽかしたらあなたに適当なゲッシュ押し付けて破らせちゃうんだから!」
「それは勘弁してほしいな!ゲッシュはちょっと理不尽すぎるからさ!」
気のおけない会話を続けたまま、二人は一端別れる。その集会は、一筋縄ではいかないただならぬ女子の会合に他ならず、リッカは確りと準備をする。女王の戯れ。それが生易しいものばかりでは無いことを、リッカはこれまでの付き合いにて痛感し理解しているのだから──
ゆうじょうを たしかめたたかう けものかな
「あ、来た来た!ロケーションもバッチリ、これくらい広ければ問題ないわね、ナイスよリッカ。誉めてあげる!」
設定された大地はアメリカ大陸、広大な空に大地を、ほぼ完璧に再現しきったその様相に満足げな反応を示すメイヴ。己の思うままに事が進めば上機嫌、そうでなければ不機嫌とある意味大変分かりやすい彼女が良好な設定に歓喜を示すのは道理とも言える論理の帰結でもあった。リッカは準備運動を行いながら、女王たる彼女の二の句を待つ
「私のワガママを聞いてくれるあなたという女は本当に貴重ね。認めてあげる。リッカはこの私のお気に入りだという事。忘れちゃダメよ?」
「ありがと!ところで、今日は何をするの?」
リッカとしては、彼女の在り方は理解している。だからこそ訪ね、確認が必要であることもわかっているがゆえに、女王への礼儀として付き合い、そして礼を尽くす。彼女は振る舞いで、王族の付き添い方を教えている(つもり)なのだ
「ふふっ、そうね・・・課外授業のあと、実習講義なんてどうかしら?」
「課外授業?」
メイヴの言葉を繰り返す。そして、その理屈と理論を展開し、リッカに対しコートを預ける
「えぇ♪・・・あなた、私がライダーである理由は理解しているかしら?」
「ん、乗るからでしょ?色々と。戦車とか、ホラ、アレに・・・」
サラリと答える。濁したのはまだ、ソレを臆面もなく伝える程には道徳をかなぐり捨ててはいない為だ。そう、メイヴはライダー、その理由は・・・
「そ、私は乗るわ。戦車に、勇士に。支配をする為、征服するためにね。毎日毎晩、乗って乗って乗りまくりよ。経験人数なら圧倒的に私が上。女性としての在り方は完全に私が一枚上手よ、そこは理解しているわよね?」
「う、うんそれはね?その、私はそういうアレはエロゲ知識とかでしか知らないからね?本物はまだ未知のエリアだよ、うん」
そういった体験はまだ全くの手付かずであり、どういうものなのかは理解していても実体験の感覚は分からないままだ。リッカとしても身持ちは大事にしているのである。そういった行為は好き合ってから。それが変わらぬ貞操観念として、確りと弁えているのだ
「そう。私は乗るわ。支配するために。それがメイヴという女の在り方で、揺らがない一本の筋。──今回はそれを、あなたに見せてあげるわ。『本気の本気でね』」
「・・・──!」
同時に、再び、何度目か分からぬほどに投げられた手袋がリッカに叩き付けられる。それが為す意味を理解し顔を上げたリッカの前にいる女王は、既に確かな臨戦態勢を整えていたのだ
「女にはけして譲れない在り方、生きざま、プライド、ポリシーがあるの。それをよく理解している女が魅力的な輝きを得、それを理解しない女が腐っていくのよ。それは女が懐く誇りであり、プライドであり、生きざまであり、意地・・・まぁそんなところね」
脱出は不可能となっている。メイヴのお願いという強制が、その空間を固定し転移も脱出も不可能とさせ、一対一の空間を生成しているのだ。その意味するところはただ一つ
「なんだかあなた、浮かない顔をしているんだもの。此処で私が思い知らせてあげる。あなたがどんな女なのか。どんな存在なのか。出血大サービスでね?」
突如現れ、メイヴの周りに展開する兵士。男性の遺伝子情報にて複製されたケルトの勇士が瞬間的に増産され、女王を守護する兵隊と化す
「私の認めたあなたという存在がどんなものなのか、あのクーちゃんが認めたあなたという存在がどんなものなのか・・・改めてその身に叩き込んであげなくちゃね?さ、遠慮も何も要らないわ。あなた自身を思いっきり・・・とことんまで!私に勇姿を見せなさい!」
襲い来るケルト兵達、助けも期待できぬ状況に、女王と兵士がリッカに襲い掛かる
その真意を、悪辣な笑みに染めて。宿敵と定めた相手を試すが如くに──
リッカ「本気も本気と見た・・・!メイヴ、マジと読んでいいんだね、これ!」
メイヴ「大マジよ、リッカ!思いっきりいらっしゃい!猫被りや仮面をつけたままじゃ、私の可愛い勇士たちに押し潰されておしまいよ!」
リッカ「──言ってくれるじゃん!私なりに結構考えてたんだけどなー!」
メイヴ「『それ』がそもそもの間違いなのよリッカ!あなたがあなたを腐らせるのはライバルとして我慢ならないわ。さぁ、邪魔は入らない此処で見せなさい──私が認めたあなたをね!」
リッカ「──そう言うことなら手加減しないよ。勇士だろうと、女王だろうと・・・!」
メイヴ「ふふ、だろうと、何かしら・・・!」
鎧を纏い、高らかに吠える。悩みも揺らぎも介在しない咆哮にて──
【死にたい奴だけ、かかって来いっ!!】
「ソレソレ!さぁ、思いっきり行くわよ──!!」
龍が女王を迎え討つ──!
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