人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ギル祭!?

我等が英雄王は、どこまで自分達を引っ張り導いてくれるのか・・・

この小説を読んだ皆様が、いつまでも英雄王を好きでいてくださいますように・・・!


(さて、かの第四の茶番の特異点めが上手く発生していればよいが・・・よもやかの泥が起動し、焦土となっているなどという結末はあるまい。特異点になるということは、必ず本流より外れし揺らぎがある事に他ならぬ訳だが・・・む?)

(エア、ギルは何をしているんだい?)

──千里眼にて観測を行っているみたい。単独顕現と合わせて、更に正確に色んな時間軸を見れるようになったみたいだから

(ほぇ~。またイベクエの気配かな?願うなら愉快なイベントがいいんだけど──)

「──ふ、ふはっ、ふはははははははは!!何だこれは!どういった成り立ちだ!待て、止せ!愉快に過ぎよう!この様な特異点があるというか!いかん!笑い死ぬではないか控えよふはははははははは!!はははははははは!!」

──!?

(なんか急に笑い出した・・・)

《これはいかん!手を取り合い堪能するより他は無いではないか!抑止め、無情と無慈悲にも程があろう!いかん、参加せねばと逸る心持ちと拝見を是とし堪能すべきとする気概が去来しておるわ!ふはははははははは!!まこと滑稽な催しがあったものよな!》

──と、とりあえず皆様を招集致しますか、王?

《然り!なぁに、軽い旅行のようなものだ。気合いを入れぬに値せぬ!往くぞエア!日本たる場に、物見遊山と行こうではないか!》

──は、はい!

(何が始まるんだ・・・)


fate/zeroコラボ特異点 gorgeous☆zero☆order
ブリーフィング


「呼び出しが来た!つまりこれは毎回恒例の特異点案件!その道のプロフェッショナルな私達は一分の遅れもなく現れて指示を待つのでした、まる!」

 

晩御飯も終えた八時頃。カルデアの平穏な日々の序でに招かれたメインメンバー達。世界を救う唯一無二の機関、時間神殿カルデアの管制室にていつものメンバーが集合する。有給消化中ではあるものの全くと言っていいほどに全う出来るとは考えていなかったリッカが朗らかに手を上げる。漆黒の特殊制服に身を包み、一片たる不満も無く楽しげに笑う

 

「ごめんよリッカ君。マンションで壮絶な体験からそんなに日も経ってないのにまた特異点攻略に挑ませちゃって・・・」

 

「良く考えなくてもリッカだけがマスターなのだから脅威が起これば招集されるのはそれはリッカになるわよね・・・ごめんなさいリッカ、無理をさせるわね・・・」

 

沈痛な面持ちの二人を、リッカは朗らかに許容し不満と不安を笑い飛ばし、大丈夫、問題ないとサムズアップを行う

 

「それは言わない約束だよ二人とも。楽園に所属しているマスターとして!きっちりしっかり役目は果たさせていただきます!」

 

「とあるマナーモードをオフにできない警察所属の御方の言葉を借りるなら、『あなたには花嫁修行だけしていてほしかった』ね」

 

「一条さん!?」

 

「申し訳ありません!遅れました!どのようなパターンにて先輩にアピールするかを考えていたらつい・・・!」

 

マシュ・キリエライトも続けて参列する。いつもの眼鏡にパーカースタイルの普段着のまま、敬礼と謝罪を同時に行い、当然のようにリッカに弄られ始める

 

「意識高い系後輩はこれだから。しっかり時間を護るのはサーヴァント無関係にして大事な事だよマシュマロ。悔い改めて」

 

「汚名はしっかり返上します!いよいよマシュがパーフェクトに活躍しマシュ×先輩!ベストマッチと呼ばれる日がやって来るのです!やって来たのです!」

 

「えー、でも私マッマやじゃんぬとオーバー・ザ・エボリューションだからなー。シルバーマシュサーヴァントレベル7くらいじゃないと厳しいよー?」

 

「其処は溢れる後輩力でサーヴァントレベルを上昇させますとも!御期待ください先輩、マシュはやります!やってみせます!」

 

「気合いは充分ね二人とも。ブリーフィングに移らせてもらうけれどいいわよね?」

 

「答えは?」

 

「聞いてない!・・・なんて言わないわよ?」

 

「言っていますよ所長!」

 

「ははは、愉快なやり取りは年相応だね。じゃあ年長気味な僕がとりまとめようかな。実は今回はカルデアスより先に、ギルが見つけた特異点なんだけど・・・」

 

そう、此度の異変・・・特異点はカルデアスの観測より王が見出だせしもの。その所在はギルガメッシュの千里眼が見つけ、見定め、確かな異常として確定したものなのだ。星のスケールモデルたるカルデアスより早く観測が叶うなどという驚異的な成果を発揮した英雄王ではあったが──

 

「っ、くく──っはははははは!!すまぬな貴様ら!今我は委細を伝えてやれる状況に無い!我は気にせずブリーフィングを続けるがよい!いかん、腹が捩れるぞ抑止めが!我を介入させぬ魂胆であるのだな!悪辣ながら的確ではないか!っはははははは!ふははははははは!!」

 

──笑う門に来訪した福が耳栓をする勢いの大笑いですね王よ・・・

 

(何がそんなに面白いんだろうか?ラジオとかうるさそうだなぁ)

 

玉座にて笑い転げながら腹を抑えるは我等が御機嫌王。エアとフォウすら子細が解らずに顔を見合わせ困惑を顕すほどの不可解ぶりである。本人が言う通り、いつものような的確な説明が行える状態ではなく、しかしてそのまま道化に甘んじる事はない。自らの代わりの対応者と言う次善の策を要している。自らの代わりにオブザーバーとして見出だせしものが、管制室に脚を運ぶ

 

「気にすることはない、諸君。かの英雄王は特異点を観測した時点でその成り立ち、真相すらも見抜いたが故の大笑なのだろう。元よりかの王の見据えるものは果てしない。超越者故の娯楽となる特異点なんだな、と気楽に構えていたまえ」

 

現れたのは疑似サーヴァント。英雄の力を借り、託され、そして生まれたデミ・サーヴァントとは似て非なる者。特異点の説明を受け持つその姿を違和感なく表すは、講師の資格を所持する時計塔の新勢力とすら成りうる敏腕教師、諸葛孔明こと・・・

 

「ロード・エルメロイ二世さん!」

 

「時計塔のロード・・・貴方が今回のキーパーソンとなる方、と言うことですか?」

 

オルガマリーの言葉に、苦笑混じりに葉巻を吹かしロードは答える。今回は例外だ、自分のようにと念を置くように説明を行う

 

「鍵、と言う言い方はいささか大袈裟ではあるがね。幸いに、観測された時空は私の知るところの歴史と極めて近しく、私が体験した世界の事象とほぼ類似しているとの説明を先んじて受けていた。まぁ要するに、RTA要因と言えばリッカ君には分かりやすいだろう」

 

「成る程!逆行タイムアタックって訳だね!」

 

ゲーム単語に明るい者があると話が早いとエルメロイ二世は笑い、そのまま説明と講義を始める。2004年にて初の聖杯戦争とされる『この』世界線とは異なる、幾度も繰り広げられた聖杯戦争の概要を持つ歴史を

 

「こちらの記録、こちらの世界とは異なり、自分の知る編纂事象の世界の並行線では都合五回、聖杯戦争が行われていた。聖杯降臨をかけた、魔術師同士の殺し合いがね」

 

計五回も、大規模な魔術儀式が行われる。神秘秘匿、サーヴァント召喚などのコストを鑑み到底現実的では無い事実に、魔術の様相をよく知るロマンとオルガマリーが顔を見合わせる

 

「五回も・・・!?冬木の特異点で見たあの聖杯クラスなら、そんなに奪い合いが横行するものなのかもしれないけど・・・」

 

「どうやって隠蔽していたんだい!?僕と言うかソロモンみたいに、強制退去や記憶改竄や人格抹消が出来たわけじゃ無いんだろ!?」

 

「グランドキャスターたる貴方の基準には合わせられないさ。こちらには一度も、グランドクラス案件の事象は確認されていないとも」

 

──まるでオリンピックです・・・!競技化、規則正しく運営がされていたのでしょうか?

 

《何、単純な話よ。第一次、第二次はシステムが余りにも拙く、サーヴァントを律する事が出来ず全滅し、第三次にて悲願が穢れ、第四次は勝者なく中身が零れ、第五次にて決着がついたのだ》

 

王の言葉に頷き、同時にエアの認識にさらりと映像と概要が千里眼にて伝えられる。成る程、これは確かに・・・一度も勝者なき、長き戦争であることにエアは合点と納得を現す。ただ、何故そうなったかは内密なようだ

 

(ちなみにオマエも参加したんだろ?願いとかあったの?オマエが?)

 

《たわけめ、蔵の其処らに転がる器などに託す悲願など我が懐くものか。我が参加した理由などただ一つ。我の財を許可なく簒奪し求めんとする賊を誅罰する為だ。財であるなら我のもの。把握してはおらぬが我のものという、頭の悪い理屈と絶対の真理を履行するためにな》

 

──成る程!王が敷いた法を遵守するために顕現を果たしたという訳ですね!王はどの時空にても変わらず、その裁定を下している・・・流石です!

 

 

「魔術協会と聖堂教会が合同にて秘匿を行ったがゆえの儀式だ。・・・詳しい説明は省くが、そもそも冬木で五回もの聖杯戦争が繰り返された理由は、件の聖杯が只の一度も具現化しなかったが故だ」

 

ようやく収まってきた英雄王も補足する。その在り方、その呪いの概要、狂い果てた要因の元凶を簡潔に示す

 

「加えて・・・くくっ、その下らぬ催しは第三の折、下らぬ下手にて無色を汚染し混沌の泥と変質を果たした。──『この世総ての悪』、人類を一掃する呪いにな。聞き覚えがあるのではないか?マスターよ」

 

その身に混沌を宿すマスター、リッカは瞬間的に理解し、想像し、把握し、確信した。自分の振るう泥、それが呪いとなり辺り一面に撒き散らされ犯すその地獄を

 

「絶対ろくなのじゃないじゃん!!回収なんてとんでもないんじゃない!?」

 

そう告げるリッカの言葉に頷くエルメロイ二世。自分も全く同じ判断に至り、そのように行動したと彼は語る。入念に、多大な労力を払ったと。それほどに危険なものだと理解していると

 

「そういった背景から、この土地を巡る事情については裏の裏まで調べ尽くしてある。私も今回の調査に同伴しよう。英雄王、貴方もそのために私を呼んだのだろう?」

 

「やはり話が早いな、忠臣。なんなら征服王めも連れて行っても良いのだぞ?思うままに蹂躙するは本懐であろう」

 

「・・・実際そうしてくれようとライダーは意気込んだがね、下手を打たれ滅亡炎上など話にもならない。相応しい大舞台があるまで大戦略に勤しむと説得させてもらった。安心したまえ、君達のアタマを悩ませる最大の火種はこちらで何とかしておいた」

 

「イスカンダルさん、大戦略シリーズとVRの喜びを知ったんですね・・・」

 

「じゃあ私と、マシュと、孔明さんでメインパーティ?あ、ギルはどうする?」

 

そう、此度の特異点で御機嫌王はどのような行動を取るのか。一同の感心は其処に注目される。彼が全力を出せば一時間で総ての片は付くが、そんな無粋な真似は行うまい。そして、それは彼も承知の上であった

 

「我は障害たるアーチャーを始末してやろう。何、アレは他者の足許をひたすらに見つめ、起こさずともよい本性を暴き立て状況を混乱させるより他ならぬ邪魔物だ、さっさと間引いておくに限るのだからな。忠臣。かの慢心の徒の殲滅は任せておくがいい。ただし・・・交戦の機は一任するぞ。貴様の知略を阻みはすまい」

 

「──心から助かる。アレは貴方とは別側面と割りきり、会話など試みれぬ暴君。どう足掻いても協調など不可能な手合いだ。あぁよかった、頭痛の種が一つ労せず消えるとも!」

 

晴れやかに笑う二人の当事者。慢心に身を浸したアーチャー・・・英雄王ギルガメッシュの存在は、今の御機嫌王には看過できる存在ではない。醜態を晒す前にさっさと処分しておくに限る。王はそう、決断した。そして──

 

──ギルとは違う、本物の英雄王・・・気が引き締まる思いです。全身全霊でギルの力を引き出し、勝利という財を掴んで見せます!

 

エアもまた、決意を露に奮い立つ。例え同じ英雄王と言えど、自らが寄り添うと決意した王はこの御機嫌王ただ一人。迷いも揺らぎもなく、カルデアの前に立ち塞がるならば全力で戦うまでであると意志を示す。姫とは争いを忌避する銘に非ず。己の決意と誇りを力にし、敬愛する王と共に立ち向かう者であるが故に、対立と奮戦の意志を顕す。相手が王であるからこそ、その敬意と在り方はけして変わらずに示される。その決心に満足げに頷きながら、王はエアに告げる

 

《そう固くならずともよい。お前が最善手を選択すれば五秒と持たずに滅びるであろうよ。慢心とはそういうものだ。特に強敵と呼ぶものでもない、気楽に構え、普段通りに行くがいい》

 

──慢心・・・なんと恐ろしき毒なのでしょう・・・!

 

(仮にも自分に酷い言い草だなオマエwまぁヴィマーナも落とされてたしなw)

 

《此処で御機嫌王と慢心王の違いを見せ付けてやるのも一興よ。セイバーを探してみれば愉快な催しが盛り沢山ではないか!これだから我が庭の散策は止められぬのだ!楽しめよエア、此度の特異点、我等が覆すに相応しき催しだ!》

 

 

──はい!英雄王の凄いところを、並行世界にも轟かせに参りましょう!

 

 

目標は定まった。かつて、Zeroへと至る物語の特異点。其処に、成長を遂げた青年・・・そして、輝きと威光を増し、至宝たる姫を手にした王が挑む

 

絶望と破滅。それを──知略、そして黄金と白金の輝きが虹が如くに照らし覆す。そして対話の龍と白亜の少女が挑む初の聖杯戦争でもあり──




オルガマリー「リッカ、一応言っておくけれど・・・貴方の能力を使い、サーヴァントと直接交戦は避けなさい」

リッカ「あ、やっぱり目立つ?」

孔明「大目立ちにして悪目立ちだとも。今更も今更だが、サーヴァントは本来どんな超人であろうとも人間が勝てる相手ではないのだ。君は・・・生い立ちから特注された特級の例外に他ならん。真っ当な環境に特級の例外を放り込んだらどうなるか、解るかね?」

「袋叩きになる予感・・・!」

「その通り。出来るだけサーヴァントの無差別召喚なども控え、マシュ君とのコンビネーションを重視すること。窮屈だろうが、磐石を期すためにも堪えてほしい。いいかな?」

「はーい!マシュ、ようやく巡ってきた出番!ナンバーワンサーヴァントとかフカシこいてるんだから頑張って私を護ってよね!戦えない!か弱い!!私を!!」

マシュ「お任せください!!じゃんぬさん!メインサーヴァントの座、いただきます!一気に大躍進しちゃいますよー!!」

オルガマリー「最悪私もアイリーンの力でマスターをサポートできるから、気負わずにいきなさい。魔術師戦になる場合は、私がやるわ」

「頼もしい!!よーし!負ける気がしない特異点へ!レッツゴー!!」

《我等は別途で向かうべき場所がある。単独顕現を行うぞ。エア、フォウ。準備せよ》

──分かりました!王よ、差し出がましい様ですが・・・どちらへ?

《なぁに、お前に見せるには憚られる気狂いの始末だ。代わりは幸い召喚済み、代役には事欠くまい》

(あー、成る程ね!よし解った、ボクも行くよ!)

──先手必勝という訳ですね!分かりました、ギルを信じます!それでは・・・参りましょう!

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