人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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召喚編です!ゆるくお楽しみください!


「えっと、こちらでいいのかしら?」

『○』

「はいはい、どーぞお通りくださいニャ」

「イヒヒヒッ!」

『○』

「あー、頭おかしそうだけど○だからいいニャ」

「・・・ワンチャン」

『×』

「帰れや」

「何故だ!?アルゴー船長のこの俺がぁあぁあ!!?」


召喚編──新年福袋アルトリア招集
召喚編──泥の中の縁──


攻略の報酬には、宝があって然るべきである。数多の苦難、困難を乗り越え強敵を打倒した先に眠る宝箱。それを開け、中身に眠る目に眩しく映る財宝を目の当たりにしたとき、それは何よりも輝かしき証明となり冒険者は疲れを忘れ誉れを謳うのだ。障害が困難であればあるほど、苦難が無数であればあるほどその期待や渇望は何倍にも膨れ上がり、そして勇気と願いを強くするのだ。何度でも立ち上がり、この果てに財宝を手にしてやるという断固たる決意を呼び覚ますのである

 

「ネギまはいいわね・・・前半は心暖まる学生と先生の絆、後半は魔術構築の参考になる本格的魔法バトル。これは教本よ、魔術教本。人間が思い描く大抵の夢想はこうして実現しているのね・・・凄いわ文化・・・」

 

「ウルトラマンオーブダークノワールブラックシュバルツ・・・長いですね先輩」

 

「ウルトラマンオダブツでいいんじゃないかな。でもマコトさんの減点項目悉くガイさんに刺さってるんだけどいいのかなぁ」

 

そう、特異点を攻略しただけでは完遂とは言えない。何よりも宝に当たるものを手にしなければ、王の遊興は決して完遂されたとは言えないのだ。それは周知であり、覆らない事実であるのだ

 

「そろそろ楽園に新しいレジャーを追加するのも面白いかもね?入る度に姿が変わるダンジョンなんてどうかな?」

 

「あくまで遊びの範疇にしておくれよレオナルド。大終末の潮牙がガチガチの防衛機構なんだから差別化をね?」

 

そう、財宝を手に入れるまでが特異点。なればこそ──まだやり残しは残っている。果たしたならば、最後を・・・有終の美を飾らねばならない。そして──その先にある、大勝負を行うため──

 

 

『──有給に勤しむ中、このような放送による耳汚しを申し訳なく思います。穏やかな日々を害することの無いようにとの計らいを受け、この度は英雄姫・ギルガメシアが王の御意向を代わりに言霊にて御伝えいたします。新たな同胞を招きいれる召喚の儀式を執り行いますので、有給を堪能しておられるメインスタッフの方々には大変心苦くはありますが管制室へお越し、皆様の力を御貸ししていただけるならこれ程嬉しいことはございません。どうか、ワタシは皆様を心からお待ちしております──』

 

その言葉が告げるは召喚の儀。カルデアに新たな仲間を招くための儀式が今、新年においても宣言される──!

 

どんなひも ぶれることない けものかな

 

 

「カルデアメインスタッフ全員集合!!いつでも始められるよギル!!」

 

ロマンの気合いみなぎる号令が響き渡る。エアの放送から僅か三十秒。カルデアにいる召喚担当のスタッフは即座に身支度を整えやってきていた。区画が最早広大な敷地クラスになっている楽園に点在する者達が一瞬で集う。それはまさに王のカリスマだとエアは無邪気にはしゃぐ

 

──流石王です!皆様の心に響くギルの言霊、号令に応える財の皆様!この絆と繋がりこそ、楽園の唯一無二足る強さに他なりませんね!

 

《フッ、そうさな。我が言葉、そしてそれを伝えし者の願いを裏切る愚鈍などこの楽園にはいるまい》

 

強制でもなく命令でもなく、嘆願と提案を心から告げられ断れる人間などいまい。皆は王の号令と同じ程に、エアの願いに応えんと心に決めているのだ。エアの放つ言葉の暖かさにエアのみが無自覚なまま、王とフォウは頬を弛めその成果を喜ばしく思う。何よりも、己の美徳を鼻にかけず他者への敬愛を忘れぬ在り方そのものに。その在り方こそが、最も尊いものだと頷き合う

 

(耳からね、こうほわぁっと消えていくんだ。耳が幸せになってその幸せが・・・身体から──)

 

──フォウーっ!?

 

「泥が片っ端からプラチナ粒子になっていって効果を成さない・・・!あまこーと同じくらいに私を腑抜けにしてしまう姫様おそるべほわぁ」

 

「先輩!?」

 

獣の資格を持つものを問答無用で昇華し、ギルのカリスマを更に高める姫の言葉に昇天される二名はいつもの事なのでスルーする。来るなりひざまずいて五体投地を披露したムニエルもまた然り。全員の心が一つになっているは明白。そう、始まりの時は今である

 

「前置きは我等には不要、ならば行くぞ!新年度初召喚、まずはこなしてみせよ!」

 

「「「「了解!!」」」」

 

有給返上休日出勤とは思えぬ覇気にて召喚が執り行われる。特異点などの異常はいつ起こるか分からない。分からないからこそ楽園は日々に業務を入れずサーヴァントが最低限の運用のみに留めているのだ。人間の心身は休ませ、働かせるべき時に最上の成果を求める。そんな王の方針は正しく成果を成す。彼等に休日出勤への不満は微塵もない。心から──『労働は尊く、喜ばしいもの』と確信し認識しているからだ。報酬、衣食住、福利厚生が完成し完備されている事で到達する社会体勢の極致。王が財の限界を破壊し、財が王の想像を超えて輝く。王が築き上げし『プラチナ企業』。家畜として使い潰す企業とは似て非なる理想社会の縮図が其処にある。労働は美徳、休暇は歓喜。奉仕は敬愛、奉公は感謝。報酬は当然、賞与は豪勢に。それは即ち──

 

──第二のウルクは、新年も変わらず此処に健在です!

 

エアの言葉に、満足げに杯を鳴らすギル。高まる覇気に心地よく耳を震わせながら視線は召喚サークルをみやる。清算されし縁にて招かれる者。収まる光、象られる霊基。召喚に応え、現れしは──

 

「こんにちは、皆様。えっと、アーチャーで良いのでしょうか。手品みたいな超能力しか使えない、浅上藤乃です。よろしくお願いいたします。頑張りますね」

 

歪曲の魔眼を所持し、あのオガワマンションにて癒しとなったアルバイト店員、ふじのん事浅上藤乃が楽園へと現れたのだ。その慣れ親しんだ顔に、リッカは朗らかに挨拶を交わす

 

「まがっしゃいませー!」

 

「え、あ・・・マスターさん?──ふふっ、なんですかその挨拶。変、変です」

 

「そう?私これ、お気に入りだよ!」

 

「ふふっ、変な方。でも・・・楽しそうな方でよかった。よろしくお願いいたしますね、マスター」

 

「リッカでいいよ!よろしくね、ふじのん!」

 

「あ・・・可愛いです、それ。気に入りました。私は今から、ふじのんと呼ばれないと御返事しません。決めました」 

 

「変な子だなぁ!?テンションの上下は些末な事だったんだね!?」

 

「歪曲の魔眼の特殊性なのかしら・・・サーヴァントとして成立するなんて・・・」

 

オルガマリーの疑問に王は既に答えを得る。そしてたまには愉快に教えてやろうとエアに耳打ちし、エアもまた悪戯っぽく笑い、念話にてオルガマリーに語りかける

 

──聞こえますかオルガマリーちゃん・・・彼女は抑止力が人理焼却を覆すための力として歪曲の魔眼の特異性を評価したことによりサーヴァントとして誕生したのです・・・人理焼却が覆されたいま召喚は難しいのですが王にはそのような事は関係無いのです・・・凄いでしょう・・・英雄王は凄いでしょう・・・?

 

「やっぱりギルって凄いわね。改めてそう思ったわ」

 

──そうです!英雄王は凄いのです!

 

(絶妙なステマは止めろよなギルゥ!)

 

《ステマだと?バカめ、ゴージャスダイレクトマーケティング略してゴダマと呼ぶがよい!》

 

意思疏通が叶った処で、ふじのんは案内と共に楽園へと退出を行う。予め無痛症だと申告したことによりロマンの手引きにて医務室へと運ばれたが、それを為し遂げたなら即座に楽園を回るだろう。ギルガメッシュが欲した縁は彼女であるが、リッカが懐く縁はまだあるとし、召喚を行う

 

「カルデアがまた賑やかになるなぁ」

 

そう感じ、召喚サークルを回す。そして、呼び出す約束を果たし、此処でしか呼び出せぬ存在と確信し呼び招いた存在は──

 

「イヒヒヒッ!どうやら大当たりのようで御座いますよぉ?サーヴァント、メフィストフェレス!此処に、罷り越して御座いマス!」

 

愉快な道化、狂気なるメフィストフェレス。悪魔と呼ばれた存在がカルデアに現れる。その笑みは悪辣なれど、喜悦と期待に満ちている。リッカもまた、面白おかしい彼に、期待と確信をもって手を差し出す

 

「よろしくねメッフィー!信じてるよ!メッフィーがメッフィーのままだってこと!」

 

「おやおやそれは喜ばしい!マスターに信頼されるとはまさにサーヴァント冥利に尽きますなぁ!それでは、ナカヨシの握手を一つ──」

 

その差し出された手を握った──その瞬間であった。リッカが獰猛に笑い、メフィストフェレスが声を漏らす

 

「令呪を以て命ずる。『カルデアで宝具を禁ずる』重ねて令呪を以て命ずる。『カルデアで私以外を破滅をさせることを禁ずる』」

 

「なんとぉおぉおぉ!!?」

 

その命令により──リッカの右手に仕掛けられた爆弾が焼失し、消滅する。令呪によってしっかりと手綱を握られ縛られた悪魔が、それでも楽しそうに笑う

 

「なんとも矛盾な防衛!しどいっ!!マスターは私を信じてくださるのでは!?」

 

「信じてるからやったに決まってるでしょ。『マスターの私が睨みを利かせないと、あなたは絶対にそう言うことする』。それがわかっていながらなにもしないことこそが貴方にとっての不誠実。でしょ?」

 

「──フ、ヒヒッ・・・!」

 

「それで、最後の令呪。『それ以外は、自由に行動してよし』!契約は護るものでしょ?悪魔さん?」

 

その信用ゆえの束縛に、愉快げに楽しげに笑うメフィストフェレス。自らを信用しているからこそ縛り、信用していないからこそ自由にさせるとは!これはまた──

 

「ギルガメッシュ様!いやはやあなたのマスターは──素晴らしく面白おかしい方ですなぁ!!メッフィー、タジタジでございます!ここまで先手を打たれては私!大人しくせざるを得ません!」

 

「であろう?我がマスターを名乗るのだ。これくらいは当然よ。誇りに思うがいい。令呪を使用させるまでに踏み切らせたサーヴァントは貴様が初めてよ」

 

「なんと!それはまさに恐悦至極!!リッカさんのはじめて、いただいちゃいましたかなぁ!?」

 

「ファーストキスは兄貴だよ?」

 

「そうだけどそうじゃないのよリッカ・・・」

 

そんな愉快に笑いながら、メッフィーはスタッフに爆弾・・・ではなく時計を配っていく。蜘蛛型の時計『チクタクくん』だ。可愛らしいデザインを維持するパーティーグッズである

 

「それでは皆様!今後ともヨロシクでお願い致しまぁっす!!リッカさんも、是非是非御贔屓に!」

 

「よろしくー。楽しく過ごしてね!」

 

「それはもう!良きマスターに、巡りあえましたからぁヒャハハハハハ!!」

 

愉快げに退出していく道化師。王とは異なる不安を煽る笑いであれど──其処に邪気はない

 

(変なやつだなぁ・・・エアに変な影響が出ないように見張っとかないと。ピエロは怖いって相場が決まってるし)

 

──ねぇ、フォウ。ワタシもピエロの格好をしたら・・・子供や皆をニコニコ笑顔にさせてあげられるかな?

 

(エア!?・・・エアにはお勧めしないなぁ。ピエロは笑われる存在だからね。エアが後ろ指を指されるのはちょっとって気持ち)

 

──そっか。でも、誰かを笑顔にさせられる存在は、どんな姿でも素晴らしいと思うな。メッフィーさんもきっと、そんな方だとワタシは思う。ううん、思いたい!

 

《道化は笑いを取るもの。我等はそんな者共に笑いをくれてやる側だ。エアよ、道化を尊重するならば心から、腹の底から笑い飛ばしてやれ。眼中に納められぬ道化ほど、無価値で滑稽な者はいないのだからな》

 

──はい!ギル!これからの日々もたくさん笑いましょうね!

 

(それはそれとしてエアの道化師姿は可愛いよ絶対!メイクも似合うさ!絶対!)

 

《ふはは、当然よな!我等が着こなせぬ服など在りはせぬ!だがまぁ、総ての服を不要と断じてしまうのが我等の美点であり難点であるのだがな!》

 

──ジャグリング、玉乗り・・・楽しそう!皆でやってみたいなぁ・・・!

 

霊基の存在が感知できなくなる小休止まで、賑やかにして華やかなまま、歓談と召喚は続き・・・

 

「さて、つぎはいよいよ本命に移るとしよう。年始の縁起と奇跡、その総てを我が手に納める時だ!」

 

蔵より取り出せしは『福袋』。言葉通り、福の詰まった召喚が執り行われるのである──!




NG召喚 天

リッカ「私の女子力が通気孔に!!」

『女子力』

「・・・また一から鍛えなきゃ!」

【はぁい、リッカァ?】

「!?」

ペニーワイズ【素敵な女子にはなれたかい?】

「(ブンブン)」

【oh・・・じゃあ君にとっておきのガールズグッズをあげるよ。香水、着せ替え、化粧セットだ。使った女の子はたちまち魅力的な女の子だ!】

「ホント!?でも御高いんでしょう?騙されんぞ!」

【香水やヘアースタイルの管理、アイメイクなどはは女子として大切なことだよ。ペニーワイズは君に女の子になってもらいたいんだ。素敵な女の子にね。これはサービスと気持ちだよ】

「優しいね!貴方の事皆に紹介してくる!」

待て!リッカ、これを見てくれ】

「私の女子力!!」

【その通り!今じゃ手に収まるようなしょっぱい女子力を、二人で内緒で高めて皆を驚かせてあげよう!】

「・・・私、女子になれるかな?」

【えっ?あぁうん、なれるなれる。猿だって二足歩行が出来るようになったんだ。君が女子になるなんて簡単さ】

「──・・・・・・解った!」

【そうだ、リッカ・・・女子になるんだ・・・】

ソー・・・

『性別リッカ』のお前は女ですら無いんだからな!!

「ほわぁあぁあぁああ!?」

【ガァアァアァアァア!!!】



・・・──ペニーワイズは死んだ。性別リッカと彼女を呼んだことにより通気孔から引き摺り出されて

ペニーワイズへの恐怖を、性別リッカと言われた彼女が即座に克服したからだ

死体は股間に付いている筈の生殖器がグシャグシャに瞑れ、全身がくまなく破壊されており首が無かったと言う

葬式は粛々と、恙無く行われペニーワイズは聖人達に手厚く葬られた──

美容品は大切に扱われた

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