人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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「あ、エミヤさん!よろしければ、一緒に汗を流しませんか?ボクシングの型から始めましょう!」

「・・・英霊になってからやりたいことが増えるとは・・・成長はしないはずなのだが・・・」


勇姿

財を放つ

 

同時に、時間差に、設置して、精密に、時には無造作に

 

 

財を放つ

 

剣を、矢を、槍を、斧を、戟を、ビームを、弾を

 

 

 

財を放つ

 

 

翼に、胸に、身体に、首に、爪に、腕に

 

 

 

財を放つ

 

囲うように、正面から、背後から、頭上から、足下から

 

財を放つ

 

その総てが、邪竜必殺

 

 

遥か未来に英雄が手にする、幻想の原典

 

 

財を、放つ。

 

 

それら総てを――ファヴニールに叩き付ける――!!

 

 

「くっ!!何をしている!薙ぎ払え!ファヴニール!!」

 

巨大な腕が振るわれる

 

させない。軌道に合わせ槌で叩き落とす

 

尻尾が打ち据えんと振るわれる

 

無駄だ、鞭を使いはたき落とす

 

飛翔せんと羽ばたく

 

逃がすものか。槍で翼を貫く

 

ファヴニールがやろうとすることを、先んじて潰していく――!

 

 

「見上げた頑強さよ。竜殺しが特効ではなく、竜殺しの武具でなければまともに通らぬとはな。――流石に我も分が悪いか」

 

宝具を展開、更に宝門を増やす

 

「いくら撃とうが些末、決定打にはならぬか。――よし。宝具を増やす。サービスと言うやつだ。我の気前のよさに震えよ」

 

追加、50門。ファヴニールを取り囲うように放つ財宝

 

怒濤の絨毯爆撃がファヴニールを打ち据える。生命の大元には届かないが、弱らせることは出来るだろう

 

 

「嘘でしょう……!?あんたの宝は底無しなワケ――!?」

 

「あるとも。底は確かにある。人間どもがその可能性を吐き出し進化を止めた時が我の蔵の底を見せるときだ」

 

がっしりと腕を組み、応えるギルガメッシュ

 

「それが人の裁定の時よ。――まぁ、それはまだまだ先のようだがな」

 

「何よ、何よ……!ふざけないで!!なんでよ!」

 

ギリィ、と歯を噛み砕かんばかりに食い縛るジャンヌ

 

 

「なんで私が、ファヴニールが、こんな――ジルが言っていたのに!私は無敵だって!思うがままに振る舞えっていったのに!どうして――!!」

 

「一重に運用の拙さが要因だ。竜とは本来軍や都市を攻め入らせるもの。或いは財を守護させるもの――それ故その巨体と生命力が脅威となる」

 

剣を掴み、ジャンヌに投げつける

 

「小人がごとき存在を踏み潰せと言われても竜も困惑しような。――田舎娘に軍略のたしなみがあるものかと眼を見張ったが――我の目も霞がかかったか。泣きついて得た玩具を自慢気に見せびらかすだけとはな。失笑ものよ」

 

 

「っ!」

 

旗で剣を払うジャンヌ。顔面が赤いのか青いのか――解らなくなっていた

 

 

――まだ善悪は解らない。それを理解するには何もかもが足りない

 

それでも――散っていった生命を悼む心と想いは確かに残っていたみたいだ

 

 

今はそれでいい。今はそれが解ればいい

 

無念を抱いた魂を、絶望に拐われた魂を想う、それだけで今はいい

 

 

――万分の一でも思い知れ、竜の魔女

 

 

「あぁ――どれ程虚勢を張ろうが貴様は所詮、田舎娘―――」

 

 

お前が奪った者達の尊さを――

 

 

「ゴージャスな王たる我との間には――けして埋められぬ溝があったのだな!竜に頼るとは所詮雑種、いや。それを生かせぬとは最高の道化よなァ!!イシュタルよ見ているか!ヤツはさぞ貴様と話が合おうよ!負け惜しみに華を咲かせるがよい!フ――――ハハハハハハハハハッ!!」

 

お前達が奪った人達の価値を――!!

 

「――英雄王ぉおおぉお――――っ!!!」

 

怒髪天をつくジャンヌが剣を抜き放つ

 

 

「殺してやる!殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやるうっ!!!」

 

「ハハハ、やってみよ。それが出来ぬから歯噛みしているのであろうが、脳筋めが」

 

「お前なんか、お前なんか!財宝がなければ何も出来ないくせに!財宝のおまけの癖に――!!」

 

「財を持たぬ負け犬どもの常套句よな。我には財を手にする資格があり、財の価値を見定める智恵があり、財を産み出す土壌がある」

 

――そうだ。それこそがギルガメッシュの力、ギルガメッシュの特権だ

 

価値あるものしか財にしない。一度たりとも贋作に惑わされぬ見識と叡智。産み出す者を正しく裁定を為す

 

その視点の凄まじさこそが――この英雄の力だ!

 

 

「それ故に我が称号は英雄王なのだ。――そら、見せ場をやろう。足らぬ脳を使い我を愉しませよ。一方的な蹂躙は観客が醒めよう」

 

あえて手を緩める。次の攻撃を捌く宝具を装填するためだ

 

 

「ファヴニール!!吐息を放て――焼き尽くせェ!!」

 

ファヴニールの口から火焔が漏れだし、熱量が膨張する

 

「ようやく本領を発揮させるか。拙い主だと苦労するな。蜥蜴よ。天の牡牛めと気が合おうな」

 

「放て――――!!」

 

放たれる極炎、直撃すれば魂も焼かれる凄まじき暴力、無双の吐息

 

 

――通させはしない。当然備えはある

 

パチリ、と指を鳴らす

 

 

――精緻にて豪奢な紋様をあしらわれた巨大な城壁が屹立し、ブレスを完全に遮断する

 

 

「――馬鹿な――!!ファヴニールのブレスが――!?」

 

「此は原初の母に捧げられし神器。天と地とに別たれた母の性質を擬似的に再現した宝具よ。これを破るには世界を切り分ける威力の武具が要る」

 

やがて防ぎきり、城壁を回収する

 

 

「微風がごとき鼻息なんぞ、我に通る道理もない。――命拾いしたな、田舎娘」

 

 

カウンターにて、喉に宝具を放り込む

 

「我が時間稼ぎなどというものに耽らなければ、竜を早くも失っていたぞ?」

 

 

「――馬鹿な、こんな――馬鹿な――」

言葉を失うジャンヌ

 

 

――解ってはいるが、ジャンヌと同じ顔、同じ声音で愕然としている姿を見るのは、少し……辛い

 

 

だが、竜の魔女の災難は終わらなかった

 

 

「――久しぶりだな、ファヴニール」

 

「――!!」

 

雄々しい声が響き渡る

 

「アレは――まさか――!」

 

「お待たせ、ギル!」

 

 

「よい、許す。宝を見つけたなら上々よ。ミミックだったなどという落ちでは無かったか」

 

 

竜殺しが――名乗りをあげる

 

「――蒼天の空に聞け!我が名はジークフリート!!蘇りし邪竜を葬りし者なり――!!!」

 

 

――此処に、マルタの祈りはカタチをなしたのだ――




「天使を殴り殺す、拳で海を割る――まずはそこを目指しましょう!!」

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