人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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カルデア


「しかし、2丁拳銃か・・・取り回しの悪さ、弾数制限、狙いの粗悪さ・・・諸々の問題はクリアできたかね?」

「はい、エミヤさん。重力軽減魔術、魔力自体をマガジンに装填する手法、弾速そのものを速くする手段と自動追尾する手段を確立させ、殺傷力と連射、コントロールを確保するつもりです」

「そ、そうか・・・うむ」

「・・・?」

(・・・何か2丁拳銃に、思うところがあるのかしら?剣に拘りがあるとか・・・?)

「・・・頼みがあるのだが、いいかね?」

「・・・?」

「完成した暁には・・・是非、見せてもらいたいのだが・・・」

「--もしかして、かっこいいから憧れている、とか?」

「ぐっ・・・!」

月の表


「ようやく統治が落ち着いてきたな、奏者よ。これを機に、少し一息入れるか?よき紅茶が入ったのだ。きっと奏者も気に入るぞ」

「・・・--」

「そう不安げな顔をするでない。そうそうあのような問題が起こるものか!ほら、マイルームに行くぞ!面倒ごとは、キャスターにめでも任せておくがよい!」

「・・・--」


月の勝利者--見応えに満ちた結末--

「ようこそ購買部、月の裏支店へ。待っていたよ最高の上客(かねのなるき)。その無駄に蓄えた財、全て注ぎ込む気概で私に挑むがいい」

 

夕焼けに照らされる校舎、未知なる宝箱のようなこの学校・・・王の主導の下、逸る胸を抑え学校に登校したエア、一緒に出掛けることにウキウキだったフォウを出迎えたのは、屈強な肉体に神父服に身を包み、背筋がゾワゾワするような笑みを浮かべ商品案内をしながらケースの向こうに立つ男性であった。エアはポカンとし、フォウは購買部店員の響きにあまりに似つかわしくない存在に硬直する

 

 

「あぁ、紹介が遅れたな。私はこの裏側の校舎を運営するNPC。雇われ店長にしてこの購買部の黒一点。言峰綺礼です。隠しヒロイン、ルートや美人な娘とかそういうのは一切御取り扱いしておりませんのであしからず。一から十まで前時代のショップだよ。ガッカリしたかね?はは、このザマァ」

 

(嘘だぁぁあぁあぁあぁ────!!!!!)

 

無惨にも学園生活、それに懐いていた淡いイメージを木っ端微塵に粉砕され、英雄王の肩でピクピク痙攣する哀れなるフォウ。傷は深く、早速致命的な傷を切り開かれた事になる

 

──フォウ!フォウしっかり!

 

(はは、はははは・・・なんて事だ、何も期待できないじゃないか・・・エアと一緒に登校して毎日顔を合わせるのがこれ?はははは、麻婆なんてノーセンキューだ・・・ナンセンス、ナンセンス・・・)

 

ピクピク鬱陶しいフォウの首根っこを掴みプランとさせつつ、英雄王は愉快げに笑う

 

「相も変わらず愛想の無いことよ。この様な侘しい場所にて店を抱えるとは・・・その腐りきった性根を余すことなく再現し、表から疎まれ追放されたか?」

 

その容赦ない毒舌に、一瞬懐かしげな表情を浮かべ。変わらず薄い笑みを浮かべながら臆することなく英雄王に言葉を返す。その振るまいは・・・エアとは方向性が違えど、英雄王とのつきあい方を心得ている様であった。二人は笑みを浮かべながら会話を弾ませる

 

「大体合っている。無かった事になったと言えど、あったという事実はけして消えぬからな。裏側の購買部の模範的態度がムーンセルに評価されそのままこの場所における管理、制御AIとしての権利も渡され一人で切り盛りしているというわけだ。客など望むべくもなく、また売り甲斐のある豚肉ももはやいない。というわけで形ばかりの地方支店へ出張という名の左遷というわけだよ。はははは、かなしい」

 

「人の失態を見て悦に浸るなどという腐った性根を持つ貴様には相応しき末路であろうよ、店主。うむ、人は無垢に、素直に清く、我を崇め、奉る生き方を選ばねばな。全く、誰が貴様のような性根を自覚させ世に解き放ったのやら」

 

「はははは凄くぶん殴りたい。貴様こそどうしたのだね英雄王。そんな爽やかで精悍、毎日が希望と愉悦に満ちていると言った顔立ちは。白い歯を見せ、悪ガキやガキ大将のような吐き気がするほど輝かしい笑顔などお前には似つかわしくない。人の無様や醜態を見てニヤニヤする蛇のようなお前の笑みは何処に捨ててきたのだね英雄王」

 

「慢心と共に冥界の底に投げ捨てたわ。今の我は至高の魂により泥と穢れを全て投げ捨てた唯一絶対無二にして究極なる天下泰平の御機嫌王。未知と新しきに繋がる愉悦を求めるポジティブ王であるのだ、雑種の醜態などに酒を鳴らす暇は無い。故に喜べ、貴様の減らず口も笑って流してやろう。我は寛大かつ、慈悲に溢れた良き王だぞ?(ニヤニヤ)」

 

ふはは、と笑う、普段の英雄王とは根本的に異なる物言いと態度にいよいよ目を見開き絶句する言峰。冷や汗と唇の乾燥が進行し続けている。リップクリームが必要ではないだろうか

 

「──いかん。サブイボと鳥肌が止まらん。これが劇場版タケシ効果か・・・?これはまた、随分と数奇な英雄王が来たものだ。・・・ま、まぁいい」

 

鍛練と人格により平静を保ちながら、言峰はこの場所の概要を簡単に説明してくれた。此処はムーンセルが観測した人間の悪性、それを溜め込み封印する月の裏側であり、この校舎はかつて聖杯戦争が行われた舞台、破棄されし古い校舎であり。今はムーンセルが裏側の管理ユニットに使っているようだ

 

そして、言峰はこの管理AIとして一人寂しく運営しているとのことらしい。此処の運営と監視、監督役と言う体のいい厄介払いだと彼は自重気味に語ってくれた。・・・しかし、いい声だなぁ・・・

 

「生徒会室に居を構える手もあったが、やはり此処が私には性に合っている。住めば都というヤツだな。そんなわけで校舎の施設は常に無料解放となっておりますので好きに探索するがいい。学校探索の案内、ガイド、その他諸々は御断りさせていただきます」

 

笑顔で告げる素敵な拒絶宣言に取り立てて腹を立てることもなく英雄王は鼻を鳴らし、毅然と告げる

 

「あのまま、弄ってはおらぬだろうな」

 

「あぁ、面倒なのでな。お前とあのマスターがイチャイチャしていた虫酸の走るマイルームもそのままだ。後で覗いてみるがいい。ついでに引き取っていただけると、私としても大変手間が省けて助かるのだよ」

 

その言葉に静かに頷き、エアに言葉を向ける。エアがケースの中の商品に釘付けである事を見抜いたからだ

 

《・・・何か買っていくか?エアよ》

 

──はっ・・・!な、何故分かったのですか!?流石は英雄王です!ワタシの心胆を、完全に見抜いておられるのですね!

 

《物欲しげな目で商品を眺めているのだ、気付かぬ方が愚昧であろうが。--良し、よい土産が早くも確保できたな》

 

そして王はケースの端から端まで指差し、パチリと指を鳴らしサクラメント用のヒュドラ蛇革財布を持ち、全てを買い占める、いや・・・

 

「麻婆以外の全てを寄越せ。プレミアムロールケーキと焼きそばパンもだ。梱包はしておけよ」

 

「ふむ・・・」

 

──やった!これでマスターや皆が喜んでくれる筈です!幸先のいい月の旅行になりま・・・

 

「あたためますか?」

 

──えっ?

 

「あたためますか?」

 

・・・温めるって、あ、焼きそばパン・・・?焼きそばパンですよね・・・?

 

どう考えても本気な目で礼装を含めた『商品一色』を見つめて告げる言峰に、冷や汗をかくエア。そしてその対応を懐かしげに笑いながら英雄王は感慨と共にからかいとヤジを飛ばす

 

「・・・貴様は変わらぬな、店主」

 

「こう見えて懲り性なのでね。仕事に妥協はしないのだよ。──温めますか?」

 

「貴様の足らぬ頭蓋を其処のレンジで沸騰させ、腐った脳を破裂させるのだな」

 

「手厳しいな。──しかし、油断と慢心、冷酷と傲岸が形となった厄介極まりないお前がそうも痛快に笑う程になるとは。どのような清く美しい魂に愉悦を見出だしたのか、気になるところだ」

 

その言葉に、英雄王はかたわらでふよふよ浮かぶエアに目線をやり、フッと笑みをこぼしからかうように笑う

 

「さて、現世の70億の雑種の内、一つあるかないかの稀少なる至宝の一つも拾えばこうなるのかも知れぬが・・・案外、今の我の近くにいるかもだぞ」

 

「ギルガメッシュ・・・// 」

 

「おい、勘違いするなよ。天地が反転しようと、貴様が我の運命など認めぬ、有り得ぬわ!えぇい不愉快なヤツめ!罰だ!貴様の酒蔵の酒は頂いていくぞ!」

 

「それは困る。こんな納屋にして僻地、酒くらいしか私の魂を癒してくれるものは無いのでな」

 

──購買部の店員さんって凄いんだなぁ・・・ね、フォウ!だ、大丈夫?しっかり、しっかり!

 

(エアがいなかったら即死だった・・・ボクのプライミッツレベルが三ランク進むレベルの衝撃事態だった・・・)

 

──そんなに!?

 

・・・なんだかんだで。此処には互いを疎んじる者達は、誰もいないのである。それぞれが、新たな、そして懐かしい出会いに舌と心を踊らせるのであった

 

 

 

買いに買い込み、土産用にラッピングしているエアとフォウに、酒を飲みながら、さながら行き先を確認する教員や父のごとく英雄王が言葉を投げ掛ける

 

 

《ふむ、図らずとも状況把握が済んだようだな。此処からは自由行動だが・・・どうだ?エア。まず先に足を運び、目を向ける興味を引かれた場所はあるか?》

 

英雄王の言葉に、エアは思考を巡らせる。此処は王の戦ったアジトにして根城。ならば此処には、英雄王が、マスターと共に最もいた場所があるはずだ。先の言峰さんがいっていたように。その話を鑑みると・・・

 

──はい。行ってみたい居場所があります。それは・・・ワタシが是非とも目の当たりにしたい場所でもあります

 

いつになくはっきりと告げるエアに、王は穏やかかつ愉快げに眉を上げる。その場所とは迷宮の深部かそれとも。と予想を立てていた英雄王の想定を軽く飛び越えるエアが告げる場所とは・・・

 

──英雄王と、月のマスターが過ごしたとされるマイルームです!是非!是非とも行ってみたいです!

 

ぐいぐいと手を引くエアに苦笑しながら、フォウを連れ英雄王はマスタールームキーを取り出し、手に取り、準備を整える

 

《分かった分かった。そう引っ張るな。我が寝屋は逃げぬ。そう焦らずともよい》

 

(こっちだ!こっちから成金の匂いがするぞ!二階に昇って左にいって曲がってずっといった辺りの突き当たりだ!乗り込め~!)

 

──おーっ!さぁ、行きましょう!マイルーム!マイルーム!

 

喜色満面、上質なテーマパークに来たようなはしゃぎように苦笑しながら、英雄王はエアに手を引かれマイルームへと向かうのだった──

 

 

つきのうみ(それ) そこにてはねる(から) けものかな(どした)

 

 

《ふむ、相も変わらずの安宿よ。だがまぁ、それなりに見繕いはし、模様替えはした訳だ。見れぬことはない間取りと景観ではあるな、うむ》

 

マイルームに足を運んだ英雄王一行。部屋のなかで一際目立つ玉座に身体を預け、リラックスし息を吐く。・・・その光景に、エアは妙な感覚を覚えた。なんというか、そうすることに慣れしたんだというか。王が玉座に座るのは当たり前なのだが、この部屋においては、そうすることでこの部屋が完成するというか、足りなかったものを、しっかりあてはめたというか・・・

 

《お前も楽にせよ、エア。其処の寝台を使うもよい。固く、王や姫が休むにしては話にならんが・・・其処のいい感じの隅はかつての我が雑種の定位置なのでな》

 

 

小さい個室ながら、王の趣味嗜好を完璧に抑えた素晴らしい部屋・・・此処で王が寝泊まりし、マスターと王が語り合った。そんな思いを静かに馳せていたエアは興奮も醒めやらずうなずき、感激し最後の不思議な単語に驚きを露にする

 

──あ、ありがとうございます!え・・・マスターさん、隅っこだったのですか!?

 

衝撃の事実にショックを受けるエア。・・・広い場所が苦手だったのだろうか・・・王のマスターなのに?庶民派、庶民派だったのだろうか?更なるエアの中の月のマスター像がフォー・サムワンズ・グロウリーとなった

 

(ライオンのぬいぐるみに、クローゼット。おっ、酒あんじゃーん。どれどれ・・・うわ、なんだこのスーツ!豹柄!?趣味悪い!こっちのざぶーんは悪くないなぁ。やるなオマエ)

 

フォウは一足早く、気ままに部屋を物色している。クローゼットに納められていた衣服を査定したり、部屋の飾りに興味津々だったり。彼は彼なりに、この状況を楽しんでいるようだ

 

《爪で引っ掻くなよ。それはそれで、この月における追憶の品なのだからな》

 

そのフォウの振る舞いも特に咎めることはない。王は部屋に残りし、時の残滓を見ている。此処でかつて過ごした者。けして折れず、けして挫けず。最弱から最強に至りし、絶対を求めぬ根無し草。変化し続ける人間の見本品

 

我がマスターに相応しいと、彼ならぬ彼が認めた彼のみの雑種。その者と共に過ごした時と、未来の思い出の追憶を。彼は見ているのだ

 

《エルキドゥめにも伝えてやらねばな。この部屋の景観を見たならば、ヤツは何を思うのやら。・・・さて》

 

興味深げに目を輝かせながら、部屋を忙しなく見渡しているエアを見ながら、かつてのように自らを体育座りにて見上げるかつてのマスターを見ながら。英雄王は言葉をかける。此度は気楽な月の漫遊。会話に興じ、我が言の葉にて姫と獣を楽しませるも悪くはないと自らに裁定を下す。かつての思い出と、過去を。今を生きるものに伝える語り部になるのもよい余興であろうさと、王は愉快さを氷とし酒を喉に流し込む

 

《どうだ、エア。探索に出る前に月のマスターの話でも聞き及ぶか?魔力、身体能力、快活さと他者と絆を結ぶ力、自我や意志はリッカと比べて話にならんが、魂の質はほぼ互角かそれ以上、観察眼と戦術眼、不屈と蛮勇にしては大いに上回る歪な逸材の奮闘記、けして退屈にはならぬ筈だが・・・お前が望むなら語ってやるぞ?》

 

──是非!

 

即答し、玉座の前に体育座りにて王を見上げる形となるエア。目を星空のように輝かせ、今か今かと王の言葉を待っている

 

(ちなみに、男か女の子かどっちだい?其処的にボクも気になるからね!)

 

茶化しながら、フォウもエアの肩に乗り話を聞く方針だ。素直な奴等よな、と王はより一層上機嫌となる。もうこれ以上機嫌がよくなっては辺りに宝石をばら蒔きながら走り回る奇行に及びかねない

 

だが──エアと出逢ったその自分を、似合わぬと自重はすれど、けして否定や拒絶に走る事などはついぞ起こり得なかった。このような心持ちは、恐らく未来永劫ないであろう

 

唯一無二の機会ならば・・・此処で全身全霊で愉しむ事に、なんの異論もない。・・・全く、罪な魂だ

 

──どんな人なんだろうね!仲良くなれるかな?いつか会ってみたいなぁ・・・

 

(エアとお話しできるかな?・・・ゲームにならないな。エアから興味津々に話し掛けてくるんだしね)

 

《フッ──》

 

──?ギル?

 

知らず溢れた笑みを見抜かれ、また頬をかく。何でもない、忘れよと断りを入れ、彼は語り始める

 

《さて、では話すとするか。・・・その者は自らの全てを喪ってでもなお、忘れ得ぬものがあるとし、退屈に微睡んでいた我を叩き起こした欲深き者でな。顔立ちは一集団の中で三番目、といった所か。その者の名は──》

 

この我に──『生きる事そのものこそが愉快なもの』などという、当たり前の真理を思い返させるとは。まこと、何処までも我を楽しませる魂よ。王は生きる魂たる姫に影響され、サーヴァントで在りながら、生の悦びを堪能しているのである

 

新しきを知る喜び、未知に胸をときめかせる本能。──姫の愉悦は、王の魂を慢心と怠惰から護り続けているのだ

 

(貴様ともさぞ話が会うであろうよ、白野。さて、お前の生きざま、我が姫の眼鏡に叶うものなのやら・・・──)

 

夕暮れが差し込むマイルームの中、王は静かに、自らの至宝と星の獣に語り続ける。この月の裏側にて起こりし戦い、共に駆け抜けた、月のマスターの生きざまと戦いを。その道筋を、静かに語り続ける

 

姫は一字一句に全霊を込めて聞き続け、フォウはエアの魂が疲れないようチェアになってエアをリラックスさせる

 

穏やかな時に、王は自らの口にて語り、話し、伝え聞かせる。かつてのマスターのように、かつての戦いの一時のように

 

・・・そう。それは王にとっても忘れ難き、かけがえのなき事象。自らが語り聞かせるに相応しき、見応えに満ちた物語であったのだから。自らが現代にして手にした至宝に巡り合わせることに、異論も不満も無いのである──

 

《ちなみに魂はたまに親父めいていたな。浪費王であり、厄介な女ばかり引き寄せるナンパ王であり、毒味役として極めて優秀であった》

 

──ごくり・・・!只者ではないですね・・・!

 

(え、残念系だったのか・・・そっかぁ・・・類友かぁ)

 

《ふはは、そういうな。未熟な星と断ずる、極上の愚か者であり人間そのものであったのだぞ?──フッ、懐かしいものよ》

 

時の進まぬ虚数の月にて。約一日換算の日にちを費やし、月のマスターを語り、聞き続ける一行であった──

 




《--そして、この物語は一応の区切りを迎えるわけだ。その後どうなったかは・・・我の目にも見えぬな》

--最弱から最強に至ったマスター。人間力の化身・・・イケ魂マスター・・・不屈と蛮勇の化身にして、英雄王の雑種・・・、雑種?王の大切な方なのに雑種なのですか?・・・ともかく・・・

(どうかな?リッカちゃんとは違ったマスター。為になったかい?)

--うん!けして諦めないこと、前に進むこと。そんな人間の美徳を体現していたから・・・英雄王はかのマスターを認め、絆を結んだのですね!・・・あぁ、それは。なんて見応えに満ちた、王の心を躍らせた方だったのでしょう・・・会ったら、是非サインを貰い英雄王と語り合わなくては!

《あちらの我についたヤツは大抵が愚痴と泣き言であろうよ。余程踏み入らねば賛美など口にすまい》

(選択肢次第であっさり逝くからなぁ。でも、どっちも大事だろ?)

《--分かりきった事を問うな、たわけめ》

--ありがとうございます!聞けて、話してもらえて本当に良かった!月の戦い、王にとっても素敵な時間だったのですね!


《フッ--此処ならざる我が経験した戦いだ。どのような感傷を懐いたかは当人しか解らぬが。決して前に進むことを止めなかった愚か者、苔の一念があったことを覚えておけ》

--いつか、会いにいきましょう!宇宙に行った、彼女とそのサーヴァントたる王に!

(二人旅とは太いことするなぁ。今、何してるんだろうね?)

《さてな。--そら、少し休むがいい。次に目覚めたとき、散策を始めようではないか。一通り回った後、本題を片付け、帰参するぞ》

--はい!楽しみな事は、いつまでも終わりませんね!そして・・・

《うん?》

--ムーンセルにすら規格外とされ封印された・・・英雄王は本当に凄いです!ワタシ、その・・・英雄王の凄さを知ってもらえたらと浮かれていて・・・そんな必要は無かったのですね!無礼と、早とちりを御許しいただけますか、王・・・

《構わぬ。むしろ今、我が伝説は更新中だ。現在進行形でな。その憧憬、その敬愛。憚ることなく我に捧げ、我の傍に在り続けるがいい》

--ふぁっ?

《フッ、今更であろう?我等の、我等による、我のための人類最新の叙事詩・・・ゴージャスギルガメシュ叙事詩!それを宇宙の果てまで広めるために、これより先も精進し励めよ、エア!》

--はいっ!この身、この魂!いつまでも王の傍らに!そうすればきっと・・・星の大海に旅立った月のマスター、そして・・・その傍らに在る英雄王にも届く筈です!

(ふふっ。さて、あと何体の獣がこの物語に倒されるやら--)

--フォウと一緒に、ツーリング星々ドライブとかもやってみたいなぁ・・・

(うん!いつか、バイクで星を踏破しよう!色んな星を、駆け抜けようね!)

--それまで、ずっと一緒だよ、フォウ!

(あぁ!勿論さ!キミがいる限り毎日がとうとみに溢れているよ!)

誓いを再確認し、エアに傍にいることを願われたフォウは安心し、夕陽に照らされ、灰となって消失するのだった・・・

--月における初消滅!フォウ~っ!?

《貴様はぶれぬな・・・まぁよい。それでこそよ。酒の肴には丁度よい。次は形態変化などどうか?》

なんだかんだで、三人はかつてのギルガメッシュの根城にて、仲良く身体を休めるのであったとさ

その頃

「さーて、今日も楽しく掃除ですよー」

「はーい」

「・・・労働が改善されてほしいものね・・・」

「はぁーあ。王様が直接私達をヘッドハンティングとか、無いですかねぇ・・・」




(報告した方がいいのだろうが・・・めんど、いや、状況は静観しておくか)

「お得意様にわざわざ苦難を差し向けることもない。ゆっくりと、いい感じに擦れ違ってくれたならそれはそれで面白いからな。さて、このサクラメントで何をするか・・・」

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