人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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「う~~トイレトイレ」

今トイレを求めて全力疾走しているわしはカルデアに通う(予定)ごく一般的な戦国武将

強いて違うところをあげるとすれば超絶有名なスーパーロックスターってことじゃナ ─
名前は織田信長
そんなわけで特異点にある公衆トイレにやって来たのじゃ
ふと見るとベンチに一つの頭蓋骨をあしらった黄金の容器が置いてあったのじゃ
うはっ!いい骸骨・・・(ハッ)

いい骸骨に気をとられていたわしは、背後から迫り来る何者かに気付かなかった!

殴られ、金平糖(隠語)を飲まされ、目が覚めたら

「なんかわし縛られとるんじゃが――!!!」

体が縛られていた!!わし、ピーンチ!!


逆ぐだぐだ天下布武!

――ん~・・・

 

 

ぐだぐだ世界を駆け抜けし、織田ゴージャス新撰組一行。一同はこの特異点の中心、大阪に当たる地点を目指し、旅を続けていた

 

「大阪、サルのお膝元か。たこ焼きとかあるかのぅ?」

 

「食い倒れとかやってみたいですねぇ~・・・ま!毎日私は倒れているわけなのですが!」

 

「倒れるくらいメシが食える、か。・・・随分と、マシな世の中になってるみてぇだな」

 

思い思いの所感をもらし足を進めるなか、エア、王、フォウは別件にかかずらっていたのだった

 

 

――やはり、本来のバビロニアの宝物庫には繋がりません。こう、金型も見識も目録も合っているのにどうしても繋がらないのです

 

うむむむ、と王律鍵を見据え首を捻る。ここまで繋がらぬとなると、ぐだぐだでは説明できない何か大きな力が阻害している、といった線も浮上してくる。あの旅の間ずっと整理と選別をしてきたのだ。大体の財宝の原典、形は把握できるくらいに見てきた宝物庫の金型を忘れるはずがない

 

(大きな力・・・アレかな、ぐだぐだ因子をはっつけられた英霊に邪魔されてるとか?)

 

ちびノブから貰った金平糖をこりこり食べながら、フォウはてしてしと鍵を叩く。ふむぅ、と考え込むエア

 

《――その仮説を採用するならば我には要因が読めたぞ。我が宝物庫を遮断する、というよりも『武器を奪い取る』という概念を持つ武将は心当たりがある》

 

英雄王はカルデアにて、ちょくちょく太陽王と酒を酌み交わしている。騎士王、征服王といった酒飲み仲間もいるのだがそれはそれ。そんな中、太陽王が各国の太陽概念を持つ神話や英雄を酒の席で語ったことを思い返す

 

その中に、日本人の英雄が一人もいたのだ。その名は――

 

《豊臣秀吉、だったか?恐らくその因子が持つ『刀狩り』の概念がまるごと作用し、我等の財を封じているのだろうよ》

 

――豊臣秀吉・・・

 

天下人。日輪の子と自称せし、農民より立身出世にてついには日本の頂点にまで上り詰めた太陽のごとき武将

 

その逸話のひとつ、『刀狩り』。農民達、下の身分の者から一揆を封じるなどの目的で行った武装剥奪の概念が、英雄王の財を封じていると彼は睨んだのだ

 

――となれば、その武将を倒せば英雄王の財は元に戻ると言うわけですね!

 

それならば問題ない。倒せる障害があるのならば、皆でいつものように倒すのみだ!

 

(ちびノブ、力を最後まで貸しておくれよ、少なくともこのぐだぐだが終わるまではね)

 

『『『『ノーッブ!』』』』

 

ぐだぐだ宝物庫にて待機するちびノブ達の号令を聞き、顔が綻ぶエア

 

新たに出来た仲間達のいる空間の金型を、記録する。終わったあと、また会える希望と共に

 

《この遊興も閉幕間近。さて、何が待ち受けるのか・・・初のイベント、グランドフィナーレを締め括ろうではないか》

 

「あ!見えてきたよ!大阪大阪!」

 

リッカの後ろについていく一同。ノッブも笑い、いよいよその瞬間を待つ

 

「――フッ」

 

聖杯が手に入る、その瞬間を・・・――

 

 

 

「ここがあの天下人のハウスね!」

 

元気よく名乗りをあげるリッカ。特異点の中心たる大阪に到着せし一同。此処こそは天下のお膝元・・・なのだが

 

「どう見ても南蛮街なのじゃが・・・」

 

風景は外国の町並みである。具体的にはフランスやローマで使われる背景スチルが使い回されている、といった方が分かりやすいだろうか

 

「ま、黎明期のイベだし是非もないよネ」

 

「・・・?なんかノッブテンション低くない?」

 

何か悪いものでも食べた?と訝むリッカに慌てて首を振る

 

「食べとらん食べとらん!心配するでない、それより聖杯じゃ!――さぁ、あれを見よ!」

 

びしり、と誤魔化すように指を指した先にいる英霊、それは――

 

「ふはははははははははは!!よく来たな、雑種ども!!」

 

――!!

 

忘れもしない、忘れられる筈もない。正真正銘、親の声より耳にせし黄金の高笑い

 

《――そういえば、この時空の時期には太陽のめは実装されていなかったな》

 

黄金の面で引っ張り出されたか、と薄く笑うゴージャス

 

(うげぇ、ラスボスこいつかよ)

 

ぷるる、と震えるフォウ

 

「あ、あなたは・・・!」

 

「問いを投げるか!雑種風情がこの我に向けて!だがよい、特別に名乗りをあげてやろう!我が名は――!」

 

どどん、と名乗り光輝く

 

「黄金の国ZIPANGの主にして、人類中性の英雄王!豊臣ギル吉!」

 

――ギル吉!?

 

「茶器と言わず黄金と言わず、この世の財宝全て我のものだぎゃ!!

 

――だぎゃ!?

 

目の前の英雄王のあまりの変貌にぐだぐだデフォルメめいた顔になって驚くエア。おかしい・・・!英雄王はこのようなぐだぐだ粒子、弾ける筈なのに・・・!

 

『うちの大黒柱の頭がおかしくなっているんじゃが・・・』

 

「ドクター!口調が!」

 

『あれ!?おかしい!隔離した筈なのに!ダ・ヴィンチちゃんワクチン!ワクチン!』

 

その混乱は大きく、一同に激震走る。いくらおかしくなっていようとも、その輝きは偽りが無いものだからだ・・・!

 

《見えている地雷は踏む、落とし穴には誰よりも豪快に嵌まるのが我の王道ではあるが・・・うむ、そう考えたならばなんら不可思議ではないな》

 

「勘違いするなよ雑種にゴージャスな我!この程度の泥で我の存在は塵一つも揺らぎはせん!此度は別件だ!」

 

――別件?

 

英雄王・・・いや、ギル吉様にも何か追い求めるものがあるのだろうか?

 

「貴様だ!セイバー!時を越えようやく巡り会えたな我が后よ!さぁ、我の胸に飛び込んでくるがよい!」

 

ビシィと指差すは上杉アルトリア。飯しか食ってない置物めいたその彼女を指名するギル吉

 

「私ですか?」

 

「そうだ!十連を回せど回せど白も黒も現れず、つらいとてもつらいな我がようやく掴んだこのチャンス!ものにせねば王の名が廃ると言うものよ!さぁ、飛び込んでこい!さすれば我が名において全ての悦楽を約束してやろうではないか!」

 

「お断りします」

 

即断であった。ほふほふとたこ焼きを食う上杉アルトリアは毅然と告げる

 

「私は常に羽振りと食生活がよい者の味方。あなたのような装飾華美でありながら羽振りがケチそうな英雄王は御断りです」

 

「ぬぅ、そう簡単に首を縦に振りはしないと読んではいたが中々の辛辣ぶりよな!」

 

それに、とアルトリアは高らかに告げる

 

「このゴージャス王が、私という宝を手放す筈が無いでしょう」

 

ね、と視線を送る。その視線に応えるように首根っこを掴み

 

「欲しければくれてやるぞ。食費が浮いて助かるというものだ」

 

無造作にギル吉に投げ渡す――

 

「えぇっ!?そんな!ゴージャス王!何故――!?」

 

「何故も何も当然であろうが。貴様は我がカルデア所属でもなく、かといって役に立った訳でも無い。丁度引き取り手に難儀していた所だ。精々残念同士乳繰り合うがいい」

 

バッサリと世知辛い処断を下すゴージャス。ギル吉が上機嫌に笑い出す

 

「ふはははははははははは!!話が分かるではないか豪奢な我よ!さぁ上杉よ!共に偉大なる朝鮮出兵を始めようではないか!」

 

「裏切りましたねゴージャス!信じていたのに!あなたの羽振りのよさを信じていたのに!」

 

「さぁセイバー!我のみの色に染まるがよい!!」

 

「嫌です気持ち悪い離してください!」

 

ジタバタと暴れ抵抗するアルトリア。生理的に無理な様子がありありと伝わる

 

「ガチだ、ガチな嫌がり方だ!」

 

「はい・・・なんというか、カルデアの英雄王は本当に、奇跡のような存在なのだと痛感します・・・」

 

「良く似ただけの別人・・・キャラ崩壊・・・アガルタ・・・うっ、わしの頭が・・・」

 

「何を感じ取ったんですノッブ!?」

 

「ぶちぎれマシュ・・・キモオタぐだ・・・ううっ!」

 

「ぶちぎれマシュ!?なんですかそれ!?私はそ、そんなに怒ったりは・・・!」

 

「キモオタじゃないやい!求道者なの!!シリアスシーンで茶化したりしないもん!」

 

二人とぐだぐだメンバーのコントをさらりと聞き流し、エアに告げる

 

《どのみち我が宝物庫を取り戻すには打ち砕かねばならん壁だ。――エアよ。我の行動の意味、察していような》

 

――はい!

 

上杉アルトリアが望みのギル吉、それは手中にある。此方を取るに足らんと侮り、体運びは隙だらけだ。目当ての宝を得て御満悦であり精神的にも然り

 

・・・――ならば、この瞬間。この瞬間こそが彼を打倒する『勝機』に成りうる

 

――ロンドンで賜りし対英雄王戦法、発揮するときです!

 

《うむ。更なる油断と慢心を誘うため、お前が決めるがよい。救いがたき醜態が見れるぞ》

 

英雄王の言葉に頷く。同時に英雄王の指が鳴り、虹色の風と白金の輝きと共に・・・

 

「――王の財宝、その総てを在るべき場所へと取り戻すために」

 

人類最新の英雄姫。あらゆる次元にて唯一無二の王に寄り添う姫

 

 

「豊臣ギル吉!この至らぬ身を以て、貴方の暴虐を諌めましょう!」

 

エア=レメゲトン。ギルガシャナ=ギルガメシアが高らかに降臨する!

 

「来たか、姫さん。あぁ、別嬪さんは目の保養になるぜ」

 

たこ焼きを食いながら治療中のヒッジが笑う。エアはリッカの手に、フォウを託す

 

「フォウを、お願いいたします。マスター」

 

「だ、大丈夫?ギルは・・・」

 

「はい。『倒さねばなりません』し、『倒せるのはワタシだけ』なのです。――少なくとも、今の彼に勝てるのは」

 

(心配はしているけど、確信はあるよ。――必ず勝つんだよ、エア)

 

――行ってくるね、フォウ

 

「――令呪を姫様に捧げるね!勝って!」

 

一画がエアに使用され、霊基の強度が上昇する

 

「ありがとう。――行ってきます!」

 

頷き合い、英雄王を倒す事に特化した姫がギル吉に相対する

 

「ふはははははははははは!!!貴様がギルガメシアとやらか!美しいな当然だが!だが戦場に立つには無用なものよ!我が前に立つ意味、当然理解していような!」

 

「勿論。――行きます」

 

「良かろう!我に刃向かう栄誉特にぬおっ――!?」

 

ギル吉が言葉を告げるより前に、英雄姫は行動を起こしていた

 

《波紋と座標の特定、最適手の補正と調整は我に任せよ。その脚、存分に掬ってやれ!》

 

――はい!

 

黄金の波紋に飛び込み、終末剣エンキを近接トンファーモードに転換装備し飛び掛かったのだ。寸での処で防衛するギル吉

 

「おのれお転婆な!終末剣など持ち出すとは躾がなっていないぞ躾が――」

 

「はぁっ!!」

 

一切の問答を挟まず、二段蹴りを叩き込み吹き飛ばす

 

「男子を、足蹴にっ――!?おの――」

 

波紋に飛び込み、ギル吉の吹き飛ぶ先に現れ、頭蓋を砕かんとトンファーを振るい上げる

 

「ぬうっ!思い上がるな!」

 

いよいよ展開される波紋、たったの五門。放たれる速度と財を素早く把握し、バック転にて回避し、跳躍した先にある波紋に飛び込み

 

「ぬ、ぐっ――!」

 

即座に懐に現れし姫が、ギル吉を襲う――!

 

「――!」

 

『あれはウルクアーツ!!』

 

突然声を張り上げしはエレシュキガル。興奮した様子でモニターから声を送る

 

「知っているのエレシュキガル!?」

 

『ウルクに伝わる王のみに赦されし格闘法なのだわ!時空、空間を超越跳躍しながら行われる肉弾戦と白兵戦、距離を無効化し当たり判定を消し去る無敵戦法!バビロニアの宝物庫に達した者のみがマスター出来ると言われる伝説の技法!まさか、英雄王の肉体に備わった技をエ・・・ギルガメシアが再現してると言うのだわ!?』

 

その驚嘆に間違いはない。あらゆる攻撃を理不尽に通し、あらゆる攻撃を理不尽にかわす。それがウルクアーツ。けして傷付かず、相手のみを滅する王の闘法

 

それを今――王の監修の下

 

「はぁあぁああっ!!」

 

一時的に、姫が演武として形と為す――!

 

「おぉお!!押してる!シャナが押してる!いけー!!」

 

『うまいぞ!僕たちの見てきた英雄王と違って隙だらけだ!そこを徹底的に衝けている!』

 

『ふふっ、そうだろうね』

 

エルキドゥもまた、たおやかにモニターの向こうで微笑む

 

『だって、彼女は――』

 

 

 

「おの、れ――!」

 

徹底的に押し込まれる。死角に、隅に、必ず姫の攻勢がある

 

苦し紛れの財の投擲をも、姫は完全に対処する。弓矢で打ち払い、トンファーで薙ぎ払い、傷の一つもつけずに突破する

 

即座に懐に潜り込まれ、鎧をベコベコにされる程にラッシュを受ける

 

「馬鹿な――このような・・・!」

 

刀剣を抜き、トンファーと打ち合う。甲高い金属音が響き渡り、鍔競り合い、忌々しげに姫を睨み付ける

 

「この我が・・・!fate裏の顔たるこの我が、たかが二次創作の贋作キャラごときに――!!」

 

刀狩りの概念で財を封じた

 

ステータスですら遥か格下であり、愚かな我の気紛れで産み出された紛い物。英雄ですらない我の愛玩具風情に、何故この我が後れを取るのか?

 

《たわけめ。出自がいかな亜流や枝葉であろうとも、造形に込められし想い、宿りし魂、紡がれし物語は紛れもなき真作よ。その贋作に今昔問わず煮え湯を呑まされておきながらこの期に及んでその慢心。だから貴様は足を掬われるのだ》

 

その疑問と憔悴を切って捨てしは姫を庇護する、偽りなき王の魂

 

「何ィ――!?」

 

《解らぬか。ならば所感を告げてやれ、エア。我も認めし紛れもなき真作。お前が持つ胸の内をな》

 

歯噛みするギル吉に、姫が言葉を紡ぐ

 

「いくら王の加護や寵愛を得ていようとも、ワタシが綺羅星のごとき英雄達に打ち勝てる道理など微塵もありません。姫が戦士に、英雄に。武力で敵うはずは無いのですから」

 

「世迷い言を・・・!王たる我を愚弄するか・・・!」

 

「いいえ、『ワタシは、貴方にだけ勝利できる』のです!英雄王ギルガメッシュ、貴方にだけ、偉大なる貴方にのみ、ワタシは先を取れる!」

 

力強く、ギル吉を押し返す

 

「何故ならワタシは、貴方を『知っている』から!偉大さも、愉快さも、醜態も、優しさも、全て、一番近くで見てきた!」

 

「――!」

 

見てきた、見てきたのだ。旅路にて、一番近くで

 

寄り添う魂として。転生した魂として

 

だからこそ、負けない。負けられない

 

「誰かに負けるのは構いません。でも、ワタシを見守り、形作ってくださった王の期待を、敗北の汚泥で汚さぬために。ワタシの研鑽と敬意が、嘘でないことの証明のために。貴方への感謝を偽りのものとしないために――!」

 

ワタシを見守ってきた貴方にだけは――無様な屍を晒すわけにはいかない

 

何故なら――英雄王という存在に、ワタシが今まで懐いてきた想いは、敬愛は・・・

 

「ワタシの総てを懸けて、貴方の一歩先を行く!――英雄王(ワタシ)にだけは・・・負けられないっ!!」

 

決して、偽りなどでは無いのだから――!!

 

「お、のれ・・・!おのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれ――!!」

 

気迫にて弾かれ、たたらを踏むギル吉

 

「そのような世迷い言に我が後れを取るなど認めるものか――!!」

 

業を煮やしたギル吉はエアを手に取る――が、一手遅い

 

「《『天の鎖』よ――!!》」

 

ギル吉の身体を、くまなく縛り上げるは天の鎖。神性を所持せし自分自身にすら作用する朋友の具現

 

「な、馬鹿な――!窮地以外にこの鎖を手に取るだと――!」

 

乖離剣を掴み取る前に捕縛され狼狽するギル吉。今こそ、勝敗は此処に定まる

 

《馬鹿は死なねば治らぬらしいな。決めるぞ、エア!この一撃を以て、下らぬ慢心を断ち切ってやれ!》

 

――はい!

 

トンファーモードから弓モードへ。身動き一つ取れぬギル吉目掛け、真っ直ぐ狙いを定め、引き絞る

 

「ぐだぐだ粒子よ、王の器より退去するべし!『天地波濤す(ウト)』――――」

 

収束する真エーテル。7日経っていないので単純な威力攻撃しか放つことができないが――無防備な王を退去させるには充分な威力が装填される

 

「ま、待て!まだ我は、セイバーと婚姻の儀を済ませておら――」

 

「そんな予定はありません。姫、天誅をお願いします」

 

「上杉ィイ!!おのれ、露と落ち、露と消えにし我が身かな!婚儀の事も――」 

 

臨界に達するエンキ。姫の視線と共に、模範的な弓矢の射撃体勢と共に――今、放たれる

 

その名は――!

 

「『終局の刻(ナピシュテム)』――!!」

 

黄金の一撃、彗星がごときエネルギーの射撃が、ギル吉を呑み込み、荒れ狂う――!

 

「夢のまた夢――セイバー!我は諦めぬからなァ――――――!!!!!!

 

最期まで思い人の恋慕を叫びながら、豊臣ギル吉は落陽したのだった――

 

「――・・・あなたが慢心していなければ、残念になっていなければ。ワタシは及ぶべくも無かったでしょう。浅ましく足許を狙い続けたワタシを、どうか軽蔑なさってください」

 

消え去ったギル吉・・・いや、英雄王に言葉を遺す

 

「ですが、英雄王への敬愛だけは、誰にも譲らぬ、譲れぬワタシだけの宝。たとえどのように残念になっていようとも、慢心していようとも。ワタシは、貴方に対して生半可な気持ちで挑むことは、ワタシ自身が赦せなかった」

 

譲れぬ想いが、けして譲れぬ全力へと繋がったが故に

 

「――お手合わせができて、大変光栄でした。願わくば、もう二度と敵対することがありませんように・・・――」

 

終末剣をしまい、王律鍵を見据える

 

《――無事に宝物庫に繋がるようだ。よくやったな、エア》

 

――はい

 

これで、自らの役割は果たした事となる。――英雄王の財を無事、取り戻せたのだ

 

「ふぅ――」

 

息を吐き、クールダウンする。英雄王の暖かい労いが、エアの戦闘で火照った心と身体に染み渡っていった――

 

「姫様すげ――!!」

 

「お疲れ様でした!シャナさん!」

 

「トンファーキック!トンファーキックですかやったー!!」

 

「沢庵だ、食え」

 

(お疲れ様!かっこよかったよエア!)

 

『『『『ノブゥ・・・(恍惚)』』』』

 

自らを労ってくれる総てに、感謝の笑みを返礼として――




「ふっ、最後の難題の英雄王も首尾良く英雄姫が始末してくれおったか。あやつに聖杯が渡ってしまってどうしたもんかと思ったが好都合。是非もなしよなギル吉。姫の狼藉に君主が本気になっていては形無しだからのぅ」

「む、そのお椀は聖杯ですか?容器にすると美味しいうどんが・・・」

「そう。ここからは――当て身ッ!」

「はうっ!!」

「わしの天下――そう、総てわしの思うがままよ・・・!」

次回!感動のフィナーレ!第二部で忙しくなるのにクライマックス!

おそらくメンテが入るだろうから皆、気長に待つべし!(詫び石を)待て!しかして希望せよ!

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