人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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『整理券』


「皆さん・・・」

「サー・ベディヴィエール。あなたこそ、王の補佐に相応しい」

「王に、よろしく頼む」

「ですが、私は・・・」

「私達は人理に仇なした恥晒し。王に合わせる顔などないのです。――我が友、ベディヴィエール。どうか、王命を果たしてください」

「私達は、此処にて。貴方に、太陽の祝福があらんことを――」


「貴卿も行け。アッ君。休暇こそ、お前に必要なものだ」

「・・・ですが」

「そなたの欠点、克服してくるがいい」

「――はっ」


【通るがよい――】


「すみませーん!私も、私もよろしくお願いいたしまーす!」


(――頼みましたよ)


召喚 騎士編

「さぁやって来ました騎士編!騎士編ですよギル!はい、騎士です!つまりセイバー!!」

 

 

ヒロインX、アルトリアが声を上げ、聖剣を素振りする。その声音と表情は上機嫌ではあるが・・・

 

 

 

――目が全く笑っていません・・・

 

その目には光がなく、またどこか据わってしまっている。ブォンブォンと唸りをあげる聖剣の音がどこまでも恐ろしい

 

 

「知己との再会か。誰が真っ先に来るか、見物よな、アルトリア?」

 

「ソウデスネ。タノシミデス。居眠り豚か、マッシュポテト卿か困った騎士か。歓迎の準備は出来ています。全員に来て貰いましょう。えぇ、タノシミデス」

 

所々棒読みとなるアルトリアを、英雄王は静かに見つめ、――そして、ニヤリと笑みをこぼす

 

「――よし。お前も同伴するのなら此度の騎士召喚は三人にしてやろう」

 

「三人ですか?それはまた絞りますね。どうしてです?」

 

アルトリアの言葉に、フッと笑いを溢し応える

 

「貴様の縁に応える騎士というものを見定めてやろうと言うのだ。お前に忠を尽くしているのは誰か・・・見物よな?」

 

召喚の人数を絞り、あえて招く騎士を狭める。英霊の座から招かれ、この楽園の、ありのままに仕える者は誰なのか――王は試そうと言うのだ

 

 

「フッ、なるほど。良いでしょう。この楽園に招かれる円卓は誰なのか――ギャラハッド、モードレッド以外の騎士を期待しましょう!」

 

力強く返事するアルトリア。拳を軽くぶつけ合い召喚サークルを回す

 

「では早速行きましょう!ロマンさん、お願いいたします!」

 

アルトリアの号令にて、召喚が開始される

 

「任せてくれ!しかし、円卓かぁ・・・強力な騎士ばかりだ。誰が来ても頼もしいんだけど・・・」

 

「変人しかいないよね」

 

リッカの歯に衣着せぬ物言いにずっこけるアルトリア

 

「そ、そうズバッと言われると来ますね、心に・・・まぁその通りなのですが・・・」

 

「うむ。貴様の苦労が偲ばれるというものよ。実らぬ土地、個性しか在らぬ騎士ども、絶え間無い侵略と侵攻。――貴様のような故国に身命を捧げるような馬鹿者しか存続は叶わなかっただろうよ。――フン。そこは認めてやらねばなるまい。業腹だが、安寧と守護と言う点で・・・貴様は最適な王だったのだな」

 

その言葉を聞き、アルトリアはキャップを抑え、沈黙する

 

「――――日常的に神様やら神獣の嫌がらせに逢っていた貴方ほどハチャメチャじゃ、無かったと思いますがね。そもそも・・・王道なんて比べるものじゃないですよ。等しく滅び、等しく歴史に残った。それだけで・・・どの王道も過ちで、また正しいのです。騎士道が形になった私の治世。都市国家の基となった貴方の治世。――どれも、不可欠な要素となり歴史に刻まれているのですから」

 

その声は、如何なる理由か涙声に震えていたように耳に届いたが・・・王も姫も、言及する事はしなかった。無粋を犯す真似はしなかったのである

 

(すまない。キャスパリーグめいて暴れまわって本当にすまない。・・・それにしてもブリテンなぁ・・・ヴォーティガーン、サクソン、ピクト、孤島。枯れた土地、モルガン、騎士の不和、性別問題、世界の意志、反逆・・・厄ネタしか無いじゃないか!アルトリア、お疲れ様本当に)

 

振り返ってみたブリテンの動乱ぶりは、フォウですら真面目に労るレベルであった・・・

 

 

「・・・治世、かぁ。僕も、意識があれば・・・人の痛みに共感できたのかなぁ・・・」

 

ぼんやりと呟くロマンの手に、シバにゃんが手を重ねる

 

「召喚、来ますよ?ロマン様♥」

 

「う、うん!」

 

何も言わず、手を添えるシバにゃんの優しさに感謝しながら、ロマンが霊基を安定させる

 

「パターンは・・・セイバー!来るわ!」

 

オルガマリーの声に一同が目を見開く

 

現れたのは――

 

「・・・――かつての王命、果たしに参りました」

 

白き鎧、錆び付いた右腕。長い髪、強き眼差し

 

 

「――――・・・・・・」

 

絶句するアルトリア。其処にいたのは・・・

 

 

「セイバー、ベディヴィエール。『楽園に至れ』という騎士王の命に従い、参列せし者です。――その、実力はそれほどではありませんが・・・」

 

「ベディ――!!!」

 

感極まったリッカ、マシュ、アルトリアの三人に身体を持ち上げられ、胴上げされるベディヴィエール

 

「ひゃあぁあ!?み、皆さん――!?」

 

「貴方はっ――貴方はっ・・・本当にっ、円卓の良心ですっ・・・!」

 

「歓迎いたします!ベディヴィエールさん!本当に、本当に――!」

 

「休んでいいよ!休むんだよオラァン!」

 

《何処ぞの世界で座に登録されていたか。如何なカラクリか、この世界のヤツの誓いを覚えているらしい。――誠、忠節の執念に篤き輩よな。口約束の為だけに再び剣を取るとは》

 

――ベディヴィエールさん・・・貴方は、ワタシに人の美しさを魅せつけてくれました・・・

 

涙目になりながらエアは、目を閉じる

 

――どうか、穏やかな日々を。これから、ずっと・・・

 

(錆び付いた剣、仮想聖剣か!そこまでやるとは、本当にもう・・・)

 

フォウが笑いながら呆れ果てる。――彼はもう一度、剣を摂ったのだ

 

『・・・ベディヴィエールが召喚されましたか』

 

騎士王の安堵した声が響く

 

「まずは、風呂にでも入れてやれ」

 

『・・・――はい』

 

――再び、忠節の騎士は・・・騎士王の王命を果たしたのである

 

胴上げしたままアルトリア達はベディヴィエールの案内に向かい退室する。入れ替わりで現れる騎士王

 

「代理として来ました。さぁ、召喚を続けましょう」

 

――良かったですね!アルトリア!

 

「――ありがとう。プリンセス」

 

互いに笑顔を交わし合う。同時にサークルを回し、召喚の始まりを告げる

 

 

「さぁ――次は如何なる騎士が来るのやら」

 

「ごくり・・・」

 

オルガマリーが固唾を飲んで見守る。召喚サークルが輝き、静まり、現れたのは・・・

 

「――円卓の末席、アグラヴェイン。雑事、執務、汚れ仕事を請け負いに参上した。――私に、まともな交流は期待しないことだ」

 

ワーカホリック気味の騎士、アグラヴェインが姿を表した。その人に好かれる気がない物言いは人を突き放す、が・・・

 

「――唯一の欠点、直しに来たようですね。アグラヴェイン」

 

騎士王の笑みに、浅く頷くアグラヴェイン

 

「・・・王は仰有られた。働きすぎなのが欠点であると。・・・王を支える私に欠点があるのは許されない。ですので・・・少し、肩の力を抜こうかと」

 

召喚に応じたのは、それが理由。かつての王命を、アグラヴェインは果たしに来たのだ。――ベディヴィエールと、同じように

 

「真面目なことよな。案内は必要か?鉄の騎士」

 

「結構。自ら把握します故に。――では、何か用命があれば」

 

騎士王、英雄王、そしてカルデアの面々に生真面目に一礼し、きびきびと退室するアグラヴェイン

 

「・・・貴方は休むのが下手ですからね。キチンと休めるかが不安と言えば、不安です」

 

その後ろ姿を、騎士王は微笑ましげに見つめていた。――大切な友を、見守る親友のように

 

 

「フッ、随分と想われた者よな。――それだけに諸行無常よな。忠義は在り、善政があり。それでも磐石の治世には至らぬとは」

 

「――哀しむことではありません。滅亡、円卓の瓦解こそが歴史の答え。悼み、涙を流し、悔やみ――けれど、受け入れる。それが王としての責務でしょう」

 

王として、やり直しを望んだことはあったかもしれない

 

けれど――自らが行った事は、間違ってはいなかった、と。時空の果てで、答えを貰った奇蹟が、綴られた物語が、確かに在ったと・・・一人の少女は、覚えているのだ

 

「――あの酒宴の席に貴様がいれば、我が手にかかる王が一人、増えていただろうな」

 

「ふふ――負けませんよ」

 

――王様って、やっぱりカッコいいね、フォウ

 

(そうだね。――世の中には暗殺を恐れるあまり鎧と一体化したり、カエルに恋してサドに目覚めた童貞王もいたり、露出癖拗らせて内臓丸見えになった理想の王もいるけどね)

 

――王様って色んな種類があるんだね・・・

 

英雄王、騎士王、征服王に太陽王に、レオニダス王。みんなカッコいい王で良かった・・・

 

心から、安堵するエアであった。魔物に堕ちる王は、此処にはいないのである

 

「――プリンセス、貴女も騎士に招集をかけてはいかがでしょう?」

 

魂に語りかける騎士王

 

――ワタシ、ですか?でも、これは英雄王の戦いであり・・・

 

《構わぬ。お前が招いた結果ならば、如何なるものでも良しとしよう。――お前もまた、戦いに挑む権利がある》

 

王はグラスを揺らしながら、エアに召喚を促す

 

(時期的に最後のアルトリアチャレンジだ!気楽にいきなよ、エア!)

 

――う、うん!

 

三人に背中を押され、魂を縁とし、召喚を始める

 

――騎士王の可能性よ、此処に!英雄王の願いに応えてください・・・!

 

召喚サークルが回りだし、輝きが満ち溢れ、英雄を招き入れる

 

「――――」

 

最後でありながら、穏やかに、静かに酒を飲む英雄王

 

「パターン、セイバー!・・・そろそろ騎士王だといいね、ギル?」

 

「うむ。まぁ実のところ、前ほど鼻息は荒くない。赴かぬなら赴かぬでそれはそれで良しだ」

 

不老不死の霊草を取られた直後に近い心持ちで、ギルは天井を見上げる

 

「この世に一つくらいは・・・我が手に収まらぬ財が無くてはな。――それが貴様の、貴様だけの価値よ。――己が価値を損なわぬ頑固さ、見事であったぞ」

 

其処にいない、焦がれた存在にグラスを掲げ・・・そして、飲み干す

 

「――いや。中々に楽しかったぞ」

 

現れたのは――

 

 

「はじめまして!まだ半人前の騎士なので、セイバー・リリィと御呼びください!皆様、これから末長くよろしくお願いいたします!」

 

白き鎧に身を包み、白百合のように笑う、若き、幼きアルトリア

 

――わあぁ・・・!

 

「――ふふ。私も素直ではありませんね。意地を張っているのかは解りませんが・・・いえ、当然の結果でしょうか。――国を旅していた私の異名は・・・」

 

華のように笑うリリィ。元気よく挨拶する

 

「英雄王!そして、成長した私のお姿!――王として、あまりにも半人前ではありますが・・・一生懸命頑張ります!」

 

よろしくお願いいたします!と、華やかな『姫騎士』が――元気よく声をあげるのだった

 

――王!この白くて真っ直ぐなアルトリアさんはギル的にどうでしょうか!?

 

《ふむ。卵・・・いや、雛を垣間見る所感よな。セイバーめ、憎い真似を。――これはこれで是だ。望むなら、交流するもよかろう》

 

――はい!騎士王がどんな夢を抱き、どんな旅路を歩んだのか・・・聞いてみたいです!王になる前の話を!

 

「――気恥ずかしくもありますが・・・プリンセスが望むなら。・・・ケイやマーリンに迷惑ばかりかけていた記憶が強いですね・・・」

 

照れ臭そうに目を泳がせ、顔を赤らめ照れる騎士王

 

《よし、根掘り葉掘り聞くとするか!無論我も同伴するぞ!騎士王の貴重な体験をな!》

 

(賛成だ!エアにも新しい友達ができる――それが一番嬉しいんだけどね!)

 

「・・・全く。――お手柔らかにお願します」

 

新たな姫、新たなアルトリア

 

 

・・・アルトリアを求める戦いは、固辞により本懐を遂げぬ英雄王、白歴史を送り込み英雄王に晒す騎士王

 

 

・・・痛み分けとして、一先ずの・・・決着を見たのであった――

 

 

「それはそれとして、次は完全ランダム召喚を行うとするか」

 

――改築の王の負担を考え、二、三人にしてくださいね、ギル

 

《それを言われると弱い。――良かろう。さて、誰が来るのやら》

 

穏やかに笑いながら、王と姫、獣、騎士王は部屋に帰還し、休息に入るのだった――




NG召喚編 人編


「私はシンフォギアのランサー!9月13日生まれのO型!身長はこの間の測定で157㎝!体重はヒミツ!好きなものはご飯&ご飯!繋ぐこの手が私のアームドギア、じゃなかった私の宝具!モットーは!最速で、最短で、真っ直ぐに、一直線に!胸の想いを伝える!です!」

「リッカ君と声がそっくりだな!?」

「私は藤丸立香!マスター番号48番!身長158㎝、体重ヒミツ!スリーサイズは上から84、56、82!好きなことはコミュニケーション、サブカルチャー全般!嫌いなものは先入観!カルデアのたった一人のマスター!世界を救う為に戦ううら若き乙女!彼氏募集中!モットーは、意志があるなら神様とだって仲良くなってみせる!」

「凄い!あのシンフォギアのランサー、カッコよさで全くリッカ君に劣っていないぞ!」

「カッコよさで張り合っては駄目なのよ、リッカ・・・」

「ひょっとして・・・暴力よりコミュニケーションが好き?」
「そういう貴女は、人は必ず解り合えるって信じてる?」

「うん!」「勿論!」

「ど、どっちがどっちなんだ!?声質も意識も似すぎてて怖い!」

『固い握手』

「和解したぁ!?」

『楽園を満喫したのち『大切な人を待たせちゃダメ』とリッカに諭され退去。発声練習とカンフーを教わった』

「オゥオゥオゥオゥ!いきなり人を叩き起こして呼びつけるたぁいい度胸だ!俺様が何者か教えてやるからそのデカイ耳かっぽじってよく聞きやがれ!ジーハ村に悪名轟くグレン団!漢の魂背中に燃える…不撓不屈の、あ(高音)、鬼リーダー~~ァ!グレンセイバーたぁ!俺様の事だぁッ!!

「うぉおぉおぉおぉおぉお!!兄貴だぁあぁあ!兄貴とは別ベクトルの兄貴だあー!!」


「おうよ!いいかお前ら、真っ直ぐ進め!もしとかたらとかればとか、そんな思いに惑わされんな!お前らが選ぶ一つの事が!お前らの一つの真実だ!――あばよ!!」

『一ヶ所に留まれないため退去。熱い激励を貰った』

「激動の時代にしか生きれぬ愚者か。――アレに並ぶ愚直な男は、ウルクですら稀だろうよ」

「兄貴――ありがとう――」


「rideon!俺は・・・鉄華団団長・・・オルガ・イツカだぞぉ!こんくらいなんてこたぁねぇ!」

「なんで招集直後に瀕死なんだい!?」

「カルデアを護るのは俺の仕事だ!」

「団長!?何やってるの団長!?」

「マリー!?」

「いいから行くぞぉ!皆が、待ってんだ・・・それに・・・ミカ・・・やっとわかったんだ・・・」

(俺達にたどり着く場所なんていらねぇ。ただ進み続けるだけでいい。とまんねぇ限り、道は続く!)

「何処に行くんだい!?治療しないと!」

・・・謝ったら許さない

「(あぁ、解ってる・・・)俺はとまんねぇからよ!お前らがとまんねぇ限り、その先に俺はいるぞぉ!」

「なんの騒ぎだ?」

――え、大丈夫ですか!?カプセルを!

「だからよ・・・」

「喋らないで!治療するから!――リッカ!」

「ここに放るがよい」

「リッカ!」

「どおりゃあぁあぁあ!!!」

「止まヴアァアァアァアァ――!?」

『希望の華が咲きかけたが、カプセルに叩き込み強制退去』

「間に合ったわね・・・良かった。だからね・・・」

「所長・・・!?」

「皆、休んでもいいのよ――」

「「「所長~~~!!!!」」」


『所長、希望の華が咲き失神』


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