人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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お待たせしました、召喚編です!ゆるくお楽しみください!



「この『あなたの為の物語』も脱稿間近か。全く、ストーリーキングの代名詞のようなヤツにどのような目指したい姿があるというのだ、全く」

(・・・――今の姿では足りぬ敵、今の力では届かぬ力に手を伸ばす、ということか?ヤツの手に届かぬ敵など、この物語の――)

「――・・・フン、そう言うことか。良いだろう。俺の筆を打開の手にするというその愚かさ、乗ってやろう。此処まで連ねたのだ、捨てるのも寝覚めが悪いしな!」


【――・・・・・・】

【・・・未だ、冠位を手放す訳に能わず】


幕間 日常はけして変わることなく
召喚編 GO!カルデア!GO!


決戦を目前に控えし、人理保証機関『カルデア』・・・

 

 

 

もはや人の手にすら収まらぬこの世の楽園。英雄王ギルガメッシュの手で万全に整えられたこの世で最も絢爛なりし建造物。最新のウルク

 

 

 

 

其処にて――

 

 

 

「我が声を聞け!!全職員!集合ッ!!」

 

 

始まりより追い求めていた、唯一無二の宝を求め、英雄王は号令をかける。楽園を震わす、いつもの号令

 

一同は察する。「あ、ダメなヤツだ」と

 

それでも、王は戦うのだ

 

愉悦部員の酒の為に(爆死的な意味で)

 

愉悦の為に(部長的な意味で)

 

心の、平穏の為に――!!

 

~~~~

 

 

《地の文に果てしなく愚弄されたような気がするのは、我の思い違いか?》

 

腕を組み玉座に座るは我等が英雄王、ギルガメッシュ。傍らにはエアが魂のみでふよふよと浮遊し、その胸にフォウが安らかな顔で収まっている

 

――気のせいですよ。決戦を盛り上げてくださっているのです!今度こそ、今度こそ来てくれますよ!

 

グッ、とガッツポするエア。フォウが欠伸を漏らす

 

(部員の皆にガチャ運を振り撒くのはいいけどさ、自分の幸運までくれてやるのは羽振りよすぎなんじゃないの?)

 

《たわけめ。我を賛美する者共に褒美が無くてなんとする。最終的に我は勝つからよいのだ。それはそれとして後で祝わねばならんな》

 

はぁ、と一息つく英雄王

 

《――まぁ、かつてほど浅ましく求める必要もないわけだが。最早我には余りある財も手中にある。が・・・王が始めた戦いを投げ出すわけにもいくまい》

 

――?

 

王の言葉に首をかしげるエアの頭に、穏やかに手を置く

 

《知らぬならばそれでよい。意識せず価値を示す宝。それは紛れもない稀少品なのだからな》

 

――お、王の言葉は深遠にて理解が難しいですが・・・頑張りましょう!さぁ、開幕ですよ!来てくださいセイバー!セイバー・・・!

 

手を合わせ祈る姫を愉快と慈しみの笑みにて見据えながら、右手を鳴らす

 

 

「では、始めるとするか。まずは味方陣営から消化していくとしよう。サークルを回せ」

 

「はいはい。うーん、この誰が来るのか解らない感じ、癖になるなぁ!」

 

鼻唄混じりにロマンがコンソールを叩く。召喚システムが作動し、光が強まり、部屋を満たしていく

 

「誰が来るかな、誰が来るかな」

 

リッカとマシュがリズムに乗り手を鳴らす。オルガマリーは聖杯にて縁を手繰り寄せ、召喚英雄をある程度操作する

 

 

固唾を飲んで見守るはエア。シバニャンは居眠りし、ダ・ヴィンチは軽快に結果を告げる

 

「霊基パターン、キャスター!むむ、ダ・ヴィンチちゃんの新たなライバルかな?」

 

「うむ、どのクラスにもアルトリアの因子は紛れるゆえ油断はできんな。アルトリアが混ざるとも限らんが、アルトリアのキャスターは・・・誰が登録されていたか?」

 

(ごめん誰が誰だよ)

 

フォウのてしてしをははは止めぬかこやつめと払いじゃれあう中、霊基の光が収まり英雄が顕現する

 

 

「英雄さんいらっしゃーい!」

 

「クラッカーがあります!鳴らしましょう!」

 

歓待の中、現れたのは・・・

 

 

「あたし、玄奘三蔵!御仏の導きによりここに現界したわ!よろしくね!・・・あれ、トータとモーセ、いない?」

 

水着めいたブディズムの化身、ありがたき高僧。三蔵法師その人が降臨を果たしたのであった

 

「三蔵ちゃんだー!いらっしゃーい!」

 

「あー!リッカー!よしよし、また会えたわね!やっぱり仏様は見ていてくれているんだわ!善哉善哉!王様、これからお世話になります!」

 

よろしくね!と深く一礼する三蔵に頷く英雄王

 

「ありがたい経とやら、このカルデアに連ねるも一興よ。我の活躍は最低7777枚したためよ」

 

「どんな一大絵巻!?一個人でそんな書けるかしら・・・ま、まぁいいわ!楽園、楽しまなきゃね!・・・あの、もし良かったら、トータと、モーセ・・・」

 

「それは今からやるのだ。さっさと行け。先輩風を吹かすには地理の把握は必須であろうよ」

 

しょぼんとする三蔵を、英雄王はそれとなく諭しやる気にさせる

 

「そ、そうね!よーし!行くわよー!ゆっくり眠る場所と、ゆっくり食べられる場所を見つけに!go!カルデア!go!」

 

やる気になった三蔵は、即座に一人で突っ走っていく

 

――あれが、天竺に辿り着いた行動力・・・英雄とは、行動一つにても桁違いなのですね・・・今更ですが・・・

 

 

そのあと速攻で迷い、ラクエンギャテェとなるのはまた先の話である。省みることもたまには必要であるということを三蔵は皆に教えてくれたのだ。多分

 

(ボク的にはオンリーワンの個性があって女の子ならオッケーさ。華やかになるからね)

 

《肉ダルマと女神の系列は断じて歓迎せぬ。特にイシュタルはない。不変の決議よな》

 

――イシュタルさん・・・南無・・・次なる特異点で、禍根を招かなければよいのですが・・・

 

三種三様の感想を漏らしながら、一同は縁の結実を続ける

 

 

「次だ。来るかどうかは知らぬが回すだけ回してやれ」

 

サークルを回し、英雄を呼び寄せる。たっての希望とあらば、無下にはしないのがゴージャス流なのである

 

 

「どっちが来るかな?どっちが来るかな?」

 

「パターン・・・アーチャー!」

 

リッカの手拍子とダ・ヴィンチのコールが重なり、皆の予想が一致する

 

 

現れたのは・・・

 

「アーチャー!俵藤太推参!旨い飯は任せておけ!毎日毎日、腹一杯食わせてやるぞぅ!はははは!」

 

豪快に笑う緑髪のアーチャー、俵藤太が楽園に君臨し――カルデアの食糧事情が更なる磐石を迎えた瞬間だった

 

「トータさんだ!やっほー!これでますます美味しいご飯が食べられる!」

 

「うむ!楽園と言うからには食が充実せねばな!王の財、料理人!ならば・・・食材は任せておけ!どーんと、どーんとな!」

 

「――へぇ、食材を用意するのが特技か?丁度いい、付き合えよ。色々作るつもりだったんだ」

 

ふらりと立ち寄った式に、笑いながら答える藤太

 

「いいだろう!見れば中々に刃物の扱いに長けた婦人とみた!山の幸、海の幸!存分に提供させていただこう!」

 

「そりゃあいい。お前たち、今日の飯は期待していいぜ。腹は空かせとけよ?」

 

「わーい!・・・俵さん、それ重い?」

 

「幸せの重さだ。きっとマスターには持てるはずだぞ?ゆっくり・・・そら!」

 

ズシリとくる俵を持ててしまうリッカ

 

「おおっ!重い!」

 

「持てるか!やはりな!人類の未来を背負うのだ!この程度容易いだろう!実に逞しき女傑でなによりだ!はははは!」

 

朗らかに笑いながら、藤太と式は召喚室を後にしたのだった・・・

 

 

「幸せの重さかぁ・・・」

 

「俵って60㎏くらいあるんだよね・・・女性が持てちゃいけない重さなんだよね・・・」

 

ロマンの遠い目に、英雄王が笑いを添える

 

「ふはは、全人類の重みに比べれば小石のようなものではないか。マスターならば問題はないわ」

 

「女子として問題が・・・いや、何も言わないよ。じゃ、縁清算に行こうか!」

 

召喚サークルを回し、回転させる――瞬間

 

「虹色だ!全プレイヤーの胸がときめいて心拍数が高まる召喚演出だ!勝った!」

 

高出力の霊子が満ち溢れ、やがてそれが形を成す。輝きが乱反射し、輝き、部屋を照らしていく

 

「――――」

 

ワイングラスを揺らし、その結果を見据える

 

 

現れたのは――

 

 

「やぁ!僕を呼ぶとは相当鬱憤が溜まっていたのかい?任せてくれ、力や拳で解決できることは全て僕が何とかしよう!あ、自己紹介がまだだね。僕はモーセ!ルーラーさ!『誰隔てなく主の意志を伝える』『聖杯なんて興味ない』『男女平等』という点からね。よろしく!」

 

 

気楽かつ気さくな物言いのルーラー。ヤコブ聖拳伝承者たるナックルーラー。導きの預言者モーセが降臨を果たしたのであった

 

「モーセ――!?」

 

ダッシュで太陽王が召喚室に顔をだし

 

「やぁラーメス。元気かい?キャメロットでは凄かったねぇ」

 

のんびりとモーセが挨拶を交わし

 

「おぉ――我が永遠の――」

 

その姿を一目垣間見た瞬間、膝から崩れ落ち泣き崩れるオジマンディアス

 

「あはは、涙脆いなぁ。召喚されたばかりで悪いけど、ラーメスを運んでもいいかな?」

 

慣れた手つきで肩を貸し、歩みだすモーセ

 

「呼んでくれてありがとう。海を割りたい時とかは僕の拳の出番だ。神様や大天使を殴る時も僕に任せてほしいな。特に神様は、ね」

 

「君本当に聖人かい!?」

 

聖人(へんじん)だとも。むしろまともな精神で神の遣いなんかやってられないさ。仕事場の上司が頭の中に四六時中張り付いて指示してくるのを想像してごらん?嫌だろう?」

 

「マリーだったらいいかも・・・」

 

ロマンの仰天をさらりと流し、リッカがほんわかと呟く

 

「四六時中うるさくなんてしないわよ!?」

 

「あはは、物の例えさ。でも覚えていてね。世の中にはどうしようもないことなんて山とある。人も神も同じ様にね。だからこそ、解決できることは解決できる手段を取るべきなのさ。絆しかり、財しかり、拳しかり。取るべき行動を取らないと、その先もっと後悔するかもしれない。聖人なんて呼ばれる連中は其処に迷いがない、変な連中ってだけのことなのさ。だから変なのしかいないわけだけどね、僕も含めて」

 

モーセは簡潔に告げ、部屋を出る

 

「そういうことで、これからよろしくね。ばいばーい。ほらラーメス、泣き止んで、ね?」

 

オジマンディアスと仲良く、肩を組んで気楽な足取りを、崩さぬまま――

 

 

――やるべき事を、やる・・・

 

「ヤツの持論は的を射てはいるな。目的を果たすために手段は選ぶなと言うことよ。全く同感だからな。――愉快な一行はこれで終わりか?」

 

「そだね。次は・・・」

 

「山の民か、騎士か。・・・まぁどちらでもよい。気分の赴くままに選ぶとしよう。休息だ。二時間の後に再び集まるがよい」

 

――また賑やかになるね、フォウ!

 

(うんうん!部屋もまた増えるね!)

 

新たな絆にホクホクしながら、一同は休息に入るのだった・・・

 

 

 




NG召喚編 属性・天



「水の女神のキャスター!えぇ、回復魔法なら任せて!楽園でゴロゴロさせてくれるなら一生懸命頑張るから!もう沢山私を甘やかして!もうすっごく!甘やかして!!」

「知能が足りん。気品が足りん。精魂が足りん。自覚が足りん。そも神という時点でアウトだ。品格が落ちる。去ね」

「酷すぎなんですけど――!!え、本当に!?本当に召喚拒否なの――!?」

【有り余る残念さから退去】

「ゲイム業界のセイバー!此処に来たからには私に任せて!女神の力」

「は、要らぬ。失せるがよい」

「ねぷぁ――!?」

【主人公では無いので退去】


「・・・同じ属性として、恥じ入るばかりよな」

――女神様にも色々あるんですね・・・

(サインもらいたかった・・・)

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