人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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(感想返信はこれから行います!)

シロコ【………………………】

ミカ【………なんだか、話が違うね】

黒服【…?】

ミカ【この人達、極悪非道で他人を食い物にする悪い大人って聞いてたよ。誰にも必要とされない、世界を破滅に導く人達。…なんでこんなに潔くて、護ろうって声があるの?】

シロコ【……。アダム先生の齎した奇跡は、彼等も変えているのかもしれない。色彩も、司祭も、アナタ先生の予想すら越えた世界に…】

黒服【……?】

シロコ【…アダム先生に望まれた存在であるのなら。殺すことは…】
ミカ【ふーん………】

オルガマリー「マエストロ!!」

マエストロ【おぉ!オルガマリー君!】

黒服【実習生さんではありませんか。何故…】

オルガマリー「急用の入ったアダム先生に頼まれました。友人を探してほしいと。…しかし、彼女達は…」

ミカ【……チャンス、逃しちゃったね】
シロコ【……カルデアと敵対はできない。帰ろう…】

オルガマリー「あなたたち!ミカさんにシロコさんよね…!その姿は…!」

ミカ【私はもう少しここにいるよ。見たいものがあるから】
シロコ【……アナタ先生に伝えなきゃ。この世界はきっと】

オルガマリー「あなたたち…!」

シロコ【忘れないで】

オルガマリー「!」

シロコ【アダム先生が齎す奇跡が、どれほど素晴らしいかを】
ミカ【また会おうね。…まぁ私には、先生も友達ももういないけどさ】

オルガマリー「待って──!」

黒服【…ロスト、してしまいました。奇しくも、カルデアとその支援者たちに助けられました】

オルガマリー「当たり前でしょう。あなたたちはアダム先生の友人です」

黒服【…!】

オルガマリー「人知れず消え去る、等とやめてください。あなたたちにはもう…一人でも悪役でもないのですから」

黒服【……………はい。謝りに行きましょう、アダム先生へ】

【危うく、このハッピーエンドに水を差してしまうところでした】

オルガマリー「わかればよろしい。……」

(オルタナティブ化?生徒達にもあり得るの?…念の為、アダム先生達には秘密にしておきましょうか…)

「……まるで、大人みたいになってしまったのね。二人共…」


エピローグ・アダム編

「3大学園によるアダム先生の独占を許すなー!!」

 

「「「「「許すなー!!」」」」」

 

「我々の学園にも、平等なるアダム先生の教育をもたらせー!連邦生徒会の悪質な揉み消しに断固として我々は抗議するーっ!!」

 

「「「「抗議するーっ!!」」」」

 

黒服達の不在、アダムはその対応をオルガマリーに任せざるを得なかった。連邦生徒会のリンの緊急の依頼にアダムが招かれたが故に。裏口からリンに合流したアダムが見たもの、それは『デモ現場』であった。

 

「御覧の通りです、アダム先生。……エデン条約の完全なる締結。隕石や災害、怪物を討ち果たしたアダム先生の名声はキヴォトス中に広まりました。そしてそれは、内外に問題を抱える未だ派遣申請を通していなかった学園の生徒達の大規模なデモ活動に繋がり…」

 

「ブルーアーカイブのアカ部分という訳か…。この透き通った治安の中でデモ活動とはなんというインテリジェントな手段を……」

 

「……感心している部分のズレを感じますが、少なくとも今の状況は余談を許しません。ご覧ください」

 

「ゲヘナ!ミレニアム!トリニティ!三大学園は大いにアダム先生の力を借りて見事なエデン条約の締結に取り付けた!それは素晴らしい事だ!だがそれは裏を返せば、アダム先生を重要ポジションに置き教鞭を独占するブルジョワジー的行為に発展する危険がある!レッドウィンター連邦学園の意志の代表として!私はその現状に声を上げ続ける!」

 

「百鬼夜行連合学院も!百鬼夜行連合学院も是非よろしくお願い致します!アダム先生に知ってもらいたい催し!文化がたくさんあるんです!どうかよろしくお願い致します!あああ押さないでください〜〜〜!」

 

「えーっと…山海経高級中学校にも顔を出してみてよ〜!美味しいご飯とか、作ってあげるからさ〜!」

 

 

「私達にはアダム先生を派遣しないなんて…ふざけてるのか?もしかしてアレか?どうせ日の目を見ないマイナー学園だから、ほっといても大丈夫だろうって?大して重要じゃないから、アダム先生の手を煩わせたくないから…!後回しくらい許されるとか思ったんだろ…!言い訳なんてもう分かってんだよ!!どうせコストカットなんて考えで…ハイランダー鉄道学園のアダム先生の対応を後回しにさせようってんだろ!!」

 

 

「数多の学園の一般生徒、更には安守ミノリ、河和シズコ、朱城ルミといった強力な生徒達もデモに参加…というより安守ミノリの的確な手腕によりデモは規模を増し、このままでは不満で暴動に発展し、クーデターに発展する可能性が出てきました」

 

「エネルギッシュすぎる…まさか革命運動を学園で見ることになるとは…」

 

「ヴァルキューレ警察学校や、SRT特殊学園は今別件で不参加なようですが…このままでは本当に過度な激戦が始まりかねません。申し訳ありませんが、この場を収める知恵をお貸しいただければと…」

 

リンの心労案件にして、アダムの高まりすぎた名声が起こしたデモ活動。これを収めなくては、黒服達に会うことは叶わない。

 

「リン。物事の深慮は大切だが、時には真摯に誠実に対応することが最適解であることを忘れてはいけない」

 

「アダム先生…?」

 

「私を求める生徒の声に対し、権謀術数は不要だ。そこで見ていてくれ」

 

アダムは躊躇うこと無く扉を開け、生徒達が集うデモの先頭へと姿を現す。

 

「アダム先生だ!!」「あれがアダム先生…!」「カッコいい…背も高くて背筋も伸びてて…」「細めなんだ…」

 

「皆。まずはこの場にいる、私に活躍の場を設けることを望んでくれた生徒達に感謝を述べたい。私の未だ出会ったことの無い生徒達が、こうも私との交流を望んでくれているなど光栄の極みだ!ありがとう!」

 

深々と頭を下げ、デモ部隊に頭を下げる。誠実な対応に、一般生徒達のデモ部隊は静けさを取り戻す。

 

「私は生徒たちと、その学園に序列も区別も、ましてや差別も行わない。誰もが等しく私の生徒であり、また私に尊い学びをもたらしてくれるかけがえのない宝物だ!断じて其処に、連邦生徒会の思惑などない事を告げさせてもらう!」

 

「では、我々の要求は通ると信じていいんだな!アダム先生は必ず、私達に会いに来てくれるのだな!?」

 

「無論だ!むしろ、私をこうまで求めてくれた皆に、心からの感謝を伝えたい!何故ならば、先生もまた、生徒一人一人から教えと学びを授かる一人の人間であるからだ!」

 

アダムは真っ直ぐと語りかける。その堂々とした誠実な振る舞いに、デモ部隊は沈黙し清聴を行っていた。

 

「アビドス、ゲヘナ、ミレニアム、トリニティ。私はこの学園と関わり生徒達の生き様と魅力、そして学びを得た!それは先生として、人間として不可欠なものであり、私が望んだ生徒達の無限の可能性という学びだ!私は、それを最高の宝物と信じている!」

 

「「「「「…………」」」」」

 

「十人十色の生徒たち、千変万化の可能性!先生としてそれらに触れられる喜びと光栄は、先生としての私の全てだ!故にこそ、私はシャーレの先生として!行く行くは全ての学園と、全ての生徒達に関わりたいと考えている!」

 

「私達過労死寸前のハイランダーともか!」

 

「勿論だ!それは君達の願いに応えるためであり、君達と触れ合いたい私自身の願いでもある!もっともっと直接的に言わせてくれ!」

 

今一度、アダムは頭を下げ告げる。

 

「私に会いたいと思ってくれた生徒達よ!寂しい想いをさせてしまって本当に申し訳ない!どれだけ時間がかかっても、私は必ず皆に会いに行く!」

 

「「「「!」」」」

 

「いつか未曾有の危機がキヴォトスに迫り、皆が力を合わせなくては乗り越えられない局面になったとき!私はその架け橋であり、導き手で在りたいのだ!約束しよう!君たちの在校期間に、私は全ての学園と深い縁を結んでみせると!」

 

「アダム先生………」

 

「だからどうか!私を信じ、デモを解散してはもらえないだろうか!連邦生徒会の面々に非はない!私の力不足を、どうか糾弾してほしい!全てを甘んじて受け止めよう!どうか──お願いする!」

 

深々と頭を下げ続けるアダム。自らの行為が招いたものへの、責任の取り方。大人の対応。

 

「………。皆!聞いたな!我々の正当なる要求に、アダム先生は誠実なる返答を返してくれた!」

 

「!」

 

「我々は悪質なるクレーマーではない!要求が通り、和睦が成ったのであれば!我等の戦いは次のステージに移行しなければならない!」

 

デモの主導者、安守ミノリが高らかに声を上げる。

 

「これが誠実なる大人の姿だ!これが長らく確執していたゲヘナやトリニティ、アリウスの争いを収めた手腕だ!私達は信じてみよう!アダム先生という大人を!」

 

「「「「「おー!!」」」」」

 

「皆……」

 

「撤収!撤収するぞ!あたし達の一つの戦いは終わった!新たなる戦い、チェリノ会長の糾弾と失脚を果たし、低品質プリンを撲滅するその日まで!あたし達の崇高なる戦いは終わることはない!!」

 

納得を果たした生徒達が、次々と撤収していく。顔を上げたアダムに、二人の生徒が声を掛ける。

 

「噂通り、ううん。噂以上に素晴らしい先生でした!私はシズコ!是非とも百鬼夜行に来てくださいね!」

「いつも大変そうだね、アダム先生。成行きでこうなっちゃったけど…うん。いつでも待ってるから。私は朱城ルミ。覚えといてね」

 

「おっと自己紹介を忘れていた!あたしはレッドウィンター工務部、安守ミノリだ!先生、今日は素晴らしい言葉を聞けて嬉しかったぞ!革命とクーデターがしたくなったらいつでも呼んでくれ!」

 

「──あぁ!必ず、君達に会いに行く!しばし待っていてくれ!」

 

 

こうして、連邦生徒会オフィス前で起きたプチクーデターは幕を閉じ、アダムの関わるべき学園は更に姿を見せた事となる。

 

 

「お見事でした、アダム先生」

「リン。時にはこうして誠実なる対応が近道となる。連邦生徒会会長代理として、どうか覚えておいてくれ」

 

「…はい、先生。あなたは本当に、真っ直ぐですね」

「真っ直ぐたらんとしているからな。会長の代理は君にしか務まらない。これからも頼んだぞ」

 

「全力を尽くします。……そういえば、不知火カヤ防衛室長から菓子折りが届いていますよ。『至高にして崇高なる超人のあなたへ』だそうです」

 

「超人?私はマスコットなのだが…」

 

「………マスコット?」

 

エデン条約が終われど、数多無数の出会いは待つ。

 

アダムの学園生活の終わりは、まだまだ先の話であった。




柴関らーめん入口

アダム「皆……無事だろうか……」

アロナ『アダム先生!』

アダム「アロナ?」

アロナ『近々、アロナはアダム先生とタイマンしなければなりません!覚えておいてください!』

アダム「タイマン…?わ、解った。では今は…」



大将「いらっしゃい!」

アダム「大将!彼らは…!」

黒服【クックック。お騒がせしました】
マエストロ【少しだけ、同窓会をしていてな】
ベア箱【………………】
ゴルゴンダ【オルガマリーさんと話していました。私達の就職活動のね】
デカルコマニー【そういうこった!】

アダム「………!!」

オルガマリー「皆さんハロワークに行っていたそうで、面接に手間取っていたと」

黒服【無事、ケイオス・カルデアに就職です。これからもよろしくお願いしますね、アダム先生】

アダム「────あぁ!!」

ベアトリーチェ【…………】

アダム「…どうだ、ベアトリーチェ。君の生徒は立派だったろう?」

ベアトリーチェ【……、……】

アダム「エデン条約メンバーの打ち上げも待っている。これはその前哨戦だ!盛り上がろうじゃないか!大将!ここは私の奢りでとことん行くぞ───!」
大将「あいよ!任せときな──!」

黒服【クックック。オルガマリー、あなたに感謝を。あの笑顔を、曇らせずにすみました】

オルガマリー「…二人の生徒が、アダム先生に接触するまでは」

黒服【えぇ。…ですがあなたには伝えましょう。【色彩】という概念を】

オルガマリー「色彩……」



『希少金属拵えの指輪』

ミカ(貰っちゃった、貰っちゃった、貰っちゃった…!アダム先生から、故郷の金属で作った指輪…!貰っちゃった…!アクセサリーにもネックレスもできるだなんて!どうしよ〜…!!)

ミカ?【……あれが、この時空の私か〜。幸せなのかな…?】


サンクトゥムタワー頂上

シロコ【…………………】


本当の敵と、とある終着点は。遠からぬ今にやってきていた。

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