人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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アツコ「えーと、本日はお日柄も良く……」


リッカ「我が心は不動……柳生新陰流!」

アリウス生徒『『『『『!』』』』』

アツコ「アリウスの皆、いかがお過ごしでしょうか…」

リッカ「示現流!!チェストオォォッ!!」

アリウス生徒『『『『『!!』』』』』

アツコ「私は元気です。ドーモ、生徒会長です…」

リッカ「北辰一刀流!神道無念流!鏡心明智流!江戸三大道場流派!」

『『『『『!!!』』』』』

アツコ「私の話を聞いて下さい…五分だけでもいいので…」

「薬丸自顕流……キェアァアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!


『『『『─────!!!!』』』』

パパポポ『いつの間にこんな武芸百般極めたッポリッカちゃん…』

リッカ「無窮の武練ってこういうものよ…安心して、峰打ちだから。次は飛天御剣流に挑みたいと考えています」

『グラセフにメタルギアライジングで殴り込んでるようなものッポね…』

リッカ「アツコ姫、どう!?考えついた?」

アツコ「挨拶はいい感じに」

リッカ「挨拶大事だよね!」

アツコ「あ。……もうすぐ近くまで来たね、放送塔」

放送塔

リッカ「高いなぁ…」

アツコ「全天放送だからね…。でもここまで来れば…」

パパポポ『!待つっポ、何か来る!』

リッカ「アツコ姫!」

アツコ「あれは……」

ゲブラ・イミテーション『────!!』

アツコ「ロボット…?」

リッカ「え…!?アーマード・コア…!?」

アツコ「知ってるんだ、リッちゃん」

リッカ「に、似てるけど!違うよね…!?」

パパポポ『…遠い昔、キヴォトスの旧都心廃墟で行われていた「神の存在を証明、分析し、新たな神を創り出す方法」を研究していた組織と、それを支援するゲマトリアによって作り出された対・絶対者自律型分析システム…再現されていたのか』

リッカ「やっぱりアーマード・コアじゃないんだ!」

パパポポ『うむ。だが…』

ゲブラ・イミテーション『───!!』

パパポポ『めっちゃ強そう。余程通したくないとみえるな』

リッカ「アーマード・コアじゃないんだ……」





リッカ・インテリジェンス

数多の生徒を片端から峰打ちにし突き進んできたリッカとアツコはいよいよ、放送塔の入口へと辿り着く。高い塔の体をなす頂上に、アリウス全てに声を響かせる放送室はある。しかしそれを阻むイミテーションは現れた。

 

『──────!!』

 

ロボット兵器そのものの姿。実弾と冷凍ビームをそれぞれ発射する二種類の砲台にミサイルポッドと対地上ミサイル発射管、4基のバルカンに加えパイルバンカーと思しきものまで装備している。パパポポ曰く旧きシステムの守護者の再現。ゲブラ・イミテーション。 アーマード・コアと極めて似通った白きボディのそれは、リッカとアツコの二人の前へと現れた。

 

「アツコ姫!!」

 

ゲブラは躊躇うことなくアツコへと一斉射撃。当たれば頑強なるキヴォトス人であれ負傷は免れないそれを、リッカは素早く転身し庇い立て物陰へ跳躍、事なきを得る。

 

「あのおばさん、用意周到。伊達にアリウスを牛耳ってた訳じゃないか…」

「どうしても通してはくれなさそうだよね。あんなカッコいいロボット持ってたなんて、ちょっとだけあのおばさんリスペクトしちゃいそう…」

 

「好きなんだ?ロボット」

「大好き!多分エル君も喜ぶだろうなぁ…うおっと!」

 

隠れている場所へと向けられる一斉射撃。無粋さと殺意の高さは流石の無感動な兵器と言ったところだ。生半可な銃火器では、捻り潰されるが関の山の相手にリッカは思い悩む。

 

「斬り捨てるかぁ…」

『それ思い悩むって言う?』

 

「私に求められるのはウジウジ悩むことじゃない!最短で真っ直ぐに一直線に完全無欠のはっぴぃえんどへの道を切り拓く事だからね!」

『実にアダムテイストだっポ。やはり親子か…。よろしい、サポートはさせてもらおう』

「あ、じゃあ呼んでほしい相手がいるんだけど…」

 

「……くすっ」

 

そんな折、アツコがふと笑みを漏らした。似つかわしくないリラックスした態度に、二人は彼女に向き直る。

 

「絶望とか、もう駄目だ…なんて、考えもしないんだね」

「勿論。困難は乗り越えるためにあるし、曇り空はいつか必ず晴れるものだしね!」

 

「曇り空は…いつか晴れる…」

「あなたやアリウスの皆もそうだよ。もう十分苦しんだ。もう十分悲しんだ。それじゃあ後は、幸せになるしかないってこと!」

 

『─────!!』

 

「その未来はすぐ其処にある。なら私は、あなたや皆が彼処にたどり着ける様に全力を尽くすってだけの話だもんね!」

 

リッカの笑顔に、アツコは雷に打たれたように空を見上げる。

 

「カルチャーショック…。信じることに迷いがなさ過ぎて眩しい」

「そんな大袈裟な!」

 

「ううん、でも…素敵な考え。もっと書けそう。…その、だから…」

「解ってる!任せてよ!」

 

「うん。ありがとう、リッちゃん」

 

それを最後に、アツコはスピーチ用紙に向き合いリッカはパパポポと安全地帯から身を乗り出す。

 

(今の私は無茶をせず自分を大切に出来る自己犠牲アンチテーゼマスター。その場合そもそも戦うことが無茶な相手と戦う事の方程式にどういった答えを出せばいいか…?)

 

『リッカちゃんが考えているッポ…きっと素晴らしい考えを出すッポ…』

 

(自分を大切に無茶をせず無理難題を突破する…。藤丸龍華の御花畑色の脳細胞が導き出す答え。誰にも心配かけずに突破する答えは…)

 

「…閃いたよ!パパポポ様!」

『流石だっポ。さぁ、あの過剰火力をどう無効化するべきか…』

 

「真正面から無傷で叩き潰す!!」

『??????』

 

リッカの導き出した冴え渡るゲマトリア感涙の答えに宇宙と合一するパパポポ。彼女は冗談など言わない。本気の本気でこう考えている。

 

「思えば私は若く、この旅路で無茶ばかりしてきた。これ以上の無茶はそろそろ『勝手にしなさい』と見捨てられるレベルにあると私は考えもす(急な薩摩もん)」

 

『まぁ学ぶ気がない相手はね…それが何故火力が上回る相手の完封という答えに?』

 

「ノーダメージで勝てば楽勝だったって事になるよね?」

『主よ、この者の思考回路はどうなっているのですか?』

 

「机上の空論を形にするのが人間の力!まぁ見てて、見たところあんなイミテーションなんかに苦戦するほど私の旅路は浅くないって見せてあげる!」

『ソシャゲによくあるボス楽勝山賊苦戦問題ッポか…』

 

その様な高次元極まる語らいを、無粋なイミテーションは理解しない。リッカに向けて、今一度一斉掃射を見舞う。

 

「理論は出した、後は証明!ブルアカコラボの私は過去一で頭がいい!!」

『そうかな…そうかも…?』

 

「行くよ!アルテミス!イザナミ様!!」

 

鎧を展開し、頭上に願いの弓矢を撃ち放し衛星軌道上にアルテミスの神体を顕現させる。

 

「皆が銃火器を使う中、弓矢はもう時代遅れ?弓でロボに挑むなどと狩人は皆嘲笑うけど、それは本当に?」

 

リッカは天沼矛を展開。それを身体を極限までしならせた槍投げの体勢にてゲブラの頭上を取る。いくら凄絶な投げ槍と言えど、コア部分を撃ち抜けなければ効果は薄い。

 

ならばどうするか?銃火器社会のキヴォトスで槍と刀と弓を振り回す鎌倉蛮族めいたリッカはどうするべきか?

 

「違うねッ!!信念さえあれば人間に不可能はない!ギルがそうなように、古いものほど強い!だからこうやって───!」

 

瞬間、アルテミスがリッカの槍、天沼矛に向かって最大出力レーザーを撃ち放つ。そのまま着弾すれば、アリウスの土地が灰燼と帰す過剰火力。

 

それを『天沼矛』で受け止める。イザナミはかつて数多の神を生み、数多の雷神も生み出した。その祝福あらば、リッカに神の威光は傷をつけられない。

 

「古きを極限まで高めれば!!ロボットも槍で壊せる!!」

 

『!!』

 

顕現せしは、数十メートルはあろうかとする光の槍。リッカの身体の何十倍の巨大な神威の槍が、今ゲブラ・イミテーションに向けて放たれる。

 

「温故知新!!名付けて…!!『月麗槍』───!!!!」

 

渾身の力を向けて撃ち放たれる月の神威。創造神の鉾が今、神を証明する筈のシステムのイミテーションに放たれる。

 

『!!!!』

 

一斉射撃にて応戦するが、光り輝く神の威光そのものにイミテーションたる存在が抵抗できる筈も無い。神秘の質量が力になるのなら、今のリッカの有する神秘はキヴォトス有数のものであろう。

 

その輝きに呑まれ───アリウスの地に光の槍の柱が立つ。青く、白いそれは、アリウスの全てで戦う者達の激励と戦意高揚に大いに貢献した。

 

「よし!リッカ理論証明完了!『無傷で完全に強敵を討ち果たすことが出来れば、それはなんら無茶ではない!』ふふふ…アダム先生の娘としてまたインテリジェンスを極めちゃったかな…賢くなりすぎちゃったかな…」

『それが出来れば苦労はしない、を解の部分に付け足しておくッポよ…』

 

結論から言えば、リッカは総力戦が推奨される大型エネミーを一人で粉砕する程までに自己練磨を極めていた。

 

ベアトリーチェがビーストαと彼女を呼び、忌み嫌った理由こそがここにある。

 

アダムとイヴの直系の子たる完全なる人間の素養。カルデアの旅路による健やかな人間性。何歪むこと無く磨き上げられた精神性。その魂が宿した比類なき神秘性。

 

それらはまさに、かつて自らを殺したアダムの再来──いや、彼やエデンが夢見た『発展したアダムとイヴ』そのものであるが故に。

 

「これで進めるね!行こう、アツコ姫!」

「うん。本当に凄いね、リッちゃん」

 

「私を支えてくれた人、全員が凄いからね!」

 

あの日に殺されたビーストΩのみが知り得るのだ。

 

リッカにカルデア、汎人類史こそが……

 

再び、自らを殺し得る不倶戴天の怨敵であるが故に。




アツコ「!」
リッカ「わ!?」

ゲブラ・イミテーション『─────!!』

アツコ「蘇った…」
リッカ「ワンオフ機をポンポン蘇らせるなァ!!やはりあのおばさんはロマンが解ってない!!」

パパポポ『人の嫌がることを進んでやるタイプっぽいもの、あの淑女…』

リッカ「ジルも言ってた。覆せる数には限界があるって。全力出さないと倒せない相手が無限に来るのはしんどいなぁ」
アツコ「リッちゃん…」

リッカ「───『私だけなら』、ね。パパポポ様!」
パパポポ『オッケーだっポ』

アツコ「え?」

リッカ「お願いします!『レイヴン』さん!『ラスティ』さん!」

レイヴン『──了解。スターゲイザー・ネクスト、現着』
ラスティ『同じくスティールヘイズ・ネクストも現着だ。リッカ、ここは私達が引き受けよう』

アツコ「またロボットが出た」
リッカ「今度は味方だよ!それに…」


サオリ「姫!」
ミサキ「無事!?」
ヒヨリ「姫ちゃ〜ん!」

アツコ「皆…!?どうして…!」

ミサキ「…アリウス、変えるんでしょ。あなたはいなきゃダメだから」
ヒヨリ「はい〜!礎になりにきました〜!」

アツコ「ミサキ…ヒヨリ…」

サオリ「……償いとは、決して出来ないことをすることらしい。私に出来ないことは、おめおめと幸せになることだ。こんな私が…」
アツコ「サッちゃん…」

サオリ「私だけでは、この贖いは辛すぎる。だから、姫。…共に、歩んでほしい。私と、アリウス皆で、私の償いを果たしてはくれないだろうか」
アツコ「──皆で、幸せになる?」

サオリ「…うん。私は、それのきっかけを作る。償いを…一生をかけて…」

リッカ(アッパレだよサオリちゃん…!その決意を私は生涯ワスレン…!)
パパポポ(うんうん。皆で幸せになるのは、魂を義務だっポ…)

サオリ「ここは私達が引き受ける!…生徒会長として、渦巻く憎しみを終わらせてくれ!姫!」

アツコ「うん!」

サオリ「藤丸龍華!精鋭と見込んで恥を忍んで願う!──姫を、頼む!」
ミサキ「VIP待遇してよね」
ヒヨリ「いきなりごめんなさい〜!無礼講でお願いします〜!」

リッカ「勿論!!」

エア『姫じゃない方のエアです。動いていない電子機器を復旧し、エレベーターを起動させます。そちらで最上階へ』

リッカ「ありがとう!レイヴンさんのお嫁さん!」
レイヴン『……………(感嘆吐息)さ、さぁ。お早く』

アツコ「あのおばさんめ…楽してたんだ。ずるい。…まぁいいや、行こう、リッちゃん。スピーチ、成功させる」
リッカ「うん!」

ラスティ『あの日以来だな、戦友!また共に翔ぼう!』
レイヴン『今度は消えてくれるなよ、ラスティ!』
エア『私が、あなた達をサポートします』


サオリ「アリウス・スクワッド…!未来を切り拓く!」
「「了解!」」

サオリ(……あの機械。そういえば、ほんの少しアリウスに来ていた『ハンドラー』が所有していたものと同系統か…)

ゲブラ・イミテーション『─────!!』

それぞれの闘争が、今始まろうとしていた。

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