「あ、アルトリア・・・その、邪念で聖剣を振るうのは良くない。聖剣を担うものとして自覚と責任を以てだね・・・」
「円卓かぁ――ずっと思ってたんだよなぁ!ガレス以外の円卓全員くたばんねぇかなってさ!殺しに行こうぜーっ!粛清だーっ!!」
「モードレッドまで・・・こうなったら、僕と彼女で、正しき聖剣の在り方を示さなくては・・・!」
ビーストネット
「我が偉業・・・(小声)」
「王子様の聖剣の本気って、どれくらいなのかしら・・・?マナカ、気になります!」
「アーサー王の♂聖剣♂・・・えぇ、気になります、とても・・・」
「大丈夫王子様!あなたには私が付いてるから!」
ファラオ・オジマンディアスの領地、砂漠領。本来この砂漠は、聖地エルサレムに在りしものではない
ファラオ・オジマンディアスが顕現した際に――『そこに住む人々』達と共に顕現した『太陽王の国』なのである
ファラオこそが国であり、ファラオ在ってこその領土
故に――ファラオ・オジマンディアスが召喚されると言うことは『国の復活』に他ならない
空も、大地も、人でさえも。それらは総てファラオの手中にある
故に――ファラオの中のファラオ、オジマンディアスが顕現すれば、彼が治める領土『エジプト』が丸ごと召喚されるのも道理なのである
【ふぁらおの いこうって すげー !】
砂漠に響き渡る感嘆の声が沸き上がるのも、栓無き事であろう
――ふぁ、ファラオとはなんというか・・・『神』に近い力を振るわれるのですね・・・
開いた口が塞がらないとはこの事だ
英雄王は人のあらゆる可能性を見定め
騎士王は人々の理想を掲げ
征服王は人の臨界を極める
――英雄王を初めとした様々な王を目の当たりにしてきましたが、太陽王はどれとも異なる・・・それでいて凄まじい力を振るいます。これは、生前の振るまいによるモノなのでしょうか?
《ふむ、眼の付け所がよいな、エア。ファラオ・・・まぁようするに太陽のめを初めとするエジプト文明の王は『神』である事を民草に求められ、またファラオもそのように振る舞った》
黄金帆船、ヴィマーナを駆り、天空を駆け、酒をあおりながら教授を始める
《故に、奴等は『神』の力を思うままに振るう権利、能力を得ている。人でありながら神。生前の崇拝と信仰が、ファラオという概念を『現人神』と呼ばれる存在にまで昇華させたのであろうよ》
ふむふむ、と頷くエアに、トロピカルジュースをちうちう吸いながら捕捉を加えるフォウ
(解りやすく言うと、人の理の常識に囚われなかった存在だね。エジプトの人達にとって、ファラオとは神であり、王とは神であり、太陽だったのさ)
そう言うと共に、王とフォウはファラオを見やる
「駆けよ!『闇夜の太陽の船』!中天に座すファラオを、在るべき場所に運ぶが良い!!」
ヴィマーナに並走する『闇夜の太陽の船』。船首に腕組みし仁王立ちするファラオ・オジマンディアスと――
「~(ピース)」
その傍らに在る、最愛の妻ネフェルタリが小さくピースを贈り、エアも笑顔でそれに応える
――ネフェルもいる!やっぱりオジマンディアス様はネフェルが大好きだなぁ・・・
そんな雄々しくも神々しく、微笑ましい光景が空に
「わははははは!!意外と知らぬかも知れぬが、余もファラオの称号を得ているのだぞ?それより何より!これ程の王の集い!余が指をくわえて見ているわけにもあるまいて!はぁっ――!!」
『余もファラオめの大複合神殿を目の当たりにしたい』という理由で召喚され、クレオパトラ、ニトクリスを乗せて『
「どうだ!美しき女王よ!そういえば貴様は如何なる理由で召喚されたのだ?」
その台にて、カーペットにくるまりながら喋るクレオパトラ。いや――クレオパトラの声が出るカーペット
『は、はい。私は太陽王の命『人理に臨む勇者を恙無く迎えよ』との命を得て、この地に。私ではその、あまりにも大役に過ぎるのではと上申はしたのですが、『ニトクリスめは短気に過ぎる。勘違いや意思疏通のいさかいが起こらぬとも言い切れぬからな』と・・・』
その返答がつぼったのか一頻り大笑するイスカンダル
「ほほう、更なる追加召喚を果たしたか!まこと豪気!で――件の古きファラオは何故眠りこけているのだ?」
スヤスヤと指を噛みながら眠りこけるニトクリスを、愉快げ半分、呆れ半分でみやるイスカンダル
『はい、実は神殿に賊が現れ、身柄を拉致せんと不遜にもニトクリス様に睡眠薬を飲ませ、身柄を簒奪したのです。無論、私が迎撃、蹴散らしましたが!闇夜に紛れるだけのアサシンなぞ私の敵ではありません!』
自慢げにカーペットから出てくるも即座に我に返り、クレオパトラはいそいそとカーペットに転身する
「わははははは!!各地のアサシンが聞いたら憤慨しそうな物言いだのぅ!そら、クレオパトラ!落書きの一つもしてやれ!やらなければ余がやるぞ?マケドニア風落書き化粧にて彩ってやるか!」
きゅぽん、とどこからか水性マジックを取りだし、ニヤリと笑う。その顔は完全に悪戯っ子のそれだ
『い、いけません!いけませんファラオ・イスカンダル!そんな、ファラオをも恐れぬ・・・いえ、あなた様もファラオなのですけれど――!ニトクリス様!起きてください~!』
「スヤァ」
猛々しく、荒々しい疾走が地を蹂躙制覇する
だが、此処に在りし王はファラオ、英雄王だけではない
「走れ、ドゥン・スタリオン。此処に集いし王達に、我等が劣るものは何もない」
船、戦車にその脚のみで追従、並走するは騎士王の愛馬の一角、『ドゥン・スタリオン』。中空を光輝く疾走にて駆け抜ける
天に在らず、地に囚われず。気高さを顕し走るその姿はまさに地上の星と讃えられる美しさと高貴さだ
「二人とも、しっかり掴まっていてください」
「は、はい!これが・・・騎士王の疾走――!」
後部にマシュを乗せ
【騎士王の騎士王・・・おっ、凄い!おっ・・・凄い!】
「?マスター、何を言っているのです」
前部にリッカを乗せる。同じ女性として、アルトリアの威厳に感嘆を漏らしているのを不思議そうに見やる騎士王
四種四様。様々な王威を示す疾走が、砂漠と天空を席巻する
――一つだけ分かることがあります
自信をもって告げるエア
――王とは、その在り方のみでその時代を背負い、体現する人達なのですね!そこに優劣はなく――皆、等しく偉大な、人類史に輝く『星』そのもの!――こうして肩を並べられる事、余りある光栄です!
《フッ、お前の感嘆と驚嘆を得られたというならば・・・我以外の王道にも価値は在ったと言うものよな》
(こんな状況でなかったら殺し合い不可避な連中かもしれないけどね!そう考えたら、ゲーティアのやらかしは悪いことばかりじゃない・・・か・・・)
フォウがグビグビとトロピカルジュースを飲み干し、複雑な表情で頷く
《フッ、悪しき事ばかりでは無いのは当然よ。度しがたく、救いがたい阿呆だとしても。その根底に在るものは『愛』なのだからな》
――愛、凄いなぁ・・・
王達の進軍は迅速かつ高速で、二時間懸かる太陽王の領地への道筋を15分で踏破し駆け抜ける
「見えました!――あの丘を越えれば、其処はファラオ・オジマンディアスの――」
「「――――はぁっ!!!」」
稲妻を迸らせ
星の光を輝かせ
迅速に丘を踏破する、アルトリア、イスカンダル
「わぁあぁ!」
【ほわぁあぁぁあ!!】
身体にかかる衝撃に本能的に声を上げる
《そら、見えるはずだ。ヤツの造り上げた世界が認めし初の遺産。『過去、現在、未来の神殿は自らのためにある』と宣った小癪にも見事なりし大神殿――》
ヴィマーナ、メセケテットが、太陽王の領空権に侵入を果たす
其処には――
整然と立ち並びし神の像
巨大なりし石を、緻密かつ気の遠くなる労力と計算にて積み上げ、形と為せし、人類が誇りし建造物、ピラミッド
そして神々を祀り、奉る――大神殿
――わぁあぁあ・・・!
(これ、人間が作ったの?マジで?ハハッ、――マジで?)
「凄い、凄いです――!これが、世界にその名を遺せし『光輝の大複合神殿』――!」
【ファラオの いこうって すげー !】
思い思いの感嘆を漏らせし、今を生きる生命達
そしてそれは、紛れもなく――神たるファラオなりし『オジマンディアス』の威光の具現にして顕現
「見るがいい!そして慄け!これこそが!余が誇りし光輝なる大神殿!!」
眼下に広がる大神殿を、その威光を上回りし輝きで照らすファラオ・オジマンディアス
さながらそれは、砂漠と言う海に浮かびし海上都市――
「垣間見よ!!これが!我が『
「これが、建築王の異名を取る彼の神殿・・・」
「わははははは!!流石はファラオの中のファラオを名乗る者よ!まっこと見事なり!!」
「ファラ、ファッ――!?」
オジマンディアスの号令と同時に、迂闊なるファラオ、ニトクリスの覚醒は果たされたのであった――
「み、皆様お疲れさまでした!ホルスなりしこのニトクリスが、皆様の旅路を労います!」
「目は覚めたか、ニトクリス。随分と気楽な旅であったようだが?」
「ファッ!?ファラオ、オジマンディアス――!?」
「私用がある。謁見まで時間はあろう。準備ができるまで休んでおけ。案内せよ、ニトクリス」
「はっ、はい!ファラオ!」
「皆様、本当にお疲れさまでした!クレオパトラなる私の領地で、ゆるりと寛いでいくと良くてよ!謁見は、半日後と致します!」
「はい、助かります」
「ファラオ!探検してよいですか!」
「赦す!総て赦す!!」
《些か眠くなってきたな。漫遊の後、一眠りするか》
『エア、私が案内してあげる。色々見て回りましょう?』
――うん!よろしく、ネフェル!
『ファラオ・クレオパトラ。このカルデアに、貴女の夫たるカエサ』
「カエサル様がいらっしゃるの!?あの頬がこけ、たくましい肉体、誠実な言動と目付きの私のカエサル様が!?」
『??、・・・?・・・す、すみません。勘違いでした』
「アルトリアー!マシュー!はやくいこうよ~!」
「はい、先輩!」
「さて!余も行くとするか!酒樽の貯蔵庫はあるかな?」
「略奪は禁止します、征服王」
「ならば、市場を冷やかすとするか!!」
『難民受入領』
「来たか、太陽王」
「うむ、戻った。お前は更なる難民の誘導に向かうがいい。『煙酔のハサン』よ」
「忝ない。心から感謝する――然らば、御免!」
「ニトクリス、難民どもの庇護、問題はあるまいな」
「はい、ファラオ。解放した領地にて、皆身を寄せ合い、ファラオ・オジマンディアスの慈悲に感謝と賛美を称えております」
「うむ、良い。奴等との同盟を組むに値するといった働き、振るまい。証明にもなろう」
「はい!ファラオ!」
「それだけ――奴等の旅路には、有り得ざる奮闘には。価値があった、と言う事に他ならぬ。そしてそれを庇護するは、他ならぬ余の務めならば――うむ。うむ!よし!歌を吟じるか!ニトクリス!」
「お、畏れ多いですファラオ――!!」
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