一同の効率的かつ、必死の補習によりあっという間に過ぎた一週間。80点以上で合格のテスト一回目の返却期日である
アダム「結果発表〜〜〜〜〜〜!!!!!」
コハル「うるさーい!なんでそんなバラエティみたいなの!?」
アダム「伝統と聞いたのだ」
コハル「誰に!?」
ミカ「はーい☆」
コハル「嘘でしょ絶対!?」
アズサ「これで私達の足掻きが虚しいかどうかが決まる。緊張だ」
ハナコ「うふふ、大丈夫です。私達の頑張りは、嘘をつきません」
ヒフミ「アダム先生…お願いします!」
アダム「では行くぞ。浦和ハナコ、100点!」
ハナコ「はい、ありがとうございます♡」
アダム「阿慈谷ヒフミ、92点!」
ヒフミ「ほっ…結果を出せました…!」
アダム「白州アズサ、89点!」
アズサ「合格ラインは…越えていた。良かった」
アダム「下江コハル………」
コハル「………………」
アダム「……………………………………………」
コハル「………長くない!?」
アダム「94点!」
コハル「!!」
ミカ「わーお!ハナコちゃんの次だよコハルちゃん!」
ナギサ「やりましたね!一番不安でしたので!」
セイア「君達の頑張りに、乾杯さ」
コハル「う、うぅ…!皆、ホントに…!ありがとう…!」
ツルギ「ふっ…やればできたな」
コハル「ツルギ先輩も!本当に…!」
アダム「皆、よく頑張った。監督役も看護役も採点役も、勿論四人も。私は本当に嬉しい。そんな訳で君達にはご褒美を用意してある」
ミカ「ご褒美!?」
ハナコ「まぁ…まさかこの場の全員でアダム先生のお相手を、とか…?♡」
コハル「!!!????」
アダム「死人が出るが…」
コハル「やろうとするなーー!!」
アダム「机にかじりついた後は…みんなで外に出て、思い出作りだ」
ナギサ「外…?グラウンドでしょうか?」
アダム「無論──キヴォトスの、外だ!」
ミカ「キヴォトスの…」
ヒフミ「外ですか!?」
「皆様、遥々千葉県夏草市へようこそおいでくださいました。私が夏草郷土ロボット、通称うたうちゃんです。皆様の身の回りの安全を御守りしますので、安心して夏草をお楽しみください」
そんな訳でやってきた千葉県夏草市。補習部の面々のご褒美と思い出作りの為の遥々外出であった。当然市長には報告済である。
「監督役の伊藤無慙だ。お前達の学園都市の事は聞いているが、こちらの世界は銃刀法という法律がある。それに従い、お前達の銃器は預からせてもらうぞ」
極限まで使い込まれた警察服のただならぬ気配たる無慙、柔和な仕草のうたうちゃんが補習部を迎える。話は既に、カルデアを通じて纏まっていたのだ。
「えっ、ロボットなんですか!?全然そんな風に見えませんでした…!」
「人間の男の人って、アダム先生以外にいたんだ…!」
「皆、言うことには従おう。この男、只者じゃない…!」
「白州アズサか。安全は保証する故、閃光弾に催涙弾、ガスマスクの類は置いていけ」
(見抜かれている…!)
「今日一日、この夏草で思い思いの触れ合いを通じて絆を深めよう。それがひいては、エデン条約の成功に繋がる筈だ。夜のレクリエーションまでは各自自由に楽しんでくれ!以上、解散!」
「ちょ、ちょっとアダム先生!?アダム先生はどこに行くの!?」
「野暮用だ、必ず戻るから心配はいらないぞ〜!」
そうして、補習部の面々はキヴォトスの外、リッカの魂の故郷夏草へと招かれることとなる。この場所にて、補習部の面々は銃撃戦も、爆発音も、銃の重みもない当たり前の学生の休日を堪能することとなる。
「じゃーん!クレジットカードをアダム先生名義で使い放題なんだって!いっぱい買い物しちゃおー!」
「そ、そうなんだ…!エッチだけど、いいとこあるのねアダム先生!」
「やれやれ、こういう所で品性が出るんだよ。ミカ」
「全くです。そんな浅ましさ、アダム先生もさぞ嘆かれるでしょう…」
「ほ、程々に買い物しよー!」
「ミカさん!?」
「うふふ…公然わいせつ罪という法律もあるだなんて…これはもう下着を捨てるしかありませんね…?」
「なんで下着を捨てるんですか!?」
ショッピングを楽しみ……。
「きぇああぁあぁあぁあぁあぁあ!!!」
「パンチングマシーンが!」
「へし折れてしまいましたね…」
「流石です!ツルギ先輩…!」
「………あ」
「あ?」
「や、やや、やってしまったぁーーーーーーー!!!」
「ツルギ先輩ーーー!?」
「成る程、UFOキャッチャー…手に入れるまで挑む。それは崇高なる祈りに通じますね」
『そうかなぁ…サクラコちゃんそれ通じるかなぁ…』
「むむ…ペロロ様の普及はまだまだのようですね…!」
「ヒフミ、市長に直訴しに行こう!」
「はい!」
「はいじゃないですよ!?落ち着いてください二人共!?」
「えーい☆」
「パンチングマシーンが粉々に!?」
「力こそがティーパーティーの証明…アリウスのみんなはこれを危惧してセイアを先に…」
「断じて違うと思うよ…私もナギサもあんな事はできないからね…」
ゲームセンターで遊び……
「ミネ団長!昇陽学園に来てくれたんですね!」
「アスカさん!成る程、トリニティに編入する前の母校はここだったのですね…!」
「ヒフミ。問題児扱いされているらしいな。まぁブラックマーケットに入り浸ればそうもなるか…」
「も、もう挽回しました!しましたから大丈夫です!」
「コハル、お疲れ様。凄いね、ほとんど満点だなんて」
「ヤマトの母校もここだったんだ…。なんだか急に親近感湧いてきたかも…」
「やればできる……つまり今まではやらなかったという事か?サボりかあぁあ!?」
「ひぃいぃい!?違うんですツルギ先輩ー!!」
【騒がしいじゃねェか】
「「「「「「「!!!!??」」」」」」」」
昇陽学園の学食をいただき…。
「そーれ♪いっぱいかけちゃいますよ〜♡」
「やったな〜!私もかけちゃお〜!」
「ちょっと誰!?私を埋めたの誰!?出れないんだけど!?」
「良かったねコハルちゃん!ナイスバディ☆」
「嬉しくないんだけどー!?」
「海辺では様々な事象にお気をつけください!御安心を、何かが起これば即座に救護致します!」
(くっ……シスターフッドとしてあるまじき、焼きそばへの誘惑に抗えない未熟さ…!主よ、私はどうすれば…!)
『ヒナタちゃんやマリーちゃんのお土産も買えばいいっポよ……』
「三つ……ください…(ニコォ)」
「ひぃ!?毎度ありぃ!?」
日が暮れるまで、皆で海辺で遊び続けた。
それらは、立場も確執も透き通った治安も何も無い等身大の女学生が送る当たり前の休日の一幕。
懸命に奮闘し、足掻き続けた者達に与えられたご褒美の一時。この後には、エデン条約という最大の山場が待っている。
だが、それでも。補習部のみんなが協力をし、驚異的な速さで規定の点数を上回り試練を乗り越えた事はそれに匹敵する偉業であるとアダムは信じた。
「皆、楽しんでいるようで何よりだ」
「「「「「アダム先生!」」」」」
「水着のデザイン…白地にイチジク葉っぱマークにアロハシャツって…」
「今日の一日を写真に残そう。さぁ皆、集まってくれ!」
「アズサちゃん!ナギサ様!行きましょう!」
「ハナコ。一緒に写ろうじゃないか」
「コハルちゃんも、ね?」
アダムが写真を取る頃には、皆の距離はずっとずっと近くなっていて。
「では撮るぞ、皆!」
「えー?何言ってるの、アダム先生?」
「?」
「皆〜!アダム先生と写真撮りたい人は手を挙げて〜!」
「「「「「「「はーい!」」」」」」」
「皆……」
「私も、みなさんも…アダム先生を心待ちにしていますよ♡」
「ほらほら、アダム先生はセンター、センター☆」
「…コハル、いいか?」
「えっ…ま、まぁ…先生はエッチなだけじゃないって解ったから…」
「感謝しよう!では…撮るぞ!1足す1は!」
「「「「「「にーーーーっ!!」」」」」」
その、短いながらも濃厚な奮闘は…確かな絆と、連帯感。そしてかけがえのない思い出を生み出していた。
「……………」
「アズサ。いいか?」
「あ。アダム先生か。…うん」
そして、沈み行く夕暮れの中、写真を見つめるアズサの隣に、アダムは腰掛ける。
「全ては虚しい。それがアリウスの教訓らしいな」
「…ヴァニタス・ヴァニタートゥム。エト・オムニア・ヴァニタス。…全てはただ、虚しいのだ」
「無意味な教えだ」
「!」
「これを見てくれ、アズサ。私は今日、エンジェルグレイブという会社に行っていた。そこの従業員から、貰った写真だ」
アズサはアダムから写真を受け取る。そこには、アズサの知った顔ばかりが映っていた。
「先輩…!皆…!」
それはアダムとカルデアが保護した、元アリウスの生徒たちに卒業生。正式に就職した彼女達は、写真の中で確かな笑みを浮かべていた。
「生徒達の織り成す青春に、虚しいものなど何一つない。君は足掻き、彼女達は人生を取り戻した。それは確かな成果として、真実としてそこにある。それこそが、この教訓への反証そのものだ」
「アダム先生……」
「君が和睦の使者に選ばれたのはそこだと思う。全てが虚しいという教えの中、足掻くことに価値を見出した君こそが、アリウスの未来を変えてくれるのだという願いを託すに相応しいのだとな」
「……皆…」
「裏面を見てくれ。メッセージが書いてある」
言われるまま、アズサが裏面を見ると…そこには、数言。
『全てが虚しくとも、足掻くのを止める理由にはならない』
「!」
『お前が正しかった。お前の進む先に、答えはきっとある』
「………皆…」
「私はアリウスの生徒たち全てをも助ける。刻まれた憎しみと、くだらん洗脳から君の仲間を助けてみせる」
アズサの頭を、そっと撫でる。
「アリウスの皆も、こうして笑い合える日向に招くために…君の力を貸してくれ、アズサ」
「アダム先生……」
「見せてやろう。奇跡も、希望も、夢も、未来も、何もかも虚しい筈が無いのだとな」
「…あぁ!」
「アズサちゃ〜〜ん!戻りますよ〜〜!」
「解った!…行こう、アダム先生。今日は…ありがとう!」
「あぁ。本当に、よく頑張ったな!」
…こうして、補習部の長く短い奮闘は、笑顔と共に終わった。
四人はこれからも、学園生活を送ることとなるだろう。補習部に関わった、仲間達と共に。
それらを護り抜けた達成感と、未だ残るエデン条約への懸念を胸に…
「……」
アダムは、夏草の海を見つめていた。
アダム「こんばんは、リッカ。そちらの調子はどうだ?」
リッカ『風紀委員会はアダム先生の方針に同意したよ!万魔殿はオルガマリーがイブキちゃんの友達(意味深)になったから、滅多な事はできないと思う!』
アダム「良し。ヒナはいるか?」
『委員長ー!ヒナ委員長ー!今代わるね!』
ヒナ『先生、お疲れ様』
アダム「ヒナもお疲れ様。大丈夫か?」
ヒナ『うん。アダム先生の方針…従わない理由はないわ』
アダム「ありがとう。きっと、こうすることで護れるものはきっと増える」
ヒナ『そうね。…アダム先生が来る前と後の学園生活は別と考えるわ。新しい未来を、一緒に作りましょう』
アダム「勿論だ。当日は、よろしく頼む」
ヒナ『うん。またね、先生。…えっ?添い寝?り、リッカ、今はそういう会話じゃ…』
アダム「…ヒナは愛らしいな。──君も、頼む」
?「ふふふ…お任せください。あなた様♡」
アダム(いつまでも生徒を食い物にできると思うな。必ず、ツケは払ってもらうぞ…)
様々な思惑が交錯するエデン条約は…
目の前に、迫っていた。
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