人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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それではここからコラボイベントを片っ端からやっていこうと思います!

コラボイベントはエルデンリングを除いて1テーマ最大十話予定!ご期待ください!

今回のコラボは…

まちカドまぞくです!


コラボその1〜まかいのまぞく!〜

───ルシファーが………風邪を引いたんですかぁ!?

 

大海賊時代の動乱を乗り越えたカルデア、並びに地獄の軍勢。ここから夏の催しまでは自由気ままな宴会…という予定であったが、バアルから聞かされたその衝撃的な報告には流石のエアも青天の霹靂。発露したほわほわさがちょっぴり間抜けな叫びに変わって発される。

 

(あの天界と地獄のトップがかかずらう風邪って何?ペスト?)

 

《黒死病であるならばまず助からんぞ珍獣。我には読めたぞ。大海賊時代の憤怒絡みであろう?》

 

滾るほどの熱など思い当たるフシはそれしかあるまい、と鼻を鳴らすギルガメッシュに、バアルは神妙に頷く。

 

『推測の通りだ。ドラゴラース…憤懣竜王はサタン様の憤怒の王権そのものあり、その魔王としての力を示すものである。そして、それがサタン様の熱に関わっているのだろう』

 

(あ、そう言えば大海賊時代の怒りを引き受けたって聞いたなぁ。それが原因?)

 

『そうだ、至尊の獣。サタン様は天竜人どもの居城を攻めた際、ドラゴラースにあの世界が溜め込んだ憤怒を食らわせさらなる力を宿させた。事実それは成功し、永らくルシファー様とサタン様の名を司っていたあの御方とは別に憤怒の魔王の力が顕現した。…しかし』

 

──その溜め込んだ憤怒が、あまりにも大きすぎた?

 

エアの言葉に、バアルは深く静かに頷いた。まさに、あまりにも強すぎるが故の弊害が起きてしまっているのだと。

 

『憤懣竜王は確かに強くなった。なりすぎてしまった。天竜人らによる何百年も溜め込まれた理不尽への憤怒は、平和な世界の動乱に比べるべくもない』

 

血と涙による狼煙、尽きぬ怒りと憎しみ。それを積み上げてきた死んだほうがいい世界とまで謳われたその地の憤怒を、ルシファーは吸い上げた。

 

ドラゴラースはその目論見通り大いなる力を宿し、手にした。だがその手にした力は、主すらも巻き込んで猛り狂う程に相性が良かったのだ。サタンと同じ、憤怒の魔王として呼び称えられるに相応しい程に。

 

『カルデアの皆との交流により、ルシファー様の中で確実に何かが変わった。それを理解していたからこそ、迅速な気付きに気付いたという経緯なのだ』

 

──まさか、新たなる魔王に到れるほどの大いなる力とは…ルシファーは今大丈夫なのでしょうか?

 

エアの問いに、バアルは答える。少なくとも今すぐに大きな変化はできないであろう、しかし今のままではわからない、と。

 

『魔王をサーヴァントの霊基で言えば、トップサーヴァント十数騎。それに加え、ルシファー様とサタン様の存在はグランドにも至れる格式を有する。それが暴走しているとなれば…今回の騒ぎも、ただ大袈裟な空騒ぎとは切り捨てられん』

 

《建設的な話ではないな。様態の話はよい、我等も見舞いに向かおう。打開策は当然用意していよう?己のみを是とする魔王の本懐は今でこそと踏んでいるが?》

 

ギルガメッシュの鋭い指摘。バアルは切り出す手間が省けたとばかりにそれらを指し示す。

 

『いっその事、ルシファー様とサタン様を完全に別霊基としてそれぞれ独立させ、永らく兼任欠番であった『憤怒の魔王』の座に魔王を迎え入れる事が最善だろう。傲慢の大魔王としての霊基も純度を増し、全ては八方丸く収まるはずだ』

 

空白の魔王の座、憤怒の魔王。それの就任が今こそ起きるべきであるとバアルは言う。即ちそれは、サタンの座を就任する何者かの存在を要するという事だ。

 

『その空白の座だが……ルシファー様は英雄姫、あなたにもその資格があると言っていた』

 

──ワタシが!?あ、いや、でもあながち全く無縁という訳でもありませんね…。

 

エアの自我の覚醒、魂のカタチが銘を帯びたのはゲーティアという存在への強い怒りがきっかけである。世界の全てに意味がない。そういった偏見により、全ての悪性を見せられ瀕死だったエアの魂は一気に覚醒へと持っていかれた。

 

ならばそれは憤怒の資格に相応しい。そういう目論見なのであろう。ルシファーの自身への信頼に感謝しながら、エアはその提案を柔らかく願い下げる。

 

──ワタシの始まりは確かに怒りであったのでしょう。ですがそれはあくまで彼のみに懐いた感情。それを自らの魂の結論とするのは違うように思えます。

 

《然り。そもそもこやつが怒る事など後にも先にも未だ数度しか記憶にない。そんな覇気のない魂のこやつが憤怒の王になぞ成れるものか》

 

(ほわほわふわふわしているからね!物理的にも精神的にも!)

 

──えへへ…こんな浮き風船のようなワタシが苛烈なる義憤と憤怒を司るなど、むしろ大変失礼に当たると思われます!

 

ぷんすこと頬を膨らませ精一杯の怒りをアピールを見せるエア。フォウにてしっと空気を抜かれる様に、バアルは笑みを零しながら返す。

 

(えいっ)

──ぷす〜。

 

『フフ…。ルシファー様もそうお考えだ。故にこの案は案とも呼べぬ、ルシファー様の楽園ここすきエピソード紹介に過ぎん。本気でその魂を座に就かせんとしている訳ではないことを知っていてほしい』

 

《それは重畳よな。しかしそれはそれとしてどうする?楽園最大の宿敵たらんとする者が病に臥せるという状況では格好がつくまい》

 

──いいえギル!手段はあります!とっておきの手段が!

 

《!ほう?》

 

──それは…!皆でルシファーを看病しながら考える事です!ひとまず彼の様態を見にいきましょう!

 

 

(そうだね!風邪を引いた大魔王だなんて滅多に見られるものじゃない!写真に撮って大切にしまおう!)

 

《やれやれ珍獣、仮にも病人に対しての態度では早速赴くとするか!案内せよバアル!》

 

『成る程…病は気からともいう。皆に会えば、ルシファー様もお喜びになるだろう。早速あの御方の寝室に案内しよう』

 

そうしてあれよあれよと言う間に決定したルシファーお見舞い計画であったのだが…

 

『あれは……』

 

『うぅ〜ん……そこはかとない身体の熱さとだるさが抜けないよ〜…気持ち悪いよ〜…』

 

苦しむルシファーの傍に寄り添う、影がいくつか。

 

【あぁ、サタン様…お労しいお姿…】

 

【頑張って、サタン様……海鮮丼作ってきたから…】

 

【サタン様!ケツにネギを刺せば治ると聞いた!試しにオレがやってみる!サタン様もオレに続け!!】

 

【大丈夫?】

 

魔王達がルシファーに寄り添い、エールと看病を続けている。その様子を、エア達はまさにその目で目の当たりにした。

 

【食べて…サタン様海の幸食べて…】

 

【もががが……】

 

【アッーーーーーーーーー!!!!!】

 

【あぁなんてこと!熱が90度近く!また熱が上がっていますね…!タオルを取り替えてきます!】

 

【元気出して】

 

──見てください。魔王の皆さんが一生懸命ルシファーを看病しています。けして断ち切ることのできない強い絆が彼を支えて…

 

(支えてるかなぁ…?)

 

──ルシファーは決して孤独ではない。こんなにも素晴らしい仲間たち、同志たちに恵まれて……。

 

【聞いてくれサタン様!地獄の軍勢からのお見舞いメッセだ!ヘッドホンで直に伝えるぞ!】

 

【【【【【【サタン様!元気になってくれーーーーー!!!】】】】】】

 

【あばばばばばば…】

 

──どうやらワタシ達の出る幕は、無かったようですね…!

 

《そうか?そうなのか?我には安らかに眠れている様には見えぬのだが…?》

 

──一見では解らぬ絆。それこそが、彼らのみの絆なのでしょう…。尊いとはこういった事を指すのですね…、解ったよ、フォウ…!

 

(そうかな…そうかも…)

 

『フッ……魔王達も、変わったのだな…』

 

──行きましょう。ギルガメシアはこそこそ去ります…。

 

《…エア。今更だがお前は肝心要でないイベントでは随分とIQを下げるのだな…》

 

こうしてサタンは魔王達からの看病を眠りながら受け、歓喜の(?)うめきを上げるのであった。




…だが、このコラボはこれからが始まりである。


世界は応えていたのだ。


地獄の召喚ルームにて……

謎の少女「う、うぅん……」

その資格を有した少女が現れていたことに…

未だ気づくものはいなかった。

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