人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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オルガマリー「リッカ!」

リッカ「!オルガマリー!?無事だったの!?」

オルガマリー「ロマニのお陰でね…流石は魔術王、良い仕事をしてくれたわ」

ロマニ「彼女が落ちたら、カルデアは本当におしまいだったからね!そっちは大丈夫かい!?」

リッカ「うん。───大丈夫」

ルフィ『リッカ〜〜〜〜〜〜〜!!準備はいいか〜〜〜〜〜!!!』

リッカ「皆───すぐに!戻ってくるよ!」


新時代と生誕に捧ぐ歌

トットムジカ──魔王の楽譜ではない、カグラの遺した祈りの楽譜はとうとう当代のウタウタの実の能力者の手に渡った。ニカの力を有するルフィ、カグラの力を宿すウタ。二人はエレジアの上空にて最後の大仕事を迎えようとしていた。

 

ウタワールドに囚われてしまった者達の解放。その為の、ニカとカグラの力を総結集した世界中に手向ける大合唱。カグラが広げた芸能の輪を、ニカが自由なる力を以て音楽として届ける。

 

そうする事により、ビーストIFたるトットムジカの力は完全に消え去る。それらは全て悪夢の目覚めに変わり、人は現実に戻ることとなるだろう。それはともすれば、残酷な目覚めであるかもしれない。

 

だが──その残酷な時代はもうすぐ終わる。この希望に満ちた音楽と共に。

 

「行くよ!ルフィ!」

 

『おうっ!!』

 

『コーラスは任せろ〜〜〜!!』

 

トットムジカと共に、そしてニカ、カグラと共に。ルフィとウタは歌い始める。世界中に轟かせるその歌は、ウタが最初にルシファーに教わった曲。

 

歌手として、ルフィに必ず聞かせてあげようと作った──海賊王となるであろう彼への応援曲。それこそが、世界に轟く…──

 

「ありったけの夢をー♪かき集めーっ♪」

『捜し物をっおぉ〜〜〜〜!さっがぁしにぃ、行〜く〜の〜さァ〜〜〜〜〜〜!!』

 

「『ONE PIECE─────!!!!!』」

 

完璧な音階と声量で歌い上げるウタ。破天荒ながら心から歌い上げるルフィ。全ての始まりの曲。

 

『ウィーアー!』と名付けられたその楽曲を二人は高らかに歌い、トットムジカ、ニカ、そしてカグラの三人の力にて、加速度的に範囲が広がっていく。

 

「羅針盤っなんて〜♪ 渋滞の〜も〜と♪」

『熱にぃうかっさぁ〜〜れェ〜〜〜音階 舵ぁじーを〜とるのさァ〜〜〜♪』

 

音符は星となり、楽譜は空にかかる橋となり、世界中に音楽が駆け巡っていく。

 

「ホコリかぶって〜た♪ 宝〜の〜地図も〜♪」

『確かっめったァのォ〜〜〜ならァ〜〜♪ 伝説じゃ〜〜〜〜なィイィイィイ〜〜〜〜♪♪」

 

それらは世界の隔ても越えて広がっていく。キャメロット・オークニーにも、カルデアにも、プリズマコーズにも、固有結界の中にも。

 

「個人的な嵐は〜♪ 誰か〜の〜♪」

『バァァイオ〜〜〜リィイズゥウムゥウ〜〜〜♪♪乗ぉっかってェ〜〜〜〜〜〜〜!♪♪♪』

 

「『思い過ごせばいいッ!!♪♪』」

 

最早世界にその歌の届かぬ場所はない。

 

「ありったけのぉ!ゆーめをー!かき集め〜!捜し物!さぁ〜がぁしに行くのさァァァ〜〜〜!」

 

テンションが上がりきり、普段とは比べ物にならないハスキーボイスで熱唱するウタ。

 

『ポケットォ〜〜〜〜〜のォ〜〜〜〜コイィイィイ〜〜〜ン!♪それとYou wanna be my Friend───?』

 

とにかく自分の歌いたいように、ウタと自由に歌い上げるルフィ。だが、その二人の歌唱は最高峰の歌唱となり、世界中に紡がれていく。

 

「『We are, We are on the cruise! ウィーアー!!!』」

 

高らかに叫ばれる、新時代に捧げられるであろう神々の歌。それらは確実に、着実に、悪夢であるビーストIFの力をかき消していく。

 

 

「ウタワールドが昇華を始めていく。全てはあるべき場所に、確かに戻るんだね」

 

ウタワールドにて二人の歌を聞き及ぶルシファー、そしてエア。その歌のパワーにて、ウタワールドに起こる変化を見届ける。

 

魂が続々と開放され、あるべき場所へと戻っていく。ビーストIFは未知の獣。愛を教え、示したのなら人類のこの上ない味方となる。

 

ビーストIF…否、カグラの慈悲に触れた魂に今日の歌は刻まれるであろう。それは、未来を信じようとする心の中の希望となって、この大海賊時代を生きる者達の心強い力となっていく筈だ。

 

───本当にお疲れさまでした、ルシファー。十年もの間、ウタちゃんやエレジアを…天竜人の皆さんを導いてくださって。

 

エアの心からの労りに、ルシファーは照れくさそうに頬をかく。

そう、ウタやエレジアは確かに導いた結果になったやも知れない。しかし、その始まりの動機が彼女に伝えるには些か気恥ずかしいのだ。

 

『あ、えっと、そのぉ…確かに色々頑張りはしたんだよ?でもそれは…その…』

 

(ボクにはわかるよルシファー…君とボクは魂の『ブラザー』だからね…)

『フォウ君……!』

 

──?

 

『や、それはだね、えーっと………』

 

しどろもどろになりながら弁明の言葉を探すルシファーに、最高最悪の追い打ちが届く。

 

「ルシファ〜〜〜〜〜〜!!!トットムジカの楽譜探してたんでしょ〜〜〜〜!!はい、パースー!!!」

 

『え、ウタ!?パスゥ!?』

 

なんと現実世界側からウタワールド側に、ウタがトットムジカの楽譜を投げてよこしたのだ。透き通りきったガラス細工のような布に描かれた、ルシファーが追い求めた楽譜そのもの。

 

「ちゃんと渡しなよ〜〜〜〜!!誕生日プレゼントにするんでしょ〜〜〜〜〜!!!」

 

──えっ!?

 

『わー!!まだ言っちゃだめだってば!わー!!…あぁ〜………』

 

シナシナと倒れ臥すルシファー。サプライズで渡してあげるツモリが、よりによってウタに全部ネタバレされたことにより怒るに怒れぬ計画のご破産という結末を、ルシファーは迎えたのだ。

 

───も、もしかして…楽園やワタシの誕生日プレゼントに…?

 

『…………………うん………』

 

──ずっと、ワタシ達の事を考えてくれていたの…?

 

『うん………』

 

自爆と相成ったルシファーは素直に全てを白状する。そう、最初から全く目的はブレていなかった。

 

最初から最後までカルデアの…否、彼もまた、友人の為に奮闘を重ねていたのだから。だからこそ、ウタがカグラの楽譜を躊躇いなく託した。その願いが、間違いなどであるはずがないと信じて。

 

『物凄く時間がかかってしまったけれど。目新しさなんてもう何処にもないけれど。それでも…どうしても、君に贈りたかったんだ。素敵な何かを』

 

──ルシファー……

 

『誕生日おめでとう、エア。人理を照らす開闢の星よ。僕は君の美しさに出逢えた事、いつだって誇らしく思っているよ』

 

そっと、照れながらもルシファーはその楽譜を差し出す。………その時だった。

 

──ぁ…!

『あ、あれ…!?』

 

無地であったその楽譜に、なんと歌詞が、旋律が刻まれていく。それに、その音符の配列にルシファーは覚えがあった。

 

『これは…僕がこっそり練習して作詞作曲した…なんでこの楽譜に…!?』

 

困惑するルシファーに、エアは頷く。それは、他ならぬルシファーがもたらした変化だと確信して。

 

──大切に受け取るね!…というのは、ルシファーとこの曲を歌い上げてから、だね!

 

『歌ってくれるのかい!?』

 

──こちら側も、皆を元に戻す手伝いになるはずで…何より、合唱ってロイヤルズの皆と以外、あんまり経験がないの!今やってみたいな!あなたやフォウと一緒に!

 

エアの強烈な意思表示に、元より断るつもりもないルシファーは腹を括る。

 

『──解ったよ、エア。フォウも一緒に最後まで責任を持って歌い上げようじゃないか!』

 

羽根を広げ、演奏用具一式を取り出すルシファー。最早賽は投げられた。ならば、後は歌い上げるのみ。

 

『行くよ!楽園の皆を叩き起こすつもりで行こうじゃないか!』

 

───うん!フォウも行くよ!

(任せておくれよ、エア!発声には自信があるんだ!)

 

羽根の全てを使い、ルシファーとエア、フォウの歌は正しい音階を以てウタワールドに響き渡らせる。

 

それは正真正銘、ウタワールドと現実に広まる大合唱。

 

巫女達が代々繋いできた、かなしみと憎しみの終わりを告げる歌。

 

そして──ルシファーが誰かに向けて授ける、この世界唯一無二の宝物。

 

カグラの楽譜がエアに渡ったこの瞬間を以て──ビーストIF・トットムジカは完全に討ち果たされたのだった──。

 

 

Precious

 

なんにも無い 誰でもない きっと私は

終わるハズだったんだ 何も出来ないまま

でも貴方が 魅せてくれた 共にいるだけで

ただ生きるということの 意味も愉悦(よろこび)も

 

南の空の星々は 果て無き人生(たびじ)の道標

繋いだ先には何があるんだろう 私が知りたい!!

 

輝く星が導く叙事詩(ストーリー)

何度挫けてもありのまま 笑顔で一緒に立ち上がろう!

別れ涙は貴方に似合わない

皆で目指そう 完全無欠のハッピーエンド!!

 

望まれない 誰も見ない そんな私は

終わるハズだったんだ 何も知らないまま

でも貴方が 教えてくれた 生命(じぶん)を込めて

ただ一言にありがとう 「生きてもいい」と

 

心の内の暗闇は 背負った宿業(ちから)の前払い

例え相手が自分自身でも 私は逃げない!!

 

輝く虹が生み出す楽園(シャングリラ)

意志さえあるなら誰とでも 仲良くなれると信じてる!

正しいだけじゃ何も変わらない

皆で掴もう 完全無欠のハッピーエンド!!

 

「辛くなったら、止めていいんだよ」

いつか貴方は言っていた それでも私は終わらない

私の望んだ人生(みち)だから

世界が何を求めようと 私は―――

 

輝く星が導く叙事詩(ストーリー)

縁に恵まれて紡がれた 尊き生命(いのち)を謳う旅

止まらず毎日歩んだ軌跡は

皆で描いた 完全無欠のハッピーエンド!!




マルドゥーク『(⁠ ⁠´⁠◡⁠‿⁠ゝ⁠◡⁠`⁠)……→✧⁠◝⁠(⁠⁰⁠▿⁠⁰⁠)⁠◜⁠✧→(⁠人⁠*⁠´⁠∀⁠`⁠)⁠。⁠*゚⁠+→(⁠ノ⁠◕⁠ヮ⁠◕⁠)⁠ノ⁠*⁠.⁠✧』


ギルガメッシュ「ほう……これが奴めの紡いだ歌か。中々どうして、悪くないではないか──」

ウタ「……ねぇ、ルフィ」
ルフィ『ん?』

「…助けに来てくれて、ありがと」
『にししし、あったりめェだろ!ウタはおれの!』

ウタ「おれの…?」
『おれの…!宝物なんだからな!』

ウタ「〜〜えっへへへ。うん!!さ、帰ろう!」

「招待するよ!あたしたちの、エレジアに───!」


ニカ(どんどっとっと♪どんどっとっと♪)
カグラ(にっこり)



(最後の歌は、環星党さんから贈られたものです!
素敵な歌詞を、本当にありがとうございました!)

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