(僕は大魔王。いない方が世界のために決まってる。何よりも…)
『皆が幸せであること以上に、素晴らしい結末なんて……』
───いいえ、ルシファー。今のウタワールドの在り方で、誰もが幸せになることはできません。
『!?』
──人は生きる力を有します。その生きる力を持つものが、夢に閉じ込められてしまえば、必ずいつか夢に疲れてしまう。夢は色褪せ、輝かしい夢は牢獄になってしまう。
だから──与えられた夢や、課せられた幸福に毅然と立ち向かうこともまた尊重のカタチだと、ワタシは信じます。
何より…!
『!』
───ワタシの友人を爪弾きにした理想の世界なんて、ワタシは絶対に嫌です!
そんな世界でワタシは、幸福を感じるなんて絶対にできないのですから────!!
『…あぁ…!君は、君たちは…!!』
【ニカ……ニカだと、言うのか…!また、また私からニカを奪おうというのか、この世界は…!】
カグラは目の前にいる存在…ギア5『ニカ』の力を宿すルフィに向ける。それは彼女が唯一見せる個人への思慮、そして恋慕。
【許さぬ…!ニカはもう、何者にも利用させはせぬぞ───!!】
それは即ち、明確な対処…無数のトットムジカを更に展開し、ルフィとリッカに向けて解き放つ。それは魔王の大挙という絶望的な光景、リッカとその内に宿る者たちと、ルフィのみという状況だが…。
『リッカ!あのでっかいドラゴン、もっかいやれるか!?』
「船長!?」
『にししし…!すんげェ事、思いついたんだ!頼む!』
体力と魔力が底をついているはずなのに、リッカの内に湧き上がる感情は希望。ルフィが、船長がいうならば。なんでも出来る気がしてならないという自信が胸に滾る。
「やってみる!三人共!行くよ!!」
そして、アンリマユらを再び頼り顕現せしはアジ・ダハーカ・アンリマユ。超巨大なアジ・ダハーカが、ルフィの傍らに現れる。
『すっげェ〜〜〜〜!よし!おれも一緒に行くぞォ!!』
【船長!?】
瞬間、ルフィは跳躍しみるみるうちに巨大化する。それは、アジ・ダハーカに跨がれる程の超巨大巨人が如く。
『ゴムゴムの『巨人』!!そんでもってェ〜〜〜〜〜!』
取り出せしは白き手綱、そして鐙。驚愕的な事に、アジ・ダハーカにまるで乗馬の如くに『騎乗』する。アジ・ダハーカの身体が黒の身体、金の羽、白き装具の太陽神の龍へと変化する。それこそ、ギア5の自由なる覚醒。
『『
空に浮かび上がる竜、この場合は龍騎兵と化したルフィ。リッカと力を合わせる形態となった事により、攻撃を開始する。
『リッカ!!行くぞォ〜〜〜〜〜〜!!』
【了解!!ルフィ船長!!】
船長命令と受け取ったリッカは、ルフィを乗せ猛烈な速度で空を駆け回る。無数のトットムジカの苛烈な一斉攻撃は、当然のように彼等に向けられる。
『当たらないねェ!!おれ達二人には!!』
だが、ルフィとリッカの縦横無尽の自由なる動きは誰かに捉えられる領域にはいなかった。巨体を誇りながら、まるでギャグ漫画のキャラクターのようにアジ・ダハーカがコミカルな動きを繰り返す。目が飛び出る、翼が引っ込む、漫画のように走るなど。
『わわわわわ!どうなってるの〜!?』
【トムとジェリーとアジーカ】
【真面目にやれや!?いや、真面目にやってんのか!?】
『あっひゃっひゃっひゃっ!楽しくなってきたぞ、リッカ!!』
「私はなんかこう驚きが先に来てるよぉ!?」
悪魔の実の覚醒は周りに能力の発露を齎す。ゾオン系・ヒトヒトの実幻獣種モデル『ニカ』は、ゴムの性質を持つ神とされた。即ち、世界をゴムのような自由なる変化に巻き込むという事にほかならない。
『行くぞォ!!ゴムゴムの…………!!!』
どこから用意したのか、騎士の鎧に身を包んだルフィが右手を大きく撓らせ振りかぶる。手刀の要領で振り下ろしたそれは──
『『
一息に振るわれた聖剣の如く、空中のトットムジカを切り裂き吹き飛ばしていく。それらはまさに神威の具現。カグラの能力と全く同じ規模の超攻撃。
『ゴムゴムの〜〜〜〜〜〜〜!!!』
しかしルフィの攻撃は終わらない。次は左腕を拗り、回転力を付けた形にて蔓延るトットムジカに、リッカと共に突撃。そして───
『『
大量に殺到するトットムジカを、貫通力を極めたパンチで無数のトットムジカを大量に討伐していく。ふざけきった描写であるがその威力と規模は隔絶しており、瞬く間にカグラが呼び出したトットムジカは全滅の憂き目にあう。
「船長!彼女は倒すだけじゃ駄目なんだよ、落ち着いて話をしなくちゃ!」
『!』
「あの神様は悪い存在じゃない!私達…ううん、あなたが新時代を担うものだって伝えれば、きっと!」
『───解った!んで、もう解ってる!』
「!」
『あいつはおれに、夢とドラムを教えてくれたんだ!』
それはルフィの意思であり、そしてニカが宿した意識でもある。幼馴染のウタと、伴侶たるカグラを、彼はどちらもこのままにするつもりは毛頭なかった。
『このまま行くぞ、リッカ!あいつの迷いは、おれがぶっ飛ばす!!』
「うん、船長!!」
『行くぞォ!!これがおれ達の、最高到達地点だァ!!!』
ギア5『ニカ』。そして…アジ・ダハーカ・ゾロアスター。二人の最高到達地点が、一息にカグラへと突進していく。カグラはその姿に、紛れもないかつての夫の姿を見やる。
【邪魔を…!】
『「うおぉおぉおぉおぉおぉお!!!」』
【邪魔をするなぁ〜〜〜〜〜ッ!!!】
ニカとカグラはぶつかり合う。リッカ渾身の突撃をバリアにて相殺。アジ・ダハーカの目と鼻の先にて、勢いは拮抗する。
【もうわたしは、哀しい歌を聞きたくない!嘆きを、哀しみが紡がれる事が堪えられない!】
「ぐぅうぅうっ…………!!」
【愛する者の幸せを願うことが何故いけない!?不幸と嘆きを取り除く事の何が許されない!?愛する者が不幸であることなど、わたしはどうしても認めるわけにはいかないのだ──!!】
カグラは人間を愛していた。歴史の中で芸能を愛し、進化させ、自分のものとしていく人間が愛おしくてたまらなかった。ニカと共に世界を変えようとしたのも、人間の成熟を見ていたが故だ。
故に、愛ゆえにカグラは強く止まらず、人々を安楽死させようとする。それは愛する存在をかけた、乾坤一擲の決意だからだ。
「その答えが間違えていることを知る存在は、もうここにいる!!」
【何…!?】
「あなたの何が間違えているのか!彼は何より解りやすく伝えてくれる!そうでしょルフィ船長!ううん!『ニカ』!!」
『おうっ!!!!』
瞬間、巨大化を解いたルフィが猛烈にアジ・ダハーカの額へと走る。カグラの下へ行くために。カグラと話をする為に。
『ウタ!!カグラ〜〜〜〜〜〜〜!!!!』
【!ニカ…!!】
カグラが展開する防御壁に、ルフィは渾身の頭突きを叩き込む。それはバリアを隔て、カグラと瞳に互いが映り込む程に近い距離となる。
『お前のやり方じゃ、誰もを幸せになんてできねェ!!』
【!!】
そして告げる。カグラの理の矛盾を。内包する歪みを。
【な、なんで!なんでそんな事を言うのだ、ニカ!わたしは…!】
『幸せじゃねェ!!』
【誰が!?わたしは確かに夢を…!】
『お前が泣いてちゃ!おれが幸せになれねェ!!』
【─────!!??】
そう、それは当たり前の事。彼女が幸せを分け与えるならば、全てに分け与えるならば、彼女には幸せが訪れない。
『お前、泣いてるじゃねぇか!自分が哀しくて辛くて、なんで誰かを幸せにできるんだ!嘘ばっかりつくな、カグラ!』
それをニカは、何よりルフィは望まない。新時代は、誰かがプレゼントするものではない。掴み取り、手に入れるものだ。
『自分を大事にできねェやつに!!人は幸せにできねェ!!!!!』
【!!!】
衝撃を越えた戦慄を、カグラは目を見開き表す。それは、カグラの幸せを願う言葉…祝福そのものだったからだ。
『おれはお前にも幸せでいてほしい!!幸せは!!皆でなるもんだろうが!!!!!』
【………ニカ……!】
それこそが、カグラが忘れてしまった愛。
かつてニカと、ドラムを叩き笑いあった太古の記憶。
人の世をもたらすため、人を護った記憶。
それこそが、夫ニカを愛した自分の幸せそのもの。
『うぉおぉおぉお〜〜〜〜〜〜〜〜!!!』
バリアを力付くで、ニカは叩き壊し───。
『だァァァァ──────!!!』
【ぁ………!】
その全身で────カグラを抱きしめた。
カグラ【ニカ………】
ルフィ『もう泣くなよ、カグラ。おれが楽しい気持ちになれねェ。メソメソ泣いた歌じゃ楽しくなんかなれねェよ』
カグラ【誰のせいだと………あぁ、うん。わたしは……間違っていたのだな。お前にまで拒絶されるのは…】
ルフィ『ああ。やり方は知ってるんだ、おれ』
カグラ【!】
ルフィ『ウタを助けたら、力を貸してくれ!おれ達で、皆を笑顔にしてやろうぜ!カグラ!』
カグラ【……そうか。解った、約束する。現実世界は……】
リッカ『!!』
トットムジカ【【【【【【!!!】】】】】】
リッカ『防衛機構、こんなにまだ……!』
?「───ふははははははは!!諦めたらそこで人理終了であったが良く堪えた、我が龍よ!!こちらの死守は我等に任せよ!!」
『GAAAAAAAAAAAAAAAA───────!!!!!』
リッカ「この声…!!」
残すはウタワールドの仕上げのみ。それを阻まんとする魔王の軍勢に、黄金の咆哮が響き渡る──。
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