アダム「すまない、遅くなった」
温羅「居眠り魔王はアタシらに任せな!!」
リッカ「皆!!」
パパポポ『ルシファーは今、魔王の戦力が全力で止めている。ベルゼブブの相手は私に…いや』
聖霊達『『『『『『『!』』』』』』』
パパポポ『私とカナンの民達に任せてほしい』
マシュ「皆さん…!!」
カルデア 大終末の潮牙内
オルガマリー「迎撃システムはフル活用!ロマニ、カルデアへの侵入者はすぐにここへ!」
ロマニ「勿論です!押し留めますよ!」
ギーツ『生活がかかってる。やる気が違うな』
オーマジオウ【帰る場所を有したのだ。当然だろう】
ギーツ『壊れても、修繕は任せておけ!』
カナメ「狩りじゃなくても、やるぞ!」
フェイト「はやて、サポートお願い」
はやて「やっとるわ!」
〜
ゴルドルフ(私がやるべき事、オルガマリー君という理想のリーダーとは違う選択…!)
ムニエル「おっさん…」
ゴルドルフ「───スラオシャ、ロキに連絡を。同時に通信を開いてくれ」
ムニエル「誰にだ!?」
ゴルドルフ「勿論──共に戦う仲間の彼にだよボイルド君!」
ムニエル「ムニエルな!?」
【トットムジカ──いや、歴史が蓄積した絶望の魔王よ】
第三楽章、その本領を発揮したトットムジカの勢いと力は凄まじく、七大魔王の三様を手球に取れるほどの領域へと到達していた。七大魔王の一角すら、通常であるならば決戦術式を利用した英霊七騎でかかり漸く崩せるかというほどの強大さを誇るにも関わらず、だ。
【お前の齎す破滅は、新時代には不要なものだ】
絶望の魔王は盤石と思われた──だが、玉座より飛び出した【憤怒】の魔王がその盤石を容易く突き崩す。
【身の程を知れ】
間合いを潰したのは、ほんの一瞬。瞬時に距離を征服したサタンが、渾身の力でトットムジカを殴りつける。
いや──殴ったのではない。それは憤怒により現れし【竜王の尾】だった。
【──────!!!!】
状況を把握する間もなくトットムジカは吹き飛ぶ。だが、サタンの憤怒を纏いしかの大魔王は、困惑すら許さなかった。
【魔王という銘は、全て俺から生まれたものだ。無論、お前だってそうだ、トットムジカに込められた破滅の怨念よ】
瞬間、トットムジカの巨体は縦横無尽に宙を舞う。もはや目に捉える事すらできない速さと強さで、トットムジカをサタンの憤懣竜王を纏った乱打がピンボールのように打ち据えているのだ。
【オレの怒りに触れたらどうなるか、骨の髄まで教えてやる】
そして、瞬時に頭部を掴みサタンはトットムジカを大地に叩きつけめり込ませる。
【【【─────】】】
その様子に、アスモデウスらは反応すらできなかった。あまりにも苛烈。あまりにも凄絶。あまりにも絶対的。
大魔王ルシファー、並びにサタンと他の魔王の間には…あまりにも高く、絶望的な隔たりが聳え立っていた。
【─────】
だが、サタンが思案していたのは別の事だ。強さや弱さの比較など、サタンにとっては何の意味もない。彼は自らの【怒り】を見定めていた。
(怒りの感情、憤怒の大罪の力が以前とは比べ物にならない。この変化は───)
そう、サタンは憤怒の魔王。もたらす怒りと憤懣が強ければ強いほど力を増す。当然ながら以前も無比な強さを有してはいたが、第三楽章のトットムジカを一方的に叩き伏せる程ではないと自認する。強くなっているのだ。間違いなく。
以前、世界中の怒りを力に変えたからか?それもある。まさに値千金の力の増大であっただろう。だがそれは総量であり出力の増大ではない。今は出力の懸念がそうさせるのだ。
何が違う?何が変わった?トットムジカを単独でたたきのめしながら、サタンは思案する。
彼は神の如き全てを授かり…否、写し鏡として押し付けられた。だが幸い、その叡智が今の懸念の答えを即座に見出した。
(あぁ───僕は今、誰かの為に怒っているね)
ウタの成長を悪辣に弄ばれた怒り。それは間違いなく他者への義憤が産む怒りそのもの。先の怒りも、ウタが自由に歌えない世界への怒りが膨大な憤懣の出力となった。
変わってきている。確実に、サタンやルシファー自身の在り方が彼の知らぬ領域へと進化している。彼自身が、その変化と進化に戸惑う事に。
(ここで、僕がまた全てを終わらせてもいいのか?)
灼熱で大地が融解する程の怒りを撒き散らしながら、サタン…ルシファーは冷静であった。今、自分自身のみがトットムジカを圧倒している状況を完遂してもいいのか、という真摯な疑問。
ルシファーは自身のみを本位としてきた。それが彼の有する力だからだ。だが今、サタンとしての本質は他者の存在であると彼は思い至った。
ならば、他者の存在の重要性に気付いた今、また以前のように全てを隔絶したままでこの戦いを終わらせるべきなのかを彼は問う。
アスモデウス、マモン、レヴィアタンの奮闘。エレジア復興の全て。カルデアとの全身全霊の共同作戦。得難き瞬間。
それをまた、己のみで完結させるのか?神から押し付けられた力で、それら全てを無味乾燥な予定調和で終わらせてしまうのか?果たしてそれが、本当にエレジアで触れ合った全ての答えでいいというのか?
【─────…………】
そういった考えに至ったサタンの憤激が……致命的に、鈍った。
【■■■■■■■!!!】
トットムジカはその隙を逃さない。四つ腕の乱打に破壊光線を、サタンに向けて一斉に撃ち放つ。
【!】
瞬間の判断に遅れたサタン。やむなくそれを防がんとするが──
【ぬうっ……!】
【バアル…!?】
なんと、霊核すら砕く一撃からベルゼブブがサタンを庇ったのだ。ともすれば死する一撃から、なんの躊躇いもなく。
【ご無事ですか、サタン様】
【バアル、君こそ…】
【我等の事はお気になさらず。貴方様の手足、羽、代わりの手駒なる者なれば】
見ればベルフェゴールの泡の中で訴える者がある。アスモデウス、マモン、レヴィアタンは尚サタンの役に立とうと傷を癒やしているのだ。
【─────】
以前の自身ならば、なんの感慨も懐く事は無かった配下の奮闘。見れば音符兵と懸命に戦う悪魔たちの姿も見える。
【…………─────】
それを見たサタンは…拳を解いた。戦意喪失ではない。やる気を喪ったのではない。
ただ、強さを振り翳し自身らを取り巻く『今』の結末を、終わらせてしまうことを酷く虚しく感じたのである。
(僕がやりたいのは、力をひけらかすことじゃない。自身だけが輝くことじゃない)
その気持ちを、サタンは上手く言語化出来ない。だが、それだけは違うと解る。
玉座から見ていた魔王達、見つめていたカルデアの頑張りを、無感情に終わらせることではない。
自身がやりたいのは───。その時だった。
『も、もしもし!大魔王ルシファー、或いはサタン!聞こえているかね!』
【!】
【カルデアの通信です。彼は、ゴルドルフ・ムジーク…】
なんと、ルシファーに直接通信をゴルドルフは繋げたのである。アスモデウスが回復泡の中で狂乱する。無礼者めが、ではなくルシファー様と電話通信!?そういうのもあり!?という悟りである。
『今私は、カルデアの所長権限を請け負っている!故に同盟リーダーの貴方に提案する!』
【提案…?】
『トットムジカは第三楽章にて全力を出している!こちらは七大魔王の三者を護衛につけられもはや力押しは困難だ、故にスラオシャ、ロキ氏の力を借り──同時攻撃を提案する!』
カルデアの現実世界、ウタワールドのトットムジカに完全にタイミングを合わせた攻撃。それならば、被害抑制と対効果を両立可能だとゴルドルフは訴える。
『力尽くでは必ず限界が出るのだ、ならば我等の力を束ねるべきだ!そちらとこちらで力を合わせ突破するのだよ、やってくれるかね!?』
【──────ぁあ】
『ひっ!?』
その提案は…サタンに、ルシファーに悟りに近い回答をもたらす。
一人では出来ないこと。
一人じゃ成せないこと。
憤懣竜王、サタンの力が増した事への意味。
それは───
【力を合わせて、成し遂げたかったのか。僕は】
ゴルドルフの言葉は、サタンの疑問を即座に打ち晴らした。そう、ルシファーが得た答えにして気付き。
それこそは───力を合わせること。弱きと力を束ねる事。一人では出来ない力を見つけること。
ウタの世界を、皆で護ること。それこそが自身の願いであり…
完璧でしかなかった自身が懐いた、【大切な何かを蔑ろにされた怒り】の根源であると、サタンは今ここに至ったのだ。
【ゴルドルフくん】
『ひっ!?や、やっぱり不遜だったかね…!?代理ごときが対等に口利いたのが…!?』
【ありがとう。喜んで提案に乗らせてもらうよ!】
そう返すサタンの顔は──
怒りでなく、笑顔を浮かべていた。
サタン【ベルゼブブ、アスモデウス、レヴィアタン、ベルフェゴール、マモン】
魔王達【はっ!】
サタン【…カルデアの力になりたい。エレジアを皆で護りたいんだ。皆の力を僕に貸してくれないかな?】
魔王達【【【【!!】】】】
サタン【どう?】
アスモデウス【──あぁ…!サタン様……!!】
レヴィアタン【頼って…くださるんだ…!】
マモン【ハッハッハッハッ!!フハハハハハハハ!!!アーッハハハハハハハハハ!!!】
ベルフェゴール【いいよ】
ベルゼブブ【無論です、ルシファー様】
【【【【【我等魔王!!あなた様と共に!!】】】】】
サタン【ん、ありがとう。じゃあ──】
トットムジカ【─────!!!】
サタン【皆で合わせてみよう。力ってやつを!やり方良く知らないけど!】
憤怒とは、何より生まれ出るか。
その美徳を、十年もの時をかけ──掴み取った瞬間であった。
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