人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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スラオシャ「こちらの世界は魔王の意地を垣間見せています。引き続き、攻撃は通るでしょう」


ニャル【……………】

ロキ【浮かない顔だね?】

ニャル【想定されたものより、第一楽章と第二楽章の攻勢が弱い…】

ロキ【あ、気付いた?】

ニャル【弱体化ならばいい。だが…】

(杞憂であればいいが……皆、気をつけるんだよ…)


第二楽章終幕

【─────!!!!!】

 

現実世界のトットムジカもまた、ウタワールドの変異に呼応するように変化を起こす。パーツが展開追加され、更に強く激しく、圧倒的な火力と攻撃を現実の世界へと撒き散らし始める。

 

『この力…トットムジカに積み重ねられた負の感情…!』

 

リッカはその力、その性質を感じ取る。歴史を積み重ねていく上で等しく積載されていった悪意、哀しみ、絶望といった感情。人類が発展していく中で重ねていく営みに発生するもの。

 

『皆、気を付けて!きっと、強いだけじゃない!』

 

リッカの言葉と同時に、トットムジカは動いていた。その身体を発生させた後、膨大極まるエネルギーを内部に凝縮させ───

 

「!先輩!」

 

一斉に、解き放つ。暗闇を切り裂く光の束のような波濤がエレジアの夜空を彩り、一斉にアジ・ダハーカへと叩き込まれる。それはリッカのみを狙い澄ましたもの。中核である事を見抜いたのだ。

 

「無駄なことです!」

 

マシュは動じること無くオルテナウスユニットを展開。あらゆる防御ツールを使い、多種多様かつ強烈な弾幕を完全に防ぎ切る。数十メートルはあるアジ・ダハーカすら、何の問題無く防御しきるその防護は堅牢そのもの。

 

しかし──

 

「なっ!?」

 

トットムジカの狙いは別にあった。マシュに防御を完全に消費させれば、逆にマシュは他者に気を回せない。故に、厄介な防御を潰すことが出来る。

 

立て続けににトットムジカは光線を放つ。それは明確に、エレジアの都市や土地を無差別に狙い澄ましたもの。否が応でも攻撃を通させてはならない防衛側に負担を強いらせるもの。

 

「しまった──!」

 

カルデアス・アヴァロン、並びにロード・シャングリラは絶大な宝具であり人類の叡智であるが、その代わりにオルテナウスの全リソースを注ぎ込まなくてはならない。誰かのついでに護る、といった様相では使えない。

 

理解したのだ。何が大事で何を守らせ、何を見捨てさせればいいか。人の嫌がる事をする…まさに人間の悪意の発露であろう。

 

『マシュ、大丈夫だよ』

 

だが──それでもなお、リッカの自信と泰然は崩れない。

 

『私達の仲間は、これぐらいでグラついたりしない!』

 

がっしりと腕を組むと同時に──都市部に降り注いだ攻撃が阻まれる。リッカではない、マシュでもない。

 

『ふぅ…なんとか間に合ったわね!』

 

なんと、エレジアに巨大な『大樹』が展開する。同時にそれが根を張りしは巨大なる甲羅、甲殻の顕現。

 

『四霊礼装・霊亀!エレジアは大丈夫よ!任せて、リッカちゃん!』

 

マシュがリッカの絶対防御なら、アイリスフィールは霊亀の力を借りた大陸間の不動防護。エレジアへ向けられた攻撃を、アイリスフィールは対応してみせた。

 

『こちらマスター・アルトリア!戦闘機攻撃と聖剣の合せ技でなんとかします!』

 

同時に、鳳凰の四霊礼装を展開七色のブーストファイアの軌跡を描いて飛び交うはマスター・アルトリアとランスロットのステルス戦闘機。トットムジカの対空防御を壮絶なマニューバで掻い潜り──

 

『そこにガレスの槍も添えます!いっけぇえぇえぇ!!』

 

切り込み回転を行い、七色の聖剣と光のランスを展開し、トットムジカの肩の部分を貫き抉り取る。一気呵成の突撃戦法。それが功を奏したのだ。

 

【■■■■■───!!】

 

あまりに迅速な反撃対応を受けながらも、トットムジカは無数の直営を更に展開する。空を埋め尽くす程の音符兵が放出されるが──。

 

『甘いわよ。その程度でどうにかできるなんてね!』

 

瞬間、雷雲が瞬く間に満ち溢れ、膨大な豪雨が降り注ぐ。それらは浄化属性を持ち、音符兵を諸共に消し飛ばしてみせる。

 

『応龍様の御力、拝謁させてあげるわ。泣いて歓迎に咽びなさい!』

 

応龍の四霊礼装を使った虞美人が天候操作を行い、攻撃の雷雲を呼び寄せた。いくら大量に存在しようと、天の下にいる事は決して覆らない。単純明快な質量において応龍の睥睨から逃れるすべはない。

 

『カドック!お膳立てはやってあげたわ、喰らわせてやりなさい!』

 

『解ってるさ。少しピンチになったくらいでリッカを頼っているようじゃ、仲間である意味がない!』

 

その時、降り注ぐ雨を踏みつけるような速さと鋭角さでトットムジカに急速に接近するマスターはカドック・ゼムルプス。アタランテ、アナスタシアと共に一気呵成の突撃を行ったのだ。

 

『魔王連中は常に攻撃判定を残してくれている。ならば攻撃を当てれば何かしらの成果は齎してくれる…!』

 

『あぁ、シンプルでいいのだな!』

『行くわ。見ていなさい、カドック』

 

麒麟礼装の速さと思考速度を有したカドックは迅雷が如くの速さで攻撃を掻い潜り、抱えたアタランテとアナスタシアの攻撃のラインを通す。マスターが率先して前線に立ち、共にサーヴァントと戦う。カドックが憧れ、目標とする存在から多分に影響を受けた戦法。

 

『せっかく生やして貰って悪いが、そこを狙わせてもらう!』

 

アタランテの魔弓の一撃がトットムジカの腕を断ち切り、アナスタシアのヴィイの冷気が音符兵の射出口を凍らせる。雑に振るわれた対抗手段は全て、カドックの駆動に追いつけない。

 

『今だ皆!最大火力を叩き込め!!』

 

カドックに完全に目線を向けたトットムジカの防衛レベルが格段に下がったのをカドックは見逃さなかった。それを待っていたとばかりに、信じていたとばかりに待ち構える仲間達。

 

「流石だねカドック!君達ならやれると信じていたさ!」

 

「グランドマスターズ、攻撃準備良し!」

 

「やってやろうじゃない!まだまだ元気いっぱいよ!」

 

「及ばずながら、やらせてもらいますかねぇ!」

 

「構図はこんな形で大丈夫だろう」

 

『全員!一斉攻撃────!!!』

 

リッカの指揮下にある全サーヴァント、並びにグランドマスターズ総攻撃司令がトットムジカに叩き込まれる。ウタワールド内部では既に飽和攻撃を受けている以上、防御性能は無効化されている中での、逃げ場の無い怒涛の最大火力。

 

【────!!!!!!】

 

サーヴァント達の宝具、マスター達の礼装攻撃を受け、爆発と共にトットムジカ第二楽章は轟沈する。単純な火力向上、力押しではこの盤石な布陣を崩せはしない。

 

───だが、この勝利に浮足立つ事などない。トットムジカの今まではあくまで前座、前準備のようなものだ。

 

『魔力数値、更に増大!』

 

ロマニ、並びにカルデアの放送が急変する状況を伝える。トットムジカの身体に、同時にさらなる変化が起こるのは同時だった。

 

腕は四本に増大。周囲には鍵盤が展開。さらなる巨大化を起こし、いよいよエレジア全域から見上げる事が可能となる大きさへと変貌する。

 

『これまではほんの小手調べだ…!来るぞ、皆!』

 

それこそが数多無数の世界を滅ぼしてきた魔王の本来の力にして姿。触れてはならぬと謳われた伝説の姿。

 

『魔王トットムジカ…その第三楽章だ!』

 

一同は新たに気合を入れ直す。ここからこそが本当の戦い。

 

あらゆる全てを懸け───討ち果たさなくてはならぬ負の感情の集合体。死んだほうが良い世界が生み出した自滅機構そのものなのだ。

 




ウタ「ここは…?」

トットムジカ『どうやら、オレが顕現した際に歌を捧げた奴等の記憶領域みたいだな。皆女だろ?』

ウタ「うん、本当だ!ウタウタの実の歴代の能力者…ってことなのかな」

トットムジカ『あ、コイツは覚えてる。新しめな時代のヤツだ』

ウタ「こんな、小さい子が…まぁ」

トットムジカ『今思えば……世界に絶望してたんだな…』

ウタ「……」

ウロヤソク「む、皆、天井を見てくれ!」

ウタ「天井?」

トットムジカ『あれは…ニカ?』

ウタ「ニカ?」

トットムジカ『太陽の神様だよ。前に何回かあった。その近くにいるのは…?』

ウタ「──あれ…私…?」

?『あれは『カグラ』。太陽の神ニカに侍る、芸能の神』

ウタ「誰!?」

?『トットムジカを生み出せし…太陽神の伴侶とされし存在』

ウタ達の前に──一人の、少女が現れた。

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