人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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シャムシード『アジ・ダハーカにアンリマユ、それに本来あり得ぬアフラ・マズダの力を纏わせしアジ・ダハーカ・アフラ・マズダ…ある意味で、ゾロアスターの奇跡以外の何者でもないでしょう』

キラナ『皆を護るためなら、善悪は一つになるんだよ。ね、セーヴァー。アジーカ!』

アジーカ【ぴかり、ぴかり】

アンリマユ【然り、な?しかし大丈夫かね、あいつら?】

リッカ『大丈夫だよ。グランドマスターズの皆も、カルデアの皆も、私一人でなんとかしなきゃいけないヤワな組織じゃもうない』

アンリマユ【ほう?】

リッカ『私を支えてくれた皆に──凄くない人なんて一人もいないから!』


第一楽章操演

ウタワールドにて、魔王達の怒涛の攻撃により同時攻撃のタイミングは実質的な無制限と化した現実世界。厄介な能力は無効化されたと言っていいが、ダメージに繋がる一撃を与えてやらねば意味はない。

 

トットムジカの形をした魔王も棒立ちではなく、決死の攻撃を仕掛けてくる。夢と現実においてどちらが弱いということはなく、後がないという点ではカルデアが請け負った責任はあまりにも大きく強い。

 

しかし…その重圧を乗り越えてきたからこそ、彼女達はここにいる。旅路において、完全無欠を名乗るに足る成果を残した彼女達だからこそ、この魔王に挑む資格があると言えるのだろう。

 

「行こう、アタランテ。アナスタシア。活路を切り拓くんだ!」

 

「あぁ、任せろ!」

「いいでしょう。リッカの隣に立つ力を得ているかを見てあげるわ」

 

グランドマスターズの切り込み隊長にして副リーダーカドック。巨大な偉容極まるトットムジカに、猛然と突撃を敢行する。

 

エレジア各地に召喚されたカルデアサーヴァントと、マスターへの指揮と魔力供給を行わなければならないリッカはアジ・ダハーカ形態から変われず、動くこともまたできない。防衛と攻勢の中核であるが故に遊撃は不可能となった。

 

だが彼女は仲間達を、頼れる同胞たるグランドマスターズをサポートすることを選択。一人一人にサポートサーヴァントという形で願いを託し、トットムジカへの攻勢を託したのだ。カドックに託せしは、アナスタシア。誰よりも彼の奮闘をエンジョイせし皇女。

 

「行くぞブリ!チクルゾ!妖精部隊、ワルキューレと突撃だ!」

 

「承知した、チルノ。当方とオフェリアの支援に感謝する」

「はい…!私達ならば…!」

「無理はしないようにね。全力で支援するわ」

 

オフェリアにはチルノ、そしてブリュンヒルデ。シグルドとオフェリアの相性を強く後押しするメンバーを組む。ルーンの支援とシグルドの北欧最強クラスの武勇がオフェリアのマスターとしての活動を後押しする。

 

「蘭陵王、推参!あまり代わり映えしない人選であるのはご容赦を!」

「変わらないものがいいのよ。解ってるわね後輩!項羽様、いざ!」

『無論なり。戦は始まったばかり、機先を制さん…!』

 

魔王を真正面から跳ね返す項羽に、馬にて駆け回りヒナコを守護する蘭陵王。生前からの知己達をあてがいやる気を保持する試みは上手くいった模様だ。

 

「行くぜェカルナ!アルジュナァ!!俺等が揃えば敵はいねぇ、骨の髄までそいつを教えてやらァ!!」

「承知した。インドにおける武勇の極みを示すとしよう。遅れるな、アルジュナ」

「何を言う。貴様の方こそ付いてこい、カルナ!」

 

弓、車輪、槍の対国対軍攻撃を叩き込むのはペペロンチーノ陣営のインド英雄達。インド神話における絶対的英雄達は、戦闘力においてあまりにも傑出している。

 

「あらやだアタシ消し飛んじゃうわァ〜〜〜〜〜!!!」

 

『うーん、ヤバインド。ヘラ、姉上、カイニス、キリシュタリア。私達も頑張ろう』

『無論だ。黒神も乗り気なようでな…ティタノマキア以来の奮起を示すとしよう』

『頑張りましょう〜!気合いいれっぺや〜!』

「や、やりづれぇ…」

(頑張って、カイニス!)

 

「お前も頑張んだよ!ったく、まぁいいさ、徹底的に暴れてやるからよぉお!!」

 

「リッカのサポートを必ず形にする。今日の私は…いつもの4割増本気だよ!」

「真面目にやれェ!!」

 

「何故だい!?」

 

エース、キリシュタリアにはゼウスの庇護下の存在と姉、妻をあてがう。好色家かつ面白外人ではあるが実力は随一であることはなんら疑いようもない。

 

「さーて、精々囮になるとしますか。南無三南無三ってな」

【ペペロンチーノ被れはよせ。ないあるの足を引っ張るなよ】

「だいじょうぶ!」

 

「解ってますって、旦那よぉ。さぁ…頑張りますか!」

 

魔獣化し、ないあるを乗せ戦場を疾駆するベリル・ガット。ないあるは的確に攻撃をかいくぐり都市部からゲリラ的攻撃を敢行する。皮肉屋かつ危険人物ではあるが、奇妙な友情と這い寄る守護神だけは裏切れなかった様だ。

 

「あ、あれがトットムジカ…。まだカカシのようで全然本気が見えませんね…これからどうフォルムが変わっていくのか…きちっと描かなくては…」

 

「そうだな。グッズ制作の際は多数の展開を狙いメイン収入とするべきだろう。ゴッホ、追加の絵の具と油だ」

 

「ハウッ…あまりにいつも通りなマスターとの一時…広がる風景が終末極まるこの非日常感がまた…ウフフ…」

 

デイビットにはゴッホの他に相性のいい存在が現在いないので、魔王トットムジカのスケッチをゴッホと共に行っていた。エレジアが平和になった暁には、大量のトットムジカグッズと活躍名鑑が生まれることだろう。

 

【■■■■■■────!!】

 

「これが噂の、ランスロット戦闘機!ありがとうございます、ランスロット卿!早いです!凄く!!」

(何で私はパイロット席で操縦桿を握っているのだろう…)

 

マスターアルトリアとガレスにはバーサーカーのランスロットによる制空攻撃。トットムジカに対する爆撃を繰り返し飛行する戦闘機のコクピットに座るマスターアルトリアは、そう感じずにはいられなかったという。

 

「リッカのサポートを盤石にするわ。お願いね、ジャンヌ!」

「勿論です!このカルデアのみなちん旗は、決戦の際にいつも皆を救ってきたのですから!ファイ、オー!ファイ、オー!」

 

応援団的な応援を飛ばすジャンヌと共に、霊亀の力を以て皆を支えしはアイリスフィール。一分一秒でも皆が全力を行使する為の活力をもたらし生み出しているのだ。

 

『新王は遅れてやってくる…隠し玉扱い、一筋縄ではいかない扱いに感謝』

「むぅ、リッカが前に出ぬなら仕方ない。奏者と肩を並べるマスターなどそうはおらぬからな」

 

最終防衛ラインには月の新王、最強のマスター岸波白野がネロと構える。リッカの護衛も兼ねて、エレジアを背にどっしりと構えているのだ。

 

『来てくれてありがとう、岸波くん!リッカの護衛だけれど、トットムジカも馬鹿じゃない。戦力の中核をすぐにでも──』

 

言い切る前に、放たれしは海を切り裂く破壊光線。アジ・ダハーカとなったリッカに向け、攻撃が放たれるが──。

 

『防御を任せてもらった側が言うことじゃないけど、彼女の防御は揺るがない』

 

はくのんの言う通り、その破壊光線はリッカに届く前に即座に霧散し阻まれる。彼女は確信し把握しているのだ。

 

『彼女の傍には、いつだってあの娘がいるんだから』

 

言葉の示す通り、リッカの…アジ・ダハーカの肩に在るサーヴァントの堅牢さを疑うものはカルデアには存在しない。

 

「先輩!私が護ります!全力で支援と指揮を!」

『任せたよ、マシュ!じゃんぬとギルをこんな早くに頼ってちゃ先が思いやられるからね!』

 

そう、マシュ・キリエライトが待機しているならば…そこは既に絶対安全圏である。トットムジカの攻撃とヘイトをおびき寄せるため、挑発のように眼前へと顕現させた狙いは結実したと言えよう。

 

【──────!!!】

 

カルデアに在来するサーヴァントの攻撃が、各地により叩き込まれていく。それは、ウタワールド側の魔王達の攻撃にシンクロしトットムジカを呑み込んでいく。

 

やがてそのダメージが飽和したのか、爆炎を拭き上げ海岸線方面へと倒れ込むトットムジカ。第1楽章は、ほぼ完全に封じ込めたと言っていいだろう。

 

『─────』

 

だが、それを誰も喜ぶ事はない。これは長い戦いのほんの序盤、小手調べのようなもの。カルデアの総力はここより問われるのだ。

 

沈み込んだ海からトットムジカが起き上がる。上半身だけだった魔王に、腕と意匠が追加されていく。

 

第1楽章は終わり…第二楽章が始まろうとしていた。

 




ムニエル「所長!天竜人、悪魔の軍勢が動き出しました!操られている模様です!」

オルガマリー「ここからが本番ね…魔王達は!?」

ムニエル「未だ沈黙!現状彼らのみです!」

オルガマリー「夏草メンバー、OK召喚組を向かわせるわ!抑え込むわよ…!ロマニ!」

ロマニ「はい!ソロモン、いつでも行けるよ!」

予断を許さぬ戦いは、迅速なままに第二楽章へ──

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